第80話 糸車とはた織機を置く場所がない!? ツリーハウス作りの再開
なんか、作るものがいっぱいある上に時間がかかる物が多くグダグダな感じですみません。
お祈りポイントも貯めないといけないし、時間ばかり必要になってきている感じです。
【異世界生活 62日 6:00】
「ふわ~~~、おはよう」
真望が寝坊して起きてくる。
「おはよう、真望。珍しいな、真望が寝坊なんて」
俺はそう答える。
みんな、朝食を終え、剣道教室を終え、休憩しているところだった。
「昨日は糸車に熱中し過ぎて、寝るのが遅かったのよ。糸車を回し始めたら、止めるタイミングを逃しちゃってね」
真望がそう言って、たき火のまわりに座り、明日乃がとっておいた朝食を食べだす。昨日は夕食後も鍛冶工房に入り浸り、糸車に熱中していたらしい。
「先は長いんだ。あんまり無理するなよ」
俺は真望にそう言う。
「分かってるわよ、昨日は欲しかった糸車ができて少しはしゃいだだけ。今日からは普通に寝るわ」
少し怒ったような口調でそう言い、真望は食事を続ける。
一角と麗美さんはそのまま、日課の魔物を減らす狩りに行く。
二人はレベル30になったらしく、レベル31、ランク4になる為の大量の経験値に悩まされているようだ。
真望は朝食が終わったら麻糸作り、俺と琉生とシロとココは一昨日、腐らせ始めた麻の茎の回収に行く。
「私も一緒に行っていいかな? 水浴びしたいし」
そう言って明日乃は麻の茎の回収に加わる。
人手が増えたから、水浴びついでに竹も少し切って来よう。今日はツリーハウスの4軒目を作らないといけないしな。
鈴さんとレオはツリーハウス作りの準備、竹をツリーハウスに合わせて切る作業をするらしい。
変幻自在の武器は鈴さんに貸して、代わりに俺は、鈴さんが、青銅の剣を作る時についでに作ったらしい青銅製のノコギリを借りる。神様に貰った鉄のノコギリは貴重なので温存する感じだ。
とりあえず、泉の先にある朝の群生地で、腐った麻の茎を回収し、新たに麻の茎を倒して、琉生の土魔法で、発酵を促進させる。生活魔法5回で500ポイントのお祈りポイントを消費する。
帰りに泉によって水浴びをする。
明日乃と琉生とシロが水浴びをしている間、俺とココは竹林で竹を切る。
「ココは水浴びしないのか?」
俺は気になって聞いてみる。
「猫は水浴びしないにゃん。毛繕いしていればいつも清潔にゃん」
そう言って、腕をぺろりと舐めるココ。水浴びは嫌いらしいな。レオと一緒だ。
明日乃達は洗濯もするらしく、少し時間がかかりそうだ。
俺は多めに竹を切って、後でとりに来ることにする。
1時間ほどで、水浴びと洗濯が終わり、俺も交代して水浴びをする。
その間、琉生や明日乃に竹を切る作業をしてもらう。
水浴びが終わり、麻の茎と、持てるだけの竹を持って拠点に帰る。
「そういえば、泉から竹をパイプにして水道を作ったら、気軽に水浴びも洗濯もできるし、飲み水にも困らないんじゃないか?」
俺は帰り道、ぼそっとそんなことをつぶやく。
「それはいいアイデアだね。畑のそばまで引いてくれれば自動散水装置とかも作れそうだし。作るんだったら手伝うよ」
琉生が予想外に乗り気だった。もちろん、明日乃も毎日水浴びができると乗り気だ。
「とりあえず、はた織り機を置くツリーハウスを作って、機織り機を組み立ててからかな」
俺はそう答える。なんだかんだで鈴さんの協力がないと建築や土木関係は進まないしな。
拠点に帰った後、鈴さんに相談したら、鈴さんも結構乗り気だった。自由な時に水浴びに行けて、行く時間も省略できるのはありがたいと結構ずぼらな考えからだったが。
どんどんやる事が増えていく気がする。
俺達は拠点に戻り、採ってきた麻の茎を木の間に張った荒縄に干してから、鈴さんとレオが竹を切って、ツリーハウスの部品作り、俺と琉生とシロとココは竹林を往復して竹の在庫を増やしていく。真望と明日乃は麻糸作りだ。
竹林を1往復したところで、お昼の時間になり、昼食を食べる。
一角と麗美さんも帰ってきて昼食を食べるが、なんか、ぐったりした感じだ。
「なんかあったの? 麗美さん、一角?」
俺は気になって聞いてみる。
「ワーウルフをある程度減らしたせいか、今日は別の魔物が出てきたんだよ」
一角が嫌そうな顔でそう言う。
「どんな魔物だったんだ?」
俺は嫌な予感がしつつも聞いてみる。
「ハーピーだってさ。鳥人間? 羽が生えていて、空から石を落としてくるんだ。あれは弓矢か魔法じゃないと倒せないぞ。まあ、あまり高くまでは飛べないみたいだし、長い時間は飛べないみたいだから、弱点は色々ありそうだけどな」
一角がそう言う。
レベルはワーウルフと同じで平均レベルが20以上、30台も混ざっていたらしい。一角も麗美さんも弓矢やクロスボウを持っていたので、普通に対応できたらしいが、俺や琉生や真望が合流して戦う場合は魔法しか攻撃手段がなくなるな。
「だったら、投槍機、アトラトルを作ればいいんじゃないかな? 粗悪な槍なら、敵からいくらでも手に入るし、それをアトラトルで投げるの」
明日乃が本の知識らしい謎の言葉を発する。
「アトラトル?」
みんなが首をかしげる。
「要は、こんな感じの料理で使うおたまみたいなものなんだけど」
そう言って明日乃が鈴さんに作ってもらったっぽい、木製のおたまを持って立ち上がり、護身用に置いてあった槍を掴む。
「で、このおたまの汁をすくう部分に槍の柄のお尻をひっかけて、おたまを思いっきり振る」
そう言って、明日乃が槍をおたまに乗せて、そのまま思いっきりおたまを振り下ろす。
すると、槍がはるか遠く、琉生の作った畑のさらに先にある草原に槍が飛んでいく。レオとココが慌てて槍を拾いに行く。棒を拾いに行くわんこみたいだ。
「すごいな。弓矢より飛んだんじゃないか?」
一角が驚きながらそう言う。
「ね、これが投槍機、アトラトルの仕組みね。遠心力っていうか、腕を延長させるっていうか、そんな感じで人力で槍を投げるよりさらに飛距離が出せるし、威力も命中率も上がるの。槍投げのオリンピック選手でも100メートルは投げられないけど、アトラトルを使えば、素人でも100メートル超えるし、130メートルくらいまで投げられるらしいよ。まあ、総合的には弓矢には劣るけどね」
明日乃がそう教えてくれる。
歴史的には原始人が氷河期に使っていて、発達した弓矢や投石機に駆逐された武器って感じらしい。
「すごいな、そのアトラトルってやつ。鈴さん、これって2~3人分作れる?」
俺は素直に驚き、鈴さんに作れるか聞いてみる。
「明日乃の知識に加えて流司が秘書子さんにアトラトルの正確な知識を教えてもらえるなら、それをそのまま作るわよ。木を削るだけだから2時間もあれば2~3本簡単に作れると思うわ」
鈴さんがそう言う。
俺は、秘書子さんに聞きながら地面に設計図を書き、鈴さんに仕組みを伝える。
「とりあえず、先にツリーハウスを作ってよね。はた織り機を置く場所が確保できないじゃない」
そう言って真望が創作意欲の盛り上がり出した俺と鈴さんに釘をさす。
まあ、確かにすぐ必要なものじゃないしな。
お祈りポイントが貯まってみんなで魔物狩りを行くようになったら作ってもらう様にしよう。最悪、俺には前に作った投石機もあるからな。
そんな感じで、アトラトルの話題で盛り上がりながら昼食を終え、午後は一角と麗美さんも加わり、竹運びのペースも上がる。
麗美さんの変幻自在の武器もあるので竹を切るペースも上がり、どんどん竹を拠点に運ぶ。途中、真望が水浴びの為に1回だけ竹運びを手伝う。
真望も、水道作りには賛成のようだ。水浴びに行くのが面倒くさいという理由で。
「とりあえず、明日から作り始めて、午後は一角と麗美さんに竹を追加してもらえば、明後日くらいには何とかなりそうかな?」
日が暮れてきたころ、麗美さんがそう言う。
今日は材料集めと材料のカットだけで終わってしまったが、明日からは本格的にツリーハウスの組み立てに入る。
明日も作業なので、早めに夕食を食べ、日課のお祈りをして、就寝する。
【異世界生活 63日 5:00】
「りゅう君、干し肉も魚ももうないよ」
朝食を食べながら明日乃がそう言う。
「マジか? この間、獲ったイノシシ、もう食べちゃったのか」
俺は慌てて聞き返す。
「これで、最後だね。バナナを採るか、狩りに行かないとダメだね」
明日乃が朝食をみんなに配りながら残念そうにそう言う。
「オレ、鳥捕ってくる」
レオがそう言い、ココも頷く。
「私たちも魔物狩りが終わったら、海にでも行ってみるわ」
麗美さんがそう言い、一角も頷く。
とりあえず、今日明日はレオ達の鳥、麗美さんと一角の魚獲りに期待しつつ、朝食はバナナで節約するしかないな。
「明日にはツリーハウスができるし、今は節約して、明後日、また北の平原に行ってみよう」
俺はツリーハウスを優先することにした。
朝食が終わると、さっそくレオとココは槍を片手に森に鳥を探しに行く。
俺達は日課の剣道教室をし、終わり次第、一角と麗美さんは魔物狩りに、琉生とシロは畑作業、俺と鈴さんはツリーハウスの土台作りを始める。真望と明日乃は麻糸作りだ。
「ツリーハウスを優先しちゃってよかったの?」
鈴さんが作業をしながら俺に聞く。
「やることいっぱいだからね。少し節約してでもやる事消化していかないと、今後がきつくなりそうだし」
俺はそう言う。
「そうだね。いつの間にか水道作りとか増えてるし、千歯こきも作らないといけないしね。ああ、後、くしもか」
鈴さんが少しうんざりするように言う。
ただ、口調は楽しそうだ。ものづくりが好きなんだろうな。
「鋼鉄製の武器が作りたいのにごめんね。余計な仕事を増やして」
俺はそう言って謝る。
「まあ、鋼鉄製の武器は、足りない材料とかあるから、どっちにしろ鍛冶道具がそろってもすぐにはできないんだけどね」
鈴さんがそう言って笑う。
「そうなの? 何か足りない物があれば採ってくるけど?」
俺は鈴さんの意外な反応にそう答える。
「実は藁灰、イネ科の藁を燃やしてできた灰が欲しいんだよね。小麦か稲の藁が必要な感じかな? そうは言っても、琉生の話では小麦はあと1か月は必要って言ってたし、それまでは鍛冶は本格的には動けないのよ。あと、貝殻も必要かな?」
鈴さんが残念そうにそう言う。
「小麦の麦わらかぁ。それは確かにもう少し時間が必要だね。貝は一角と麗美さんあたりに採ってきてもらえばなんとかなるかな?」
俺はそう言う。明後日は俺達は北の平原に行って、一角と麗美さんは、魔物狩りと午後は貝拾いかな? 食料難だしちょうどいいだろう。
そんな感じで、色々今後の活動を考えながら、鈴さんと協力してツリーハウスの土台作りをしていく。土台と柱ができればあとは簡単だしな。
ツリーハウスの土台が出来上がったところで、お昼になる。レオとココがまたキジを4匹捕まえてきてくれる。
「よくやったね、レオ、ココ。これでお昼ご飯と夕食は確保できたよ」
明日乃が嬉しそうにそう言い、琉生も喜ぶ。
「午後はバナナも取ってくる」
レオがそう言い、ココと二人でバナナを取りに行ってしまう。
入れ替わりで一角と麗美さんが帰ってきて、昼食の準備が始まる。琉生が手際よく、キジの羽根を抜いていき、明日乃がキジを捌く。
俺もキジを捌く手伝いをする。
「午後は、私たちが魚を獲りに行ってくるから、明日の食事くらいまではなんとかなるだろう」
一角がそう言う。
ちなみに、今日の魔物狩りも空飛ぶ敵、ハーピーが相手だったらしい。
「明日は北の平原に行って、野菜と何か動物を獲ってこよう。ダメだったら川魚かな?」
俺はキジを捌きながらそう言って明日の予定を決める。
「それじゃあ、ツリーハウス作りも急がないとね。今日中に作れるところまで作っちゃって、明日は残ったメンバーで仕上げるって感じかな?」
鈴さんがそう言ってやる気を出す。
「最悪、南の魔物の島のダンジョンに行けば、カエルの肉、トカゲの肉、魚の肉、取り放題だぞ。もしくはハーピーの肉でよければ取ってくるぞ」
一角がそう言って笑うが、明日乃や麗美さん、真望は嫌な顔をする。カエルやトカゲはさることながら、魚の肉に関しては半魚人の肉だからな。
魔物の肉を食べるのは最後の手段にしたいところだ。
その後、レオとココが捕まえてきたキジをネギと一緒に煮てキジ鍋にして食べる。キジの出汁は本当に旨いな。ちょっと醤油、できればポン酢が欲しくなるが。
午後は一角と麗美さんは海に魚獲りに、明日乃と真望は変わらず麻糸作り、俺と鈴さんのツリーハウス組は琉生も加わり、ツリーハウス作りを急ぎ、バナナを採って帰ってきたレオとココ、シロは3人で竹を切りに行ってくれる。
ツリーハウスの柱を立てていき、梁を横に通し、屋根は雨が流れ落ちるように斜めに設置したいので、柱や梁に段差をつけ、東に行くほど屋根が低くなるように作っていく。麗美さんが変幻自在の武器を置いていってくれたので、ノコギリが2本に増えて、作業効率が上がる。
屋根を作る作業になったあたりで、一角と麗美さんが沢山の魚を持って帰ってくる。
俺と一角、琉生と麗美さんでツリーハウス作りを交代して、俺と、琉生、明日乃で20匹以上の魚を捌き、塩水に浸けて、干物を作る籠に入れて干物にする。魚は明日のご飯になる予定だ。
干物を作り終え、俺と琉生もツリーハウス作りに参加し、人海戦術で屋根を完成させる。
屋根が8割方完成したところで、竹が足りなくなってくる。
麗美さんと一角が水浴びもしたいとのことで、竹を取りに行くことになり、入れ替わりで帰ってきた、レオ、シロ、ココの持ってきてくれた竹で、何とか屋根作りも再開、眷属達はもう1回竹を取りに行ってくれるらしい。
そして、一角と麗美さんと一緒に竹を持って帰ってきたレオとココはなんか綺麗になっていた。そして、麗美さんの顔に引っかき傷がまたできていた。
日が暮れて、ここで作業は終了。ツリーハウスは屋根が完成し、残りは壁と窓と扉を作れば完成。あと一日あればできるだろう。
明日は北の平地に食料確保に行くので、夕食の焼いたキジを食べて、日課のお祈りをして、早めの就寝。
お祈りポイントも今日のお祈りで67000ポイントちょっと貯まったので明日お祈りしたら、鈴さんの欲しがっている、鍛冶道具、火箸? やっとこ? 金属をはさむハサミみたいなものを神様から貰った魔法の箱で交換してもらおう。
次話に続く。