第75話 拠点への帰還と新しい仲間。そして次の行動
【異世界生活 53日 12:00】
「おい、どうする? ワーフロッグが待ち構えているぞ」
一角がそう言って、ダンジョンの外を嫌そうな顔で指差す。
俺たちは、2つ目のダンジョンを攻略し、そのまま、拠点まで帰る予定だったが、簡単には帰してくれなそうだ。
俺も外を見ると50体近いワーフロッグが待ち構えている。
「ダンジョンで消耗したところを狙ってとどめを刺すつもりかしらね?」
麗美さんが外を少し覗いてからしらけた顔でそう言う。
「まあ、実際、お祈りポイント少ないし、消耗しちゃっているもんね。どうする? りゅう君?」
明日乃がそう聞いてくる。
「魔法使っていいか? ダンジョンの中は安全だから安全地帯から攻撃魔法を撃ち込みまくって全滅させる」
一角が魔法を撃ちたくてしかたないらしい。
「ダメに決まってるだろ。お祈りポイントなくなって、結界張れなくなって、帰れなくなるぞ」
俺は呆れ顔でそう答える。
「それは確かに困るな」
一角がそう言って真剣に悩み出す。
「というか、一角、弓矢持ってきているんだから弓矢使え」
俺は、一角が背負っているデカい弓と矢筒を見て思い出したように言う。
「そういわれればそうだ。最近、魔法に夢中になり過ぎて、私自身、弓道部だったことを忘れそうだったよ」
そう言って一角は弓を下ろすと矢をつがえ構える。
「矢は、残り12本しかないからな。それで、カエル達が逃げなかったらどうする?」
一角は弓矢を構えながら俺に聞く。
「剣で戦うしかないだろうな。魔法はどっちにしろ使わせないからな。とりあえず、12体倒せ」
俺はそう言い返す。
「必中必殺命令かよ。厳しいな」
一角がそう言い笑うと、矢を放ち、ワーフロッグの眉間を貫く。
そして矢継ぎ早に第二射。同じように別のワーフロッグの眉間に刺さる。
「なんだかんだ言って全弾命中じゃないか」
俺は感心する。矢を12発放ち、全部当てた。残念ながら2体は致命傷を外したようだが、10体倒せば上出来だ。絶命しなかった2体も地面にのたうち回って戦闘不能だしな。
「残り40体。倒せない数ではない。ただし、問題は敵全員が、1発だけ弾の入ったピストルを持った状態、魔法を撃てるということだ」
俺はそう言って戦略に悩む。
「敵も経験値が減っちゃうから、よっぽどのことがないからマナを使った原初魔法は使ってこないらしいけど、絶対じゃないし、困るよね」
明日乃がそう言い、みんなも悩む。
「しかも、一角ちゃんの弓矢を恐れて、少し距離置かれちゃったしね。相手が魔法を使うならちょうどよい距離をとられちゃっているよね」
麗美さんがダンジョンの外を覗き、そう言う。
「しょうがない。結界魔法を張って白い橋まで走ろう。ワーフロッグが襲ってくるようなら結界内から攻撃して倒せるだけ倒す。まあ、40匹なら残ったお祈りポイントで何とかなるだろ?」
俺はそう言い、みんなも仕方なさそうに賛同する。それしか方法はないしな。
「弓矢回収したかったんだけどな」
一角が残念そうにそう言う。
「明日乃、なるべく、弓矢で倒した敵のそばを通って帰ってもらっていいか? 一角が矢を回収したいらしいから。回収できなかった分はまた、鈴さんに作ってもらえ」
俺は明日乃にそうお願いし。一角にも伝える。
「あんまり遠回りになりそうなところは無視するからね」
「ああ、それで構わない」
明日乃がそう言い、俺は了承する。
「じゃあ、結界魔法のみで、行くぞ。補助魔法はいらないよな?」
俺がそう言い、みんなも頷くので、補助魔法のステータスアップ無しで戦いに挑む。
明日乃が結界魔法を唱え終わると同時に走り出し、俺達も明日乃のペースに合わせて走り、ダンジョンの入り口から出る。
「グアッ」
「ゲコッ」
ワーフロッグたちが騒ぎ出し、俺達に一斉に襲い掛かる。
魔法を使う気はないようだ。ありがたいな。
「お客さんが来たぞ。盛大にもてなしてやろう」
俺はそう言い、変幻自在の武器をサーベルのような少し反った片刃の剣にする。盾を持っているので、今までのように槍だと不便だからな。
襲ってくるワーフロッグの槍を叩き折り、返し刀で首を横に凪ぐ。
麗美さんは自分の変幻自在の武器を今度は薙刀のように変化させ、それを振り回す。
攻撃範囲内のワーフロッグたちがどんどん斬り倒されていく。
「いいな、やっぱり。自分用の変幻自在の武器が早く欲しくなった」
一角がそう言ってワーフロッグたちに青銅の剣で斬りかかり、時々地面に倒れているワーフロッグの死骸から矢を抜き取り回収していく。
「ああ、そうだ、麗美さん、1回だけ魔法使ってみる? 神様の話だと、お祈りポイント半分で済むようになったんでしょ?」
俺はワーフロッグを斬り捨てながらそう聞いてみる。
「そうね、1発だけ試してみようかしら。水の精霊よ神の力をお借りし、魔法の力とせよ『氷矢の連撃』!」
麗美さんがそう言い、薙刀の柄を魔法の杖のように構え、魔法を詠唱する。
現れた5本の氷の矢は正確に5体のワーフロッグの喉に刺さり致命傷を与える。
「なんか、この武器があると、気持ち、魔法が手足のように使えていいわね。そして神様の言う通り消費お祈りポイントが半分になったわ」
麗美さんが嬉しそうにそう言う。
「いいな。わたしも使いたいぞ、魔法」
一角が麗美さんの魔法を見て自分もと使いたがる。
そして、襲ってくるワーフロッグを斬り捨てる。
「一角も早く自分の変幻自在の武器を手に入れろ。そうしたら、魔法を使う機会がふえるかもしれないな」
俺はそう言って冷やかす。
「じゃあ、明日、次の島のダンジョンに挑戦するぞ」
一角はそう言って、やる気満々でワーフロッグを青銅の剣で斬り払う。
「お祈りポイントが回復するまで無理だ。そろそろ、鈴さんの鍛冶道具ももらわないと、鈴さんがしょげそうだしな」
俺はそう言って一角をもう一度冷やかす。
そして、ワーフロッグを袈裟切り。防具を着ている魔物がまだ、まばらなのはありがたいな。
「私のはた織機もそろそろ作ってもらいたいんだけど?」
真望が少しキレ気味にそう言って、ワーフロッグの首にとどめを刺す。
「やることいっぱいで困るわね」
麗美さんが笑いながらそう言い、薙刀風の武器でワーフロッグたちを切り捨てていく。
「ゲッ!」
「ゲコッ、」
ワーフロッグたちがお互いの顔を見合い、後退りしていく。逃げる気のようだ。
残り10体少々、形勢逆転だな。
「判断が遅かったな」
一角がそう言って、結界から飛び出し、残ったワーフロッグに襲い掛かる。
「ああ、くそっ、勝手に結界から飛び出すな」
俺はそう言って一角の後に続きワーフロッグを斬り捨てる。
「もう、一角ちゃんったら」
麗美さんも仕方なさそうな顔をしながら一角のフォローをする。
明日乃と真望も慌てて後を追う。
「こいつで最後だな」
俺はそう言って、ヤケクソになって飛び掛かってきたワーフロッグを横一線切り捨てる。
そして、明日乃が神様にお祈りして魔物の死骸をマナに還し、経験値化する。
「結局全部倒しちゃったわね」
真望が周りを見回してそう言う。
魔物の死骸が光になって消えていき、防具や槍だけが残っていく。
「明日乃、武器や防具も重量オーバーでもう拾えないから神様に還してしまってくれ」
俺はそう言い、明日乃に追加でお祈りしてもらう。
そして、地面に残った防具や槍も光になって消えていく。魔物達に再利用されると面倒だからな。
「とりあえず、帰りましょ? また襲われたらいやだし」
真望がそう言って、白い橋の方をあごで指す。
「そうだな。ダンジョンも攻略したしな」
俺はそう言い歩き出す。
一応、帰りも罠や魔物に警戒しながら。
【異世界生活 53日 13:30】
「さすがに今日は疲れたな」
俺は、白い橋を渡り終え、元の島につき草原に腰を下ろしそう呟く。
「そうだね。今までで、一番魔物倒した上にダンジョンも攻略だからね」
明日乃もそう言い俺の横に座る。
「まあ、おかげで、目的の物も手に入ったし」
麗美さんがそう言って、薙刀のような武器にしていた変幻自在の武器を筒の状態に戻す。
「早く、私の武器も欲しいぞ」
一角がそう言うが、ぶっちゃけお祈りポイントが足りない。
「そうは言っても、今現在、15000ポイント、魔物の島に渡るなら最低でも30000ポイント、ダンジョン攻略を強行するなら60000ポイントは欲しいな」
俺は一角にそう釘をさす。
「そうね、そのあたりも、拠点に戻ってから、みんなで検討しないとね」
麗美さんがそう言う。
「1日6000ポイント回復で8日ってところか」
一角が適当に計算する。
「鈴さんのお預けになっている鍛冶道具もそろそろ神様に貰ってあげないとへそ曲げるぞ」
俺はそう言って笑うが。そろそろ鍛冶の事も考えないとな。
「とりあえず、お昼ご飯食べよ。お弁当も悪くなっちゃうし」
明日乃がそう言うので、とりあえず、周りから枯れ枝を集め、たき火をし、竹筒でできたお弁当箱を温める。
【異世界生活 53日 15:30】
俺達は遅い昼ご飯を食べ、少しゆっくりしてから拠点に帰る。
留守番をしていた、鈴さんと琉生が迎えてくれる。
「おかえり、みんな。また、新しい防具貰ってきたのね。しかもお祈りポイントもまた減ってるし」
麗美さんが着ている青銅の胸当てをみて、少しがっかりした顔で鈴さんがそう言い、へそを曲げる。
「あ、でも、麗美さん、変幻自在の武器手に入れたんだね」
琉生がそう言って嬉しそうに麗美さんに駆け寄る。
琉生にはその金属の筒が畑仕事で使う農具にしか見えていない。きっと。
「ただいま、鈴さん、琉生。まあ、そのあたりも含めて今後の行動を考えないといけないと思ってたんだ。お祈りポイントを貯める話とか、鍛冶の話とか?」
俺は、鈴さんに謝るようにそう言う。
「会議する前に、私の変幻自在の武器の眷属呼ばない? ちょっと楽しみにしてたんだけどな」
麗美さんがそう割り込む。
言われてみるとそうだな。眷属が増えるのはありがたいし。
とりあえず、拠点の柵の中に入り、いつものたき火のまわりに集まる。
「それじゃあ、いくわよ。『眷属召喚』!」
麗美さんがみんなの見えるところに立つと、そう言って眷属を召喚する。
麗美さんの前に水でできた大きな球体が現れ、徐々に縮みながら人の形になっていき、最後は、水風船が割れるように、水がはじけ飛び、1体の獣人が現れる。
「猫だね」
「猫みたいだね」
琉生と明日乃が声を合わせてそう言う。
まあ、麗美さんのけもみみが猫なので当たり前と言えば当たり前かもしれないが。
目の前には茶色い毛並みの可愛い猫が可愛らしいへそ出しのシャツとパンツスタイル、イメージ的にはRPGで出てきそうな女盗賊スタイルの二足歩行の猫が立っていた。
「毛並みも麗美さんの髪の色にそっくりね」
真望がそう言う。
確かに色合いとか雰囲気とか似ているかもしれないな。
「名前はどうするの?」
明日乃がそう聞く。
「ココかな? 昔飼っていた猫がココアっていってそっくりな感じだったのよ」
そう言って懐かしそうに眷属を抱きしめる麗美さん。ココアという名前で愛称がココらしい。
そして、シャツから出たお腹のあたりの顔をうずめる。
「はあ、匂いもよく似ているわ」
そう言って麗美さんはココのお腹を吸いまくる。スーハースーハ―と何度も。
ココに覆いかぶさるようにして、お腹の臭いを吸いまくる。
「これが噂の猫吸いってやつね。猫好きが中毒になるってやつ」
真望が少しドン引きしてそう言う。
ココもしょうがなさそうな顔をして麗美さんの頭を抱えている。
「みんな、宜しくお願いするにゃん」
ココが顔だけこちらを向けてそう挨拶する。
にゃん? 猫語なのか? キャラクター付けなのか? 俺は少し困惑する。リアルで「にゃん」と語尾につける人間に会ったことなかったからな。
こうして、茶色い猫の眷属、ココが仲間になった。
そんな感じで、猫吸いに夢中な麗美さんとココを放置し、俺達は今後の方針を決める。
「とりあえず、お祈りポイントを回復させないと、南の島の魔物狩りをするにしても、南東の島、一角の変幻自在の武器が眠る、ダンジョンを攻略するにしても危険すぎるからな」
俺はまず、今の問題点、お祈りポイントの回復を議題に上げる。
「まあ、それは必須だろうな」
一角もそこは納得する。
「あとは回復の間何をするかと、回復後の優先順位だよね」
明日乃がそう言って悩む。
「私は鍛冶道具が欲しいわ。もう、青銅器作りはすっ飛ばして鋼鉄製の武器を作りたいの。砂鉄を集めて鋼を作って日本刀みたいなカッコイイ武器が作りたいわ」
鈴さんがそう言う。もう、青銅器作りは見切りをつけたようだ。
「そうだな。青銅の武器や防具は、もう、ダンジョンで拾えるようになってきたし、青銅では生活品を作ってもらって、武器の方はその先の先を行かないと、鈴さんの鍛冶が活きてこないしな」
俺はそう言って、鈴さんの意見にのる。
「まあ、一番欲しいのは火鉢、過熱した金属をつかむハサミみたいな道具ね。最悪、金床や金槌は流司や麗美さんの変幻自在の武器を変化させればいいけど、火鉢は2つ以上の部品でできているから変幻自在の武器じゃ再現できないのよね」
鈴さんがそう言う。
たしかに変幻自在の武器は複数のパーツでできている武器や、複雑な構造のもの、素材の違うものは作れない。ハサミや鎖みたいなものは作れないのだ。剣にしても斧やノコギリにしても、複数のパーツが連なっているように見えるだけで、実際は一つの金属でつながっている感じだ。
「ちょっと金床として使われるのは怖いけどな」
俺はそう言って変幻自在の武器を眺める。
いくら壊れない武器とはいえ、限界があるだろうし。
「神がお貸しした、光の剣ですが、もちろん、耐久限界はあります。普段、剣の中に貯めてあるマナを消費してダメージを回復していますが、あまりにも無茶な使い方をすると、剣の中に貯めたマナが枯渇し、剣自体が存在できなくなります。金床や金槌くらいならば大丈夫ですが、るつぼのような常に高温にさらされるような使い方をすれば、ダメージ回復であっというまにマナを消費し、枯渇、壊れてしまいます。使い方にはお気をつけください」
秘書子さんがそうアドバイスしてくれたので、そのまま、鈴さんに伝える。
「危なかったわね。るつぼはちょっと考えていたのよ。あとフライパン代わりとか? そのあたりはやめた方がよさそうね」
鈴さんがそう言って笑う。
鈴さんが勝手にやらなくてよかったよ。特に加熱系は避けた方がよさそうだ。
「とりあえず、鍛冶道具1個神様にお願いするのにお祈りポイント40000。1週間かかる感じだよね。それを3回、3週間か」
俺はちょっとかかり過ぎる時間に悩む。
「最悪、火鉢だけあれば、変幻自在の武器を使って、金属の鍛錬で金槌を作れるし、金槌ができれば金床も作れるかな。今ある窯じゃ、鉄を溶かすことは無理だからあくまでも熱して形を作り直すぐらいの作業しかできないんだけどね」
鈴さんがそう言う。
「私ははた織機と糸車が欲しいわ」
真望がそう言う。
「そのあたりは、私が作り方を教えてあげるから、一緒に作りましょ?」
鈴さんがそう言う。
「あと、鍛冶小屋も完成させないとね」
麗美さんが、ココといちゃつきながら、そう言う。
ココは麗美さんに付き合うのがだいぶ面倒臭くなってきたみたいでいやな顔をして逃げる機会を窺っている。時々、麗美さんに猫パンチを浴びせつつ。
「とりあえずは、お祈りポイントを回復させながら、鍛冶小屋を完成させて、機織り機と糸車を製作する感じかな?」
俺はそう言う。
「私は、次の魔物の島の数減らしをしてきていいか? 白い橋から出なければ一人でも対応できると思うし」
一角がそう言う。
「一人じゃ、危険だから、私も付き合ってあげるわ」
麗美さんがそう言う。
「お祈りポイントは使うなよ、2人とも。それならいいけどな」
俺はそう言う。
「私も手伝おうか?」
明日乃がそう言う。
「いや、明日乃は参加しない方がいいだろう。明日乃の結界があると、一角が調子に乗りそうだしな」
俺はそう言う。一角が白い橋から飛び出して魔物を倒そうとする風景が容易に想像できる。
「橋の上からの魔物狩りだと、私も弓矢が使えるといいんだけどね。私は弓に関しては素人だし、困ったわね」
麗美さんがそう言って悩む。
確かに橋から距離をとられたら、魔法以外攻撃手段がなくなるもんな。
「クロスボウとかあればいいんだけどな。あれなら素人でも撃てる気がする」
一角がそう言う。
現実の話なのかゲームの中の話なのかよく分からないが。
「クロスボウはいいね。作れるんだったら私も欲しいかも。結界張りながらでも攻撃に参加できるし」
明日乃も話に乗ってくる。
「うーん、設計図とか作り方が分かれば作れるんだろうけど、ゼロから作るのは専門じゃないから難しいわね」
鈴さんがそう言う。
「作り方なら私が知っています。アスノ様に体を借りて、粘土板にでも設計図を書きましょうか?」
秘書子さんが俺にそう言う。
一応それをみんなに伝える。
「じゃあ、秘書子さんに教えてもらいましょ? 私もクロスボウが欲しいし」
明日乃が乗り気だ。
今まで、戦闘に参加できないのを悩んでいたのかもしれないな。
とりあえず、鋳型を作る為の粘土や砂もあるので粘土板を作ってから、秘書子さんに明日乃の体に20分間だけ降臨してもらうことにする。そして出来上がる粘土板。
壊れないように一応、麗美さんに乾燥してもらう。お祈りポイントが550ポイントへってしまった。
ただ、麗美さんの魔法のお祈りポイント消費が半分になったのはありがたいな。
「うん、これなら、青銅の金属を溶かして鋳型で部品を作ればなんとか作れそうね」
鈴さんが粘土板を見てそう言う。
「今の原料と技術で作れるレベルで設計図を書きましたから」
秘書子さんが少しどや顔でそう言う。無感情な声だが。
竹を利用したり、ネジを使わない、ネジの代わりに釘で作るなど色々工夫をしたりしてくれたようだ。
「鈴さん、それと、鏃の補充もお願いします。今回の魔物狩りで少し矢を回収できなかったので」
一角が鈴さんにそう言う。クロスボウの金属部品作りついでに鏃も作ってもらうことになった。
とりあえず、予定は色々決まったな。
俺:鈴さんの手伝い、鍛冶工房の小屋作り
明日乃:真望の手伝い、麻布作りや、はた織り機、 糸車づくりの手伝い
一角:基本午前中は南東の島の橋で魔物狩り。午後は鈴さんの手伝い
麗美さん:基本午前中は南東の島の橋で魔物狩り。午後は鈴さんの手伝い
真望:麻布作り、はた織機作り、糸車作り
鈴さん:クロスボウ作り、矢の補充、鍛冶工房の小屋作り、はた織り機、糸車作りの手伝いい。鍛冶道具がそろったら鋼の鍛錬を始める。
琉生:基本午前中は農作業、鈴さんの手伝いや真望の手伝い
眷属の3人には消耗品の採取や簡単な作業の手伝い、塩作りや木炭作りを手伝ってもらう。
食料が足りなくなったり野菜が足りなくなったりしたら適宜探索に行く感じだ。
まあ、今後のスケジュールも鈴さんの鍛冶中心に回りそうだな。
猫吸いに夢中な麗美さんを横目に、無事会議は終わるのだった。
次話に続く。




