第64話 鍛冶工房を作ったり石鹸を作ったり①
【異世界生活 35日目 17:00】
「さて、落ち着いたし、陽が落ちる前に作業をするか」
俺は石運びの重労働のあと、1時間ほど休憩してから作業を始める。
「流司パパ、やることあれば手伝うよ」
シロが元気そうにそう声をかけてくれる。
「そうだな。土器を持って海水を汲んできてくれるか。クマ肉を干し肉にしないといけないからな」
俺がシロにそう言うと、レオを連れて海岸に海水を汲みに行ってくれる。
シロとレオは眷属同士上手くやれているみたいだな。
明日乃がすでにクマ肉の加工を始めていたので俺も手伝い、赤身の部分をスライスしていく。
シロとレオも帰ってきたので、海水に塩を入れ、スライスしたクマ肉を塩水に放り込んでいく。
「ありがとう、2人とも。シロとレオも少し休みな。倒れるぞ?」
俺がそう言うとシロが俺の横に座り、レオが仕方なさそうな顔で俺に背を向けて横になる。
少しして、みんなも起き出したので明日乃が甘い紅茶を入れてくれる。
「疲れた体に甘い砂糖はヤバいわね」
麗美さんがそう言い、
「体に染み込むようだよ」
琉生もなんか感動している。
俺も紅茶を飲みながら少し休憩する。
その後みんなで作業し、クマ肉を干し肉にする下処理をしていく。
200キロ台の巨大クマだったから食べられる肉の量もすごい。毛皮も良く洗って有効活用しよう。
麻布作りの真望以外、総出で肉を処理し、日が落ちる前に全部塩水につけることができた。
脂身が多い部分は今日明日で焼いて食べる感じだな。
「今日は熊肉のステーキ、長ネギやタマネギ和えだよ」
明日乃がそう言って夕食を用意してくれる。
熊肉は獣の臭みがあるが、ネギなど香味野菜と煮たり焼いたりすると結構美味しく食べられるみたいだ。
普段、干した肉をお湯で戻して食べているので、こういう新鮮な肉が取れた時はやっぱりステーキや焼き肉に限るな。
少し臭みがあるが、香味野菜と食べると臭みも緩和されて美味いし、香味野菜自体も熊の脂と出汁を吸って美味しくなっている。
「うん、炒めたキャベツと一緒に食べるのもありだな」
一角が美味しそうにクマ肉を食べる。
「そういえば、野菜もだいぶ減っちゃったからまた取りに行きたいね。種から育てた野菜が食べられるのはまだ先になりそうだしね」
琉生がそう言う。
「うーん、鍛冶工房の小屋を作ったり、熊の油を作ったり、石鹸を作ったり、やる事多いんだよな」
俺はそう言って悩む。
「そうしたら、琉生ちゃん、私と一角ちゃんとで野菜採り行こ? 結界魔法もあるし、琉生ちゃんと一角ちゃんいればクマが出ようと、オオカミが出ようと大丈夫でしょ?」
明日乃がそう言って、琉生と一角を誘う。
「お野菜関連の事なら私も手伝うよ」
シロがそう言って野菜チームに合流する。
「じゃあ、明日は、残りの俺と麗美さん、鈴さん、真望そしてレオが拠点で熊の油を作りながら鍛冶小屋作りって感じかな?」
そんな感じで夕食を食べながら明日の予定も決まっていく。
「とりあえず、このクマ肉ヤバいな。経験値が8増えたぞ」
一角が食後そう驚く。
「ああ、多分ランク3っていうやつだな。いつもの熊がレベル20でランク2。クマがレベル21でランク3になるとそいつらより5倍経験値がもらえるはずだから、今日の巨大グマはレベル25、いつもの熊より経験値も8倍くらいらしいな。ただし取れた肉も4倍近いから肉1食分当たりの経験値は2倍ちょいくらいしか変わらないけどな」
秘書子さんが経験値の概算を教えてくれたのでそのまま教える。
「しかも、お肉直接食べると神様にマナとしてお返しするより経験値効率がいいからね」
明日乃がそう付け加える。
「なるほど、確かに昨日骨や内臓をマナに還して経験値化したときも凄かったな。ランクが上がるとこれだけ違うのか」
一角がそう言って納得する。
「ちなみに一角もレベル21だからランク3で経験値は美味しいぞ」
俺がそう言ってからかうと、
「流司の経験値も美味いってことだよな」
一角がそう言い返す。
「まあ、冗談はその辺にして、私たちがランク3になったってことは今までの5倍、格下の敵を倒すか、ランク3の強い敵と戦わないとレベルが上がりづらくなったってことよ。だから、どんどん強い魔物がいる島に渡らないとダメってことね。本当によくできたゲームみたいな世界ね」
麗美さんがそう言って後半はあきれるような顔をする。
「それじゃあ、急いで鍛冶工房作って、強い武器や防具作って魔物を倒さないとね」
鈴さんがそう言って笑う。
「鍛冶工房はそんなに関係ないだろ?」
俺がそう言い、みんなも笑う。
まあ、強い武器や防具が自分たちで作れるのはありがたいけどな。
その後、日課のお祈りをして就寝する。
お祈りポイントが6500ポイントしかなくなり、魔物狩りどころじゃなくなったな。
【異世界生活 36日目 4:00】
昨日はよく動いたし、早く寝たので自然と早起きしてしまう。
明日乃はまだ幸せそうに寝ているので起こさないように家を這い出す。
見張りのシロの他に琉生と鈴さんが起きていて、昨日塩水につけたイノシシ肉を干す作業をしていた。
「おはようみんな。俺も手伝うよ」
そう言って干し肉づくりを手伝う。
「凄い量だな」
俺は改めて熊肉の多さにそう呟いてしまう。
「そうだね。クマさん、大きかったからね」
琉生がそう答える。
食べる肉を相手にさん付けする琉生。彼女にはちょっとそういうサイコな部分があるんだよな。飼っているニワトリにペットのように名前を付けて食べる為に育てるとか。
「もう、りゅう君、起きるんだったら私も起こしてくれればよかったのに」
明日乃が少しおこった顔で起きてくる。
「いや、幸せそうに寝ていたからそのまま寝かせてあげようかなって」
俺は素直にそう答える。
「そういうときでも起こして欲しいって日っていうのもあるの」
明日乃がそう言って難しい顔をする。
うん、女の子の気落ちはわからないな。
鈴さんも琉生も困った顔をする。
「今日は1日離れ離れになるから一緒に起きたかったんだよ。それで寂しくなっちゃった? たぶんね」
琉生が俺の耳元でそういう。
そう言われると昨日の夜も甘えっぷりがすごかったな。俺はちょっと反省する。
「明日乃お姉ちゃん、とりあえず、朝ごはん作ろ? みんな起きてくるころだし」
琉生がそう言って明日乃を連れていく。
とりあえず、琉生に任せて、干し肉づくりを続ける俺。
他の仲間も順番に起きてきて干し肉を干す作業を手伝う。
そして、朝食を食べ、いつもの剣道教室を行い、野菜を取りに行くチームは出発する準備をする。
「明日乃、ちょっといいか?」
俺はそう声をかけて、竹林に向かう細道、みんなから距離を置いたところに明日乃を誘う。
「どうしたの?」
明日乃が俺に聞く。
「いや、さっきの事、謝っておこうかなって。一日離れ離れになるし、昨日も1日いなかったから、明日乃も寂しくなるよなって、琉生に言われて気づかされて。なんかごめん」
俺は素直に謝る。
「そんなことないよ。私も悪かったの。なんか不安になっちゃって当たっちゃったみたいな」
明日乃がそう答える。
そして沈黙が続き
「それじゃあ、ぎゅってしてくれたら、それで仲直り。ね? りゅう君、ぎゅってして」
明日乃がそう言って腕を広げる。
俺も仕方ないなって顔をしつも積極的に明日乃を抱きしめる。明日乃の感触はいくら味わっても味わい足りないしな。
そして少し、いやかなり長めの抱擁を続ける。
「りゅう君、ぎゅっ、だけじゃ足りなくなっちゃったよ」
明日乃が潤んだ目で上目遣いに俺にそういう。
「俺もかな?」
そう言って唇を重ねる。
☆☆☆☆☆
「遅かったな。イチャイチャは存分にすんだか?」
一角が俺を冷やかすようにそう言う。
「もう、一角ちゃん!」
明日乃がおこる。
「レオ、流司が浮気しないように見張っておけよ。浮気しそうになったら噛みつけ」
一角がレオに余計な命令をする。
「わかった」
レオもそれを引き受ける。
明日乃がしょうがないなって顔をする。
「りゅう君、早めに帰ってくるからね」
明日乃がそう言い、
「ああ、気を付けて行ってくるんだぞ。みんなも気をつけてな」
俺はそう言って野菜チームを見送る。
「なんか明日乃のついでな感じがイラっとするな」
「まあ、しょうがないね」
一角がそう言い、琉生が笑って相槌を打つ。
そんな感じで明日乃と琉生と一角、そしてシロが日帰りで北の平原に野菜を取りに行く。まあ、明日乃の結界魔法があればなんとかなるだろう。
「それじゃあ、こっちは熊の油を作って石鹸を作りましょ?」
真望がやる気満々にそう言う。
「鍛冶工房も手伝ってもらうからね」
鈴さんがそう言う。
とりあえず、真望と俺で熊の脂身を刻んで土器で作った鍋に放り込みお湯でゆでる作業だ。最初の一茹でが結構時間かかるらしい。
鈴さんと麗美さんとレオは竹を切りに行く。あと、熊の油を作るのに水が結構必要なので水瓶に水を汲んできてもらう感じだ。
本来なら、力仕事は俺がするべきだったのだが、麗美さんが
「流司クンは石鹸づくりをしたいんでしょ?」
と言って力仕事を代わりにやってくれた感じだ。確かに興味はあったしな。
俺は荒縄を編み、真望は麻糸を紡ぎながら、時々鍋をかき混ぜて様子を見ながら熊の脂身を煮て、お湯が足りなくなると足していく。
熊の脂身が箸でつまむと千切れるくらい柔らかくなるまで煮込むので結構時間がかかるそうだ。
真望が一度石鹸は作っているので安心して任せられる感じだ。
「まあ、煮たり冷やしたりを繰り返して3日はかかるから、鍛冶小屋でも作りながらゆっくり作ればいいわ」
真望がそう言って鍋をかき混ぜて、麻糸作りに戻る。
「真望の麻糸作りも慣れたもんだな」
俺はスピンドルという糸を紡ぐ独楽みたいな道具をくるくる回して糸をどんどん紡いでいく真望を見てそう言う。
「本当はもっと本格的な糸車を作りたいんだけどね。鈴さんが忙しいし、流司にも秘書子さんから色々作り方聞いて欲しいし、難しいのよね」
真望が残念そうな顔をしてつぶやく。
「まあ、鍛冶工房が一段落したら作ってもらえばいい。もしかしたら大工道具も色々作れるようになって糸車ももっと作りやすくなるかもしれないしな。あと金属部品とかできたらもっとすごい糸車ができるかもしれないぞ」
俺はそう言って真望を慰める。
「そうね。工具や大工道具、後糸車の金属部品とかができるようになるといいかもね」
真望が嬉しそうにそう言う。金属部品という言葉に希望を見出したようだ。
そんな感じで雑談をしながら作業をし、時々、鍋をかき混ぜる。
鈴さんと麗美さんとレオが帰ってきて、脂身を煮る為の水を汲んできてくれた。
そのまま、また竹をとりに行くらしい。ついでに洗濯と水浴びもだ。
「ああ! 私も水浴びと洗濯したい。あとで付き合いなさいよね? 流司も最近水浴びしてないでしょ?」
真望がそう言う。
「そうだな。竹を取りに行くのを手伝うついでに水浴びもするか」
俺はそう言う。
「い、一緒に水浴びする?」
真望が真っ赤な顔でそういう。
「馬鹿。俺がレオに噛みつかれる。浮気するとレオが噛みつくらしいからな」
俺はそう言って笑う。
「もう、冗談だってば。本気にしないでよ」
真望に少しおこったような声で言い返される。
「そうだな、真望は昔から冗談が好きだもんな」
俺はそう言ってもう一度笑う。
元の世界でも色々彼氏ごっこと称して冗談を繰り返していた真望を思い出し笑いが漏れる。
「もう!!」
真望がそう言って、怒ると麻糸作りの作業に戻る。
次に鈴さん達が帰ってきたときに、鍋の番を交代してもらい、俺と真望で竹を切りに行く。水浴びついでだ。
そしてなぜかついてくるレオ。一角の忠犬か?
ちょうどいいので、麻の群生地に行き、麻の茎を回収し、泉と竹林に戻り、真望が水浴びと洗濯をしている間に俺とレオが竹を切り、俺が水浴びをと洗濯をしている間に真望とレオが竹を切る。
真望は自分の洗濯のついでに熊の毛皮も洗ってくれたようだ。
切った竹を運ぼうとしたが、麻の繊維が沢山あるし、洗った毛皮は重いしで、結局竹は少ししか運べなかった。
悪いけど、運搬は鈴さんと麗美さんに任せよう。
【異世界生活 36日目 13:00】
拠点に麻の茎を持ち帰り、物干し代わりの木の間に渡した荒縄に麻の茎や毛皮を干し、お昼になったので、俺が昼食を作る。昼食と言っても、熊の脂の多い部分を香味野菜とで肉野菜炒めだ。
「はあああ、やっぱり料理ができる人が一人いるといいわね。この間、砂糖作りした時? 流司クン抜きのこのメンバーで、本当に料理が不味かったもんね。特に真望ちゃんの薬膳料理みたいなのは本当に困ったわ」
麗美さんがそう言っておいしそうに肉野菜炒めを食べる。
「もう、麗美さんなんて、料理自体出来なかったじゃない! 私だけ料理下手みたいな言い方しないでよね」
真望が怒る。
「まあ、今日は新鮮な肉が残っていたしな。琉生の畑で玉ねぎや長ネギも採れるようになったし、食生活は確実に向上したな」
俺はそう言って琉生の功績を褒める。まあ、自給自足にはまだ遠いみたいで、今日も未成熟な野菜や苗を取りに行っている。
「流司はいい奥さんになるな」
鈴さんがほのぼのとそう言う。美味しそうに肉野菜炒めを味わいながら。
昼食が終わり作業の再開。熊の脂身もいい感じで煮えたので、火から下ろし夕方まで冷めるのを待って、冷めたら布で濾す作業だ。
待っている間、今度は俺と、鈴さんと麗美さんで河原に石を拾いに行く。
鍛冶工房は水に弱いので、土むき出しの床ではなく、地面に石をひき詰めて、窯が冷えないようにするらしい。この間作った竹のかごを背負って、河原を往復する。
最近、この手の重労働多いな。
鈴さんは変幻自在の武器をシャベルに替えて拠点の端、小屋を建てる予定のところの土を掘り、石を並べていく。俺と麗美さんは石を担いで河原と拠点の間を往復だ。
【異世界生活 36日目 17:00】
「流司、熊の脂身がいい感じで冷めたから、油を濾すわよ」
真望がそう声をかけてくれるので油づくりに戻る俺。
麗美さんは石運びでさすがに疲れたのか休憩だ。
まだ少し温かい熊の脂の溶けたお湯と肉片の混合物。別の土器の上に布を張った状態で真望が待ち構え、俺がその布に少しずつ、混合物を移していく。
明日乃が作ったらしい謎の竹製のおたまでどんどん移していき、布が濾し切らなくなったら、真望がその布を巾着のようにして軽く絞る。
この時、強く絞り過ぎると肉の成分まで絞り出されてしまい、不純物が多く入ってしまうそうだ。
ほどほどの力で絞ってカスは捨てる。
それをくりかえし、布の目が詰まると他の布に換えて濾す作業を繰り返し、油と水の混合物が出来上がる。
これを日陰で冷やし、麗美さんの氷魔法で氷を出して冷やすと、油の部分が固まる。
とりあえず、今日はここまでで作業が終わり。朝まで蓋をして日陰で冷やす。
作業が終わるとちょうど日が暮れてきて夕食の時間になる。
「ただいま、りゅう君」
日が落ちる直前に明日乃達も帰ってくる。たくさんの野菜や苗を持って。
「シロちゃん、明かりお願いね。畑に植える予定の野菜だけ植えちゃお?」
琉生がそう言って変幻自在の武器を鈴さんから借りると畑に向かう。
「レオ、流司は浮気しなかったか?」
一角がふざけた顔でそう聞く。
「大丈夫。ちゃんと監視した」
レオも真面目に答える。
こいつらめ。
まあ、明日乃も安心してそうだし、まあ、いいか。
そんな感じで、新しい野菜を加えて熊肉の焼肉の残りをする。
レタスやミニトマトっぽい小さいトマト、キュウリをサラダにしてネギと一緒に焼いた焼肉を食べる。
「熊肉とネギをレタスでくるんで食べると美味いぞ。焼肉のたれとマヨネーズが欲しくなるけどな」
一角が嬉しそうに食べる。
確かに焼き肉をネギと一緒にレタスでくるんで食べると美味いな。ネギが熊肉の臭いを消してくれるし、レタスのさわやかさが焼肉の味を引き立ててくれる。そして、焼肉のたれが本当に欲しくなる味だ。
「唐辛子や胡椒、香辛料が採れる島もあるので、ぜひ、魔物狩りは頑張ってください」
アドバイサー女神様の秘書子さんが俺の心の中でそうアドバイスする。
うん、一角には伏せておこう。香辛料とか言ったら、明日にでも魔物の島に乗り込みそうだしな。
「トマトも美味しいね。トマトとキュウリの苗もたくさん採ってきたから、それが育ったらまた食べられるようになるからね」
琉生がそう言って嬉しそうに小さい種類のトマトを食べる。
その他にもナスやピーマン、色々な苗が家庭菜園で育ちつつある。来月ぐらいには食べられるようになるそうだ。
「それと、小麦は来月中旬か末くらいかな? まだ、実が小さいからもう少し育ってからじゃないと収穫できないね」
琉生が残念そうにそう言う。
「小麦は穫れたら穫れたで、粉にするのが大変そうだよな。石臼で人力って感じか?」
俺は琉生にそう聞く。
「そうだね。石臼かな? もしくはりゅう君の『圧縮する』とか言う魔法? 最近の小麦粉は石臼じゃなくて2つのローラーで潰して粉にするらしいよ。摩擦熱が出ないから美味しい小麦粉が引けるらしいし、魔法で潰した方が美味しいかもね」
明日乃が横からそうアドバイスしてくる。
最近の小麦粉の製粉事情まで知っているなんで明日乃の知識の深さにはちょっと驚きだ。
「水車とかも作りたいね」
鈴さんがぼそっとつぶやく。
「鈴さん、とりあえず、鍛冶工房に集中しようよ、ね?」
俺はそう言って鈴さんのやる気の方向を正す。
「小麦粉作るんだったらふるいとかも作らないとね」
琉生が思い出したようにつぶやく。
「私の糸車とはた織機はまだ先になりそうね」
真望がそう言ってがっかりする。
とりあえず、手作業で布づくりを頑張ってくれとしか言いようがない。
こんな感じで鍛冶工房づくりと熊の石鹸づくりが始まったのだった。
次話に続く。
誤字脱字報告いつもありがとうございます。
次回からちょっと小屋作りとか時間がかかりそうなのでスキップ気味でちょっと気になる部分を少し詳しく書くみたいな話になるかもしれません。
少しの間ご迷惑おかけします。




