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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
42/244

第41話 我が家に帰還、そして、真望の気持ち

 たまにカクヨム時代のハーレムものだったころの残渣が現れますw

 興味ない方はスルーしてやってくださいw

【異世界生活 12日目 16:00】


「ただいま」

明日乃あすのが留守番していた真望まもすずさん、そしてレオに声をかける。


「おかえり、みんな。初ダンジョンの結果はどんな感じ?」

すずさんがそう言って迎えてくれる。


「残念ながら2階でリタイアだった。神様が用意したっていうウッドゴーレムが素早さ特化で相性が悪かったよ」

俺はそう言って今日の敗因を説明する。


「それは困ったね。私は素早さが低いみたいだし足を引っ張りそうだ」

すずさんがそう言う。


「そうなの? 知らなかったよ。ごめん」

俺は知らずに言ったことですずさんを傷つけた気がして謝る。


「まあ、鍛冶などものづくりをしたいと考えると、どうしても器用さや力や体力にステータスが振られてしまうみたいだしね。だからか、若干、元の世界と体の動きが違って違和感はあるね」

すずさんがゲームっぽい事を言う。

 俺は元の世界のまま転生した感じなのでその気持ちが良く分からなかった。


「ちょっとわかるわ。私も剣道や合気道、武道家ならもっと力や素早さがあってもいいと思うのに、変に知恵ばかり高いのは、医学の勉強しすぎたせいかなって。戦闘だけ考えたらちょっと邪魔なのよね。知恵のステータス」

麗美れいみさんがそう言う。確かに麗美れいみさんの武術の経験考えたらもっと戦闘特化なステータスでもいい気がするもんな。


「なんかステータスって色々難しいみたいね」

明日乃あすのが言う。

 まあ一番問題あるのは明日乃あすのだと思うけどな。インドアで本の読み過ぎで知恵特化だなんて。


 そんな感じで、雑談しつつ、留守番組と情報交換する。


「そうそう、すずさん、洞窟でこんな武器手に入れたんだけど、金属部分を砥ぎ直して槍とかにできるかな?」

俺はそう言って、ダンジョンで見つけた『粗悪な青銅の斧』を渡す。


「斧なのか? まあ見た感じ斧というより槍の穂先を棒に付けただけの代物だし、確かに研ぎ直して槍にするのはいいかもしれないね」

すずさんは『粗悪な青銅の斧』を見てそう言う。


「どうせなら、砥ぎ直すのに砥石があるといいな。ちょっと相談なんだけど、お祈りポイントで交換できる物を調べていたら、2000ポイントで砥石がもらえるみたいなんだが、できれば2種類、荒砥用の砥石と仕上げ用の細かい砥石、2種類、神様に貰ってもいいだろうか? きっと将来的にも役立つと思うんだ。あと、できればノコギリも欲しい」

すずさんが申し訳なさそうに言う。


「まあ、4000ポイントくらいならいいんじゃないか? 砥石貰って、槍が強化できるのなら」

一角いずみは乗り気だ。

 他の子達も反対はないようだ。


「ちなみにノコギリっていくら?」

俺は気になって聞く。ポイントを言わないってことは高いのか?


「そうだね、実はノコギリ、ちょっと高くてね。なんか武器扱いみたいで鉄のノコギリは鉄のナイフと同じ値段、お祈りポイント15000ポイントするんだ。ただ、それがあれば、流司りゅうじが変幻自在の武器を使っている間でもツリーハウス作りができるし、欲しいなって」

すずさんがさらに申し訳なさそうにそう言う。


「うーん、必要なら貰ってもいいと思うけど、15000ポイントと4000ポイント。今、お祈りポイントの残高が11200ポイントだから、今日のお祈り分足しても17200ポイント。2000ポイント近く足りないね」

俺はお祈りポイントを計算する。

 

「だから、とりあえず、今日は砥石を貰って、槍の強化するから、明日の朝、明日の分のお祈りを早めにしてもらって、明日ノコギリを貰うっていうのはどうかな? ノコギリがあれば、ツリーハウス作りがはかどると思うんだよ」

すずさんがそう力説する。


「うーん、どっちも必要なら貰ってもいいんじゃないかな? ツリーハウスの完成が早まるなら私もうれしいし」

明日乃あすのがそう賛成意見を出す。


「ノコギリは無駄遣いな気もするが、変幻自在の武器が1本しかない今の状態では必要なのかもしれないな」

一角いずみがそう言って一応、賛成する。


「私はナイフが欲しいわ。できれば針とかハサミも」

衣類製作担当の真望まもがみんなにそう言う。


「ノコギリで精一杯なのに、鉄のナイフもというとなあ。そうだ、これはどうだ? ちょっと小さいが、これも砥げばナイフとまではいかないが、カッターナイフ代わりにはなるんじゃないか?」

俺はそう言って、ダンジョンで拾った『青銅のウサギの爪』を渡す。しかも結構たくさん。


「切れ味は悪くなさそうね。でもこんなには要らないわ」

ばらばらと適当にだしたので真望まもが呆れる。そして、なんかそっけなくあしらわれる。


「そうだ、真望まもちゃん、こんなのも拾ったよ」

そう言って、ヤシの葉のリュックからウサギの毛皮をたくさん出す。ハンカチ大の微妙なやつを。


「何これ、可愛い! 肌触りも良いし、パッチワークして洋服にしたら可愛いんじゃない? 肌触り良いから、洋服の裏地にしてもいいかも?」

真望まもが飛びつく。そして明日乃あすのと同じようなことを言う。


「だよね、やっぱり可愛いよね? この白いのなんか、つなげてワンピースにしたらきっと可愛いよね」

明日乃あすのも興奮し出す。


「白もいいけど、茶色も可愛いかも? 上と下で白と黒のツートンカラーとかもお洒落かもね」

真望まもも夢の世界に入っていく。


「ツートンカラーもいいね」

明日乃あすのもノリノリだ。


「これで、エッチな下着作ったら、流司りゅうじクンもメロメロよ」

麗美れいみさんがそう言って、自分が拾った毛皮を両胸にヒラヒラあてる。


「なんか、麗美れいみさん、おじさん臭い」

真望まもがボソッと言う。

 麗美れいみさんがまたダメージを受ける。そして俺も少しダメージを受ける。


「やっぱり、針は必要ね」

真望まもがそう言ってやる気になる。


「青銅のウサギの爪っていうのも良さそうね。両端研いで柄をつけたら小さいナイフ、石包丁代わりになるんじゃない? 鍛治の道具が揃ったら、打ち直して矢のやじりとかにしても良さそうだし」

すずさんがそういう。


すずさん、この爪、やじりになるのか? 道具は何が必要?」

爪には一角いずみが飛びつく。たしかにたくさん爪が取れて余ったら真っ直ぐに打ち直して矢のやじりにしてもいいかもな。ただし、だいぶ先の話だ。


 そんな話の流れで、結局、砥石を2種類、縫い針を何本か、お祈りポイントで神様から貰うことになった。鉄のノコギリは明日起きたらお祈りしてポイントを追加してからもらう事になった。


「それと、すずさんと真望まもの作業はどんな感じ?」

俺は今日の作業の進捗を聞く。


「私の麻糸作りはまだまだね。とりあえず、腐らせて乾燥させた麻の茎を叩いて柔らかくして、千歯こきにに通して見たけど、悪くはないわね。いい感じで繊維は取れたわ。ただ、人手が足りないわね。麻の茎を叩く人がいくらでも欲しいし、繊維ができたら今度は糸を紡ぐ人? とにかく猫の手も借りたいくらいよ」

真望まもがみんなにそう言う。

 まあ、実際、猫の手ではないが、レオがひたすら茎を叩いて活躍したらしい。


 そして、なんかちょっと真望まも、俺を避けてる?


「とりあえず、今から日が沈むまで、手の空いた人は麻の茎を叩くか」

俺がそう言うとみんなも頷くが真望まもは反応しない。


「私の方も一人でできることは限られるわね。とりあえず、拾って来てくれた石と粘土で石窯は作ったわ。それで時間切れ。ツリーハウスはやっぱり、ノコギリがないと作業にならないわね。人手も欲しいし。あと、石窯はあるていど乾燥するまで放置かな? まあ、雨で濡れないように屋根は作りたいわね」

すずさんがそう報告する。

 

「明日はその、屋根作りとツリーハウス作りもするか」

俺は明日の予定も考える。


「ああ、それと、流司りゅうじ。この後付き合ってくれないかな? 私も真望まもも、だいぶお風呂入ってないから泉に水浴びに行きたいんだ。護衛役をお願いしたいな。あと、竹もまだ全然足りないから、待ってる間、それもお願いしたい」

すずさんにそうお願いされる。


すずさん、30分だけ待ってね。麻の繊維取りのレクチャーだけしちゃうから」

真望まもがその話を聞いて慌ててそう言う。


 あわてて、真望まもの麻の繊維取りレクチャーがはじまる。俺も一応参加だ。

 レクチャーと言っても麻の茎を、木の棒でまんべんなく叩いてどのくらいまで柔らかくすれば良いかという話だけで実際少し叩いて、真望まもの見本を見て終了って感じだ。30分と言わず10分くらいで終わった。


 とりあえず、俺と真望まもすずさんで泉に行き水浴びと追加の竹を採りにいく。


 明日乃あすの琉生るうとレオは麻の茎を叩く作業、一角いずみ麗美れいみさんは槍の柄になる木を探しにいくそうだ。今の槍では細くて脆く、もう少し太くて硬い棒を探したいらしい。


「それじゃあ、行ってくる。暗くなる前に帰るから」

俺はそう言って泉に向かう。急いで片道30分、水浴びを30分で終わらせてもらって帰っても18時前か。真っ暗になるか怪しいところだな。


「暗くなりそうだから少し早歩きで泉に向かうよ」

俺はそう言う。


「なんか、明かりは欲しいわね。たいまつとか?」

すずさんがそう言う。


「たいまつ、って、どうやって作るんだろうな? たき火からとり出した火のついた薪とかだと、火力も弱いし、光も弱いんだよな」

俺は、前に、薪を松明代わりに使ってことを思い出し、光の弱さを思い出す。


松明たいまつとは樹脂の多い樹木の特に樹脂の多い部分を集め束にしたものを言います。松などがよく使われます。また普通の木材に枯草などを巻いて松明にする方法もあります」

秘書子さんが作り方を教えてくれる。

 なるほど、樹脂を含んだ燃えやすい木を使うのか。たしか、一角いずみがよく松脂まつやにを採りに行く林があったよな。そこで材料が採れるか? それか枯草で松明を作るか。


「なんか、秘書子さんの話だと、松の木の樹液が多い部分とかを集めて束にするとたいまつになるらしいよ。ただそうなると、火打石とかも欲しいよな。さすがに頻繁に魔法で火をつけたくないし。お祈りポイント100円分で火がつけられるといってもね」

俺はすずさんにそう言う。


「火打石か。今度河原に石探しにでも行ったときに探しておくよ。金の属性の魔法で金属探しとか金属集めができるみたいだし」

すずさんがそう言う。


「それも結構便利そうな魔法だね」

俺はすずさんの固有魔法に興味を持つ。俺の闇魔法、目隠し程度の魔法とは大違いだ。


「まあ、大きな金属は動かせないし、溶かしたり、物質を変えたりとかする魔法じゃないみたいだけどね。あくまでも金属を見つけたり、小さな金属を呼び寄せられる程度、みたいな?」

すずさんはそう言って謙遜する。


「もしかしたら、レベルが上がって魔法のレベルが上がったらさらに色々できるかもしれないし、これから期待できるんじゃない?」

俺はそう期待も込めて言う。

 すずさんは照れるように笑う。


 そんな感じで、雑談をしながら歩くと、泉に着く。

 そういえば真望まもとは全然話できなかったな。やっぱり避けられているのか?


真望まも、ちょっと、水浴びは一人ずつでいいかな? 初めて会う間柄だし、裸の付き合いはまだ、少し恥ずかしいんだよ。待っている間、流司りゅうじと話でもしていてくれ」

そう言って、一人で泉の方に向かってしまう。


 そしてすずさんは振り向くと、

「二人とも、そして私も気づいているんだよ。この世界に呼ばれたってことはお互い無意識でも好き合っているってね。そのあたりは、早めに認めてしまった方が楽だぞ。知り合い同士がギクシャクするのを見続けるのも辛いしな」

そう言って、手を振り、泉の方に歩き出す。



 すずさんが泉のそばの岩の陰に入り、見えなくなるまで、沈黙が続く。


「そ、そうなのか?」

俺はおそるおそる聞く。

 俺はあくまでも、モデル仲間に自慢するために身近な友達で済ませていたくらいだと思っていた。そして、真望まものお母さんは真望まもが俺に惚れていると勘違いしていて真剣なお付き合いを勧めていただけだろうと。


「っぅぅ!! そ、そうよ、悪い? 好きでもない男の子と彼氏彼女のふりとかする訳ないじゃない!! 頭が悪いのに頑張って、偏差値足りない高校受ける訳ないじゃない!! 好きな男の子を振り向かせるために高校入ったらお化粧とかファッションとか髪型とか考えていっぱい努力して、気づいて欲しかったの!! 振り向いて欲しかったの!! 流司りゅうじ明日乃あすのちゃんの事が好きって知っていたわよ!! それでもそうしたかったの!! 無駄なあがきをしていたわよ、悪い?」

真望まもが怒ってそう言う。

 そして徐々にいかり肩だった肩を下ろし、小さく縮んでいく真望まも。そしてぽろぽろと涙を流し出す。


「好きになっちゃったんだから仕方ないじゃない。私を見てくれていたのが流司りゅうじくんだけだったから仕方ないじゃない。私には流司りゅうじクンしかいなかったの」

真望まもが涙声でそう囁く。

 まるで、中学生のころの真望まもを彷彿させるような口調としぐさで。


真望まもは昔っから変わってないな」

俺はそう言って真望まもの頭を抱えて、頭を撫でながら抱きしめる。


「そう、変わってないの。地味で、人と話すのが苦手で、教室の隅に埋もれてしまうような女の子。それでも私を見てくれていたのが流司りゅうじくんだよ」

真望まもがそう言ってぽろぽろと涙を流す。


 俺は、中学生の時、同級生の真望まもに最初に声をかけた時、なんかおかしな手芸道具でよく分からないものを一人で黙々と作っている女の子がいるな。くらいのつもりで、興味本位で話しかけて、俺の知らない物を見せてくれて、俺の知らないことを教えてくれて面白い奴だなって話すようになって、手芸以外でも漫画やアニメ、結構面白い事を知っている奴だなって、友達気分で声をかけていたのに、真望まもにとっては俺の存在は俺と違い、かなり大きかったって事か。俺にとっての明日乃あすのみたいな存在が俺だってって事か?


「同じ高校に入れなくて、流司りゅうじくんに今度会った時に驚かせてやろうって、なんとか流司りゅうじくんを振り向かせたいって、春休みの間一生懸命ファッションや美容の勉強をして、高校デビューして、偶然かもしれないけど、休みの間、一生懸命読んでたファッション雑誌のスカウトの人に街中で声かけられて、その雑誌の読者モデルとしてスカウトされて、流司りゅうじくんに凄いって言って欲しくていっぱい努力して、自分を変えたくって頑張ったけど、結局何も変わらなかった。私は私のままだったし、流司りゅうじくんは明日乃あすのちゃんが好きなまま、しかも私が一生懸命頑張っても、流司りゅうじくんの中の私は、中学校のころの地味な私のままだった」

そう言って自分を自嘲するように笑う真望まも


「俺は今の真望まもも昔の真望まもも好きだぞ」

俺はなんて声をかけていいか分からず、そう言うしかなかった。


「それって、友達として好き。だよね?」

真望まもがそう言う。


「ごめん。俺にとっての一番は明日乃あすのでやっぱりそれ以外は考えられないんだ」

俺はそういうしかなかった。


流司りゅうじくんが明日乃あすのちゃんがいない世界っていうのを想像するのは無理だと思うけど、もし、明日乃あすのちゃんがいない世界があったとして私が流司りゅうじくんに好きって告白したら彼氏になってくれた?」

真望まもがそう聞いてくる。


「そうだな、明日乃あすのがいない世界なんて考えられないけど、俺が、俺じゃない、好きな女の子がいない普通の同級生の男子だったら、真望まもに好きって言われたら、嬉しいと思うぞ。真望まもは素直で可愛いし、本当は面白い奴だって知っているし。そして、今の真望まもも中学生の時以上に可愛くなったと思う」

俺はそう答えるしかなかった。


 その答えを聞き、真望まもが、ぐーっと俺の体を引き離す。腕を伸ばして、距離を置くように。


「あんたの気持ちは分かったわ。それに私の気持ちも整理できた。そしてこの世界のルールも」

突然口調の変わる真望まも。いつもの、読者モデルになってからの高飛車で背伸びした真望まもだ。


「私は流司りゅうじが好き、流司りゅうじ明日乃あすのちゃんが好き、神様は子孫がたくさん生まれて欲しい。もしそんな状況になったら、一瞬だけでいいからだけ明日乃あすのを忘れて、その時だけは私の物になりなさい。我慢して、その時だけ私の物になって」

いつもの高飛車で勘違い系なギャルの真望まもの口調でそういう。そして最後だけは弱々しい本当の真望まもが出てしまう。


我慢がまんじゃないよ。真望まもは本当に可愛いし、明日乃あすのがいなかったら付き合って自慢したいくらいいい女だよ」

俺はそう言ってもう一度、無理やり抱きしめる。


「じゃあ、今だけ、今だけでいいから、嘘でもいいから、相思相愛な彼氏のふりをして。多分それで、明日からも頑張れると思うの」

弱々しく、素直な真望まものまま俺にそういう。

 俺は明日乃あすのの事を裏切れないが、真望まもの気持ちも分かってしまう。俺が片思いだったころ、ずっと明日乃あすのを追いかけ続けていたころの俺と一緒だから。

 同情心から来るものかもしれないが、俺は長い時間そのまま、真望まもを抱きしめ続ける。

 

 そうしていると、うれしいのか、真望まものふわふわでモフモフの狐のような尻尾がふふり、ふふりと揺れる。俺はその魅力につられて、真望まもがこっちの世界に来た時から触りたくてしょうがなかった狐のモフモフの尻尾を優しく撫でる。 


「ひん!!」

真望まもが大きく跳ねる。

 真望まもの顔が真っ赤だ。


流司りゅうじ!! いい感じだったのに、それはダメって言ったでしょ? 女の子の尻尾を触るのは本当にダメ!!」

真望まもがいつもの真望まもに戻り俺に怒声を浴びせ続ける。


 何度も何度も俺を叱り、尻尾を触ったことを怒る。


「それ許しちゃったら、もう戻れなくなっちゃうし」

そして最後に俺に聞こえない小さな声で何かを言う真望まも


「耳くらいはいいか?」

俺は真望まものモフモフの魅惑の耳に手を伸ばすが、思い切り払い落とされる。


「耳もダメ、もっとダメ。女の子の尻尾と耳は触っちゃダメなんだからね」

真望まもがマジでキレる。


真望まも、仲直りはできたか?」

濡れた髪で、なんか艶めかしい姿のすずさんがそう言って戻ってくる。


「仲直りなんてしてないわ!! 油断すると尻尾触ろうとするし、耳まで触ろうとするし、もう、最低!!」

すずさんにそう言って俺の事をボロカスに言う。


「尻尾ぐらい触らせればいいじゃないか。別に減るもんじゃないし」

そう言ってすずさんは自分の牛っぽい尻尾を触る。


「へ、減るの!! こ、個人差があるのよ! すずさんや明日乃あすのちゃんには一生わからないわよ」

真望まもが良く分からない事を言ってキレる。

 個人差があるのか?

 俺も自分の尻尾を触るが何を言っているかさっぱりだ。


「まあ、普通に話せるようになってよかったよ。ごめんね、流司りゅうじ。実は私が少しおせっかい焼いちゃって、真望まも流司りゅうじとの距離をうまくとれなくなってたみたいだ」

すずさんがそう言う。

 なるほど。だからダンジョンから帰ってきたら、目も合わせないし、俺に向かって話しかけなかったのか。


「私には私の事情があるの!! 別に、困ってなかったし」

真望まもがそう言う。


「俺は困るぞ。真望まもと仲良くできないのは困るし、嫌われたままじゃ辛いし」

俺は本心からそう言う。


「っう!!」

口ごもる真望まも


「ど、どうせ、友達として。でしょ?」

怒りっぽい声でそう言う真望まも


「色々だ」

俺はそうはぐらかす。

 真望まもは面白いし、いい女だ。ただし俺には明日乃あすのがいる。ただ、もしこの世界に明日乃あすのがいない世界があってそこで真望まもと出会ったら恋人にしたい女性。多分これは本当の気持ちだろう。


「まあ、将来の事は神様しかわからないかな? 私も含めてね」

すずさんがそう言って笑う。


 俺は二人に対して今は心の中で謝るしかなかった。


 次話に続く。

 ブックマーク1名様、☆1名様ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっと帰ってきた時の安心感良いですよね〜そういえば転生の条件って竜司君が好きな事でしたね…竜司君羨ましい…自分は猫しかいないのに…マモちゃんのシッポとお耳触りたいです。(命懸けでもです)
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