第38話 ダンジョンを進もう
【異世界生活 12日目 12:00】
俺達は現在、演習用ダンジョンと呼ばれる、神様が作ったダンジョンでレベル上げ中だ。
「次は2匹だぞ! 一角、左を頼む」
俺はそう叫んで、右のウッドゴーレム、大きなウサギの形をした木の塊に盾を向ける。
なまえ キラーラビット(噛みつき)
レベル 5
凶暴なウサギ。飛び掛かってきて噛みつく。
レベルが上がるとどんどん素早くなる。
それを模して神が作ったウッドゴーレム
額にある赤い核を壊すと停止する。
鑑定結果は変わらず。この階層の敵は全てレベル5なのだろうか?
まず先に仕掛けてきたのは、左のウッドゴーレム(ウサギ)だ。
一角に向けて飛び掛かり、腕に噛みつこうとする。
それに対し、一角は冷静に、木の槍を大きく振り、穂先とは逆の柄の先でウサギの顔を横から殴りつけ、地面に落ちたところを、槍を返すようにもうひと振りし、今度は黒曜石の穂先のついた方で額の赤い核横に薙ぎ、真っ二つにする。
上手いな。さすが合気道の杖術を子供のころから習っているだけあるな。穂先と柄の両方をうまく使う。
一角に気を取られている合間に、俺の対峙するウッドゴーレムも俺に飛び掛かる。
俺は冷静に、変幻自在の武器で作った丸盾で叩き落す。
ヤバい、麗美さんと逆の方向に叩き落しちまった。
俺は失敗に気づき、ウッドゴーレム(ウサギ)が落ちたところを確認、打撃の衝撃で、動きが止まっている。
俺はそのまま、右手に持った石斧をウサギの額に向けて投げ、額にある核を破壊した。
「いい感じだったわね。私の出番、無かったじゃない」
麗美さんがそう言って戦闘態勢を解く。
「咄嗟に石斧を投げちゃったけど、武器が無くなるのはヤバイな」
俺はそう言って投げた石斧とドロップアイテム『ウサギの毛皮』を拾う。
ウッドゴーレムなのに何で毛皮? って突っ込みたくなるがとりあえずスルーする。
「流司お兄ちゃん、私の石斧持っておく? 私は基本荷物持ちで戦闘不参加だし、槍いっぱい持ってるし」
琉生がそう言うので、お言葉に甘えて、石斧を借りて腰に着ける。少し前に真望が作ってくれた、ヤシの葉っぱを編んで作った石斧バッグみたいなものに差し込む感じだ。ウエストポーチみたいに取り付ける感じで使いやすい。これは、俺が投擲スキルを持っているので投擲する石斧用にとり出しやすく落としにくい専用バッグを真望が作ってくれたのだ。
「それいいな、私も今度、真望に作ってもらおう」
一角がうらやましそうにそう言う。
「お前は矢筒の方が欲しいんじゃないのか?」
俺が一角をそう冷やかすと、
「確かに矢筒もいいな。ヤシの葉っぱなら軽そうだしな」
一角がそう言って何か考え始める。
「それと、麗美さん、もしかして、一角が一人であれだけ戦えるってことは、麗美さんも実は一人で戦える?」
俺は敵を余裕で倒した一角よりさらに合気道の段位が高く、剣道も有段者の麗美さんにそんな疑いをかける。
「ふふっ、流司クンと共同作業するのがいいんじゃない。敵が増えたら一人で戦うけど、それまでは、ね?」
麗美さんがそう言う。余裕がありすぎて戦いを楽しんでいるようだ。
まあ、レベル5の敵とはいえ、5匹出てきたら余裕はなくなりそうだけどな。
「麗美さん、遊んでいる暇があったら、余裕があるうちに、明日乃や琉生にとどめを刺させてレベルあげさせる?」
俺は一角と麗美さんにそう聞く。
「もう、遊んでいるわけじゃないのに。真剣に流司クンとの関係を進展させる努力しているだけなのになぁ」
麗美さんがふざけるようにそう言う。
「私にはそこまで余裕はないぞ。倒すのは簡単だが倒さずに維持するのは骨が折れそうだ」
一角がそう言う。
「私もそんな感じかな? でも、地面に強くたたき落すくらいならできるかも?」
麗美さんがそう言う。
麗美さんの槍による本気の叩き落しか。俺の盾より威力ありそうだな。
「そうしたら、ポジションを変更しよう。一角と麗美さんを入れ替え、一角が真ん中に。琉生と明日乃も入れ替えて麗美さんの後ろに明日乃が行ってくれ。そして、麗美さんが叩き落したウッドゴーレムを明日乃が槍で仕留める。俺が叩き落したウッドゴーレムを琉生が槍で仕留める。一角は琉生に持ってもらっている予備の槍を背負ってもらっていいか?」
俺はそう提案する。
明日乃は琉生よりレベルは高いけど体力と力は低いから明日乃は麗美さんに任した方が安全だろう。
「できるかな?」
明日乃が心配そうにそう言う。
「とりあえず、全員レベル10をめざした方がいいしな。レベル10になるとレベル11になるのに経験値が大量に必要で目に見えて成長しないし。なので、明日乃、怪我しないように気を付けながら頑張ってくれ」
俺はそう言って応援する。
みんな、納得してポジションチェンジと作戦の変更をする。麗美さんは少し残念そうな顔をしているけどな。
引き続き、右手を壁につけて進む方法でダンジョンを進んでいく。途中分かれ道もあるが、とりあえず、右を優先で進む。
次に現れた敵も2匹。さっきの作戦通り、麗美さんが左のウッドゴーレム(ウサギ)を槍で叩き落して、動かなくなったところを明日乃が槍でとどめを刺す。
右のウッドゴーレムは俺が盾で受けて、足で蹴り飛ばし壁にぶつける。そして動かなくなったウッドゴーレムを琉生が槍を使って核を貫く。
そして、ドロップアイテムに変わるウッドゴーレム。
「ウサギの毛皮、色々な色があるみたいね。白が一番かわいいかな?」
明日乃がそう言って楽しそうに毛皮を拾う。
基本的に、黒、白、茶色があるようだ。まあ、大き目のハンカチの大きさで役には立たなそうだが。
そんな感じでダンジョンを進み、同じような敵に何度か出会い、明日乃と琉生に倒させる。
そして、通算6回目の戦闘で琉生のレベルが上がりレベル7になる。
右手で壁を触りながら進むので余計な距離を歩いている気がするが、まあ、マップが完成するまでは我慢だな。
そんなことを考えながら歩いていると行き止まりに着く。
「何かあるな」
一角がそう言う。
確かに目の前に少し小汚い、輸送で使う木箱のようなものが落ちている。少し小さめだが。
「一応、宝箱っぽいものか?」
俺はそう言う。
蓋は着いているが、鍵は付いていないので、一応警戒して俺が槍で離れたところからつついてふたを開ける。まあ、神様が作ったダンジョンだし、多分、罠はないだろうけどな。
そして、ふたを開けても何も起きなかったので箱を覗いてみる。
「なにか入ってる?」
麗美さんが興味深そうに聞く。
俺は鑑定をしてから、中のものを取り出す。
「粗悪な青銅の斧だってさ」
そう言って、俺はとり出した武器らしきものを見せる。
斧というより鎌? 短い木の柄に槍の穂先のような青銅でできた金属が横に向かってついている。
「石斧をまんま青銅で作ったみたいな武器だな。そして、青銅って言う割には青くないんだな」
一角がつまらなそうにそう言う。
「青銅はあくまでも錆びると青くなるだけで、錆びる前は金色で偽物の金って言われるくらい綺麗な色してるって本で読んだことあるね」
明日乃が青銅うんちくを言う。明日乃が言う通り金色をしている。まあ、粗悪というだけあって輝きが失せ、使い古された感が半端ないが。
「まあ、拠点に帰ったら研ぎ直して槍の穂先にでもすれば結構いい武器になるんじゃない?」
麗美さんがそう言う。そう言われるとそうだな。
「琉生、石斧借りちゃってるから、代わりにこれ持っておきな」
俺はそう言って琉生に粗悪な青銅の斧を渡す。
「ちょっと楽しくなってきたね」
琉生がそう言ってちょっとわくわくしだす。
「一番下まで行けばもう少しいい感じの宝箱とかあるのかな?」
明日乃もそう言って少し期待する。
「まあ、秘書子さんも初心者向けのダンジョンって言ってたし、こんな感じの箱が続くんじゃないか?」
俺はそう言う。いきなり最初のダンジョンで最終兵器みたいな武器が拾えるわけがないもんな。
とりあえず、気持ち程度の宝箱をGETして、先に進むことにする。
「次は3匹だ。一角も戦え」
俺はそう言い、盾を構える。さらにダンジョンを進むと敵が待ち構えていた。今度は3匹だ。
まあ、3匹なら今までと同じように倒せる。遊んでいた一角が1体を倒し残り2匹を俺と麗美さんで叩き落したり壁に叩きつけたりして、動けなくなったところを明日乃と琉生がとどめを刺す。
3匹ならもう余裕な感じだ。
しかもみんなケモミミが生えたおかげで耳もよくなっているから、敵の気配もつかみやすいのだ。
余裕の足取りでダンジョンを進み、同じような3匹組みを5組倒す。
琉生のレベルがもう一度上がり、レベル8になった。
うん、この階はゲームで言うところの琉生と明日乃の養殖作業だな。
そんな感じでだいぶ奥まで進んだところで、もう一度敵が現れる。今度は4匹だ。
「麗美さん、1匹は本気で倒しちゃっていいから。明日乃はしっかり自分の防御を固めて。一角は余裕があれば麗美さんのフォローも。いくよ」
俺はそう言って、近寄ってくる大きなウサギ型のウッドゴーレムに対峙する。
麗美さんが1体目を槍の柄で左の壁に叩きつけ、そのまま、もう1体を突き上げ宙に浮かすと床に叩きつける。
「明日乃ちゃん、左のお願い」
麗美さんがそう言い、慌てて明日乃が駆け寄り、左のウッドゴーレムにとどめを刺す。
麗美さんはそのまま、正面の壁に叩きつけたウッドゴーレムに対峙、回復してもう一度飛び掛かってきたところを下からすくい上げるように槍で叩き跳ね飛ばす。
その間にも一角は1体仕留め、俺も慌てて、対峙するウッドゴーレムを盾で受け、右手に持った石斧で顔を横殴りして床をくるくると回りながら滑るウッドゴーレム。
琉生がそれを追いかけ、そのウッドゴーレムが止まったところで琉生の槍が額の核を貫く。
最後に麗美さんが、残ったウッドゴーレムの額を一突きし、戦闘終了。
作戦的に3対4での戦いに近いので少し苦戦した。
「流司お兄ちゃん、私も前に出ようか? そうすれば流司お兄ちゃんも槍に持ち替えて戦えるだろうし、余裕が出ると思うよ」
琉生が俺の心配に気づいたのかそう言う。
「そうね、そうした方がいいかもね。その戦い方に慣れれば、このまま、5匹出てきても私が何とか出来るし」
麗美さんが賛成する。
「じゃあ、琉生は俺と一角の間に入って。ダメそうだったら俺か一角に任せればいいから」
俺はそう言ってポジションチェンジを受け入れる。
「私も何かできればいいんだけど」
明日乃が申し訳なさそうに言う。
「明日乃ちゃんは体力も力もないから、まずはレベルを上げてそのあたりを底上げするしかないかな?」
麗美さんがそうアドバイスする。
「明日乃はレベルが上がれば回復魔法が使えるらしいし、そこからが本番だしな」
俺は、先日神様が言っていた聖魔法の事を思い出し、そう明日乃を慰める。
下手に気を張って怪我したら大変だしな。
「回復役っていうのはそういうものだ」
一角が良く分からない慰めを言う。ゲームの知識か?
そんな感じで前衛4、後衛1のフォーメーションで進む。
「槍使いが4人横に並ぶとさすがに狭いな」
一角が槍の旋回範囲を考えながらそう言う
「長く持ったままフルスイングしちゃダメよ。短めに持って振るか、突くかって感じね。ただし、突きは避けられると危険だからいきなり本気で突かないようにね」
麗美さんがそう言う。
ダンジョンの広さは剣と盾ならば5人並べるが槍だと4人、できれば3人で戦いたくなる広さだ。そんな立方体の部屋がいくつもつながっている感じの構造をしている。
確かに突くより払った方が当たるけど致命傷にはならない。今まで通り、払って動けなくなったところを突く感じか。
「おい、次が来たぞ」
そんな感じで考え事をしていると一角がそう叫ぶ。
前に4体のウサギ型のウッドゴーレムだ。
「ねえ、りゅう君、後ろにもいっぱい来たよ」
明日乃が怯えるようにそう言う。
俺は慌てて振り向くと、今来た道に4体の組が2つ、計8体のウッドゴーレムが追ってきている。前に4体、後ろに8体不味い状況だ。
「おい、秘書子さん、最大でも5体ずつしか襲ってこないって言ってたよな?」
一角が俺を責めるようにそう言う。
「安心してください。部屋に入ってこれるのは5体のみです。このあたりのダンジョン深度は深めなので4体同時に入ってこられるエリアです」
秘書子さんが一角の叫びに対してこう答える。
「一角、敵がこの部屋に入れるのは4体ずつらしい。冷静に処理していけば倒せる。とりあえず、部屋の真ん中に集まれ。明日乃を中心に前2後2で臨戦態勢、目の前の敵が入ってきたら知らせろ」
俺はそう言って琉生に目配せすると明日乃の後ろに回り、後ろのゴーレムを警戒する。
「ちなみに、ゴール地点が近くなったので、通過していない通路に残っていたゴーレムが集結して後ろを取られたと推測されます」
秘書子さんが追加情報を言う。
「秘書子さんの話だと、後ろの8体は通っていなかった通路から集まってきた、取り残されたウッドゴーレムらしい。ゴールが近くなるとこういう状況が発生するそうだ」
俺は秘書子さんに言われたことをオウム返しのようにみんなに伝える。
「最後にこんなめんどくさい事が起きるのね。でも、逆を言えばこれで、ボス部屋以外の敵、全部って事よね?」
麗美さんがそう言う。
「多分そうだと思います。ダンジョン内に残っているとしても、集結に間に合わなかった2~3体程度かと」
秘書子さんがそう言う。
「おい、前が来たぞ」
俺が秘書子さんの答えを伝えようとしたときに、一角が叫ぶ。俺と琉生は急いで前に戻る。
「明日乃は、後ろの8体を見ていてくれ。変な動きをしたら知らせてくれ」
俺はそう言って前の敵に専念する。
麗美さんと一角がウッドゴーレム(ウサギ)の4体に飛び掛かる。まるでシンクロしたような動きで、少し前に出た2体をそれぞれ左右の壁に叩きつける。
そして、バキッ、っと嫌な音がする。
麗美さんの槍が折れた。
「流司クン、琉生ちゃん、左右の敵をお願い、槍は大丈夫よ、そっちに集中して」
麗美さんがそう言ってそのまま一角と奥の2体に飛び掛かる。
俺は慌てて右の壁に叩きつけられたウッドゴーレムに、琉生は左の壁に叩きつけられたウッドゴーレムに飛び掛かる。
俺は立ち上がろうとするウッドゴーレムを上からハエたたきのように槍で叩きつけ、動けなくなったところを額の核を槍で突き刺しとどめを刺す。
槍の折れた麗美さんが気になってそっちを振り向くと、真ん中で折れた槍を二刀流の剣のようにして戦っている。ただし、得物の長さが短くなり、しかも片手での打撃、ウッドゴーレムに与える衝撃が低下しているのか決定打が出せないし、動きを止められないようだ。
「流司、こいつは任せた。ただし倒すなよ。次の4体がはいってくるからな」
一角はそう言って、対峙していた2体目を、槍の柄で横に払い、俺の方に跳ね飛ばす。
なるほど、俺がこいつで時間稼ぎしている間に、麗美さんが戦っている奴を倒し、一角が背負っている予備の槍を麗美さんに渡すんだな。
俺はそう理解し飛ばされてきた1体と一角の間に入り、攻撃せずに向き合って警戒だけをする。
少しして立ち上がりそうになるので槍で上から叩いて動かなくさせる。
そうしていると、
「流司、こっちはいいぞ、倒して次の4体いくぞ」
一角がそう言って今度は後ろに向かって移動しだす。麗美さんは新しい木の槍を持って同じように後ろに向かっている。大丈夫そうだな。
「明日乃、今度は前の警戒を頼む」
俺はそう言ってから、最後の1体の核を槍で貫く。
俺だけ変幻自在の武器を変化させた槍だから攻撃力がだいぶ上で、楽をしているような気がする。
この戦闘が終わったら、麗美さんと武器を交換するか。麗美さんがこの武器を持った方が正解な気がするしな。
俺はそんなことを考えながら急いで後ろの8体に向かって走る。
秘書子さんの言う通り、後ろの8体も4体ずつしか部屋に入れないようだ。しかもダンジョンのゴールまでの近さによって、敵の入れる数が決まっているようだな。ここはゴールに近いから4体と。
それ以降は冷静に対処し、最後の4体は明日乃にも参加させて、全滅させる。
「ふう、何とか倒したな」
一角がそう言って大きく息を吐く。
「みんな、とりあえず休憩しましょ? まだ敵が残ってるかもしれないから前後警戒しながらだけどね」
麗美さんがそう言う。
2人ずつ交代しながら水を飲んだりして休憩する。
「今のはヤバかったな。レベルは格下とはいえ、前後挟まれて連続12体相手にするのはキツかったな」
俺は一緒に休憩している一角にそう言う。
「まあ、4体ずつしか襲ってこないルールだったのは助かったけどな」
一角もそう言って少し笑みをこぼす。
やっと余裕が出てきたようだ。
そして、格下ゆえに経験値がショボい。琉生くらいのレベルならサクサク上がるのだが、俺や、麗美さんや一角はレベル10で、ここからレベル11になるにはもう一度レベル1からレベル10になるまでにかかる経験値を集め直さないといけない、ランクアップの儀式みたいのがあるそうでなかなかレベルが上がらないのだ。
「麗美さん、次のレベルまで経験値いくつ必要?」
俺は休憩を終わらせ、前方を警戒している麗美さんに並び、会話ついでに聞いてみる。まあ、鑑定で麗美さんのステータス詳細を見ればいいんだけどね。
「私はあと84ポイントね。レベル5のウッドゴーレムあと14体ってとこ?」
麗美さんが概算でそんなことを答えてくれる。だいたい1体6ポイントくらいもらえる計算らしい。
「結構な数だね」
おれは14体という数に唖然とする。しかもみんなで14体ではなく、麗美さんが14体とどめを刺してである。
「まあ、2階はもう少し強いだろうし、もらえる経験値が少し増えるだろうから、レベル上がるかも?」
麗美さんがそう言って笑ってくれる。
その笑顔をみて俺も心に少しゆとりができる。
「そうだ、この変幻自在で壊れない武器? 麗美さんが持った方が戦闘も安定するんじゃない?」
俺は麗美さんにそう聞いてみる。
「そうかもしれないけど、それは流司クンが持っていて。流司クンはみんなのリーダーなんだし、流司クンが怪我でもしたらみんな悲しむからね」
麗美さんがそう言って、やんわり武器の交換を断る。
まあ、秘書子さんの話では危険はないって話だけどね。
「じゃあ、そろそろ行こうか。多分、次が最後のボス部屋、5体出てくる部屋だ」
俺はそう言って槍を構え直し、ダンジョンを進みだす。
次話に続く。
誤字脱字報告ありがとうございます。




