↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
33/244

第32話 麗美さんの告白と黒曜石で刃物作り

【異世界生活 9日目 10:00】


鈴《すず》さんの紹介と朝食が一段落ついたところで、

「じゃあ、流司《りゅうじ》クン、私と泉に行こう」

麗美《れいみ》さんが目を輝かせて、そう言う。目的は明白だ。


「麗美《れいみ》さん、りゅう君と二人きりはダメ! 毛皮を洗うだけなら、私も行きます」

明日乃《あすの》が怒り気味に言う。


「鈴《すず》さんはどうする?」

俺は新らしい仲間の鈴《すず》さんに声をかける。


「私は、少し、状況確認をしたいかな。キャンプに何があって、周りがどんな感じでどんなものがあるのか少し散策したい」

鈴《すず》さんはそう言う。


「だったら、鈴《すず》さん、一緒に来る?」

俺は水汲みに鈴《すず》さんを誘う。


「いや、今日はキャンプの周りを見るくらいでいい。自分の家も作らなければならなそうだし」

鈴《すず》さんはそう言って断りを入れる。


「あ、でも、麗美《れいみ》さん、泉に行くのは、日課の剣道教室やってからだよ」

俺は麗美《れいみ》さんに断りをいれる。


「なにそれ?」

鈴《すず》さんが不思議そうに首をかしげる。


「ああ、この島には凶暴な動物とかもいるから護身の為に麗美《れいみ》さんから、剣道や杖術を習っているんだ。それに毎日鍛錬すると経験値が貯まってレベルも少しあがるみたいだし」

俺はそう言って鈴《すず》さんに説明する。


「??? 経験値? レベル?」

鈴《すず》さんがさらに首をかしげる。


 俺は鈴《すず》さんにこの世界にはゲームっぽい部分もあることを説明することを忘れていた。

 ステータスウインドウの開け方、『鑑定』スキル、マナというよく分からない魔法の素みたいなルールの話、そして経験値とレベルについて。

 一通り説明してあげる。


「なんか、兄さんが子供のころにやっていたロールプレイングゲームみたいね」

鈴《すず》さんがそう言う。お兄さんがいるらしいな。初耳だ。


「ああ、まさにそんな感じだね」

俺も鈴《すず》さんの意見に同意する。


 ちなみに、鈴《すず》さんを『鑑定』したところ、職業は鍛冶師見習い、レベルは8だった。


 付け加えると俺と仲間達の状況はこんな感じだ


流司《りゅうじ》  レベル9  レンジャー見習い 剣士見習い 

明日乃《あすの》 レベル8  神官見習い 剣士見習い

一角《いずみ》  レベル9  弓使い見習い 剣士見習い

麗美《れいみ》  レベル10 医師 剣士

真望《まも》  レベル6  ノービス

鈴《すず》   レベル8  鍛冶師見習い


 うーん、このリアルサバイバルな世界に混ざるゲームっぽさ? 違和感しかないな。


「あと、魔法が使えるんだけど、マナという力が必要で、それが、レベルを上げる経験値でもあって、レベルアップを優先しなくちゃいけないから、あまり積極的には使えないんだよ。ただ、神精魔法という、さっき言っていた、お祈りポイントを使って魔法を使う方法もあるんだけど、そっちは仲間を召喚する為にも使うから、こっちもあまり積極的にはつかえない。また、お祈りポイントは貯めると神様から欲しいものが貰えるようになるからあまり無駄使いもしたくない。当分は積極的につかえないかな?」

俺はそう言って、魔法の仕組みを説明し、あまり頻繁には使えないこと、生活に使えそうな魔法と、一人一人に得意な属性があって固有魔法を持っていることを教えてあげた。


「私は金の属性ね。金属を操る魔法、と言っても砂鉄や砂金を見つけて集めるみたいな微妙な魔法ね」

俺の説明を聞いてスキルウインドウを見ながらそう言う鈴《すず》さん。

 鈴《すず》さんらしい魔法だ。


「というか、私、説明されてないけど? 魔法とか教えてもらって無いけど? ステータスウインドウ? なにそれ?」

真望《まも》が俺たちの会話を聞いてキレる。

 そういえば、教えてなかったな。


「ま、そういうことだ」

俺は説明を省略する。真望《まも》はアホの子なので説明するより体で覚えた方がいいだろう。説明するのが面倒臭いわけではない。


「そういうこと、って、どういうことよ?」

真望《まも》がさらにキレる。


「真望《まも》ちゃん、私が教えてあげるから、ね?」

そう言って、明日乃《あすの》が丁寧に教えてあげる。うん、大変そうだな。俺がやらなくてよかったよ。


 結果、真望《まも》の得意な属性は火で、火を少しだけ操れるらしい。狐耳に火の魔法。まあ、それっぽくていいんじゃないか?


「私の魔法は、多分、将来的にだけど、金属加工にも役立つかもしれないね。かなりレベルアップが必要かもしれないけど」

俺は鈴《すず》さんにそう言って話を締めくくる。


「まあ、当分は普通にサバイバル生活しなさい。ってことかな」

俺がそうアドバイスすると、鈴《すず》さんはちょっとがっかりする。


【異世界生活 9日目 11:30】


 とりあえず、鈴《すず》さんと真望《まも》の魔法レクチャーが終わり、日課の剣道教室にてみんなで特訓をする。

 鈴《すず》さんは体力もあるし、筋が良さそうだ。真望《まも》もノリで結構動けている。悪くないんじゃないか?


 で、一応恒例の、信仰心チェック。魔法の箱の前で、鈴《すず》さんにお祈りをしてもらう。


「500だね」

「お、私達の仲間だな」

俺がお祈りポイントを計算すると一角《いずみ》が嬉しそうにそうそう言う。


「これは高いのか? 低いのか? 信仰心ってやつ?」

鈴《すず》さんが答えにくい事を聞いてくる。


「た、高くはないかな?」

言葉を濁す俺。


「まあ、そうだろうね。グレてたころは、神様がいたら、この世に悪徳政治家なんて存在できるわけないし、そもそも悪人は存在しない。だから神なんていない。そんな事考えていたしね」

鈴《すず》さんがそんな昔の自分を笑う様に言う。


「ま、まあ。この世界には神様いるしな」

俺は何と答えていいか分からず、笑いながらそういう。


「そうだね」

鈴《すず》さんも色々吹っ切れた顔で笑う。



 とりあえず、俺と明日乃《あすの》と麗美《れいみ》さんは泉に毛皮を洗いに行くことにする。朝ごはんが遅かったので帰ってきたら食べるという話になった。


「一角《いずみ》と真望《まも》はどうする?」

俺はこの後の行動を聞く。


「とりあえず、私たちは鈴《すず》さんと探索したあと作戦会議だな」

一角《いずみ》がそう言う。


「?」

俺はよく分からない。


「私の弓矢の強化と」

「私が布を作る為と」

「私が錬鉄をするための」

「作戦会議よ」

一角《いずみ》、真望《まも》、鈴《すず》さんが声を合わせてそう言う。

 まあ、何かやりたいことがあるんだろうな。

 とりあえず、レオには拠点防衛を任せることにする。真望《まも》も鈴《すず》さんもこの世界に来て日も浅いしな。と言うか俺もまだ1週間程度か。


「とりあえず、黒曜石は無駄にするなよ。石包丁と石斧、そして槍の穂先を作るのが最優先だからな」

俺はそう言ってから、明日乃《あすの》と麗美《れいみ》さんと泉に向かう。


「そうそう、帰りに竹も持てるだけも採ってきてね」

真望《まも》が後ろからそう叫ぶ。何を作りたいんだろうな?


「あー、私は粘土が欲しいな。なるべくたくさん」

鈴《すず》さんが便乗してそう叫ぶ。


「というか、一角《いずみ》、真望《まも》。昨日サボった干し肉作り。先にやれよ。浸けた肉をかごに並べて干すだけでいいから、それやってから自分の事しろよ」

俺は振り返り、そう言い返す。ぶっちゃけ、鈴《すず》さんの登場で、昨日の夜、海水に浸けておいたイノシシ肉の存在を忘れていた。



 そんな感じで猪肉を干す作業をキャンプに残るメンバーに任せ3人泉に向かう。


「あーあ、折角、流司《りゅうじ》クンと二人っきりで水浴び行く予定だったのにな」

麗美《れいみ》さんが歩きながら残念そうにそうつぶやく。 


「麗美《れいみ》さん、そうやってふざけてからかわないで下さい」

明日乃《あすの》が少しおこる。


「別にふざけていないし、からかっていないわよ。私は本気で流司《りゅうじ》クンのこと好きだし」

麗美《れいみ》さんがそう言って笑う。


 明日乃《あすの》が驚き、そして無言になる。


「あ、でも、今の状態も好きなのよ。壊したくないし、明日乃《あすの》ちゃんの立場を奪おうとしたらこのパーティがめちゃくちゃになるなっていうのも予想できる。明日乃《あすの》ちゃんは可愛いし、頑張っているし、色々我慢していると思うし」

麗美《れいみ》さんがそう続ける。


「まあ、私は流司《りゅうじ》クンの明日乃《あすの》ちゃんに健気に恋する男の子って感じも好きだったから。特に高校受験の時の必死さと一途さは、私がうらやましくなっちゃうくらい、嫉妬しちゃうくらい素敵だったし。かっこいいところ見せつけられちゃったんだよね」

麗美《れいみ》さんがそう言う。この人は何が言いたいんだ?


「麗美《れいみ》さんには高校受験の時に本当に助けられたよ。明日乃《あすの》と同じ高校に行けたのも麗美《れいみ》さんが一生懸命勉強を教えてくれたからっていうのもあるし」

俺はそう言って、改めて麗美《れいみ》さんに感謝する。


「そうだね。中学2年生の頃の流司《りゅうじ》クンの学力じゃ、どう考えても、あの高校はかすりもしなかったもんね。そんな努力と必死な姿を私は2年間見続けちゃったんだよ」

麗美《れいみ》さんは何か言いたそうにそういう。


「告白しちゃうけど、多分、私は、その時に、恋する男の子に恋しちゃったんだろうね。多分私は、流司《りゅうじ》クンと出会わなかったら恋をすることも知らなかった。実際その時まで恋ってものを知らなかったからね。でも、流司《りゅうじ》クンに会って、私も明日乃《あすの》ちゃんみたいに一途に愛されたい。そしてそんな一途な流司《りゅうじ》クンを愛したい。そんな感情が生まれてしまったの。流司《りゅうじ》クンは私に恋を教えてくれた家庭教師さんなんだよ」

麗美《れいみ》さんが胸のあたりでぎゅっと手を握ると寂しそうにそう笑う。


 明日乃《あすの》はそんな麗美《れいみ》さんの告白を聞いて驚く。


「だから難しいのよね。流司《りゅうじ》クンと明日乃《あすの》ちゃんが上手くいかなかったら、関係が壊れちゃったら、恋する流司《りゅうじ》クンっていう私の理想も壊れちゃって恋も冷めちゃう。かといって、2人が上手くいくと私は独りぼっち。多分、私はもし他の男性が現れても、流司《りゅうじ》クン以外に恋心を感じることはないと思うのよね。そして、私の恋は、流司《りゅうじ》クンの明日乃《あすの》ちゃんへの恋心への憧れと嫉妬でできている。だから、無意識に意地悪しちゃうんだろうね」

麗美《れいみ》さんが複雑な思いを吐露する。


「結局何が言いたいかというと。たまに意地悪な事は言っちゃうかもしれないけど、2人の邪魔はしないわ。だって、2人が上手くいかなかったら私の恋心も冷めちゃうんだもん」

麗美《れいみ》さんがそう言って笑う。


「ま、2人が上手くいって、将来結婚して、子供もできて幸せで、余裕もあったら、私にも少し幸せを分けて欲しいかな? 一角《いずみ》ちゃんに聞いたけど、最後の仲間も女の子なんでしょ? 男の子は1人も来ない。来るとしても次の世代だって」

麗美さんがそう言う。


「そうなの?」

明日乃《あすの》が俺に聞く。


「明日乃《あすの》はまだ、一角《いずみ》から聞いていなかったか。実はそうらしい。神様が、男が二人いると喧嘩するから、女性の取り合いをするだろうからって、この世代の男は俺一人に絞ったらしいんだ」

俺はそう明日乃《あすの》に答える。


「そうなんだ。確かに、男の子がいっぱいいたら喧嘩になりそうだし、女の子の取り合いになって、りゅう君以外の人とそういう関係になるのは嫌。そこは理解できるけど、りゅう君が他の女の子と仲良くするところを見るのもつらいよ」

明日乃《あすの》が悲しそうにそう言う。


「でも、麗美《れいみ》さんの辛さも分かるし、なんか難しいね」

明日乃《あすの》がそう付け足し、麗美《れいみ》さんと向き合う。


「麗美《れいみ》さん、とりあえず、時間をください。私とりゅう君が身も心も大人になって、色々、許せる大人になるかもしれないし、なれないかもしれない。でも他の女の子の気持ちになると辛さも分かる。とりあえず、この世界が平和になって生活環境が整って、落ち着いて生活できるようになったら改めてりゅう君と考える。それでいいかな?」

明日乃《あすの》が苦しそうにそう言う。


 こんな問題、普通の女子高生が考えることじゃないよな。もちろん俺も考えなくてはいけないのだが、何が正解なのか分からない。わかっているのは明日乃《あすの》が一番好きってことだけだ。


「ふふっ、期待しないで待ってるわ。できればおばあちゃんになる前に結論は出してね」

麗美《れいみ》さんはいつもの俺達をからかう口調でそう言う。


 少なくとも、麗美《れいみ》さんの気持ちは冗談でもおふざけでもなく、本当に俺の事が好きだってことは分かった。少しいびつな恋心だってことも。


 

 俺達はその後、泉に到着、明日乃《あすの》と麗美《れいみ》さんが水浴びを始め、俺はその間、近くにある粘土のとれる地層の見える崖に行き、粘土を採取。泉に戻り、俺が水浴びをする間、明日乃《あすの》と麗美《れいみ》さんが下流の川で毛皮を洗う。そして最後に竹を持てるだけ切り倒し、水筒も作り、飲み水を汲んで拠点に帰る。



【異世界生活 9日目 15:00】


 俺達が拠点に着くと3時を過ぎていた。


「一角《いずみ》、ちゃんと干し肉干したか?」

到着早々俺はそう言う。


「悪い、会議が盛り上がって、それどころじゃなかった」

一角《いずみ》が悪びれることもなくそういう。


「もう、しょうがないな。じゃあ、私が今からやるよ」

明日乃《あすの》が呆れた顔でそう言う。


「私も手伝うわ」

そう言って麗美《れいみ》さんも猪肉干しを手伝い始める。


「それで、一角《いずみ》と真望《まも》と鈴《すず》さんは何を会議していたんだ?」

俺は一応聞いておく。


「私は弓矢や槍の強化だな。製鉄ができるようになったら金属の鏃《やじり》や槍の穂先を作ってもらうって話だ。あと将来的に本格的な和弓づくりを鈴《すず》さんに手伝って欲しいなって」

一角《いずみ》がそう言う。


「で、私は、麻糸ができた後の布づくり? 手で編むのは時間がかかり過ぎるから、はた織り機が作りたいなって。まあ、本格的なやつじゃなくて、子供が遊ぶおもちゃみたいなやつを竹で作れたらなって相談していたの」

真望《まも》がそう言う。


「私は製鉄もそうだが、石鹸づくりとかにも生石灰が必要で、生石灰を作るには高温の窯で貝を焼く必要がある。だから、早いうちに貝を焼く窯を作りたいなって。粘土も使うから乾燥に時間がかかるだろうし。それで、石の運搬とかも協力して欲しいかなって、そんな話をしていた」

鈴《すず》さんがそう言う。


「とりあえず、一角《いずみ》の話は置いとくとして、早急に石窯作りと、はた織り機が作りたいってことだな」

俺はそう答える。一角《いずみ》の話は製鉄が確立してからの話だもんな。


「とりあえず、石窯は石の運搬が大変だから明日以降でいいと思う。だから、私は、真望《まも》に頼まれたはた織り機の部品作りでも今日はやろうかなって」

鈴《すず》さんはそう言う。


「私もはた織り機もないし、麻糸作りすら始められない状態だから、今日は黒曜石の刃物づくりを手伝う感じかな?」

真望《まも》がそう言う。


「まあ、私は目的が槍と弓矢の強化だから、私もとりあえず黒曜石の加工だな」

一角《いずみ》はそう言う。


「じゃあ、その役割で進むか。一角《いずみ》と真望《まも》が肉干すのサボったのは許さないけどな。あとで何か罰を考える」

俺はそう言って、作業に移ることにする。ちなみに俺は洗った毛皮を干してから黒曜石の加工の組に入る。


 とりあえず、変幻自在の武器は鈴《すず》さんに貸すことにする。はた織り機の部品作りに工具は必須だしな。


「りゅう君、黒曜石を加工する時、イノシシの牙使うといいかもよ? 昔見た動画で動物の角使って仕上げをするとほどほどの硬さで細かく削れていい感じに尖るらしいよ。石で割ると細かいところが上手く割れなくてどうしてもうまくいかないみたい?」

明日乃《あすの》がそう言う。動物の角で黒曜石の層状の部分をパリパリはがす感じで作るらしい。

 とりあえず、明日乃《あすの》が知っている限りの黒曜石の加工方法のレクチャーを聞く。

 昨日、イノシシを解体したときにイノシシの牙と尖った骨を何本か、明日乃《あすの》が残しておいてくれたらしい。

 俺もアドバイザー神さまの秘書子さんに色々聞いて情報共有し、作業に入る。


 俺、一角《いずみ》、真望《まも》が黒曜石の加工を始める。

 それぞれ、作業台になりそうな大きな岩の上に黒曜石を置きなるべく大きい石をハンマー代わりになるべく薄く割れるように叩き割っていく。


「結構、固いし、上手く割れないのよね。というか、明日乃《あすの》ちゃん、イノシシの牙の件、もっと早く言って欲しかった」

真望《まも》がそう言う。昨日も苦戦したらしい。

 というか、昨日はお前たちが勝手にフライングしたんだろ? と突っ込みを入れたくなった。


「結構、適当に割って、良さそうな物をピックアップしていく方が楽な気がするぞ」

一角《いずみ》はそう言って結構豪快に割っていく。


「とりあえず、黒曜石は切れ味が良いが、刃こぼれするのも早いらしいから、切れ味がそこまで必要ない作業や摩耗が激しい作業は今まで通り普通の石を研磨した方が良さそうだな」

俺はそう言う。石斧とかは普通の石製と黒曜石製で使い分けが必要かな?


 3人が作りたいものを聞いていくと、俺は石斧、石包丁、槍の穂先、一角《いずみ》は石包丁を作りつつ、矢の鏃《やじり》を作りたいらしい。真望《まも》はとにかく、カミソリになりそうな鋭い刃物だそうだ。


「それじゃあ、とりあえず、槍の穂先になりそうな黒曜石、もしくは石包丁をめざしつつ、失敗して小さく割れてしまったものをカミソリに、小さいものでも形が良さそうな物は鏃《やじり》に使う。そんな感じでどうだ? いきなり鏃《やじり》めざして作ってしまうと失敗で失う黒曜石が多そうだしな」

俺はひたすら鏃を作る気満々な一角《いずみ》とひたすらカミソリを作りそうな真望《まも》をけん制する。というか、お前ら、昨日も作っていたんだよな?


「そうだな。それも一理ある。今一番必要なのは全員が使えて攻撃力のある槍だしな」

一角《いずみ》が賛同してくれる。真望《まも》も理解したのかしぶしぶ同意する。


「それと、石斧とかに使えそうないい感じの大きさと薄さで割れたものは取っておいてくれ。切れ味のいい石斧も必要になるかもしれないからな」

俺はダメもとでそう言っておく。黒曜石で大きな刃物を作るのは結構難しみたいだからだ。


 そんな感じで、とりあえず、3人とも石斧をめざしつつ、小さく割れてしまった物は槍の穂先や石包丁をイメージして黒曜石を割っていき、一度共有して自分の必要な黒曜石をピックアップしていく。


 真望《まも》が求めるカミソリは割れたときに黒曜石に大きさは関係なし、切れ味だけ必要なので早めにたくさんのカミソリになりそうな黒曜石を手に入れることができたようだ。

 一角《いずみ》も失敗作に近い細かい破片が逆に鏃《やじり》にいいと、比較的小さくて形のいい物をピックアップし、そこからさらに細かい作業をして鏃っぽい形で前面が鋭く切れ味のいい鏃《やじり》をめざしていく。 

 俺は槍の穂先に使えそうな比較的大きく、形もいい物をさらに槍の穂先っぽく加工していく。明日乃《あすの》がさっき言っていたように動物の骨や角で削ぐように割るといいとのことなので、イノシシの牙や尖った骨を使って槍の穂先らしく加工していく。

 真望《まも》も、カミソリは確保できたので俺を手伝ってくれる。俺の見よう見まねで槍の穂先を作ったり、石包丁を使いやすく、さらに切れ味が良くなるように仕上げたりしていく。


「そういえば、真望《まも》。大きな黒曜石の表面を綺麗に磨くと明るいところ限定にはなるが鏡代わりにもなるらしいぞ。まあ、研磨にものすごく時間がかかるし、電源切ったスマホの画面とか車の窓を鏡代わりにする程度の代物らしいけど、何も無いよりはマシだろ?」

俺は黒曜石の豆知識も教えてやる。


「そうね、じゃあ、この黒曜石あたりは残しておきましょ? 大きく平らに割れていい感じだから、この塊は私がもらうわね」

そういって、綺麗に平らに割れた大き目な黒曜石をキープする真望《まも》。暇な時に磨くらしい。


「鈴《すず》さんとも相談したんだけど、今度、イノシシかクマを倒せたら油をとって、石鹸を作りましょ? 石鹸、というか、泡が無いと、流司《りゅうじ》も髭剃りできないじゃない?」

と真望《まも》が言う。そう言えばそんなこと言っていたな。

 そう言えばそうだな カミソリ代わりの黒曜石がたくさん作れても、水で髭剃りはちょっとカミソリ負けしそうで怖い。女の子達も石鹸があった方がいいだろうしな。

 

「そうなると、貝がらも集めないとな」

俺はそう言う。さっき、鈴《すず》さんも言っていた通り、石鹸づくりには強アルカリ溶液が必要で、強アルカリ溶液を作る為には灰と焼いた貝殻が必要らしい。灰はたき火から意識して集めるようにしているが、貝は準備していない。そして、貝は高温で焼かなくてはいけないらしく、窯が必要になるそうだ。


 そんな雑談をしながらやりの穂先を俺と真望《まも》で作っていると、


「流司《りゅうじ》、ちょっと木の樹液取ってくる。槍の穂先を接着するにも使うだろ?」

一角《いずみ》がそう言って立ち上がる。とりあえず、良さそうな矢の鏃ができたので着けたくなったって感じか?


「穂先を固定するのに麻糸とかあった方がいいんじゃない?」

真望《まも》がそう言う。


「そうだな。麻の繊維がまだとれていないから麻糸は無理だけど、麻の皮を加工して麻紐くらいは準備した方がいいかもな。」

俺は真望《まも》の意見に賛成する。


 結局、俺が槍の穂先作り、真望《まも》が麻紐づくり、一角《いずみ》が木の樹液取りをすることになった。麻の茎は運よく、倉庫代わりの土器を干す家《シェルター》に残っていた。


「一角《いずみ》、あんまり遠くに行くなよ。気をつけてな」

俺は一角《いずみ》にそう言うと


「ああ」

そっけなく手を振り森に入っていく一角《いずみ》。護身用の槍と弓矢を持って。


「レオも暇だろ? ついてこい」

一角《いずみ》がそう言ってレオを誘う。

 指が短く肉球で細かい作業が苦手でやる事がないレオも護衛としてつれていくようだ。仕事ができてちょっとうれしそうだ。


 真望《まも》も麻の茎を貰ってきて皮を薄く剥いで中の繊維をとり出し、それを紐としてよっていく。


「布にするときはもっと柔らかくないとダメね。木の棒とかで叩いて繊維を柔らかくしないと」

そう言って真望《まも》は麻紐作りに苦戦している。


「真望《まも》、紐をよるのも上手だな」

俺は感心してそう言う。


「流司《りゅうじ》は知っているでしょ? 私の趣味。こういうのは中学のころよくやっていたし」

手を止めずにそう言う真望《まも》。

 手芸全般が趣味だったもんな、真望《まも》は。

 俺も手を動かさないとな。俺はいい感じに割れた黒曜石を槍の穂先っぽく加工していく。石で叩いたり、イノシシの牙や骨でそぎ落としたりしながら。

 黒曜石は研磨するより割った方が切れ味は良さそうだな。


 そんな感じでそれぞれ作業していると、一角《いずみ》も帰ってくる。固まった樹液を結構採ってきてくれたようだ。

 一角《いずみ》は、たき火から種火を貰ってきてこっちにもたき火を作る。そして平らな石を加熱し、加熱したところで松やにっぽい木の樹液を溶かし矢の先に鏃を接着、真望《まも》が作った麻糸で縛って、樹液で固める。


「お、いい感じじゃないか?」

俺は一角《いずみ》の矢を見て褒める。


「このあたりの矢軸は削って矢が深く刺さるようにしないとダメだな。流司《りゅうじ》も槍の穂先を着けるときにこのあたりは工夫した方がいい」

そんな感じで一角《いずみ》と改良案を考える。

 なるほどな、木の部分も上手くとがらせないと黒曜石の穂先と木のつなぎ目で止まってしまいそうだ。


 槍の穂先ができたので、俺が今まで使っていた木の槍の尖らしていない方に穂先をつなぎ合わせる。一角《いずみ》の取ってきた樹液と真望《まも》が作った麻糸でつなぎ合わせる。


「反対側につけるのか?」

一角《いずみ》が不思議そうに聞く。


「ああ、穂先が外れた時、反対側も使えた方がいいかなって」

俺がそう答えると、一角《いずみ》もなるほどとうなずく。


 その後も分担して、俺は槍作り、一角《いずみ》は矢を作り、真望《まも》は麻糸をよってくれる。

 

 途中で、遅い昼食を食べ、その後も作業。人数分+予備の槍を数本作って気づいたら夕方になり陽も落ちて暗くなってきた。石斧にできそうな黒曜石もいくつかできたが、これは暇な時にでも加工しよう。


「明日あたり、弓矢と槍を試しに行きたいな」

一角《いずみ》がそう言う。

 こいつは、サバイバルに順応しすぎだ。


 とりあえず、一角《いずみ》は新しく作った鏃《やじり》の着いた矢を試したくて仕方ないらしい。

 明日はどこか探索につれていってやるか。


 次話に続く。



 ちょっと詰め込み過ぎました・・・。

 今日もブックマーク1名様ありがとうございます。やる気が出ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 黒曜石は切れ味が良いと聞いてたので、相手の体が貫通するのか楽しみです。(ちゃんと限度というのを理解してるので、さすがに無理なことも分かります。)真面目にどのくらい凄いのか楽しみです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。