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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
31/244

第30話 黒曜石を取りに行こう

【異世界生活 8日目 5:00】


「もう起きたの? もう少し寝ていていいのに」

起きてきた俺に明日乃あすのがそう言う。俺は昨日3交代の見張りの最初なので充分に寝られた。

 逆に明日乃あすのは寝ている途中で俺が起こしてしまい、しかも俺といちゃいちゃしたからあまり熟睡できていないと思うけど。


「もしかして、りゅう君、私が一緒じゃないと熟睡できなくて、私が起きているって考えたら早く起きたくなっちゃった感じ?」

明日乃あすのがものすごい妄想を垂れ流す。まあ、明日乃あすのが起きているなら早起きしよしてもいいか、とは確かに思ったんだけどね。

 

「というか、2人で一緒のシェルター(家)に寝るのが当たり前みたいな流れ、本当にいいのか?」

俺は他の仲間の事も考えてそう聞いてみる。


「いいんじゃない? 好き同士なんだし」

明日乃あすのはそう言い、お構いなしに、朝食を作り始める。

 昨日、明日乃あすのが採ってきた山菜と水で戻した熊肉を炒めて野菜炒めにする。


「干し肉、まだある?」

俺は明日乃あすのに聞く。


「昨日もお魚とかあったし、りゅう君、トカゲとかヘビを食べていたでしょ? それでだいぶ消費減ったかな? 5人で3食、レオも食べるだろうからもう少し早くなくなって3日ちょいぐらいかな?」

明日乃あすのがそう言う。


「干し肉が無くなる前にもう一匹クマが出るといいわね」

麗美れいみさんがふざけてそう言いながら起きてくる。その後ろから一角いずみも不機嫌そうな顔で起きてくる。


「おはよう、麗美れいみさん、一角いずみ。とりあえず、もう一度クマはごめんだね」

俺は笑いながらそういう。

 一角いずみ明日乃あすのも頷く。

 あの時は運よく勝てたが、また同じクマ、もしくはもっと大きなクマに会ったら勝てる気がしない。

 

「まあ、今日、黒曜石を探しに行く時になにか食べられそうな獲物がいたら仕留めよう」

一角いずみがそう言う。


 結局、麗美れいみさんも一角いずみも昨夜は見張りの役割がなく。10時間寝る時間が与えられても寝られないみたいで起きてきたようだ。まあ、当たり前と言えば当たり前だが。


「そういえば、黒曜石と言えば、秘書子さんに聞いたら少量でいいなら西に1時間くらい海沿いに歩いたところに川があって、その河原に落ちているらしい。さらに川の上流、山の方から流れてきた黒曜石らしいから、さらに川を登ると山があって、登っていくとさらに大きな黒曜石が取れるところがあるらしいけど、結構大変な登山になるらしい」

俺はそう言って近場の探索を勧める。


「そうだな。日用品くらいの黒曜石なら、近い方でいいかもしれないな。そして、仲間が7人だったか揃って余裕ができたら改めてそこまで、山の方まで行ってみればいい」

一角いずみがそう言い、みんなも賛成する。


 東の川か。いつも行っている川は北の川、泉から流れ出して西に向かって流れている川だからまた、別の水源、東の山から流れ出る川っぽいな。そして東の山には黒曜石が大量に採れるところがあると。

 俺は木の間から見える山を見ながらそんなことを考える。


 そんな感じで、今日は予定通り、近場の河原に流れてきた黒曜石を拾いに行くことになった。

 麗美さんは歩くのが面倒臭いと拠点で留守番だ。石板に自分の知識を残すという楽しみもできたみたいだしな。


 とりあえず、朝食を食べて、日課の剣道の練習、というより木の槍の訓練をし、午前中、俺と明日乃あすのとレオは北にある泉に水を汲みに行きつつ、その近くの崖に粘土を採りに、一角いずみ麗美れいみさんと真望まもはヤシの葉っぱを編んでリュックサック作りだ。

 麗美れいみさんは自分で使う粘土だからと、自分で採りに行くと言ったが、明日乃あすのが俺と二人で行くのがダメと、代わりにレオと一緒に粘土を採りに行くことになった。

 俺も麗美れいみさんも信用されてないな。まあ、麗美れいみさんの日ごろの言動や行動を見れば妥当か。俺はそんなことを考えて笑ってしまう。


 とりあえず、俺は変幻自在の武器と一応、石斧と水筒と色々使える荒縄を持ち、明日乃あすのとレオは木の槍と石斧と水筒を持って出発する。往復2時間の探索だし食料は要らないだろう。

 そして、俺はさらに明日乃あすのが作った少し大きい水瓶に荒縄をつけて背負う。背負うというより前に抱えるか。荒縄で肩に背負ってはいるが、荒縄が切れると土器が落ちて割れる可能性があるので、前に抱えて持つ感じだ。

 真望まもが昨日作って出来上がった葉っぱのリュックサックが一つだけあるらしいので、それは明日乃あすのが持つことにする。明日乃あすのが石斧と水筒を入れる。確かに便利そうだな。


 準備ができ、3人で森に入る。

 明日乃あすのは昨日、存分に山菜を採ったみたいで、今日は採らずに順調に進む。

 先に粘土のとれる地層のある崖に行き、粘土と砂を明日乃あすのとレオが持てるだけ採取し、その後、泉に行き水を汲む感じだ。


 そんな感じで、崖をめざして森を歩いていると、

「鳥がいる」

レオがそう言って体を屈める。


 俺も姿勢を低くし、水瓶と荒縄を静かに下ろすと、レオの視線を追う。

 確かに鳥がいる。茶色いメスのキジかな?

 明日乃あすのは何をしたらいいのか分からず、とりあえず俺の後ろで屈む。


「とりあえず、俺が投擲スキルで石斧を投げる。外れても当たってもすぐにレオが飛び掛かれ」

俺がそう言うとレオは返事をしないが多分、了解と言う意味だろう。可愛くないな。


 俺とレオは少しずつキジに近づく。そして、ちらりとキジがこちらを見るので投擲するか悩むが、一度落ち着く。するとキジも何もなかったようにきょろきょろエサを探しだす。


 キジが完全に俺達を視界から外したところで俺は石斧を投げる。

 見事命中。羽の付け根、肩のあたりに石斧が当たり、キジは慌てて暴れ出すが、致命傷だろう、飛び立つことはできない。

 レオは俺が石斧を投げたと同時に四つん這いのまま、駆け出し、そのまま、暴れるキジを押さえつけ、首にひと噛み、首を折り、絶命させる。


「すごい、すごい。りゅう君もレオも見事な連携プレイだったよ」

明日乃あすのが興奮気味にそう言う。

 レオがキジを咥えたまま四つん這いで戻ってくる。こういうところはやっぱり動物に近いよな。


「1匹だと全員分の食料にはならないな」

俺がそう言うと、


「昨日のお魚を干したのがあるし、それとこのキジでちょうどいいんじゃない?」

明日乃あすのがそう言い、なにやらどう料理するか妄想しているようだ。


 とりあえず、キジはレオが持って、そのまま、崖まで歩き、1時間かからずに崖に到着する。


「キジという荷物が増えたせいで、粘土と砂があまり運べないな」

俺はそう言う。明日乃あすのが抱えられるくらいの粘土と砂ってところかな?


「オレ、まだ持てる」

レオがそう言うので、明日乃あすのが俺の持つ荒縄で上手にレオの背中にキジを背負わせる。


「これなら持てるでしょ?」

明日乃あすのがそう言い、レオも少し嬉しそうだ。


 そうして、俺は変幻自在の武器をシャベルに変え、明日乃あすのとレオが持てるくらいの粘土と砂を掘り、大きな葉っぱに乗せる。

 それを明日乃あすのが上手く包み、レオに持たせ、自分も同じくらいの量を持つ。


「あとは水だな」

俺はそう言って泉をめざして歩き出す。

 明日乃あすのとレオがバテないように歩く速度に気を付けながら。


 途中、麻の群生地に寄って、川に浸けた麻の茎の腐り具合を見たが、秘書子さん曰く、もう少し浸けた方がいいそうだ。やはり1週間以上浸けておかないとダメっぽいな。

 それと、秘書子さん曰く、麻の茎を切り倒し、地面に放置しておくやり方もお勧めらしいので、新たに麻の茎を切り倒し、地面に寝かせておく。こっちは作業が楽だが少し時間が余計にかかるらしい。


 その後、特に問題もなく、泉で水瓶に水を汲み、俺がそれを抱えながら拠点に帰る。



【異世界生活 8日目 10:00】 

 

 俺達が拠点に着くと、10時を回っていた。

 明日乃あすのはそのまま、早めの昼食の準備、俺もキジの解体を手伝う。

 とりあえず、粘土と砂は日陰に置いておく。


 一角いずみ真望まもは出来上がったばかりのリュックサックに人数分の道具を入れていく。麗美れいみさんも手伝っている。


 作業のための石斧や荒縄、そして水筒を準備する。今日は半日の日帰りなのでお弁当は無しだ。

 一角いずみは弓矢と木の槍を、それ以外のメンバーは護身用に木の槍を人数分用意する。

 参加するのは麗美れいみさん以外、俺、明日乃あすの一角いずみ真望まもの4人だ。レオは麗美れいみさんと一緒に拠点を守ってもらう。


 準備もでき、明日乃あすののお昼ごはんもできたので、とりあえずみんなで食べる。

 さっきとったキジの丸焼きと魚の塩焼き、キジの半分はネギに似た山菜と一緒に鍋にしたみたいだ。


「キジ鍋旨いな」

俺はそう言う。


「ああ、いい出汁が出ている。ネギもどきもいい仕事しているな」

一角いずみも大満足のようだ。


「少なくてごめんね。魚と一緒にみんなで分けて食べてね」

明日乃あすの。みんなに平等に鍋を分けてから自分も食べる。


「味見したときに美味しいと思ったけど本当に美味しいね。塩と肉と山菜だけでこんなにおいしくなるんだ」

明日乃あすのも美味しそうに食べる。


「鳥はいい出汁がでるからな」

一角いずみが偉そうにそう言う。作ったのは明日乃あすのだ。


 そんな感じでみんな大満足で昼食を終え、早めに午後の探索に出かける。



【異世界生活 8日目 11:00】


「西に行くのは初めてだね」

出発して早々、明日乃あすのが楽しそうに言う。


「そうだな、行くところといったら北の森かすぐ南の海岸くらいだったもんな。俺は少し東の海岸も歩いたけどあっちは何もなさそうだったけどな」

俺はクマから逃げた時に歩いた東の海岸を思い出しそう言う。


「北東の方角にはもっと色々ありそうだね」

明日乃あすのがそう言う。


「そうだろうな、山があって、その先にも反対岸があるだろうし、できれば島を一回りして、島の大きさくらいは把握したいところだな」

俺はそう答える。


「お前ら、おしゃべりするのは勝手だけど、警戒は怠るなよ」

一角いずみが全く喋らないと思っていたら、結構真剣に探索をしていたようだ。


「そうだな、悪い」

俺は素直に謝る。


 そのまま4人で海岸沿いを歩く。

 俺と一角いずみが前衛、明日乃あすの真望まもが後衛だ。本当なら真望まもが前衛に立って一角いずみが後衛で矢を放てばいいんだろうけど、一角いずみのレベルが一番高いのと、真望まものレベルがいまいちで戦闘経験もないのでしかたない。


 ちなみに現在の仲間のレベルはこんな感じだ。


りゅうじ 9  レンジャー見習い 剣士見習い

あすの  8  神官見習い 剣士見習い

いずみ  9  狩人ハンター見習い 剣士見習い

れいみ  10 医師、剣士

まも   6  ノービス


 そして、それぞれ、スキルを手に入れたり、麗美れいみさんの剣道教室に真面目に参加したりしたおかげか職業のところに色々追加されていた。職業は才能がありそうなものがいくつかつくみたいだな。明日乃あすのの神官見習いが意味不明だが。


 とりあえず、迷わないように、まずは拠点から南下。海岸に出て海岸沿いに歩く感じだ。


 途中、海岸が岩で阻まれたので、迂回。

 まあ、ゲームみたいなオートマッピング機能があるので、地図を見ながら進めば方向を見失うことも現在地もキャンプの位置も見失わないので楽といえば楽だ。

 なんか、変にリアルなサバイバルなくせして、こういうところはゲームっぽいんだよな。さすが異世界転生ってやつか?


 そんなことを考えつつも、地図を見ながら順調に目的地に進む。

 途中、カモメっぽい鳥がいっぱいいたが、明日乃あすの曰く、不味いらしいので捕まえるのはやめた。雑食性で特に肉食に近い動物は基本不味いのが通説らしい。まあ例外もいそうだが。

 ちなみに卵は普通に食べられるらしい。


「多分、さっきの登れなそうな岩場の上に巣があるのかもね」

明日乃あすのがそう言う。もしかして、玉子食べたいのか?


 結局、行きの道中では食べられそうな鳥も獣も現れず、黒曜石が流れてきていると言われる河原に到着。ここから上流に歩きながら黒曜石探し、って感じかな?



【異世界生活 11日目 11:30】


「河原に着いたし、少し休憩してから散策しようよ」

明日乃あすのがそう提案する。

 確かに30分歩きっぱなしだし、一度、休憩も必要だな。 


 河原のひらけたところに座って水筒の水を飲む。

 川の水は少し濁っているし、鑑定したら飲み水には適さないようだった。


「ねえ、りゅう君、南西の海の方、海の上に何か見えるよ」

明日乃あすのが休憩しながらそう言う。


「ん?」

俺も気になって明日乃あすのの目線の方を見る。

 確かに海の上に白っぽいものが見えてそれがこの島までつながっている。そしてその先には別の島らしきものも見える。


「あれは、隣の島につながる神の作った橋です。あれを渡って隣の島、魔物がいる島に渡ることができます。逆に、魔物は結界に阻まれ、橋からこの島に入ることはできません」

秘書子さんがそう教えてくれる。

 確かによく見ると真っ白い、大理石でできた橋のように見えてきた。


 俺はみんなにそのことを伝える。


「向こうに見えるのが魔物の住む島かぁ。ちょっと怖いね。できれば橋も渡りたくないね」

明日乃あすのがそう言う。


「だが、近いうちに、あの橋を渡って魔物を倒しに行かないと、この島の結界が壊されて魔物がなだれ込んで来るんだろ?」

一角いずみがそう言う。


「そうだな。とりあえず、生活基盤を整えながらレベルを上げて、秘書子さんや神様に相談しながら、その時期が来たら魔物討伐に向かおう。もちろん安全第一を考えて慎重にな」

俺はそう答え、みんなも不安そうに相槌を打つ。


「というか、何で神様は魔物を作った上にあんな橋も作ったのかしらね?」

真望まもが納得いかないようにそう言う。


「魔物はこのような世界を作る場合、どうしても存在させなければいけない決まりがあります。この世界の神よりさらなる上の、最上位に位置する神のご意思であり、それを覆すことはこの世界を保つ上での愚行となります。そして、魔物を放置すれば、魔物は増殖し、いつかこの島の結界は破られ、人間が襲われる。だから早めに討伐できるように、放置しないように、神はこの島と魔物の島の間に橋をつなげました」

秘書子さんがそう言う。

最上位の神様の意思っていうのが良く分からないな。社長さんみたいなのがいて、この世界の神様は課長や係長みたいな感じか?


「とりあえず、秘書子さんの話だと、この世界の神様より偉い神様が世界を作る時に魔物も作ることをルールにしているらしぞ。そして、魔物が増え過ぎないように、倒しやすいように、この世界の神様が橋を作ったらしい。あと、魔物がいないとこの世界が維持できないらしい。理屈は分からないけど」

俺はそう皆に説明する。


「なんか理不尽だわ」

真望まもが納得いかないのかそう呟く。


「まあ、神様も私たちがお祈りすると喜んでくれるし、私たちのお祈りの力を必要としているみたいだから、味方だと思うの。魔物は仕方なく生まれているものって考えて神様と一緒に戦うしかないんじゃないかな?」

明日乃あすのがそう言う。


「そうだな。少なくとも神様が俺達を必要としている。そこは信じていいんじゃないか? 胡散臭いおっさんだが、悪い奴ではなさそうだし。神様の奥さんを迎える為に世界を大きくする。その為に俺達の力が必要って言ってたしそこらへんはいい旦那なんじゃないかって考えて協力する。そんな感じいいんじゃないか?」

俺は明日乃あすのの意見に賛成する。


「神様に対してひどい言いようだな。さすが信仰心500円の男だ」

一角いずみがそう言う。


「お前だって500円だろ?」

俺は言い返す。


「まあ、なるようになるしかないわね」

真望まもがそう言う。アホな子らしい結論だな。俺はそういう真望まもも嫌いじゃない。



 5分ほど休憩し、河原の探索を始める。下流の川のせいか川幅もあり、見た感じ真ん中の方は深そうで、歩いて渡るのは無理そうな川だ。とりあえず、対岸は無視してこちら側の岸だけを探索することにした。


「この川、橋とかも作らないと自由に島を移動できないかもね」

明日乃あすのが対岸を見てそう言う。

 

「将来的にはそう言う作業も必要になるかもな。もしくはいかだを作って海岸沿いを移動するとかも考えないといけないかな? まあ、竹がいっぱいあるから、いかだも比較的簡単にできそうだけどな」

俺はそんな話をしながら河原を歩き、一角いずみに真面目に探せと怒られる。


 とりあえず、鑑定スキルで大ざっぱに探してみるが、うん、無理だ。目に見える石全部に解説がついた。


 とりあえず、黒っぽい石を探しながら歩く。


流司りゅうじ、これ見て、ねえ、これ」

真望まもが石を拾ってちょっと自慢気に俺に見せてくる。

 緑色のちょっと変わった石だ。鑑定すると『孔雀石くじゃくいし』。そして解説には銅が精製できると書いてある。


「孔雀石、別名マラカイト。緑色の縞模様の鉱石で古代エジプトでは質のいい物はアクセサリーとして使われたり、加工が容易という事で銅の原料として使われたりしたこともあります。現代では宝石としての価値はあまり高くなく、銅の精製にも非効率で不適、置物などに使われています」

秘書子さんが石について詳しく教えてくれる。

 まあ、綺麗な石くらいの扱いか。そして今、『エジプト』言ったよな?この神様。まあ、いいか。それより、銅が精製できるのは気になるな。


「どう? すごくない?」

真望まもが少し自慢気な顔で俺に言う。


真望まも、他にも落ちていたら拾っておいてくれ。将来的に銅製のお鍋とか作れるようになるかもしれないからな」

俺はそう言う。

 他のメンバーにも聞こえていたみたいで、真望まもが問い詰められ、結果、黒曜石探しとマラカイト探しになった。

 特に明日乃あすのは銅のお鍋と聞いて黒曜石より孔雀石に集中している気がする。

 別に、銅がすぐに作れるようになるわけじゃないんだけどな。


 しかも秘書子さんにさらに聞くと、ここにマラカイトがあるということは上流に銅鉱石の鉱脈がある可能性があるとのことで、一応将来の為に銅鉱石の鉱脈をマップにマークしてもらった。

 あと、川底を漁れば、少量の砂金や砂鉄も取れるそうだ。ちょっと魅力的な話だ。


 そんな感じで秘書子さんと話をしていると、仲間たちはどんどん先に言ってしまい、一角いずみにサボるなと怒られる。情報収集も大事だぞ。


 とりあえずは、黒曜石だな。

 

「りゅう君あったよ。黒曜石っぽいよ」

明日乃あすのが嬉しそうに声を上げる。

 俺も急いで明日乃あすのの側に行く。


「これだよ」

明日乃あすのが嬉しそうに黒い石を指さすが、


「で、でかいな」

明日乃あすのが見つけた黒曜石はなんか中途半端にデカかった。

川に流されてきたからか丸い球状なのだがなんかでかい。バスケットボールを一回り大きくしたくらい? 一人で微妙に持てるか持てないかってくらいの大きさだ。持ち上げてみると、持てないことはないが軽く10キロは越えてるな。


「とりあえず、割って細かくして持ち帰るか」

一角いずみがそう言う。


「まあ、細かくし過ぎても用途に困りそうだから4当分できたら理想的だな」

俺はそう言う。


流司りゅうじ、私と持ち上げてそこらへんにある大きな岩に落としてみるか?」

一角いずみがそう言う。


「そうだな。それが一番早そうだ」

俺は一角いずみの意見に賛成し、2人で黒曜石の塊を持ち上げ少し運び、大きな岩の上で気をつけながら左右に振って、投げる。


 ガコンと大きな音がして2つに割れる。細かい破片も出た感じだ。


「どうだ?」

一角いずみが俺に聞く。

 俺は落ちている破片を見てみる。いい感じで割れている。まるでガラス瓶を割ったみたいな鋭さがある。


「おおっ、これならカミソリとしても使えそうだね」

黒曜石を一番欲しがっていた真望まもが破片を拾って嬉しそうに観察する。


「危ないから、先を触るなよ」

俺が注意するが、


「痛っ!」

真望まもの人差し指から血が流れる。


「ほら言わんこっちゃない」

俺は呆れてそう言うと、真望まもの人差し指を咥えて汚れやゴミを落とすように舐める。


「つぅ!!」

真望まもが声にならない声を上げて顔を真っ赤にする。


「悪い、痛かったか?」

俺がそう言うと、


「もう、傷ぐらい自分で舐められるって」

そう言って、一度躊躇してから自分の人差し指を舐める真望まも


「包帯とかないのが厳しいな」

俺はそう言う。


「そうだね。麻布とか作れるようになったら包帯もできるし、布作りは早急な課題だね」

明日乃あすのがそう言う。ちょっと不機嫌そうな声で。

 ん? なんかあったのか?


 そんな感じで、黒曜石が1:2くらいで割れたので、大きい方をもう一回投げて3等分になった。


 とりあえず、一番大きい石を俺が運び、次を一角いずみ。一番小さい石を明日乃あすのが運び、飛び散った破片とみんなで拾った、銅が含まれている孔雀石? それを集めて、リュックにつめて真望まもが持って帰ることになった。

 真望まもは右人差し指咥えたまんまだしな。


「黒曜石、私にも少し分けてくれよ。矢のやじりにしたいからな」

一角いずみが少し嬉しそうにそう言う。やじりの無い矢に少し不満だったようだ。


「とりあえず、真望まも、大丈夫そうか? 血止まりそうか?」

俺は気になって聞いてみる。


「薄皮切れただけだし、少し舐めておけば治るわ」

真望まもが指をくわえながらもごもごとそう言う。

 まあ、大丈夫そうだな。

 

 とりあえず、真望まもの様子を見ながら、明日乃あすのの体力に気をつけながら拠点に帰る。

 銅が含まれた鉱石と上流に銅の鉱脈があるのが分ったのは大きいな。将来的には銅のお鍋とか作れるかもしれない。


 帰る途中、日が暮れ出したせいもあるのかイノシシがエサを探して森から出てきたようで遭遇する。

 真望まも明日乃あすのが木の槍を慌てて構え、猪が一瞬ひるんだところを、一角いずみが矢を放ち、イノシシの肩口に刺さる。さらに怯んだところを俺の投擲で石を投げ、イノシシの脳天に当たりひっくり返る。最後に俺が変幻自在の武器に持ち替え、槍に変化させると、倒れたイノシシに駆け寄り、首に何度か槍を突き刺しとどめを刺す。イノシシが完全に動かなくなった。

 とりあえず新しいお肉と毛皮をゲットだ。

 というか、投擲で大事な黒曜石投げちゃいました。ごめんなさい。


 そして、予想通り、投擲スキルが初打の俺と、弓矢使いの一角いずみが後衛になり、本来体力不足で後ろで守られるべきの明日乃あすのとレベルが低い真望まもが前衛になってしまうという作戦ミスが起きた。

 本来なら俺と一角いずみが前衛にならないといけないのに、俺は石を投げようとしてしまい、一角いずみも弓矢を構えてしまった。

 このあたりは対策を考えないとな。


 とりあえず、俺がイノシシの見張りをして、一角いずみ明日乃あすの真望まもに先に黒曜石を持ち帰らせる。

 待っている間に血抜きだけ済ませて、3人が返ってきたら、イノシシを太い木の棒に荒縄で縛り付けて俺と一角いずみで担いで運ぶ。

 明日乃あすの真望まもには運びきらなかった黒曜石、俺がイノシシに投げて割れてしまった黒曜石をリュックにつめて運んでもらう。

 

 イノシシ肉をゲットして何故かホクホク顔の明日乃あすのだった。



「みんなお帰り。って、どうしたの? そのイノシシ? 凄いじゃない」

拠点に着くと、麗美れいみさんが迎えてくれ、イノシシを見て驚く。


 キャンプに着く頃には15時過ぎ、陽が沈む前にイノシシの解体をしたい。

 とりあえず、一角いずみとそのまま、イノシシを海岸に運び、海水でよく洗ってから解体する。俺は変幻自在の武器を変化させたナイフで。一角いずみは石包丁を使って。


 解体した肉は明日乃あすの真望まもが往復して拠点に持ち帰り、留守番の麗美れいみさんも加え、手分けして赤身は薄切りにし、海水を汲んだ土器にどんどん放り込む、保存効果を上げる為に海水に塩も溶かす。

 脂身はたき火で焼いて今日明日中に食べてしまう。脂身は干し肉に向かないらしからな。

 そんな感じで分担で作業し、最後に骨と内臓、要らない部分を神様にお祈りしてマナ化する

 結局、とれたイノシシは15kg弱、全体重の3割程度しか食肉にならないようだ。まあ、それでも十分な量だ。


 ちなみにレオは半日塩作りをしていたらしく、今も塩作りをしている。森に落ちている薪が先日の雨で濡れてしまい、得意の薪拾いができないレオは最近ずっと塩作り担当を一角いずみに仕込まれ、やらされているようだ。まあ、本人は人の役に立つのが好きみたいだから楽しそうだが。


 今夜はイノシシ肉で焼肉パーティだ。干し肉にできない脂身の多い部分は積極的に塩をかけて焼いて食べる。


「燻製の道具やサクラの木のチップとかあれば、脂身も塩漬けベーコンにして保存食にできるんだけどね」

肉を食べながら、あまりにも多い脂身に明日乃あすのがそう言う。

 脂身が多い部位は干し肉にはできないが塩漬けにして燻製すれば少し保存がきくらしい。


「燻製してベーコンか、それもいいな。将来的には燻製の方法も確立したいな」

俺は元の世界の美味しいベーコンを思い出しそう言う。


「まあ、調味料とかないから、元の世界のベーコンとは全然違うものになっちゃうだろうけどね」

明日乃あすのが俺の考えていることが分かったのか、そう言う。

 保存がきかない脂身を今日明日で腹に無理やり押し込むよりは有用だと思う。


 そして、黒曜石も手に入ったし、少しだけ道具の質も上がりそうだな。

 明日は黒曜石で道具作りかな?

 そして、今日行ったところに行けば黒曜石ももう少しありそうだし、またなくなったら補充に行こう。 


 次話に続く。

 ブックマーク1名様ありがとうございます。やる気が出ます。

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[一言] 黒曜石…歴史の授業のトラウマが〜(これしか頭の中にないので許してください)
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