第143話 豚肉加工とレベル上げ(スキップ回)
レベル上げ作業は同じことの繰り返しなのでスキップ気味でいきます。
【異世界生活 134日目 6:00】
昨日、南西の島のダンジョンをクリアし、豚肉とイノシシ肉が大量にドロップした。一昨日の分も含めて2日分だ。
今日はそれを加工する。
朝食を食べ、久しぶりに剣道教室で体を動かし、各自作業に移る。
一角と麗美さんは次のダンジョン攻略をめざし、北東の魔物の島の魔物を減らす作業に行く。あくまでも白い橋の結界から出ない範囲での魔物狩りだ。
真望はいつもどおり麻布作り、鈴さんは鍛冶作業に、琉生は農作業と動物の世話をするらしい。
特に琉生は昨日手に入れた変幻自在の武器を農具に変えて楽しそうに畑に向かって行った。
「ああ、それと、明日乃ちゃん、ダンジョンで拾った鋼鉄と普通の鉄を使ってナイフを作ったから、包丁代わりに使ってね」
鍛冶場から一度戻ってきた鈴さんがそう言って明日乃に刃渡り20センチくらいのナイフを渡す。皮の鞘のついた本格的なナイフだ。
明日乃が鞘からナイフを取り出すと綺麗に砥がれた刃が見える。
「いいな、それ。俺も欲しいな」
俺は本心からうらやましくなった。
「1日1本作るのがやっとって感じかな? 1週間鍛冶工房にこもらせてくれれば人数分作るよ?」
鈴さんがそう言って俺の顔色を伺う。
「とりあえず、ダンジョンでレベル上げしてからね」
俺はそう言い、鈴さんが残念そうな顔をする。
「ちぇっ、残念。それと、明日乃ちゃん、ナイフの鋼の部分は錆びやすいから濡れたままにしないようにね。こまめに拭く必要はないけど、濡れたまま置きっぱなしにはしない感じでね」
鈴さんがそう言い、明日乃が頷く。
鉄にしろ、鋼にしろ、錆びやすいので使った後はきちんと拭き取らないといけない。
元の世界のように錆びない金属、ステンレスなんていう都合のいいものはないので、ひたすら錆びないように気を付け、こまめに砥いで錆落としをするしかないのだ。
錆び対策用に最近、真望が雑巾のような布をたくさん作ってくれたので助かっている。
鈴さんが鍛冶作業に戻ったので、俺と明日乃は豚肉とイノシシ肉の加工を始める。
豚肉は半分ベーコンにして、半分を瓶詰めに。イノシシ肉は水煮にして瓶詰めにする。
まずは、ベーコンにする豚肉に塩をまぶして余分な水を抜く作業をする。多めの塩をまぶしてお昼まで氷室に放置する。
その間、残りの豚肉とイノシシ肉を水煮にして瓶詰めにする作業。量が多いので午前中かかってしまう。
琉生が農作業から帰ってきたので、真望と鈴さんも呼んで、昼食にする。
「流司お兄ちゃん達はこの後、西の臨時拠点に移動するんだよね?」
昼食を食べながら琉生が聞く。
「ああ、一角と麗美さんが帰ってきたら、移動しようって話だったな。朝食で相談したときは」
俺はそう答える。
「午後も作業ができたら、鋼のナイフができたのになぁ」
鈴さんが残念がる。午前中、鍛冶作業で2本目のナイフの形はできたらしいが、研磨して形を整え、切れるように砥ぐにはもう半日必要だそうだ。
「まあ、急ぎではないし、レベル上げが終わったらやればいいよ」
俺はそう言って鈴さんがレベル上げから逃げないように回り込む。
「鈴さん、さっき貰ったナイフ、切れ味凄くよかったよ。お昼ご飯作る時に、お肉がスパスパ切れちゃってびっくりしたよ」
明日乃がそう言ってお礼を言う。
俺も横から見ていたけど本当によく切れていた。俺も欲しくなるくらいいいナイフだ。
「でしょ。よく切れるよね。ね、流司も欲しくならない? ナイフ?」
鈴さんが隙あらば鍛冶場にこもろうと俺を総誘惑するが、
「ダンジョンから帰ってきたらお願いするよ」
俺はそう言ってスルーする。
鈴さんはがっかり肩を落とす。
確かに人数分あのナイフがあればみんな喜びそうだが、まずは鈴さんのレベル上げだ。
一人だけ低レベルになってしまいそうだし、何かあった時に鈴さんだけレベルが低いと色々怖いしな。
そんな感じで、鈴さんは諦め、昼食後、鍛冶工房にとぼとぼと戻っていく。
俺と明日乃と琉生はベーコンの下処置、味付けをして氷室で寝かす作業をして、残った時間、明日乃と琉生は真望の麻布作りの手伝い、俺は鍛冶工房に行って、鈴さんに教わりながら、鋼の武器を砥ぎ直したり鎧を磨いたりする作業をした。
普段使っている鋼の武器や防具も放っておくと錆びてしまうので、俺も整備くらいはできるようになっておきたい。
そんな作業をしていると、一角と麗美さんが魔物狩りから帰ってくる。
【異世界生活 134日目 14:30】
「お帰り、一角、麗美さん。疲れているところ悪いんだけど、朝言った通り、西の拠点に今日中に移動しておきたいから、少し休憩したら準備頼むね」
俺は帰ってきた二人に申し訳ないがそう言う。
「あまりゆっくりしていると、鈴さんが鍛冶工房から出てこなくなりそうだしね」
麗美さんがそう言って笑い、俺も笑う。
実際、今日一日、レベル上げをサボる事ばかり考えていたみたいだしな。
「それに、お祈りポイントが余っているうちにできるだけレベル上げと次のダンジョンの攻略もしたいしね」
俺はそう答える。
どうせ今後、お祈りポイントが減った時に、魔物狩りにもダンジョン攻略にも行けない日が来る。その時に作業やお休みをすればいい。今は潤沢にお祈りポイントが使える時期なので、この勢いでレベル上げと新しい島への挑戦をしたい。
「お帰り、一角ちゃん、麗美さん。お祈りポイントと言えば、また、1日にもらえるお祈りポイントの量が増えたみたいね。いつも9000ポイントしか増えてなかったのが、今朝は11000ポイント増えてたよ」
明日乃がそう言って合流する。これから西の拠点に移動する準備をするようだ。
「ああ、レベル50になった人は多分、1.5倍から2倍に増えたんだろうな。前に、神様そんな事言ってたし」
俺は前に神様が言っていたことを思い出しそう言う。
「ちなみに、お祈りポイントの総量ですが、最大30万ポイントまで貯めることができるようになりました」
アドバイザー秘書子さんがしれっと言う。
「30万ポイントまで貯められるようになったのはありがたいな。最近は結構魔法使いまくりだしな」
一角がそう言って喜ぶ。
魔法を使いまくっているのは主に一角だけどな。
「一角ちゃんと麗美さんの準備もしておくから、休憩していてね」
明日乃がそう言って、3人分の荷作りを始める。
「俺も、鈴さんに準備させないとな」
そう言って立ち上がると、鍛冶工房に向かい鈴さんに探索の準備をするように伝え、俺も自分の準備を始める。
そんな感じで30分後に準備も終わり、鈴さんのレベル上げをする為に南西の島のダンジョンにもう一度挑戦する。その為に西の臨時拠点に前日入りする感じだ。
メンバーは、俺、明日乃、一角、麗美さん、鈴さんの5人に、西の臨時拠点で留守番をしてもらう琉生の眷属のトラと鈴さんの眷属のアルも連れていく。拠点で待っている間に家も増築してもらう予定だ。
留守番は真望と琉生。今回は琉生が料理できるので拠点の留守番も安心だな。
【異世界生活 134日目 15:00】
「それじゃあ、真望、琉生、行ってくるな」
「みんな気を付けてね」
俺は留守番の真望と琉生に挨拶をし、琉生が手を振って見送ってくれる。
「それと、琉生、ベーコン作り頼んだぞ。味付けが終わったら燻製してくれ」
「了解だよ。流司お兄ちゃん」
俺は思い出したようにそう言い、琉生が答える。
ベーコンは味付けに時間がかかるので燻製が間に合わなかった。今夜1日氷室で味付けをして、明日琉生が燻製してくれることになっている。
ここから臨時拠点まで3時間ほどかかるので、拠点に着いたらすぐ夕食を食べて寝ないとダメだな。
陽が落ちる前に何とか西の拠点に到着し、とりあえず、拠点から持って来た野菜や瓶詰めで夕食を作り、食べて寝る。
水汲みとかは明日、ダンジョンから帰ってきてからだな。
【異世界生活 135日目 2:30】
ダンジョン争奪戦に参加する為に早起きをして軽く朝食をとり、臨時拠点を出発する。
5時前にはダンジョンの前に着くが、ダンジョン争奪戦に参加する魔物はいないようだ。
とうとう、最後まで粘っていたリザードマンも兵数に余裕がなくなったようだな。
そしてそのまま、6時になりダンジョンの入り口が開く。
ここからは前回と全く同じ、琉生のレベル上げが鈴さんのレベル上げになっただけだ。
ただ、肉は余りだしているので、貰っても微妙なイノシシ肉がドロップする1階は今回パスすることにした。もらえる経験値も少ないしな。
今日は2階からの攻略。オークが落とす豚肉は美味しいので回収することにした。
とりあえず、現在のメンバーのレベルは
流司 レベル49
明日乃 レベル50
一角 レベル50
麗美 レベル51
鈴 レベル39
差がついてしまった鈴さんのレベルを俺達のレベルまで並べる、できれば超えるくらいまでレベル上げするのが目的だ。
とりあえず、鈴さんをレベル41にして新しい魔法も覚えて欲しい。
とりあえず、2階3階は経験値効率が悪いので、オークの落とす豚肉が第一目的で鈴さんの育成をする。3階のボスを倒した時点では鈴さんのレベルは上がらなかった。
そのまま4階でも鈴さんをレベル上げ。
この階は急に敵のレベルも上がり、レベル35のリザードマンを模したウッドゴーレムが敵だ。
経験値効率がいいので、4階の最初、1体ずつウッドゴーレムが出るエリアで鈴さんのレベルが40になる。
そして、ここから、鈴さんのレベルが上がりにくくなる。レベル41になる際に、ランクアップと言ってこれ以降、今までの5倍以上経験値が必要になってくるのだ。
そんな感じで4階全てを使って鈴さんを養殖するが、レベルは上がらず、貢献ポイントで一角のレベルが上がり、レベル51になった。
ただ、ダンジョンの5階からがさらに経験値が美味しくなる。レベル45のワータイガーを模したウッドゴーレムが敵として出るので苦戦はするがかなり経験値が貰えるようになる。
5階の入り口付近で、一気に経験値が入り、鈴さんのレベルが41になる。ついでに俺と明日乃も貢献ポイントでレベルが上がり、それぞれレベル50、レベル51になる。
鈴さんの新しい魔法も気になるが、とりあえず、ボス部屋前まで、一気に駆け抜け、鈴さんのレベルを上げた。
ボス部屋の前に着くころには鈴さんのレベルは48に。貢献ポイントで麗美さんのレベルが52になった。
5階のボス、このダンジョンのラスボスの部屋の前で一時休憩する。鈴さんの装備を鋼の物に着替えないといけないし、鈴さんの新しい魔法も気になるしな。
とりあえず、俺は後ろを向いて、その間に鈴さんが防具をつけ直す。まあ、服まで脱ぐわけではないので、後ろを向く必要はないのだけれど、一応ね。
着替え終わったところで、俺は鈴さんの新しい魔法が気になって聞いてみる。
「うーん、新しい魔法? なんか、みんなから聞いた感じと私も同じかな? そして、中二病っぽくてちょっと恥ずかしいかな?」
そう言って鈴さんが恥ずかしそうにする。
「うん、その気持ちよく分かるわ。でも、毎回詠唱しているうちに慣れるから頑張って」
麗美さんが訳の分からないフォローをする。
「と、とりあえず、範囲魔法を強化した感じの『電離放電』? 雷がもっと強力になってプラズマ、電離分子と荷電粒子になってそれが乱れ飛ぶ空間みたいな感じかな? あと、それの派生って感じで『荷電粒子砲』。単体攻撃魔法の最強版みたいね。荷電粒子で金属片を加速して銃のように飛ばす感じ? あとは『電離分子剣』? 近接用の魔法みたいだけど、何でも切り裂く凶悪な魔法みたいね」
鈴さんが少し恥ずかしそうにそう教えてくれる。そして、途中よく分からない解説が入っていた。とりあえず、雷魔法の強化版と雷魔法で鉄の弾を飛ばす銃もどきってかんじかな?
そして、一角の中二病の琴線に触れたみたいで興奮している。長くなりそうなのでスルーだ。
「私よりさらに中二病っぽいわね。『絶対零度』が可愛く思えてきたわ」
麗美さんが少し同情した口調でそう言う。
俺からしたらどっちもどっちな気がするが。
「それと、真望の魔法、『炎円陣』と似たような魔法、『雷円陣っていうのも覚えたね。自分のまわりに雷の柵を作って広げたり、逆に、敵のまわりに雷の柵を作って狭めたりしていくみたいな使い方みたいね」
と鈴さん。結構色々な魔法を覚えられるようになったようだ。
「最後に、『鉄の壁』。地面から鉄をかき集めて壁にする魔法みたいね。これって、無尽蔵に鉄が作れるわけだから凄い魔法なんだけど、お祈りポイントがかかりすぎるのが問題ね」
鈴さんがそう言い、がっかりする。
確かにお祈りポイント5000ポイント使って鉄の塊ができてもあまりうれしくないかもしれない。せめて中級魔法くらいで1000ポイントくらいなら利用頻度は高そうだったのにね。
「まあ、琉生の魔法みたいに鉄を自在に変形させられる魔法でもあるみたいだし、将来的に金属加工には役立ちそうではあるけどね。お祈りポイントと要相談になるけど」
鈴さんがそう言って気を取り直す。
確かに魔法で金属を自在に操れるのはかなり有用な魔法かもしれないな。
そんな感じで鈴さんが新しい魔法を覚え、ボス部屋攻略をめざす。
「そうだ、鈴さん、実は5階のボスだけちょっと毛色が違うんだよ。一角が神様に聞こえるように余計な事を言ったから、ボスが改変されちゃって少し面倒臭くなっちゃったんだ。だから、今回は鈴さんは後ろで防御に徹した方がいいかもね。今回は俺と一角と麗美さんでボスと対峙するから、明日乃と2人で後方待機でもいいからね」
俺は鈴さんにそう説明する。
前回、ボス部屋前で、一角がボス部屋の内容が同じような内容で飽きてきたとか言っちゃったせいで、秘書子さんがやる気になって、ウッドゴーレム5体を癒合させて巨大なボスにしてしまった感じだ。
鈴さんのレベル48では力不足な気がするし、敵は合体することによって、格上レベルの魔物を模したウッドゴーレムになってしまい、かなり厄介なボスに進化した。
俺はその状況や経験を鈴さんに伝える。
「ちなみに、この部屋限ルールはそこの扉に貼られているから確認してね」
明日乃が鈴さんにそうアドバイスして、鈴さんは扉に張り付けられた、ルールの箇条書きを読み始める。
~この部屋に挑む者への助言~
①この部屋では上級魔法以上の魔法や広範囲魔法は使えない。部屋の外からの魔法の持ち込みもできない。
②この部屋では結界魔法など安全を確保する魔法は使えない。同じく獣化義装などダメージを代替えするようなスキルも使えない。
③この部屋ではHPが1になった時点で気絶し戦闘が終了するまで結界で守られる。回復魔法による戦闘復帰は可能。
④最終ボスは1体のみ現れ、武器や魔法による攻撃はある程度有効だが、致命的なダメージを与えるためには『両手首の内側』『両足太もも』にある4つの核コアを破壊したのち、最後に胸についた主核メインコアを破壊することでボスを倒すことができる。
⑤最終ボスとの戦いは全員がこの部屋に入ることで始まる
⑥全員戦闘不能になった時点で、ボスへの挑戦権は失われる。日が変わるまでボスに再挑戦することはできない
「この部屋の中じゃ、中級魔法までしか使えないのね。まあ、敵も使えなくなるっていうのはありがたいけどね」
鈴さんが注意書きを読んでそう呟く。
「とりあえず、今日は見学かな? 後ろの方で邪魔にならないように見ているよ」
鈴さんがそう言い明日乃も申し訳なさそうな顔をする。
そんな感じで、俺と一角と麗美さんが前衛でボスに挑みかかり、鈴さんと明日乃にはボス部屋後方で待機して、補助をしてもらったり、トラブルが起きた時に助っ人をしてもらったりするような流れにした。
そんな感じで打ち合わせも終わり、ボス部屋に飛び込む。
前回同様、俺達が全員ボス部屋に入ると入り口が閉まり、ボスを倒すまでは開かない仕組みだ。
手筈どおり、俺と一角と麗美さんの3人で挑みかかり、明日乃と鈴さんは後方待機だ。
前回同様、ラスボスは取り巻きのウッドゴーレムの4体の核を腕と足のパーツとしてつなぎ、土の精霊が土を材料に作り直した巨大な土のゴーレム。オークキングを模した巨大マッドゴーレム(土人形)て感じだ。
手足の核を破壊してから、本体、胸についている主核を壊さないといけないという面倒臭い手順が必要なボスだ。
俺、一角、麗美さんの3人で、一斉に飛び掛かり、隙を作っては核を破壊、敵の巨大な両刃斧の攻撃を盾や武器で受けては床をゴロゴロ転がりながら、ボスゴーレムの手足についた核を破壊していく。
あまりの過酷さに鈴さんも途中参加。少し遠いところから、攻撃するふりをしてボスの隙を作る。鈴さんのレベルが低いのであくまでもボスの武器が当たらない距離での牽制だ。
「ねえ、流司。こいつ、魔法効かないの?」
鈴さんがそう聞いてくる。
「効かないことはないんだが、中級魔法の豆鉄砲程度だと、腕や持っている盾で防がれてほとんどダメージが通らない。前回、麗美さんの『氷矢の連撃』を食らわせたんだけど、土くれの体を少しえぐる程度、防具をつけている部分はほとんどダメージが通らなかった」
俺はそう言う。
多分、鈴さんの雷魔法も、ダメージ自体は皆無、多少麻痺効果が乗るかもしれないが。
ぶっちゃけ、マナソード(武器攻撃力強化のスキル)を使って武器で斬りかかった方がダメージが通るので、魔法は試していない感じだ。魔法を使うと敵から魔法の反撃も飛んでくるしな。
「まあ、ダメージが通らなくても麻痺効果は通るかもしれないから、1回、雷魔法使ってみてもいいかな?」
鈴さんがそう聞いてくる。
「いいけど、敵の反撃魔法には気をつけてよ」
「了解」
俺はそう言って承諾し、鈴さんが可愛らしく敬礼をしながら答える。
「一角、麗美さん。鈴さんが魔法を使う。敵が魔法を使えないように攻撃を続けて」
俺はそう叫び、俺もゴーレムに斬りかかる。
「金と雷の精霊よ、神の力をお借りして魔法の力としたまえ。『雷矢の連撃』!」
鈴さんが魔法を詠唱し、そこで一度魔法を打ち出すのを止め、ゴーレムの大きな丸盾を避けるようにゴーレムの右側に回る。
俺はそれに気づき、逆にゴーレムの左から盾を持つ左手を集中的に攻撃する。
ゴーレムも鈴さんの魔法に気づき、反撃の魔法を撃つためにマナを練りだす。
「隙だらけだ。一気に畳み込むぞ」
俺はそう叫び、魔法に集中して動きが散漫になったボスゴーレムに斬りかかる。
左の二の腕を攻撃しつつ、左足の核にも攻撃。ボスゴーレムが膝をつく。
それと同時に鈴さんも魔法を放ち、彼女の手から、5本の雷の矢が放たれ、ボスゴーレムの二の腕や腹、顔面など防具をつけていない露出した部分に雷の矢がすべて命中する。
そして電気を流されたように体を痙攣させると動かなくなるゴーレム。
「チャンスね」
麗美さんがそう言い、左手の内側にある核を破壊、俺は麗美さんと交差するように走り、右手の内側にある核を破壊。
右足の核はすでに一角が破壊していたので、すべての核が破壊されたことになる。
最後は主核だけだ。
「鈴さん、とどめを!」
俺は彼女にそう言い、鈴さんが両ひざをついて動かないゴーレムの胸に鋼の長剣で一撃。主核を鋭い突きで撃ち抜く。
そして、ゴーレムの体が光りに包まれ、マナに還っていく。
「倒したな」
一角がそう呟く。
鈴さんの雷魔法。ダメージ自体はあまり通っていなかったみたいだが、麻痺効果は通るようで、使うタイミングが良ければあの巨大なボスにも効果がありそうだな。
その後、ドロップアイテムを回収し、クリア褒賞の部屋で副賞の調味料を貰う。予定通り、ベーコンが出来上がった時の為にスープ用のコンソメの素をもらう。明日は醤油を貰うらしい。
【異世界生活 136日目~138日】
そんな感じで次の日も鈴さんのレベル上げをして、一度拠点に戻り、鈴さんと真望を入れ替えて再度西の臨時拠点へ。翌日、もう一度ダンジョンを攻略し、真望のレベルもレベル50越え、全員のレベルが50を超えた。
次話に続く。




