第131話 牛小屋づくりと低級ダンジョンでリハビリ
【異世界生活 116日目 17:00】
「ただいま」
俺達は、大量の小麦とトウモロコシ、そして新しい仲間を連れて拠点に帰ってきた。
「おかえりなさっ、って、何その牛!?」
迎えてくれた麗美さんが琉生が連れている牛の親子を見て驚く。
「どうしたんだ? それ?」
麗美さんに続き一角も牛を見て少し興奮気味に聞いてくる。
「鈴さんと同じ反応だね」
真望が呆れるようにそう言い笑う。
拠点の柵に入り、夕食を作り始めていた明日乃にも挨拶をする。
明日乃が振り向きざま声にならない悲鳴をあげる。まあ、いきなり後ろに牛がいたら驚くよな。
とりあえず、もう日が暮れてきたので牛の親子は畑やニワトリ小屋のそばの木に縄で括り付けておく。鈴さんが急いで丸太をくり抜いて牛用の水飲み場用の桶と餌箱を作る。琉生が親子の寝床と餌、飲み水を準備する。
新たに増えたニワトリもニワトリ小屋に放し餌を与える。
「牛小屋も作らないとね」
鈴さんが呆れ顔でそう言う。
「畑やニワトリ小屋の裏の辺りの草の生えているところ? あのあたりに柵を作って小屋を建てればいいと思うよ」
琉生がそう言う。
「だいぶ、この拠点も手狭になってきたな」
俺は周りを見渡しそう呟く。
実際、明日から作る牛小屋や放牧地になる柵に囲まれたスペースも北に広がる丘に阻まれ横長の広場になりそうだしな。
「そうだね。ここって海と丘に挟まれて平地が少ないからね。すぐ後ろは森だし前には川があるしこれ以上拠点は広げられそうにないよね」
琉生が残念そうに言う。
やっぱり将来的には北の平原に拠点を移す感じかな。
そのまま、作業を続け、小麦やトウモロコシを干し、作業が終わったところで夕食にする。
「それにしても、牛は凄いな。牛乳も搾れるようになるのか?」
一角が夕食を食べ始めた途端、興味津々に琉生に聞いてくる。
「そうだね。メスで子供を産んだばかりだし、牛乳絞れると思うよ。ただ、子供が生まれたばかりだし、体力が落ちているかもしれないから、たっぷりご飯をあげて休ませてからかな?」
琉生がそう言い、乾燥中のトウモロコシを飼料に混ぜてまずは牛の体調を戻すらしい。
「それと、小麦の収穫が落ち着いたんだし、そろそろダンジョン攻略再開するのか?」
一角が今度は俺に聞いてくる。
「そうだな。とりあえず、明日は牛小屋づくりもしないといけないし、一角は魚の保存食も作りたいんだろ? そうなるとガラス瓶をもう少し増やしたいんだよな」
俺は一角にそう答える。
「リハビリもかねて南の島のダンジョンで魚の切り身の回収もいいかもね」
麗美さんがそう言って笑う。
「鈴さん、青銅の在庫は大丈夫? 何か作るにしても青銅は必要でしょ?」
俺は気になって聞いてみる。
「ああ、一角が調味料、調味料うるさかったでしょ? で、最初のダンジョンの5階の副産物で青銅の斧や槍の穂先も持ってきてくれていたから在庫は十分よ。どちらかというと鉄の武器とかもっと持ってきて欲しいかな?」
鈴さんがそう教えてくれる。
「鉄の武器は南東の島のダンジョン産だからなぁ。ドラゴンを何とかしないと拾ってくることもできない」
一角が残念そうにそう言う。
「まあ、明日は、南の島のダンジョンでも行ってきなよ。私と琉生と眷属達で牛小屋は作っておくし」
鈴さんがそう言って笑う。
「っていうか、そうなると私も行くの?」
真望が嫌そうな顔をする。
「まあ、麻の服もできたし、麻布づくりも落ち着いたしな」
一角が冷やかすようにそう言う。
「私はもっと作りたいの。着替えも必要だし、下着ももっと替えが欲しいし、探索用のフード付きマントもいまだに毛皮だし」
真望がそう言ってキレ散らかす。
「言われてみると、探索時に羽織っている日よけのマントは毛皮製だもんな。ちょっと熱い気はしていたんだよ」
俺は思い出したようにそう言う。まあ、数枚つなぐと簡易テント代わりになったり、敷布団代わりになったりして便利なんだよな。あの毛皮のマント。
「まあとりあえず、明日ぐらい一緒に行きましょ? タラのお鍋食べたいでしょ?」
麗美さんがそう言って真望を誘う。
「ま、まあ、最近、肉ばっかりだったし、たまには魚も食べたいけど」
真望も少し心が動いたようだ。
そんな感じで、明日はリハビリがてら南のダンジョンに魚の切り身のドロップを拾いに行く。
「ああ、あと、明後日は私に付き合ってね。みんながダンジョン攻略始めたら、拠点でガラス瓶を量産したいから、珪石を集めておきたいんだよね」
鈴さんがそう言ってウインクする。
「またあの山登りか」
一角がぐったりする。
そんな感じで明日と明後日の予定も決まり、夕食を終え、日課のお祈りをして、水浴びや歯磨きなど身支度をして就寝する。明日乃と数日離れていただけだが、その日の夜の明日乃の寂しがり方が半端なかった。
【異世界生活 117日目 2:00】
「明日乃、麗美さんを起こしてきて」
俺は明日乃にお願いする。
ダンジョン争奪戦に参加する為、早起きしないといけないのだが、麗美さんがまだ起きてこない。
まあ、昨日、寝たのが20時過ぎだったし、6時間睡眠では確かに足りない感じがあるが。
そんな感じで、寝ぼけ気味の麗美さんの身支度をさせて、彼女を引きずるようにして出発する。一角も眠そうで無口なまま歩き続ける。
白い橋の前で、一度休憩し、朝食を食べる。明日乃が用意したいつもの竹筒につめたお弁当だ。
朝食を食べ終わり、南の島に続く白い橋を渡り、魔物を警戒するが、端の前には魔物はいなかった。
ダンジョン争奪戦に集中しているのか、もしくは魔物の数自体少なくなって手が回らないのかどちらかは分からないが。
そのまま警戒しながら森の中に南に伸びる獣道を進み続ける。
「なんか久しぶり過ぎて懐かしくなってくるな」
一角がそう言って森の景色を見渡す。
「あんまりよそ見していると落とし穴に落ちるぞ」
俺は一角を冷やかすようにそう言う。
新しい罠は作られていないようだが、壊れたままの落とし穴などはあるので、よそ見をして歩いている一角が落ちる可能性はゼロじゃない。
「魔物も余裕がないみたいね」
麗美さんが壊れた落とし穴を見てそう言う。
まあ、だいぶ数を減らしたからな。自分の住んでいる集落を守るので精一杯なのかもしれないな。
【異世界生活 117日目 5:00】
そんな感じで、途中休憩をし、森を抜けるとダンジョンの入り口が見える。
そして、ダンジョンの前にはリザードマンが20体ほどで防御を固めており、入り口が開くのを待っている。
だが、リザードマン達が、俺達の顔を見たとたん、
「ギャア、ギャア、ギャア」
鳥だか恐竜だかわからない叫び声を上げて森に向かって逃げ出すリザードマン。
うーん、狩り過ぎたせいか、奴らのトラウマになってしまったようだ。
まあ、この島のリザードマンはレベルも低く、経験値効率が悪いし、ある程度数も減らしてあるので、これ以上狩る必要もないので今日は勝手に逃げてもらうことにする。
追いかけて倒すのも面倒臭いしな。
そんな感じで、ダンジョン争奪戦は不戦勝で1時間弱、ダンジョンの入り口を守りながら交代で休憩し、6時になったと同時にダンジョンの入り口が解放される。
いつものように、一角が真っ先に飛び込み、俺達も後に続く。
「今日はどうするの? 1階から攻略するの?」
真望が面倒臭そうに聞いてくる。
「そうだな。今日の目的は、マーマン型のウッドゴーレムがドロップするシャケの切り身とタラの切り身が目的だからな。4階からスタートかな。1階や2階の雑魚倒しても経験値の足しにすらならないし、3階もワーフロッグ型ウッドゴーレムでドロップアイテムは『カエルの足』。さすがにいらないもんな。敵のレベルは20で経験値効率も悪いし」
俺はそう言って4階からの攻略を希望する。
「なんか、ウッドゴーレムって言葉、久しぶりに聞いたわね」
麗美さんが懐かしむように言う。
そうだな。なんか言っている俺も懐かしさというか違和感しかなかった。
ちなみにこの世界のダンジョンは神様が作った演習用ダンジョン。俺達や魔物達がレベルを上げたり、武器や防具を入手したりするために作られたダンジョンで、魔物は出ずに、魔物を模したウッドゴーレムが敵になる。そしてウッドゴーレムにもかかわらず、なぜかドロップアイテムは武器や防具に混じって生肉や生魚、毛皮などもドロップしたりする。
「それと、レベル上げはどうする? 誰が魔物のとどめを刺す? 低レベルなダンジョンだからレベルアップは期待できないだろうけどな」
一角が俺にそう聞く。
まあ、そうは言っても1フロアに50体敵が出てくるダンジョンだ。経験値効率は悪くてもそこそこの経験値は手に入る。
「そうだな。難しいところだな。レベルアップが一番近そうなのは明日乃、今後、ドラゴンを倒すことを考えると、炎対策に水魔法が使える麗美さんが対抗手段になりそうな気もするし、たまにしか参加しない真望も参加していることだし、真望の経験値を増やすって事も考えられるしな」
俺はそう言って悩む。
「流司のレベルを上げて、ドラゴンにぶつけるっていう手もあるぞ」
一角が意地悪そうな笑顔でそう付け足す。
それを行ったら別に一角のレベルを41にしてドラゴンにぶつけともいいという話になる。まあ、一角の風属性とドラゴンの火属性はあまり相性よくなさそうだけどな。
「まあ、無難に麗美さんでしょ? 私のレベル上げてもドラゴンと同じ火属性じゃ役に立たなそうだし、今まで地道に頑張った麗美さんと一角ちゃんの魔物狩りでの経験値集めも無駄になっちゃうしね」
真望がそう言う。
そう言われりゃそうだな。
とりあえず、魔物狩りの努力も考えて、麗美さんのレベルを上げて、レベル41になったら一角のレベルも上げることになった。そして、2人のレベルが上がったら次は明日乃といった順番だ。
そんな感じで、4階からいきなり攻略を始める。
このダンジョン、一度クリアするとその階からスタートすることができるようになるので何度か5階まで攻略している俺達はどのフロアからでもスタートできるのだ。
とりあえず、4階の敵、マーマンの姿をしたウッドゴーレムを倒していき、ドロップした魚の切り身を回収していく。
このダンジョンはウッドゴーレムのレベルが21を超えると魔法を使いだすので面倒臭い。
物理攻撃、魔法攻撃を無効化する金剛義装という防御スキル、要はマナで作った着ぐるみみたいな鎧を使って魔法を無効化しながら倒していく感じだ。
「なんか、金剛義装も久しぶりに使った気がするな」
一角がそんな感想を漏らす。
「まあ、リハビリしておいてよかったって事だな。いきなり、南西の魔物の島に上陸して本格的な魔物狩りを始めていたら魔法に対応できなかったかもしれなかったぞ」
俺は笑いながらそう答える。
まあ、調味料を貰いに最初のダンジョンにはちょくちょく行っていたが、あそこは敵も魔法を使わないし、レベル的に敵が格下なので本格的な戦闘としてはノーカンとしておこう。
「そうね。敵が魔法を使うってこと忘れていたわ。白い橋の結界の中からの魔物狩りだとそれを忘れがちだもんね」
麗美さんもそう言って頷く。
農作業やガラス瓶作り、保存食作りなどの作業が続いていて本格的な戦闘から離れていたので、戦闘の勘が鈍っていたことを痛感させられる俺達だった。
そんな感じで戦闘の勘や流れを思い出しながらリハビリを続ける俺達。
4階のボスも無事に倒し、5階に進む。
5階のウッドゴーレムはリザードマン型でドロップする肉がトカゲ肉と微妙に要らないものをドロップする。とりあえず、トカゲ肉も青銅の武器や防具も要らないので、ドロップアイテムを無視しながら進んでいく。
「あ、レベルが上がったわね」
5階の途中で麗美さんがそう呟き、彼女のレベルが41になる。
経験値の効率は悪いがさすがに70体近い敵を倒せばレベルは上がったようだ。
新しい魔法の確認がしたいが獣化義装が解けてしまうのは勿体ないので、休憩まで我慢して、次は一角のレベル上げに専念する。
獣化義装が切れたところで、一度、安全地帯のエントランスまで戻り休憩と麗美さんの新しい魔法の確認をする。
「麗美さん、新しい魔法どんな感じ?」
俺は楽しみでさっそく聞いてみる。
「うーん、言わなきゃダメ?」
麗美さんがなんか微妙な顔でそう言う。
「え? なんで? なんか残念な魔法だったの?」
俺はあまりに楽しみで無神経に聞いてしまったことに後悔し聞き返すことを躊躇する。
「そうじゃないの、いや、そうとも言えるかな? 効果的には問題ないんだけど名前がね。『絶対零度』。ね、詠唱したくなくなるような名前でしょ」
麗美さんが恥ずかしそうにそう言う。
「かっこいいよ、麗美姉。私も早く次の魔法が覚えたくなったよ。アブソリュートゼロだよ、アブソリュートゼロ」
一角が何故か興奮する。
「ちょ、ちょっと恥ずかしいかな。な、なんというか、中二病っぽいというか、なんというか」
真望が残念そうな顔をして、明日乃も困った顔をする。
「まあ、なんだ。麗美さんが中二病って訳じゃないし、神様と一角のセンスがおかしいというか、中二病というか、ねえ。ここは神様のネーミングセンスの悪さのせいにして我慢して使うしかないんじゃない?」
俺は困り顔でそうフォローするしかなかった。
確かに詠唱するには恥ずかしい名前だ。リアル中二病の真望でも恥ずかしくなるくらい。
そして、一角がなんか怒っている。まあ、無視しよう。
「そうね、なるべく小声で詠唱するからみんな変な顔したり、突っ込んだりしないでね。とりあえず効果は凄そうね。凄く凍らせる魔法みたい。あと、絶対零度と言ってるけど本当に絶対零度になるわけじゃないらしいけどね」
麗美さんがそう説明してくれる。
なんかボケ満載の解説にちょっとスキルの解説が見たくなった。
まあ、麗美さんの上級魔法、『猛吹雪』の強化版みたいな感じかな?
「しかも、単体攻撃にも全体攻撃にもなるみたい。対象範囲を小さく絞れば極低温の単体攻撃になるし、範囲を広げれば敵1体当たりのダメージは下がるけど多数の敵を巻き込めたり、回避しにくくできたりする感じ? あまり攻撃対象を絞り過ぎると避けられる可能性も出るみたいね」
麗美さんが説明を続ける。
「名前はともかく、効果は凄そうだね。ドラゴンの炎も無効化できるかもしれないし、この間みたいにあたり一面マグマにされても冷やせそうな感じかな?」
明日乃がそうフォローする。
確かにそのまま上級魔法『猛吹雪』の強化版ならドラゴンの炎対策に使えるかもしれないし、対象範囲を狭めれば一撃必殺の明日乃の『光の槍』みたいに使えるかもしれないな。
「あとは『水の刃』お約束な魔法ね。水の精霊が出してくれた水を高圧で打ち出して物質を切断できる感じ? まあ、最上級魔法だから、マナとかお祈りポイントの消費が多すぎて使う機会なさそうだけどね」
麗美さんはもう一つ魔法を覚えたようだ。
まあ、確かに何もないところから水を出して、しかも高圧。マナを無駄に使いそうな魔法だな。
それと、中級の回復魔法を使えるようになったらしい。
このあたりは回復魔法の使用経験不足でなかなか覚えられない感じなのだろうか? 明日乃に回復を任せるのではなく、麗美さんにも積極的に使わせた方がいいかもしれないな。
一角が麗美さんの魔法の名前がかっこいいか悪いか論じだして、麗美さんが反応に困り出したので、とりあえず、スルーして、レベル上げを再開することにする。
麗美さんはこの魔法の名前のせいでこれから苦労しそうだ。
その後も獣化義装や金剛義装を上手く使い魔法を無効化しながらリザードマン型の敵を倒していき、最後のボスも倒し、ダンジョンクリア。
ダンジョンクリアの褒賞の調味料はとりあえず味噌をチョイスした。魚の切り身が手に入ったから今日は石狩鍋らしい。
それと、最後のボスが落とす青銅の両刃斧はなんか色々使えそうなので持ち帰ることにする。使わなくなったら溶かして何か別のものにしてもいいしな。
そして、最後に真望が1階の芋虫型のウッドゴーレムも倒してから帰りたいと言い出すのでみんなで付き合ってやる。
芋虫がドロップする絹糸が目当てらしい。明日乃もちょっと興味がありそうだったしまあよしとしよう。
そんな感じで大量の魚の切り身と絹糸、あと、持ち帰れるだけの青銅の防具を持って、拠点に帰る。
シャケの切り身は半身が5枚。7人で食べると2食でなくなってしまう量だ。とりあえず、貴重な食材なので水煮にして瓶詰めに。
タラの切り身は7人で食べても10食分くらいドロップしたので今日の夕ご飯にして残りは瓶詰めにする。魚の切り身の量もそんなに多くなかったので今日は余っていた空瓶でなんとかなりそうだ。足りない分は一夜干しにすればいいしな。
そこで、一角が文句を言い出し、タラのみりん干しが食べたいとうるさいので、夕方、最初のダンジョンにも潜り、みりんを調達。氷室に在庫してあった醤油も使ってみりん干しを作った。朝食は当分タラのみりん干しかな?
日が暮れて、拠点に帰ると、鈴さんと琉生と眷属達が作っていた牛小屋も完成していた。なんか、俺達が住んでいるツリーハウスと遜色ないくらい出来のいい竹で作った小屋が立っていた。まあ、これならついてきた牛の親子も後悔はしないだろう。柵もオオカミくらいだと壊せなそうな立派な物ができていたしな。
牛の親子も牛小屋で満足そうに暮らしていた。
【異世界生活 117日目 18:00】
日が暮れたので、明日乃と俺と琉生、料理担当組は一角が熱望した、たらのみりん干しの下ごしらえをしつつ、夕食の石狩鍋を作る。
シャケの切り身のドロップ率は低いので今日はタラの切り身と味噌で石狩鍋風にする。まあ、タラと味噌の相性もすごくいいんだけどな。
「久しぶりの魚は美味いな。ただ、タラを食べると湯豆腐が食べたくなるんだよな」
一角が美味しそうに食べつつまた余計な事を言う。
「タラの湯豆腐風の鍋は鰹節と醤油が必要だから今は無理かな? 干し昆布とネギはあるから、鰹節と醤油が手に入ったら作ってあげるね」
明日乃がそう言って笑う。
確かに昆布だしで茹でたタラをネギと鰹節の入ったしょうゆに付けて食べると美味しいんだよな。豆腐も食べたくなるが。
そんな感じで、久しぶりダンジョン攻略、リハビリをしながら一角が食べたがった魚の切り身を入手、シャケの水煮もできたし、石狩鍋も食べられた。そろそろ本格的に南西の魔物の島、新しいダンジョンの攻略も始めたいところだ。
次話に続く。