第127話 ブドウの加工
【異世界生活 106日 8:30】
「おかえり、みんな。ブドウの収穫はどうだった?」
留守番の真望が迎えてくれる。
ちなみに鈴さんは鍛冶工房に籠っているようだ。今日もガラス瓶を作っているらしい。
「ただいま。真望。整備されたブドウ畑ではなかったからそんなに多くは採れなかったな」
俺は真望に挨拶を返し、積んできたブドウを見せてそう答える。
「ワインを作るなら樽の大きさを考えないとね。あんまり大きい樽だと余計な酸素が入っちゃって発酵できないかもしれないし。酸素が多く入ると雑菌が繁殖しちゃう感じ?」
琉生がそう言う。巨大な樽を満タンにできる大量のワインが作れるほどたくさんブドウが採れなかったしな。
「鈴ちゃんに相談して、小さい樽を作ってもらわないとダメそうね。とにかく少量でもワインは作るわよ」
麗美さんがワインを作れないかもしれない危機感からかそう提案する。
「あとは、どう保存するかだね。ジュースもいいけど、実のまま湯煎してブドウっぽく食べるのもいいんじゃないかなって。ジュースにしちゃうと果肉とか搾りかすを捨てることになるしね」
明日乃がそう言って悩みだす。
「とりあえず、ジャムは保留にして、ジュースとそのまま水煮、あとワインの3種類? ジャムはパンができないと使いどころがないし、小麦が収穫出来てパンができるようになったら水煮のブドウをジャムにすればいいし」
琉生がそう提案し、その案で決定となった。なのでジャムづくりの事も考えて水煮が少し多めになる。
確かにパンがなければジャムがあっても意味ないしな。水煮は改めて潰せばジュースにもなるしな。
「ちなみに、ジュースってどうやって作るんだ? ジューサーとかミキサーとかないぞ?」
一角がそう聞いてくる。
「とりあえず、ジュースはジャム作りみたいな感じかな? お湯でよく煮て、ざるで軽く潰して濾す感じ? あまり皮や種をすり潰し過ぎると、渋み、タンニンが出ちゃうから潰し過ぎない方がいいんだよね。もしくは、煮る前に皮を剥いて、種を取ってから煮るっていう手もあるね」
明日乃がそう教えてくれる。潰し過ぎはよくないらしい。
明日乃は元の世界でもブドウジュースやジャムを作ったことがあるらしい。知り合いから大量のブドウを貰って食べきれず、今回のようにジュースやジャムにして保存がきくようにしたそうだ。
「ワインを作る際も適度な圧力で絞らないと、タンニンが出て渋みの強いワインになってしまうので注意が必要です」
秘書子さんがそう付け加える。
「まあ、量産するわけじゃないからざるとしゃもじで濾せばいいんじゃないかな?」
琉生がそう言う。
ざるはお茶作りなどでも必要だったので竹で作ったざるがあるのでそれで濾せばいいだろう。人手を使った人海戦術にはなりそうだが。
とりあえず、麗美さんと相談して、背負い籠7個分あるブドウのうち2籠分をワインに、2籠分をジュースに、2籠と半分をそのまま水煮に、半分は氷室に入れて早めにそのまま食べることになった。竹製の背負い籠は10キロ以上入れると壊れそうになるのでそれより少ない7~8kgくらいのブドウが入っている。
「じゃあ、私と琉生ちゃんでジュース作り始めちゃうから、麗美さんとりゅう君は鈴さんに樽の確認してきてね。一角ちゃんは、皮剥いたジュースも作るから、ブドウの皮むきと種取りをお願いね」
明日乃がそう言って、仕切り、ブドウの加工が始まる。
真望はブドウをひと房、味見をしてから、自分のツリーハウスに戻って麻布作りをするらしい。なんか、近いうちに全員分の麻の服ができるそうだ。
とりあえず、俺と麗美さんは鈴さんのいる鍛冶工房に行く。
ガラス作りはまだしていないようで、石灰石を焼いたり、珪石を砕いたりする作業をしているようだ。
「ただいま、鈴さん。ブドウ採ってきたよ」
鈴さんがそれほど忙しそうにしていなかったのでそう声をかけて、味見用のブドウをひと房持ってくる。
「ああ、おかえり。昨日結構ガラス瓶を作ったから、ジュースでもジャムでも結構作れると思うよ」
鈴さんがそう言って、作業台に並んだガラス瓶を自慢げに見せる。
うん、ブドウジュースと水煮をつくっても余りそうな量だ。しかも今日もさらに作るらしい。
「凄い量だね。これなら野菜や肉の水煮も作れそうだね。ご疲れ様」
俺はそう言って、鈴さんをねぎらう。
鈴さんは満足そうに笑い、さっそくブドウを食べ始める。ちょうどいいので、眷属達に作業を任せて休憩するようだ。
「それで、お願いしていたワイン用の樽なんだけど、どんな感じ? もしかして大きい樽とか作っちゃった?」
麗美さんが心配そうに聞く。
「ああ、さすがに、お酒飲むの麗美さんだけだし、私もちょっと飲もうかなってくらいだから、そんな大きい樽は作らなかったよ。ただ、ウイスキーも作りたいとか言ってたし、小さいのと中くらいのを数多めに作った感じかな? それなら、収穫量に合わせて樽の数を増やせばいいしね」
鈴さんはそう言って、鍛冶工房の隅にまとめられた樽の山を見せてくれる。
なんか抱えられそうな小さな樽が5つともう少し大きな樽が3つ用意してあった。
それと、洗濯するのにちょうどよさそうな桶? 足踏みするための桶もつくってくれたらしい。
「一応、小さい方が、6リットルくらい? 大きい方は10リットル入る感じかな? 6リットルあれば、ワイン瓶8本分くらいだから、どうせ、1樽か2樽くらいだろうなって予想して作ったんだけどどう?」
鈴さんがそう言う。
まさにぴったりって感じだ、ブドウ2籠で15~6kg、果梗、ブドウの果肉をつないでいる茎みたいなものを取り除くと、ちょうど小さい樽二つ分くらいって感じかな。
「ちょうどよいサイズで安心したわ。テレビとかで見たワイン工房とかの樽みたいな巨大な樽が待っていたらどうしようかとちょっと心配だったのよね」
麗美さんも安心してそう漏らす。
「ふふっ、ワイン工房の樽? あれって、1個で300リットル以上入るんだよ。さすがにそんなにたくさんブドウを採ってこれるとは思ってなかったし、ちょうどよかったでしょ?」
鈴さんがそう言って笑う。確かにちょうどいい大きさの樽だ。
とりあえず、小さい樽を二つと桶をもらい、たき火の方へ持っていく。鈴さんと眷属達で洗浄済みな上、トーストといって中を軽く焼く作業も済ませてくれているそうだ。このあたり、拠点に俺がいるときに鈴さんが秘書子さんから樽の作り方を教わっていたようだ。おかげで、当初、醤油樽みたいになる予定だったが、ちゃんとワイン樽のような形になっていた。
たき火のまわりに戻り、さっそくワイン造りを始める。秘書子さんに聞きながらまずは味を考えずにワインぽいものができたらいいねくらいのつもりで作り始める。
まず初めに、琉生に手伝ってもらいながら、傷んでいる果粒を取り除きながら、果梗茎みたいな部分から果粒を外して大きな桶の中に入れていく。
それを2籠分作業する。
明日乃と一角もジュースと水煮用のブドウを同じように果粒を外してお鍋代わりの土器に放り込んでいく。
除梗、ようは果梗を取り除く作業が終わったら、次は破砕。よく、昔のワイン造りみたいな話でよくある樽に入れて裸足で踏みつぶす作業だ。
これは麗美さんと琉生が交代で行う。
なんか男の俺が踏むとワインが不味くなりそうだしな。
なんかダンスみたいで楽しそうなので明日乃も加わってブドウを踏む作業をする。とりあえず、俺は観客として楽しませてもらった。
途中、明日乃は抜けて、ブドウを煮てジュースにする作業を始める。
一角は外した果粒をさらに皮を剥いて、半分に切って種を取り出す作業をしている。とりあえず、ジュースも水煮も皮を付けたままと皮と種を取り除いたものの2種類を作るらしい。
麗美さんと琉生は、その後ももう少しブドウを踏んでから、出来上がったものを鈴さんが作ってくれた小さい樽二つに入れて空気が入らないようにギリギリまで樽に入れて蓋をして完成。樽に入りきらなかった分はガラス瓶に入れてコルク栓をする。
樽でワイン造りを失敗した場合に瓶だったら成功するかもしれないということで瓶でも発酵させてみる。
あとはブドウの皮に元々ついているらしい天然の酵母がブドウを発酵させてワインにしてくれるそうだ。
「琉生ちゃん、さすがに2年は待てないから発酵を促進する魔法掛けてもらっていいかしら? 魔法掛けた方が完成する可能性も上がりそうだし」
鈴さんがそう琉生にお願いする。
お祈りポイントも結構余っているので、ここにいるメンバーもしょうがない顔をしながら承諾し、魔法をかけることにする。
「ワインの酵母さん、ブドウを美味しく発酵させてください。そして、土の精霊よ、神様の力をお借りし、発酵の助けとなる魔法の力を与えたまえ。『土を操る』!」
琉生が普段、麻の茎を腐らせるのに使っている魔法を少しアレンジしてワインに向けて使う。麻の茎で慣れたせいか、ブドウが土に接してなくても雰囲気で魔法が使えたそうだ。うーん、魔法のルールは適当だな。
これで、ワインに有用な酵母だけ活性化してワインの発酵の成功率が上がるらしい。そして、最低でも2年かかる発酵が半年で済むそうだ。
「それでも半年かあ、結構おあずけになるのね」
麗美さんが残念そうにつぶやく。
まあ、2年にくらべたら半年はだいぶ短くなったけどな。
出来上がったワイン樽は氷室の手前、琉生が掘ったトンネルに寝かせておくことになった。日の当たるところでは暑すぎるし、氷室では寒すぎるので、トンネルの入り口くらいのところが常温で、暗所、ワイン造りによさそうな環境なのでそこに麗美さんと俺で、樽を1個ずつ抱えて運び、安置する。琉生も瓶に入ったやつを運び、樽と一緒に寝かせる。
「美味しいワインができるといいわね」
麗美さんが楽しみそうにそう言って笑う。
俺達は未成年だから飲めないけどな。
帰りがけに鈴さんにもワインの仕込みが終わったことを伝えて、みんなが集まるたき火のまわりに戻る。
明日乃の1回目のブドウの煮込みも終わったみたいで、俺もざるで濾す作業を手伝う。
皮や種をつぶさない程度にブドウの汁を絞り出し、絞り出したブドウ水を煮沸した瓶に入れ、コルク栓で蓋をして、ビンごと煮沸、最後に松脂でコルク栓を密封し、完成だ。
粗熱が取れたら氷室で保存用の飲み物として冷蔵する予定だ。
【異世界生活 106日 12:00】
ここまでの作業で3時間、お昼になったので明日乃がお昼ご飯を作り始め、俺と琉生も手伝う。
明日乃はジュースを煮込みながら、クマ肉の燻製も作っていたみたいで、クマ肉のベーコンと野菜と、今朝採ってきたトウモロコシでスープを作る。
思ったよりブドウが採れなかったので、余ったリュックサックにトウモロコシを詰められるだけ詰めて、ブドウと一緒に琉生の召還した虎の霊獣に括り付けて運んできたのだ。背中の左右にリュックサックを縛り付けられた虎が3体、竹籠を縛り付けられた虎が1体、並んで歩いているのはなかなかシュールだった。
「ブドウの加工が終わったら、トウモロコシも水煮の瓶詰にしないとね」
琉生がお昼ご飯を作りながらそう言う。
「クマ肉も冷蔵してあるから、それも水煮にして保存食にするといいかもね」
明日乃も琉生に答えるようにそう言う。
「鈴さんが頑張ってくれたみたいだしな。結構な量のガラス瓶ができてたし、今日も追加で作るらしいからな」
俺も料理を手伝いながらそう付け足す。
とりあえず、今日はトウモロコシの水煮、明日クマ肉も水煮にする感じかな? 明日乃曰く、一緒にクマ肉と野菜の塩スープも作って保存しておくそうだ。温めてすぐ食べられる保存食って感じらしい。
お昼ご飯が出来上がり、鈴さんも作業が一段落したようで戻ってきて、みんなで昼食を食べる。
「りゅう君、はい、これ。搾りたてだよ」
明日乃がそう言って竹筒のコップを渡してくれる。そして、みんなにも配りだす。
コップの中には紫色の液体に氷が浮かんでいる。
「明日乃、これって、ブドウのジュースか?」
一角が少し興奮しながらそう言う。
「そうだよ。出来たて。氷はココちゃんに魔法で飲み水を凍らしてもらったの」
明日乃がそう言い、たき火のまわりで休憩していた眷属のココが恥ずかしそうな顔をする。
ココが水魔法を使えるようになったのはありがたいな。INTが高いココとシロは毎日少量だが魔法が使えるそうだ。しかもお祈りポイントを消費せずに。
「美味しいわね。ジュースがこれだけ美味しいとワインの方も期待しちゃうわね」
麗美さんがそう言って美味しそうにブドウジュースを飲む。
「ブドウ加工の作業はどんな感じ? ガラスの追加は夕方くらいになりそうだけど」
鈴さんがそう聞いてくる。鈴さんは工房に籠りっぱなしだしな。
「午後は、皮と種を取り除いてから煮るジュースを作って、ブドウをそのまま湯煎して保存食にした瓶詰めと皮を剥いて湯煎した瓶詰めを作る感じかな? あと、昨日収穫してきたトウモロコシも瓶があるだけ瓶詰めにする感じかな?」
明日乃がそう報告する。
「そうすると、今日作った分のガラス瓶が無駄になるね」
鈴さんが少しがっかりした顔になる。
「ああ、そのガラス瓶は明日、冷蔵してあるクマ肉を水煮にして保存食にする予定だから無駄にはならないよ」
俺はそう報告に付け加える。
「それに、これから保存食にしたい食べ物とかも増えるだろうしね。瓶はあればあるだけありがたいよ」
琉生がそう言って笑う。
「そうだな。干し肉より、水煮の方が美味しそうだしな。できれば肉は全部、水煮で保存して欲しいくらいだ」
一角が余計な事を言う。
今回のクマ肉も何割かはもう干し肉にしちゃったしな。
「まあ、でも、氷室に瓶詰め、食料の保存環境もだいぶ良くなったから、今まで以上に食材を美味しく食べられるようになったね」
俺はそう言って、氷室作りとガラス瓶作りの中心になった鈴さんと琉生、そして、氷の管理をしてくれている麗美さんとココを褒める。
「でも、ブドウジュースも飲み切っちゃったら終わりだろ?」
一角が残念そうにそう言う。
「また秋になれば他にもいろいろ果物が採れるだろうし、それでジュースを作ればいいよ。リンゴ、ミカン、オレンジ、モモ? あと、ブドウも種類によって秋までとれるものもあるし、別の場所に行けば採れるみたいだしね」
琉生がそう言う。
「リンゴジュースにオレンジジュースか。それもいいな。収穫時期になったら手伝うぞ」
一角がそう言って喜ぶ。
「リンゴのお酒もいいわね。シードルって感じ?」
麗美さんがお酒の話につなげる。
「麗美さんはお酒の事ばっかりだね」
明日乃が呆れ顔でそう言い笑う。
「お酒と言えば、ウイスキーの方は作れそう?」
鈴さんが明日乃と麗美さんに聞く。
麗美さんは首を傾げ、明日乃は困った顔をする。
「ウイスキーの方は、干したトウモロコシが乾き次第粉にして作る感じかな? 天日干しだから、乾燥までもう少しかかるよ」
明日乃がそう教えてくれる。
「必要なら、私が水魔法、乾燥させる魔法で何とかするわよ?」
麗美さんがやる気になり、明日乃が呆れる。
「まあ、お祈りポイントは無駄使いを始めるとキリがなくなりそうだしね」
俺はそう言って麗美さんを止める。
ぶっちゃけ、お酒を造るのに魔法を使う余裕があるならそのお祈りポイントでドラゴンに魔法を撃ちまくりたいくらいだ。ワイン造りでも少し使っちゃったしな。
「乾燥といえば、ブドウも少し乾燥させて干しブドウを作っておかないとね」
琉生がそう言う。
「干しブドウ? なんで? 水煮じゃダメなのか?」
俺は気になって聞き返す。
「うーん、良く分からないけど、煮詰めちゃったら、表面の天然酵母が死んじゃうんじゃないかな? 天然酵母がパン作りに必要だから、小麦が収穫できた時用に干しブドウも保存しておこうかなって」
琉生がそう言う。
「ああ、柔らかいパンを作るのに酵母は必要だもんね。水煮にする予定だったものを少し干しブドウにしておくね」
明日乃がそう答える。
「ブドウは色々用途があるから定期的にブドウを採りに行っておいた方がよさそうだな」
俺はそう言い、みんなも頷く。
【異世界生活 106日 13:00】
そんな感じで昼食を終え、デザートに冷やしたブドウも食べて午後の作業に移る。午後はブドウを身のまま水煮にする作業だ。
真望は麻布作り、鈴さんはガラス瓶作りをする。琉生は途中で抜けて、ニワトリの世話と畑作業をするらしい。
とりあえず、ブドウをよく洗い、果梗から果肉を外し、果肉が柔らかくならない程度に湯通しをし、湯煎で殺菌した瓶に熱湯ごといれて、空気が入らないように蓋をして冷やせば完成だ。
一応、皮と種を取り除いたものでも同じように水煮を作る。みんなで皮を剥き、ついでにトウモロコシも芯から実を外す作業をする。
剥き終わったところで、皮つきと同じように、湯通しして熱湯ごと瓶詰め、トウモロコシも煮詰めて、瓶に詰める。
トウモロコシの水煮を作ったところでガラス瓶の在庫が尽き、作業終了。残ったトウモロコシは明日、クマ肉の水煮を作る時に一緒に水煮にしたり、スープにして瓶詰めにする予定だ。
それと、琉生から要望のあった干しブドウも水煮の量を減らして作っておく。パンを作る時の酵母の材料になるらしい。
結局、背負い籠7個分、だいたい56キロのブドウを加工した。内訳は、
16キロ(籠2個分)をワインに。発酵させて絞ると6~7リットルのワインができる予定。
16キロ(籠2個分)をジュースに。搾りかすや果梗など捨てる部分があるので半分以下に減って6リットル。鈴さんが作ったガラス瓶が1個500mlくらい入るらしいので10本のぶどうジュースが出来上がる。2本分、お昼に飲んでしまったので10本だ。
16キロ(籠2個分)を水煮に。水のかさもあるので、水煮が30本以上、ひと瓶にブドウひと房弱入っている感じだ。
8キロ(籠1個分)はみんなで食べたりして、残った半分を干しブドウにした。
ジュースにしろ水煮にしろ、あまり量は作れなかったので、結構な嗜好品になってしまったな。特別な時に氷室から出してみんなで飲んだり食べたりする感じになりそうだ。
【異世界生活 106日 17:00】
作業を終え、少し早めに夕食にする。昨日、今日と色々働いたしな。早めに寝るのもいいかもしれない。明日も今日できた瓶でクマ肉の瓶詰を作る予定だし。
「そういえば、パンと言えば、小麦の収穫はどうするんだ? そろそろじゃないか?」
俺は作業をしながら琉生に聞く。
「そうだね。そろそろ収穫に行きたいね。ただ、量があるから砂糖作りをした時みたいに向こうで泊りかな? 刈った後、干したりもしないといけないし」
琉生がそう言う。1週間以上かかるかもしれないな。
「私は小麦も重要だが、魔物狩りに行きたいぞ」
一角が不満そうに言う。
「一角さんと麗美さんは魔物狩りでいいんじゃないかな? 琉生と流司お兄ちゃん、明日乃お姉ちゃん、3人でゆっくり作業するよ」
琉生がそう言う。
長丁場になりそうなので役割分担をしてという事になりそうだ。
「眷属達も連れて行けばいいよ。拠点防衛は私と眷属、2~3人もいればいいしね」
真望がそう言う。
というか、真望留守番する気満々のようだ。
「私は、小麦刈りの方に行こうかな? 将来的に北の平地にも仮拠点が必要そうだし、いい機会だから、このタイミングで作ろうかなって。それに、明日ガラス瓶作ったら、珪石も在庫無くなりそうだしね」
鈴さんは小麦の方に参加のようだ。
明後日あたりから小麦の収穫も始まりそうだ。
この間に南東の島に住みついてレベル上げの邪魔をしているドラゴンも自分の住処に帰ってくれているといいんだが。
次話に続く。




