第110話 南東の島のダンジョンを再攻略(スキップ回)
【異世界生活 82日 1:00】
睡眠時間5時間。ちょっと寝不足だな。
今日は、前回、5階の前半で攻略失敗、撤退した南東の島のダンジョンに再挑戦する。
たぶん、俺達のレベルが不足しているので、何度かダンジョンへの挑戦と途中撤退が続きそうな気配だ。今は補助魔法によるステータスアップで無理やり5階のレベル35の敵を倒している感じなのだ。
ちなみにみんなのレベルだが、
流司 レベル34 レンジャー 剣士
明日乃 レベル32 神官 聖魔法使い 剣士
一角 レベル32 狩人 剣士
麗美 レベル33 医師 剣士 治癒魔法使い見習い
琉生 レベル31 テイマー ファーマー 剣士
そして今日の拠点での留守番役は真望と鈴さん。
真望 レベル31 裁縫師 剣士
鈴 レベル31 鍛冶師 建築士 剣士
現在、こんな感じだ。
敵のレベルが35に対し、俺達の平均レベルは32~33。明らかにレベルが2~3足りないし、戦闘が苦手な明日乃はもっと上げたいところだ。
当分はレベル上げだな。
いつもの一角のボヤキを聞いて、明日乃が麗美さんを起こして、拠点を出発する。
【異世界生活 82日 2:30】
拠点から南東に歩き、1時間半。魔物の島につながる白い橋の前に到着する。
そこで、持ってきた薪に松明で火をつけ、お弁当を温める。少し早いが朝ごはんだ。
とり肉が沢山ドロップするようになったので今日はとり肉と野菜の塩肉野菜炒めだ。そしてお昼のお弁当も同じメニューになる。
「とりあえず、2~3日はダンジョンを途中撤退しつつ、レベル上げって日が続きそうだな。それと、島の魔物も多いからどんどん減らす作業もしないとダメそうだしな」
俺は朝ご飯を食べながら今後の予定を考える。
「ワーウルフもハーピーも結構残っているし、もう一群の魔物、多分ワーラビットかな? それに関してはいまだ戦ってもいないしね」
麗美さんが困った顔をしながらそういう。
とりあえず、魔物達の集落を守るので精一杯になるくらいの数まで魔物を減らす必要がある。
「ダンジョンクリアして、調味料が貰えるのなら、何度も攻略挑戦してもいいんだけどな」
一角が愚痴を漏らす。
「だったら、一つ前のダンジョン、南の島のダンジョンを何度もクリアしてレベルを上げるっていう手もあるぞ。それなら比較的余裕でクリアできるし、調味料も毎回手に入るしな」
俺は一角の愚痴に対しそう答える。
「それはダメだ。それだと、南東の島の魔物がいっこうに減らないし、経験値効率も南東の島のダンジョンのほうがいいしな」
一角がそう言って、俺の案を却下する。
まあ、俺としてはどっちでもいいんだけどな。1日でも早く7つのダンジョン全てを攻略できれば。
そんな感じで作戦会議をしながら朝食を食べ終わり、片付け後、白い橋を渡り南東の島に渡る。
今日も白い橋の前には魔物がいない。ダンジョン争奪戦で忙しいといった感じだろう。
実際、争奪戦と言っても、ハーピーはダンジョンに入る気がないし、ワーラビットは多分、弱いのだろう。ダンジョン争奪戦に参加する気配もない。
とりあえず、魔物の島に渡った後は目の前に南東に伸びる獣道に沿って歩きながら、左手にある山に住むハーピーを警戒しつつ、右手の森の中にあるワーウルフが作ったハーピー対策の罠を破壊しながらダンジョン前の広場をめざす。
山の中腹で円を描いて飛ぶ数匹のハーピーを確認するが、今のところ俺達への関心は低く、距離もあり、襲ってくる気配はないようだ。
「一角、止まれ。目の前に落とし穴があるぞ。とうとうワーウルフは俺達を警戒するための罠も作りだしたみたいだな」
俺はそう言って、一角を止める。
俺のレンジャーのスキル、『危険探知』は精神を集中することで、隠れている魔物の気配や、罠の存在を察知することができるのだ。罠があると、罠の付近が怪しい緑色に光る。そんな感じのスキルだ。
俺は、近くに落ちていた大きな岩を持ち上げると、落とし穴がありそうな場所に投げる。
そして巨大な穴が口を開け、中には木の槍が何本も立てられ、落ちた獲物を串刺しにする構造のようだ。
「いつ見てもエグイ罠だな」
一角が嫌そうな顔でそう言いながら俺が壊した落とし穴を回避していく。
その後も、左手の山のハーピーを警戒しつつ、右手の森や今歩いている獣道にある罠を警戒し、破壊しながら、ダンジョン前の広場に向かっていく。
『危険探知』のスキルで俺の疲労が半端ないので途中休憩しつつ、目的地のダンジョン入り口とその前に広がる広場に到着する。
前回同様、ダンジョンの入り口の四方を囲むように守るワーウルフ30体。
そして、俺達を遠回しに監視するようについてきていたハーピーも山の中腹にワーウルフと対峙するように布陣する。
俺達も前回と同じように、ワーウルフの正面に、ハーピーと挟む形に布陣する。両方一度に相手にすると骨が折れるからな。
今日は獣化スキルや聖魔法による補助、ステータス上昇はなし。魔法を使われることを警戒しての獣化義装のみでワーウルフに挑む。
まあ、魔物の場合、マナ=経験値ということで、魔法を出し渋る傾向がある。もちろん、俺達もお祈りポイントというものがあって、魔法が比較的自由につかえるのだが、お祈りポイントもあまり減らしたくないと出し惜しむ。あまり魔法の撃ち合いにはならないのだ。
ただし、魔物を瀕死状態にして隙を見せると近距離から魔法を使われる危険性がある。死ぬとわかってマナを出し惜しみする意味はないからな。これには注意が必要だ。
そんな感じで、魔法を使わせないためにも即死をめざした、魔法を使わせない攻撃を心がけ戦闘をする。明日乃も孤立しないように琉生と一緒に戦闘に参加し、ワーウルフと戦う。
平地での戦いが落ち着きだすと、ハーピーも山側を守っているワーウルフに攻撃をしかけ、数の暴力でワーウルフを倒していき、そして、食べる。
「うわー、いつ見てもグロいな」
一角がそう言って眉をしかめる。
「魔物達が経験値を手に入れるには食べるしかないみたいだしね」
麗美さんもそう言って眉をしかめる。
俺達の場合、神様にお祈りをして、魔物の死骸をマナに還し、その何割かが浄化されたマナが俺達に返ってきて、それが経験値になる。そんな流れだが、魔物達は神に祈ることを知らない。だから直接口から摂取して体の中でマナ、経験値に変えるのだ。
俺達は、食事を終えたハーピーが俺達に襲い掛かってこないか警戒するが、今日は襲ってくる気配がない。そのまま、山の中腹に鎮座し俺達を観察している。
まあ、俺達と戦っても結界があるので攻撃は無意味と薄々勘づいているのかもしれないな。
そんな感じでハーピーと睨み合いながら、ダンジョンの開放される6時を待つ。
俺としては、せっかく鈴さんに作ってもらった投槍器、アトラトルを試したかったのだが、あえて戦う必要のない相手に喧嘩を売るほどアホじゃないしな。
そのまま、ハーピーと戦うことはなく、6時になりダンジョンが開く。
ハーピーとのにらみ合いでろくに休憩もできなかったので、ダンジョンのエントランスで少し休憩する。
落ち着いたところで、ダンジョンの3階から挑む。
ぶっちゃけ、1階と2階の敵はレベル10で初心者向けのサービス階。逆に俺達レベル30越えのメンバーにすると経験値が不味過ぎていく価値もないフロアになってしまっている。
3階はレベル20のワーラビットを模したウッドゴーレムが出るエリア。格下の敵なので特に何の問題もなくクリアしていく。
とりあえず、今日は一角のレベルをひたすら上げて、補助魔法無しでも戦えるようにする。
ボス部屋のボスはレベル30のハーピー。中級魔法を使ってくるので、麗美さんの金剛義装で1発撃たせてからボス部屋に突入するいつものやり方だ。
3階のボス部屋をクリアしたところで、貢献ポイントで明日乃のレベルが上がる。レベル33だ。
3階のボスを無事に倒し、4階は魔法を使うハーピーが雑魚で出るエリア。敵の数に合わせて金剛義装を使うメンバーを増やしながら、4階のボス部屋と同じように攻略し、進んでいく。
4階のボス部屋前で一度休憩。全員補助魔法や獣化義装をかけ直し、ボス部屋に挑む。
4階のボスはレベル35のワーウルフを模したウッドゴーレム。上級魔法を使ってくる強敵だ。みんなの金剛義装で敵に魔法を使わせ、最後は俺が補助魔法2重掛けでボスを抑える。
何とか苦戦しつつも4階のボス部屋もクリアし、補助魔法や獣化義装が勿体ないのでそのまま5階の前半部分へ。敵が2体出るエリアまで行き、一度エントランスまで戻り休憩だ。
「レベルが35になったぞ」
一角がドロップした鉄の防具に着替え終わりそう言う。
4階と5階はかなり経験値効率がいいようで、レベル32だった一角がいつの間にかレベル35になっていた。敵と同レベル。目標達成といった感じだ。
「これで、一角ちゃんも5階で壁役できるようになるわね」
麗美さんがそう言って少し喜ぶ。
「というか、一角、防具もコンプリートしたんだな」
俺は防具を着替え終わった一角を頭からつま先まで眺めてそういう。
鉄製の鎖帷子がちょっとうらやましい。
「ああ、武器も鉄製だぞ」
一角は嬉しそうにそう答え、鉄製の両刃長剣を構える。
片手でも両手でも使えそうなちょうどいい長さの両刃長剣だ。
俺も変幻自在の武器がない時やサブウエポンとして欲しくなるいい感じの武器だ。
その上、小盾と呼ぶには少し大き目な、丸盾と小盾の中間くらいの鉄の盾も使い勝手がよさそうでちょっとうらやましくなる。
そして、麗美さんはそれ以上にうらやましそうな眼をする。
「そうだ。一角のレベル上げも一段落したし、残りのワーウルフ型のウッドゴーレムは麗美さんが倒せばいいんじゃない? 最前線で戦ってるし、鉄の防具が揃っていた方がいいだろ?」
俺はそう言ってフォローする。
「そうね。私レベル上げも今からやっても焼け石に水だろうし、りゅう君のレベル上げは明日以降でもいいしね」
明日乃もそう言って賛成する。
麗美さんはいつも貢献ポイントだけでレベルが上がってしまい、防具のコンプリートが遅いのをいつも悲しんでいたしな。
「それじゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら?」
麗美さんが少し嬉しそうにそう言い、敵が4体出るエリアの手前まで麗美さんのレベル上げというより装備集めをすることになった。
一角が補助魔法無しで、壁役を出来るようになったので敵が同時に3体出るエリアまで進めるようになったのだ。
敵が4体出るエリアを攻略できるようになるには明日乃のレベルがかなり上がり壁役を出来るようにならないと難しそうだ。
明日乃のレベル上げはかなり苦戦しそうだが。
先ほど、撤退したところまで戻り、麗美さんのレベル上げ。敵が2体ずつ出るエリアの残りと敵が3体ずつ出るエリアの半分を麗美さんがとどめを刺したことで、防具がコンプリートし、残りは俺がとどめを刺し、防具集めをさせてもらった。
結局、俺の防具は全部揃わなかったが、欲しかった鉄の鎖帷子までは入手でき、残りは鉄の剣と鉄の盾というところまでは防具が揃った。
そして、今のレベルでは無傷で4体の敵を相手にするのは難しいという状況になり、ここで撤退する。
それでも、レベル35の敵を15体余計に倒すだけでもかなりの経験値アップにつながった。
俺と麗美さんのレベルが一気に36に。琉生も貢献ポイントでレベルが一つ上がりレベル32になった。
とりあえず、鉄製の防具だけ持ち帰り、とり肉は余り気味になりそうなので、今日明日食べる分だけを持ち帰りあとは廃棄する。
帰りのワーウルフの待ち伏せはなかった。そろそろ、魔物の人数的に人数を割くのも厳しくなってきたか?
ハーピーは俺達のドロップアイテムを横取りしたいらしく、前回同様襲ってきたが、いつもの明日乃の結界とクロスボウ、そして俺の新武器、投槍器、アトラトルの活躍でハーピーを一方的に打ち負かす。
特にアトラトルの威力と射程はヤバかった。俺の『投擲』のスキルもあり、命中率が高い上に威力も射程もある。ハーピーを1撃で仕留めることも可能になった。そんなヤバい武器だった。
気分は、小学校の野球小僧がいきなり160km/hの剛速球を投げられる大リーガーになれる。それくらい気持ちいい投擲補助武器だった。
拠点に帰ると、14時。3階からスタートしたので早く帰れた感じだ。
今日も鈴さんと真望は改良版のはた織機を作っていたようで、細かい手作業でふらふらになっていた。
一角が1つ目のダンジョンに調味料を取りに行きたいというが、留守番の二人は疲労でふらふら、琉生は畑作業やニワトリの世話をしたいと、5人面子が揃わず。
仕方がないのでみんなで琉生の畑作業や田んぼの作業、ニワトリの世話を2時間手伝ってから1つ目のダンジョンに。
今日はケチャップを貰い、ダンジョンのドロップアイテム『とり肉』を焼いてケチャップで食べる。
とり肉の脂が出て、ケチャップとの相性は最高。なかなか美味しい夕食だった。
【異世界生活 83日 1:00】
今日も昨日同様、南東の島で魔物狩りとダンジョン攻略でレベル上げだ。
メンバーは昨日と同じ。帰ってきたら琉生の畑仕事を手伝うという条件で琉生にも連日で参加してもらう。
ダンジョンの争奪戦は規模が小規模になった。ワーウルフが20体にハーピーが20体。いつも通りハーピーは様子見だ。
昨日同様、地上のワーウルフ10体を倒すと、山の中腹を守っているワーウルフがハーピーに倒され、ハーピーはまた様子見。俺達は6時になると同時にダンジョンに入る。
ダンジョンの攻略も昨日とほぼ同じだ。3階から攻略を開始し、今日は明日乃のレベル上げをする。
明日乃のレベルを35以上、できれば40近くまで持っていきたい。INT特化で戦闘が苦手な明日乃だ。敵より3~5くらいレベルが上ではないと対等に戦えるステータスにならないのだ。
とりあえず、昨日、攻略に詰まった5階の中盤まで進み、明日乃のレベル上げをする。
みんなレベルが上がってきたので明日乃の補助魔法無しで進めるようになり、4階までは結構余裕になってきた。
5階の敵が4体出てくるところで、一度エントランスまで戻り休憩する。
明日乃はドロップアイテムの防具を上の階のエントランスで着替える。
「別に、明日乃ちゃんは流司クンに見られても問題ないだろうにね。流司クンも明日乃ちゃんの裸なんて見飽きるほど見ているだろうし」
麗美さんが明日乃と俺をそう冷やかす。
「問題あります!!」
明日乃がそう言って顔を真っ赤にし、上の階に行ってしまう。
俺もそう言われてもどう答えていいのか困る。
「みんな結構レベルが上がったな」
俺は誤魔化すようにそう言う。
実際、みんな貢献ポイントでレベルが上がり、俺と麗美さんはレベル37、一角はレベル36、琉生もレベル33になった。
そして、今日1日養殖した明日乃に限ってはレベル39だ。
「次はどうするの?」
麗美さんが聞いてくる。
「琉生が補助魔法無しでも壁役ができるようにレベル上げするか、ボス部屋対策で俺のレベルを上げるかってところだろうな」
俺はそう答える。
「そうね。琉生ちゃんのレベルを上げて、ボスのレベル次第では今日、このダンジョンも攻略できちゃうかもしれないわね。明日乃ちゃんのレベルが39だし、とりまきの壁役くらいなら十分できそうだしね」
俺の答えを聞き、麗美さんがそう言う。
「それにしても、予想より早くダンジョンクリアできそうだな」
一角が少し嬉しそうな声でそういう。
「ああ、5階の経験値効率が半端なかったからな。補助魔法で無理しながらのレベル上げだったけどやった価値はあったな」
俺はそう答えるが、俺自身も結構計算外な攻略の進み具合だった。
まあ、5階の敵はレベル35。経験値も1体で40000ポイント近くもらえるからな。このあたり計算を誤っていたようだ。
「最後のボスが1ランク上、レベル41以上じゃなければ挑戦してみましょ? 流司クンも補助魔法かけまくれば格上でも戦えるでしょうし」
麗美さんが気軽にそういう。
俺としたら、結構毎回、ボスを抑えるのがきついんだけどな。
そんな話をしていると明日乃が防具を着替えて戻ってくる。明日乃も鉄の防具をコンプリートだ。そしてもう一組、予備防具も揃ってしまった。
「私としたら、槍で戦いたいんだけどな。剣と盾はどうしても戦い慣れていなくて」
明日乃が新しく手に入れた鉄の剣と鉄の盾に戸惑う。
「ダメよ、明日乃ちゃん。これからどんどん壁役もやらなくちゃいけないんだし、慣れると壁役は盾と剣でやった方が楽になるわよ」
麗美さんがそういうが、麗美さん自身は薙刀風の武器や長柄斧槍、日本刀のような両手持ちの片刃剣で戦っているところしか見たことがない。盾を使ったことないんじゃないか?
そんなことを思いついたがとりあえず、スルーしておく。明日乃の戦術には関係ない話だしな。
「とりあえず、次の戦い、残りの敵で琉生のレベル上げと装備の充実。敵が余るようなら、俺がレベル上げをしてボスに備える感じでいいかな?」
俺はそう言い、みんなが頷く。
そして、さっき撤退した、敵が4体出始めるエリアに戻り、レベル上げを再開する。ここからは戦闘に全員参加という感じだ。
明日乃も言うほど、剣や盾の扱いに困る様子はなく、苦戦しつつも、上手く剣と盾を使い分けられている。
琉生に最後のとどめを刺させて、琉生を養殖する。
ボス部屋手前で琉生のレベルは36に。
そして、明日乃も、養殖したときの経験値の残りと貢献ポイントでレベル40になる。
「うひゃぁ」
明日乃が素っ頓狂な声を上げる。日ごろ聞いたことない声だ。
「どうした? 明日乃?」
俺も慌てて聞き返す。
「う、うん。経験値をみたら、次にレベル、レベル41になるのに必要な経験値が105万ポイントだって」
明日乃が少し顔を青くしながらそういう。
「いつもの、ランクアップ時に必要経験値が跳ね上がるってやつね」
麗美さんが呆れ顔でそういう。
毎回苦労させられているもんな。ランクアップには。
「まあ、でも、この階の雑魚だって1体で経験値4万弱、仲間への貢献ポイント引いても2万近くもらえるんだから、このフロアでもう1回養殖すれば105万なんてすぐだ」
俺は明日乃を慰めるようにそう言う。
「そう言われるとそうだね」
明日乃がケロッとした顔でそういう。
計算し直せば結構無理な数字ではない。
「ただし、それがずっと続くし、7人分やらないといけないのがね」
麗美さんが疲れた顔でそういう。
「ま、まあ、次のダンジョン、4つ目のダンジョンもあるんだし、そこに行けるようになればさらに効率よく上げられるんじゃないかな?」
今度は麗美さんのフォローをする。
そして、周りを気にせずに着替えだす琉生。今手に入れた鉄の防具にさっそく着替えるようだ。
「もう、琉生ちゃん、少しは羞恥心ってものをね?」
明日乃がそう言ってたしなめるが、
「え? 別に、流司お兄ちゃんとはお風呂に入っていた仲だし、気にしないよね?」
そう言って、琉生は青銅製の鎖帷子を脱いでインナー1枚になる。
まあ、一番下にみんな、最初のダンジョンのラスボスがドロップする革製のぴっちりした上下のインナーを着ているので丸裸になるわけではないしな。
「というか、いつの話だ。一緒に風呂に入ったなんて話は」
俺は、思わず聞き流しそうになってしまうが、一応突っ込んでおく。
そんな感じで、装備も大体揃い、なんとか、3つ目のダンジョンのボス部屋に挑めるレベルまでレベルアップすることができた俺達。
一角念願の自分用の変幻自在の武器をめざし、ラスボスに挑む。
次話に続く。




