第95話 ニワトリ小屋を作りと水道を作り(中編)
【異世界生活 68日 5:00】
昨日は熊肉の処理と焼肉パーティで寝るのが遅くなってしまい、1時間遅く起きる俺達。
干し肉にできなかった脂身の多いクマ肉をクマ鍋にして朝食として食べる。
琉生がニワトリたちに早く小屋を作ってあげたいと、日課の剣道教室はお休みにしてニワトリ小屋づくりをすることになった。
一角もニワトリが気になるようで、魔物狩りを午後に回し、ニワトリ小屋を作る手伝いをするそうだ。
なんか、琉生と鈴さんは朝食を食べながら、ニワトリ小屋の設計図を地面に書いて議論している。
俺と明日乃と真望は昨日、塩を入れた海水に浸けておいた熊肉の薄切りを、一夜干し籠に入れて吊るす作業をする。
琉生と一角、麗美さんと眷属4人は鳥小屋を作る材料、竹を竹林に取りに行く。
鈴さんは水浴び小屋作りで残った竹を鳥小屋の設計図を参考に切る作業のようだ。
というより、普段から眷属達が竹集めをしてくれているようで拠点の裏庭に大量の竹が積まれている。
竹を切りに行ったメンバーが帰ってくるころには熊肉を干す作業を終え、俺もニワトリ小屋作りに加わる。
麗美さんと一角は竹林で竹を切り続けているらしいので、俺は琉生と竹を運ぶ作業をする。明日乃と真望は水浴びと洗濯がしたいらしく、一時的に眷属達と鈴さんに留守番を任せて一緒に竹林まで行く。
ちょうどいいので、俺も交代で水浴びをさせてもらう。
なんか、琉生としてはニワトリを遊ばせる庭も作るらしく、強固な柵を作りたいらしい。
一角と麗美さんは午前中いっぱい竹を切り、眷属達は切った竹を1日かけて運ぶらしい。
全員の水浴びが終わると、俺、琉生、明日乃、真望の4人で竹を持って拠点に帰る。
それ以降は眷属達が竹運びを代わりにしてくれるようだ。
とりあえず、竹を持って戻ってきた俺と琉生は鈴さんと合流して鳥小屋の製作に入る。場所は拠点の北の端、臭いが出るのでツリーハウスから少し離れ、海風を考えて風下になる位置に建てる。拠点の柵の中に作るそうだが将来的には柵を広げて、ニワトリ用の大きな庭を作るそうだ。
鳥小屋だが、基本的にはツリーハウスと同じ構造。小さいツリーハウスを作る感じだ。オオカミなどに襲われないように高床式にして、スロープをつけてニワトリが出入りできるように、夜の間はスロープを外して獣を寄せ付けない設計にするらしい。まあ、世話をする作業が面倒になるのであくまでも胸の高さくらいの床の高さだ。
最初に竹の柱を四角く何本も立てて、横の梁をかけ、梁の上に4分の1に割った竹を敷いて床を作り、屋根と壁はツリーハウスと一緒。半分に割った竹を交互に組んで、雨風をしのげるようにする。
最後に扉をつけて出来上がり。
残った竹で柵を作り、竹を編んで目の荒い籠の様にしたものを網として柵に取り付ける。簡単な檻だ。
小さい庭と、立派な鳥小屋が出来上がる。
将来的には琉生がこの柵と竹かごの様な網をたくさん作って庭を広げていくらしい。
「すごいな、もうできたのか」
一角がニワトリ用の小さい庭と小屋を見て感心してそう呟く
お昼近くになり一角と麗美さんが竹を持って帰ってくる。
「ニワトリさん達、狭い竹かごの中じゃかわいそうだから移してあげないとね」
琉生はそう言って、小屋に枯草を敷き、高床の下あたりにも枯草を敷く。
「あ、餌箱と水飲み用の容器も作らないと」
琉生が足りない物に気づきそう言う。
「とりあえず、丸太でもくり抜いて水飲み容器と餌箱も作ってあげるよ」
鈴さんがそう言い琉生が喜ぶ。
お昼まで、琉生と俺と一角は拠点のそばでニワトリが好きな雑草を集めてくる。
鈴さんと麗美さんはクロスボウ作りで余った丸太を半分に割って、中をくり抜き餌箱と水飲み容器を作ってくれたようだ。
餌箱に採ってきた雑草を細かく切って入れ、顔を洗ったり、歯を磨いたりするときに使う、水瓶に入った日常用水から水を分けてもらい、水飲み容器に入れる。
餌にはタンパク源として魚の干物をほぐした身も少し入れてやる。
「よし、ニワトリたちを放してやるか」
一角が楽しそうにそう言って、竹かごを被せて逃げないようにしていたニワトリを出すと掴んで庭に放していく。琉生や俺も同じようにニワトリを移動させる。
最初はパニック起こしていたが、エサや水を見つけると落ち着きだし、エサを食べ、最後は落ち着く場所を見つけたのか、小屋の下にひいた枯草のあたりに集まって落ちついたようだ。
「うん、ニワトリたちも気に入ったようだね」
琉生は安心した顔でそう言う。
柵も高いから、獣に襲われることはなさそうだし、ニワトリも飛んで逃げられなそうだし、大丈夫かな?
とりあえず、お昼になったので、たき火の方に戻って昼食にする。
昨日のクマ肉の脂身の多い部分を焼いて食べる。
いつも集まるたき火の位置からもニワトリ小屋が見えるし、ニワトリが騒げば聞こえる位置だ。大丈夫だろう。
【異世界生活 68日 13:00】
午後からは、一角と麗美さんは南東の魔物の島に魔物狩りに。
琉生は畑作業やニワトリ小屋の手入れと庭の拡張をめざした作業をするそうだ。
真望は熊の油作りをしながら、いつもの麻糸作りと麻布作り。油の番はレオがやるらしい。
俺は鈴さんと明日乃、レオ以外の眷属達、ココ、アオ、トラの3人と泉の方に行き水道作りをする。
今日は鈴さんが水道をつなげる作業、助手は眷属のトラ。俺は竹林で竹を切り、明日乃とココが竹の節を抜いてパイプにする作業を受け持つ感じだ。アオは竹を水道の工事現場に運ぶ役をする。
「なんかアオもココも慣れた感じで作業するな」
俺はてきぱきとパイプを運ぶアオの姿を見てそう言う。
「そうだね。昨日、私達が北の平原に食料探しに行っていた間、アオとトラは鈴さんと水道作りをしていたらしいからね。なんか動きが職人さんみたいだよ」
明日乃がそう言って笑う。
とりあえず、俺と明日乃、そしてココはひたすらパイプ作りとパイプを上空に走らせるための三脚の材料になる竹をどんどん作っていく。パイプの数があれば、最悪、明日以降、俺や明日乃が用事で手伝えなくなっても鈴さんと眷属達で水道作りはできそうだしな。
そんな感じで、夕方まで竹林でひたすら竹を切り水道作り1日目、いや、以前、1日水道は作っているので2日目か。水道作り2日目が終わる。
拠点に帰ると一角と麗美さんも魔物狩りから帰ってきており、明日乃と俺で夕食を作って、日が暮れると琉生もニワトリ小屋から帰ってくる。
夕食を食べ、日課のお祈りをして、就寝する。
【異世界生活 69日 6:00】
「じゃあ、行ってくるね、流司お兄ちゃん」
そう言って、琉生と一角と麗美さんが出かける。それを見送る俺。
一角が、一昨日の場所に行けばニワトリがもっといるかもしれないと言い出し、琉生も、野菜や野菜の苗をもっと収穫したかったという話になり、2人だけだとちょっと危険だろうと麗美さんも加わり、3人で野菜の収穫とニワトリ探しに行くことになったらしい。
琉生の霊獣を召喚して荷物を運ばせればもっと野菜を運搬できた。ということに昨日気づいた琉生は、空の竹かごを大量に持って3人は出かけて行った。
今日も、俺と明日乃と鈴さんは眷属のココ、アオ、トラの3人と水道作り。
真望は麻糸と麻布作り、レオは熊の油を煮詰める仕事だ。ただし、氷の魔法で油を冷やす役の麗美さんが探索に行ってしまったので、油作りは朝の1回と麗美さんが帰ってきてからの夕方の1回になるらしい。
「そういえば、真望とレオだけで拠点防衛は大丈夫なのか?」
俺は気になって聞いてみる。
いつも、最低でも1人+眷属2人は残すのだが、今日は真望とレオの2人だけだ。
「ツリーハウスの中ではた織りするし、入り口をしめておけばクマが出ても時間は稼げるだろうし、レオもツリーハウスに逃げてくるように言ってあるから大丈夫よ。そもそもクマが拠点に近づいてきたらケモミミのおかげでだいたい気配もわかるしね」
真望がそう言って平気そうな顔をする。
「クマが出たら、魔法通信使って連絡しろよ。急いで戻ってくるから」
俺は真望にそう言い、レオにも注意するように言って、水道作りに向かう。
今日も鈴さんが水道をつなげる作業、助手はトラ。俺は竹林で竹を切り、明日乃とココが竹の節を抜いてパイプにする作業を受け持つ感じで、アオがパイプや三脚になる竹を運ぶ役。昨日と全く一緒だ。
お昼には一度拠点に戻りお昼ご飯を食べる。
泉や竹林に向かう獣道に沿って水道を作っているのだが、竹林から帰る途中に水道を見たら、結構作業が進んでいて行程の半分以上水道ができていた。
「鈴さん、お昼食べに戻ろう。今水道を見てきたけど、結構水道出来上がってたんだね」
作業中の鈴さんと合流して、昼食に誘い、水道工事の早さに俺は驚きを伝える。
「眷属の二人、トラとアオが頑張ってくれたからね。二人とも作業を覚えるのが早いし、言った通りの動きをしてくれるし、とにかく集中力が凄いんだよね。黙々と作業してくれるから、こういう作業に眷属達がいてくれると本当に助かるよ」
そう言って鈴さんがトラとアオの頭を撫でる。
ココも頑張っていたので俺がココの頭を撫でてやる。
この調子で何も問題なく進めば今日か明日には水道がつながり、水が流せるそうだ。
拠点に戻り、真望と合流して昼食を食べ、午後も水道作りを続ける。
アオとトラ、ココの活躍もあり順調に水道作りが進む。
【異世界生活 69日 17:00】
「流司、私よ、真望。拠点が、というかニワトリ小屋がオオカミに襲われそう。戻ってきて」
突然、頭の中に真望の声が響く。魔法通信だ。かなり焦っている声だった。
「明日乃、拠点がオオカミに襲われた。俺は先に行くけど、明日乃はココと一緒に鈴さんと合流、説明頼む」
俺は手短にそう言うと、ステータスアップの獣化スキル『獅子の咆哮』を唱え、素早さを上げると全速力で拠点に向かって走る。
片道歩きで30分かかる道だが、下り道かつスキルによる素早さ強化の効果もあり5分もかからずに拠点に着く。
途中、鈴さんに声をかけられたが、
「後から来る明日乃に聞いてくれ」
と、捨て台詞を残し、止まらずに全速力で走り続けた。
拠点、ニワトリ小屋のそばに戻ると、真望とレオが槍を持ってオオカミと戦っている。
確かに8匹のオオカミがニワトリ小屋の柵を壊そうと攻撃していた。
ニワトリ小屋が近すぎて真望は火の魔法が使えないのだろう。『炎の壁』が使えれば俺を呼ばずにオオカミを倒すこともできただろう。
それもあってか真望は上手く戦闘ができず混乱しているようだ。それに数は2対8だ。分が悪かったのだろう。
レオは必死に真望を守ってくれていたようだ。
ニワトリが襲われたら琉生が悲しむ顔が思い浮かぶ。
俺はスキルによる全力疾走のまま、変幻自在の武器を槍に換えて、真望がけん制しているオオカミの横っ腹を、勢いに任せて貫く。骨のない腹の部分だったので槍がオオカミの腹を貫通する。
俺はそのまま槍を振り上げ振り回し、オオカミを投げ飛ばすと、そのまま柵に張り付いたオオカミを跳ね飛ばし、次々切り捨てていく。
冷静になった真望も俺が跳ね飛ばしたオオカミにとどめを刺し、次々とオオカミを仕留めていく。
オオカミも慌てて臨戦態勢、残り4匹が俺と真望とレオ、睨み合いになる。
「いくぞ、真望、レオ」
「ええ」
俺の合図とともに真ん中の2匹に突撃し、オオカミも飛び掛かってくるが、レベルが違いすぎる。レベル10以下のオオカミではレベル30とレベル25の俺と真望の敵ではない。
そして、レオも俺の7割程度のステータスらしいが、十分戦える。3人そろえばオオカミも敵ではない
俺は狼の喉元から槍を突き上げそのまま貫きオオカミを投げ飛ばす。
その勢いで2匹目に飛び掛かり、槍の柄で、オオカミの鼻を横殴り。オオカミが叫び声をあげる。
そのまま、オオカミを蹴り飛ばし、真望が対峙していた3匹目の横腹を一突き、真望も、レオが対峙していた残りの1匹の首を一突きしてとどめを刺す。
蹴り飛ばしたオオカミがよろよろと立ち上がるので、槍で一突き。とどめを刺した。
8匹のオオカミをあっという間に蹴散らす俺達。
まあ、真望もレオもいたし、俺がステータス上昇の魔法を使っていたから楽勝だったという部分もあるな。俺一人で、魔法無しだったらオオカミに囲まれて長期戦になるところだっただろう。
戦闘が終わり、落ち着いたところで、魔法の使用限界、10分が過ぎ、魔法が解ける。
「助かったわ。私とレオだけじゃ時間かかりそうだったし、相手は8匹、囲まれたら危なそうだったし、火魔法使ったら小屋や柵が焼けてニワトリまで丸焼きになりそうだったし、流司が来てくれてほんと助かったわ」
真望がそう言って安心した顔になる。
「ほ、本当はレオと2人でも倒せたんだけどね。ちょっと混乱していたわ」
真望が慌ててそう言い直す。
このツンデレめ。
ニワトリもオオカミに襲われて鳴きながら暴れているが、けがをしたニワトリはいなそうだ。琉生が結構頑丈に柵を作ってくれたおかげだろうな。
「真望は大丈夫か? 怪我してないか?」
俺は真望が怪我してないか確認する。
「私は大丈夫。オオカミ達がニワトリに気をとられていたし、追い払おうと牽制していただけだしね」
真望がそう言って申し訳なさそうな顔をする。
本当は倒したかったんだろうが、多勢に無勢、俺でも1人、レオがいたとしてもオオカミ8匹に飛び掛かるのには躊躇するだろうしな。
「あと、レオも私の事守ってくれたしね」
真望はそう付け足し、レオの頭を撫でる。
「りゅう君、真望ちゃん、大丈夫?」
明日乃と鈴さんと眷属3人が追い付いて、そう声をかけてくる。
「ああ、大丈夫だ。ニワトリも無傷だ」
俺は明日乃達にそう答え笑う。
「流司凄かったわよ。ものすごいスピードで走ってきてそのままオオカミを突き刺して投げ飛ばして、そこからは槍で刺して、叩いて、投げ飛ばして、一気に7匹倒しちゃったのよ」
真望が少し興奮気味に言う。
「まあ、真望もレオもいてくれたし、オオカミがニワトリに気を取られていたから無茶できたっていうのもあるしな」
俺はそう言って照れ笑いをする。
「オオカミはどうする? 毛皮を剥ぐ?」
鈴さんがそう聞くので、とりあえず、毛皮だけ剥いで、それ以外は経験値化することにした。さすがに犬に似たオオカミを食べる気は起きないしな。
4人で手分けしてオオカミの毛皮を剥ぐ。真望と鈴さんは解体の経験が少ないので手間取っているが、まあ、2人とも裁縫や鍛冶と手先は器用なので、俺や秘書子さんのアドバイスを聞きながらなんとか解体もできるようだ。
8体のオオカミの毛皮を剥ぐのは結構面倒だったが、なんとか剥ぎ終わり、死骸は神に祈ってマナ化、経験値に換える。
「流司お兄ちゃん、どうしたの?」
後始末をしていると、探索に出ていた琉生や一角達が帰ってくる。
「オオカミにニワトリが襲われそうになったんだよ」
俺はそう言って琉生に状況を説明する。
「クマじゃなくてよかったね。クマだったら柵壊されていたかもしれないし」
琉生がそう言ってニワトリの無事と柵の損傷度を確認しながら安心する。
「ニワトリが無事でよかったぞ。せっかく新しいニワトリも捕まえてきたのに、オオカミに食われていたらプラスマイナスゼロになるところだった」
そう言って、一角は背負った竹籠を下ろすと、ニワトリを出し、小屋に入れていく。
6匹いたニワトリが12匹に増えた。
「猪の肉もあるわよ」
麗美さんがそう言って竹かごを俺に渡す。
竹かごにぎっしり猪肉が詰まっていた。
「これで当分は食料ももつな」
俺はそう言う。
「あ、あとこれな。秘書子さんが言っていた桜の木? 枯れた倒木があったから、持ってきたぞ」
一角が別のかごに入った少し細い桜の丸太とたくさんの太めな枝を見せてくる。
前回行った、北東の野菜畑、その裏のあたりに桜の木が何本か生えていると秘書子さんが教えてくれたので、一角達に時間があったらとってきて欲しいとお願いしてあったのだった。
琉生が虎の霊獣を召喚して荷物運びをさせたみたいで、他にも野菜などたくさんの荷物が俺達の前に並ぶ。
「桜の木があったの? すごいじゃない、一角。これで猪肉の燻製、ベーコン作れるよ」
鈴さんがそう言って興奮し、明日乃も嬉しそうな顔をする。
桜の木をチップにして煙を出し、香りづけをする燻煙剤に使うのだ。
「ベーコン? それは凄いな」
一角も喜ぶ。
「そうしたら、明日は、水道作りを中断して、燻製器作らないとね。途中までは作ったんだけど、もう少し青銅板の枚数が欲しいんだよね。あと、ついでに、はた織り機の改良用の金属部品? 金床が手に入ったから、もっと精密な金具を作って、もっと細かい布を織れる、はた織り機とかも作れるようになったし」
「まあ、燻製といっても、塩しかないから、味は御察しだろうけどな。香辛料とかあればもっと美味しいベーコンが作れるんだろうけど」
俺はそう言う。胡椒やニンニク、色々スパイスがあればおいしいベーコンが作れるだろうが、今は塩と砂糖と醤油が少ししか調味料はないしな。
「まあ、ネギとか玉ねぎ? 香味野菜とか使えば少し風味のあるベーコンを作れると思うから試してみるよ」
明日乃がそう言ってやる気になる。
「だったら、胡椒も取りに行けばいい。鈴さんと流司は燻製器作り、それ以外のメンバーはダンジョンで胡椒を貰いに行く感じでどうだ?」
自称グルメの一角がベーコン作りに拘り出す。
とりあえず、日も暮れてきたので、イノシシ肉を干し肉にする作業をし、脂身の多い部分は塩漬けにして水を抜き、燻製にする準備をし、残りの少し脂身の多い部分は焼いて晩ご飯にする。
「焼肉用の鉄板、いや青銅板か。それも作りたいわね」
石の板でイノシシ肉を焼いているところを見て鈴さんがそう言う。
「それはいいね。なんかもっとバーベキューっぽくなりそうだし」
一角がそう言って喜ぶ。
今はバーベキューというより岩盤焼きみたいな石焼だからな。
「こうなると、バーベキュー用の網とかも作りたくなるわね。針金作って網を作るのは難しいけど四角い小さい穴のたくさん空いた鉄板みたいな焼肉屋さんの網みたいなのならつくれるかな?」
鈴さんが作りたいものがまたできたみたいだ。
明日乃は1日でも早く水道を通して欲しいと思いつつ、燻製器やバーベキュー用の鉄板や網も欲しいらしく困った顔をしていた。
次話に続く。
【改訂部分】改訂前の83話(ニワトリ小屋作り)86話(水道作り)を改訂、掻い摘んで編集し直した感じです。
改訂前と違いはた織機やツリーハウスなどすでに色々作り終わっているので、ニワトリ小屋を作ったら水道作りとシンプルな作りになっています。眷属が早めに4人いたおかげ?
作業を並行して色々作っていくと、時間短縮できるし、リアルな作業っぽさが出ていいんですが、文章自体が複雑(乱雑)になるので読みづらくなる。それに対し、作業一つ一つを早く終わらせ、作業を並行させず一つ一つこなしていける感じだと小説としても読みやすくなるかもしれません。




