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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第2章 改訂版(今から読む方はここからお読みください)
186/244

第92話 2つ目の魔物の島を探索

 本日もブックマーク1名様ありがとうございます。やる気が出ます。

【異世界生活 64日 7:00】


「とりあえず、南東の島の白い橋まで行ってみよう」

俺はそう言い、すでに行ったことのある一角いずみ麗美れいみさんが案内してくれる。

 今日の魔物狩りのメンバーは俺、明日乃あすの一角いずみ麗美れいみさん、琉生るうの5人だ。 


 最初に拠点の前にある海岸を東に抜けてまっすぐ行き少し北に行くと白い橋が見えてくる。

 南の島みたいに川を渡る必要がないのはありがたいな。

 白い橋の入り口まで、拠点から1時間半ほどかかり、着いたのは8時30分。

 砂利の敷き詰められた小さな海岸から白い橋が伸びている。

 

「少し休憩する?」

俺は一応確認をとる。


「水だけ飲んで、すぐに行こう」

一角いずみがそう言って水筒を取り出す。


「そうだね。少しだけ休憩したら、出発しようか。この橋は結構、拠点から近いし、いかだで渡らないといけない川とかないし、来やすいし、あまり疲れてないし、すぐ行けるよ」

明日乃あすのがそう言って、手ごろな岩に腰掛けて水を飲む。


 体力のない明日乃あすのもだいぶ体力ついてきたよな。最近。

 そんなことを考えながら、俺も少し休憩する。


「じゃあ、そろそろ行くぞ」

一角いずみが急かすように立ち上がる。

 自分用の変幻自在の武器が欲しくて仕方ないのだろう。


 とりあえず、一角いずみを先頭に白い橋を渡り出す。一角いずみ麗美れいみさんは初めてじゃないんだろうけど、俺と明日乃あすの琉生るうは初めて渡る島だ。緊張と警戒をしながら橋を渡る。



【異世界生活 64日 9:15】


「今日もワーウルフみたいだな」

一角いずみがそう言い、白い橋の先を見ると、確かに毛むくじゃらのオオカミの頭をした人型の魔物が30体以上橋の手前で結界に攻撃を仕掛けている。


「どうする? さっそくクロスボウ試してみる?」

麗美れいみさんが俺にそう聞く。


「いや、とりあえず、安全地帯のここから一方的に攻撃したら、ワーウルフ達も逃げるだろ? 最初は剣で戦って、逃げ出すところをクロスボウで射よう。クロスボウは矢を装填しておいて、ワーウルフの手が届かないところに置いておけばいいよ」

俺は麗美れいみさんにそう答えると、彼女は頷き、クロスボウに矢を装填する。

 それを見て明日乃あすのもクロスボウに矢を装填する。


「作戦は、前の島でやった作戦でいいか? 俺と麗美れいみさんが橋の両端、一角いずみ明日乃あすの琉生るうが橋の真ん中で倒していく感じ?」

俺はそう作戦を提案する。


流司りゅうじクン、ワーウルフは結構連携して戦うからペア以上で戦った方がいいわよ。だから、橋の右から私と一角いずみちゃん、左から流司りゅうじクンと明日乃あすのちゃんと琉生るうちゃん。そんな感じで並んで端から少しずつ倒す感じかな? まあ、戦ってみればわかるわ」

麗美れいみさんがそう言うので、俺は橋の左に向かい、明日乃あすの琉生るうも俺の後をついてくる。


「じゃあ、俺と琉生るうが並んで戦うから、明日乃あすのは後ろから槍で援護を」

橋の左についたところで俺はそう言い、2人も頷く。

 明日乃あすのは矢を装填したクロスボウを一度、橋の上に置き、槍を構える。


 ワーウルフ達も俺達が気になるようで結界を攻撃しつつ、俺達を威圧するように吠えたり、大げさに武器を振り回したりしている。


「冷静に左端の敵から倒していこう」

俺はそう言い左端のワーウルフに攻撃を仕掛ける。


 すると、その右隣のワーウルフが俺に向けて攻撃を始め、後ろにいたワーウルフも2体の間から粗悪な青銅の槍で攻撃しようと突いてくる。俺一人に3体で攻撃か。


「なるほど。前の島の魔物より連携は良さそうだな」

俺はそう言い、少し太目なサーベルのように変化させた変幻自在の武器で、ワーウルフの槍の柄を叩き折る。


 するとすぐに後ろのワーウルフと入れ替わり、新しい武器に持ち替える。

 うん、かなり面倒そうな敵だ。


 敵を鑑定してみると、一角いずみの報告の通り多くのワーウルフがレベル21越え、今日はレベル31以上の敵はいないが、俺達のレベルと並ぶような敵もちらほらと見える。レベル的にも苦労しそうだ。

 

琉生るうタイミングが大事だ。俺が敵の気を引くから、とにかく琉生るうが一番左の敵の隙を見てとどめを刺してくれ」

俺はそう言い、一番左のワーウルフに攻撃を仕掛ける。

 

 琉生るうはその隙を見て左端のワーウルフの首に青銅の剣を突き刺す。

 それと同時に右隣のワーウルフと、その後ろに控えるワーウルフが俺に攻撃を仕掛ける。

 俺はそれを盾で受け、槍の穂先を叩き切っていく。


 武器を壊されると下がって武器を持ち替える。そしてすぐに別のワーウルフがその穴を埋める。冷静過ぎて腹が立つな。

 

 一角いずみ麗美れいみさんのコンビの戦い方を見て見ると、一角いずみが俺の役をやり、麗美れいみさんが的確に右から敵を仕留めていく。


流司りゅうじお兄ちゃん、立ち位置を変えよう。琉生るう明日乃あすのお姉ちゃんで隙を作るから流司りゅうじお兄ちゃんが倒して」

琉生るう一角いずみ達の動きを見てそう提案する。


「分かった。明日乃あすのは適当でいいから、安全なところからがむしゃらに槍で突いて敵の隙を作ってくれ。琉生るうはとにかく自分の安全を優先でな」

俺はそう言い琉生るうと立ち位置を変える。


 明日乃あすのが左端のワーウルフをがむしゃらに攻撃し、琉生るうは左から2体目を攻撃しつつ、ワーウルフ1体目と2体目の間にいる2列目のワーウルフの攻撃も受ける役をする。


 俺は冷静に、明日乃あすのの攻撃で気の散っている左端の敵を倒す。

 2列目のワーウルフが今倒したワーウルフの穴を埋めようと前に出てくるが、同じように明日乃あすのの攻撃と琉生るうの攻撃を受け、気が散った所を俺がとどめを刺す。

 いい感じで2対1ないし3対1の状況ができてきた。


 2列目がどんどん俺の倒したワーウルフの穴を埋めようと前に進んでくるので、3人で協力してどんどん倒していく。


 6体目を倒したところで、2列目からの人員補充が滞ってきたので、そこからは琉生るう明日乃あすのが右に進みながら、順番に左からワーウルフを倒していく。

 戦術は全く一緒で琉生るう明日乃あすのがまず攻撃して、敵の隙を俺が突きとどめを刺す。

 その繰り返しで右にどんどん進んでいくが、敵も一度下がり、俺達を囲う様に陣形を組み直してから、再度仕掛けてくる。


琉生るう明日乃あすの、一度左端に戻るぞ」

俺はそう言い、囲まれないよう敵の一番左まで移動する。

 敵も同じように俺達から見て左に移動して包囲体制を維持しようとするので、そのまま白い橋の左に戻ってしまう。


 そこから同じように左から順番に倒していき、敵が半分以下になりだしたところで、ワーウルフが吠えだすと、一斉に撤退を始める。


明日乃あすのクロスボウを使え。追撃だ」

俺がそう言うと、明日乃あすのは慌てて、地面に置いておいたクロスボウを拾い敵に狙いを定める。


「焦るな。冷静に慎重にな」

俺がそう言うと、明日乃あすのは深呼吸して的を狙い直す。

 右から別の矢が2発放たれる。一角いずみ麗美れいみさんの矢だ。


 そして、明日乃あすののクロスボウから矢が放たれ、ワーウルフの首と背中の間の辺りに深々と矢が刺さる。

 そして慌てて、再装填の準備をする。


 矢がもう1発放たれ、ワーウルフがもう1体倒れる。一角いずみの2発目の矢だ。

 速射性は和弓の方が高そうだな。


 麗美れいみさんも矢の装填が終わり、2発目を構えるが、残念ながら、敵は射程外まで逃げてしまっている。もちろん、明日乃あすのの装填も間に合わなかった。


流司りゅうじ、生き残りがいるかもしれない、とどめを刺すぞ」

一角いずみがそう言って矢を受けたワーウルフのとどめを刺しに回る。

 俺も警戒しつつ、明日乃あすのの矢を受けたワーウルフを見に行き、致命傷だが絶命はしていなかったので、俺はそのままとどめを刺す。

 麗美れいみさんや琉生るうも同じように切り倒した方の敵の中に生きている奴がいないか1体ずつ確認して回り、とどめを刺す。


 とりあえず、ワーウルフ達が使っていた粗悪な槍は、白い橋の上に置いておき、帰りに回収して帰る。

 それ以外の皮鎧などは放置、明日乃あすのが神にお祈りして魔物の死骸と一緒にマナに還す。


「なんだこりゃ、経験値の上がり方が半端ないな」

俺のレベルが30になっていて驚かされる。


「ああ、ワーウルフはほぼ全部レベル21越えだからな。もらえる経験値がけた違いだ」

一角いずみが自慢げに言う。

 こいつもいつの間にかレベル30になってるし、麗美れいみさんもさっきの戦闘でレベル30になったようだ。

 琉生るうは今の戦いでレベル29になり、琉生るう以外は全員レベル30になった。


「まあ、経験値は美味しいけど、敵も私たちと同じ魔法を使えるレベルだってこと忘れちゃダメだよ?」

明日乃あすのがみんなに警告する。


「そうだな。今の戦いは白い橋の結界があったから魔法を気にせず戦えたが、ここから先に進むなら魔法を警戒しなくてはいけない。しかも一角いずみの話だとレベル31越えもいるらしいしな」

俺もそう言って気を引き締める。


「それと、私達もレベル31になる為にはランクアップだっけ? 5倍以上の経験値が必要になるから頑張らないとね」

明日乃あすのがそう言いみんな遠い目をする。

 ステータスウインドウに必要経験値が16万とか書いてある。さっきのワーウルフ50体分、7人分なら350体分必要って事だ。


「まあ、この島での戦闘が厳しそうだったら、1個前の魔物の島とかそこのダンジョンでレベル上げしてもいいしね」

麗美れいみさんがそう言って笑う。


明日乃あすの、敵の魔法がヤバそうだったら結界魔法、『聖域(サンクチュアリ)』とか『対魔法結界(アンチマジック)』? とか言う魔法を使っちゃっていいからな」

俺はそう伝える。


「ぶっつけ本番で新しい魔法を使うのはちょっと怖いけどね。かといって、お祈りポイント1000ポイント使って練習とかもちょっと贅沢な気もするし」

明日乃あすのがそう言って困り顔で笑う。


「今からダンジョンの入り口辺りを見に行くんだろ? だったらその時に強い敵がいて、魔法を撃ってきそうだったら、速攻でその結界魔法を使えばいい。一応の為に獣化義装は着けてからな」

一角いずみがそう言う。


「まあ、悪く無い案だな。あとヤバいと思ったら積極的に獣化義装と金剛義装は使えよ」

珍しくいい作戦を立てた一角いずみに俺は感心する。


「じゃあ、その作戦で行きましょ。とりあえず、マップを見た感じ、このまま真っ直ぐ、南東に進めばダンジョンの入り口あるみたいだし、行ってみましょ?」

麗美れいみさんがそう言うので、警戒しながら進んでいく。

 一角いずみ麗美れいみさんを前衛に。

 俺はその後ろから、レンジャーのスキル、『危険探知』のスキルを使って慎重に進む。

 ちなみにこのスキルは視界内に罠などがあると、不快感がして、罠自体が緑色に光って見える。また、敵が近くにいると同じく緑色に光り、強い敵や、魔法の発動を感じると背筋に強い悪寒が走る。そんなスキルだ。


 右手に深い森が広がり、左には土や岩がむき出しの山があり、その間の細い草原にあるけもの道を進んでいく。

 なんか、右手の森は木の密度が濃すぎる。何が出てきてもおかしくない怪しい森だ。

 

一角いずみ麗美れいみさん罠だ。止まって」

俺は右手の森に違和感がして、一角いずみ麗美れいみさんを止める。


「なんだこりゃ、ウサギの死骸?」

一角いずみが目の前に転がるウサギの死骸に注目する。


一角いずみ触るなよ。それも罠の一部だ。それと道を少し戻れ。罠を壊してくる」

俺はそう言って、罠の気配を感じた森の中に入っていくと、それがあった。


「なんだこりゃ?」

「弓よね? しかも沢山」

俺はその異様な罠に驚き、俺の後からついてきた麗美れいみさんも異様な罠を分析する。


 麗美れいみさんが言う通り、弓矢をたくさん並べた罠。6×3。横に弓矢が6つ並んだものが3段、少し角度を変えて並んでいる罠だ。

 そしてその先にはウサギの死骸に結ばれた紐が繋がっている。


「俺達を倒すための罠ではないな」

俺は冷静に分析しつつ、弓矢の向きと反対側から回り、罠の起動部分につながる紐を引く。

 シュバババっと音を立てて18本の矢が正面に向かって縦横まんべんなく飛んでいく。


「おい、何があった!?」

森の外から一角いずみの声がする。


『でかい声を上げるなよ、馬鹿。敵に気づかれるだろ。何でもない罠を作動させただけだ』

俺は緊急魔法通信、テレパシーみたいな魔法で一角いずみに連絡する。こういうところが一角いずみは思慮が足りないんだよな。


「なんか、鳥でも獲る罠かしらね?」

麗美れいみさんが矢の飛び方からそんな予想を立てる。


「なんかそれっぽいね」

俺はそう答え、明日乃あすの一角いずみ琉生るうが待つところまで戻る。


「何があったんだ? 凄い数の矢が飛んできたが」

一角いずみが少し興奮して俺に聞いてくる。


「何度も言わせるな馬鹿。敵の真っただ中で大声を上げるな。敵が集まってくるぞ」

俺は少し声を抑えて一角いずみにそう言う。


「なんか鳥かなにか? 空を飛ぶ動物を倒す罠だったみたいね」

麗美れいみさんがそう言う。


「まあ、一角いずみがあのえさ、兔の死骸に飛びついたら、矢の雨で穴だらけになってたけどな」

俺は一角いずみを冷やかすようにそう言う。

 というか、一角いずみは実際、そういうものに手を出しそうで怖いしな。


「りゅう君、敵が来ちゃったみたいだよ」

明日乃あすのが困った顔で森とは反対側山の方を指さす。


 遠くてよく見えないが、大きな鳥の様な魔物が群れをなして飛んでくる。一角いずみが騒ぎすぎるからだ。


「マズいわね。空飛ぶ魔物は。飛び道具が3つしかないし、連射もできないし、攻撃魔法も使いたくないし、手詰まりだわね」

麗美れいみさんも困った顔でそう言う。


「とりあえず、今来た道を戻ろう。結界の中に入れば安全だ」

俺はそう言って走り出し、何度か振り返り、敵を警戒しつつ、明日乃あすのの全速力に合わせて、みんなで退却する。

 麗美れいみさんの言う通り、飛ぶ魔物はマズい。


 魔物の飛ぶスピードの方が速いのだろう。徐々に俺達との距離が縮んでいく。

 

 途中、一角いずみが振り向き弓に矢をつがえ、放つ。敵の翼に当たり、錐もみ状態で落ちていく魔物。麗美れいみさんも時々立ち止まり、クロスボウを装填、魔物に向かって矢を放つ。

 俺も走りながら振り向き敵の姿を確認する。 


「なんだあれ? 人間か? 鳥か?」

俺は誰に問うこともなく叫ぶ。


「ゲームとかで出てくるハーピーってやつだろうな。手足が鳥の鳥人間?」

一角いずみがゲーム知識でそんなことを言ってくる。

 そして、明日乃あすのに追いついたところで、また反転し、矢を放つ。

 麗美れいみさんも同じように明日乃あすののペースに合わせて、クロスボウを装填、矢を放つ。

 明日乃あすのは走ることに精一杯でクロスボウを撃つ余裕はない。

 琉生るう明日乃あすのの後ろで明日乃あすのを庇う様に走る。


 とりあえず、白い橋までは罠もなかったし、大丈夫だろう。

 俺達はこのままのポジションで走り続け、一角いずみ麗美れいみさんの矢が功を奏したのか、ハーピーとの距離もそれ以上縮まず、距離を置いたまま、白い橋の結界の中まで逃げることができた。


「空飛ぶなんて反則だろ?」

俺は愚痴を吐くようにそう言う。


「というか、あれ何?」

明日乃あすのがさっき俺の言ったセリフと同じことを言う。


「だから、ハーピーだって。手足が鳥の鳥人間」

一角いずみが二度目の説明をする。


 俺も、結界に入り、落ち着けたので敵を鑑定する。


なまえ ハーピー

レベル 18

両手が翼、両足が鳥の足のような半人半鳥の魔物

空を飛ぶことができる

手がないので武器は扱えないが、

足の爪を使って器用にものを掴んだりする

足の爪の攻撃には注意

風属性で風属性の魔法を使うこともある

まれに初級魔法を使う


 羽ばたきながら空を飛び、結界に石を投げつけている鳥型の魔物を俺は確認した。


 ちなみに、ハーピーが落とす石は敵意があると認識されるのか結界に阻まれるようだ。

 結界の斜面を転がって白い橋の手前に落ちる。


「まんまハーピーね」

麗美れいみさんも鑑定をしたようで呆れるようにそう言う。

 確かにまんまだな。


「というか、裸だよ。丸見えだよ。りゅう君見ちゃダメ」

明日乃あすのがそう言って俺の前に立ちはだかる。


「裸と言っても魔物だし、手は翼で、下半身は鳥、いくら何でも俺は欲情しないぞ」

俺は明日乃あすのにそう言う。

 背中から羽が生えているだけの天使みたいな魔物だったら確かに全裸はヤバイかもしれないが、今目の前に飛んでいるのは肩から先は鳥の羽根、腰から下は羽毛につつまれ、足は完全に鳥。人の女性としてみるのはまず無理な体だ。

 しかも顔は人に似てはいるが凶悪な面構え。巨乳だろうが、欲情する要素が全くない。

 

 とりあえず、俺は明日乃あすのに視界をガードされつつも、持っていた投石機に石を装填し、明日乃あすのを少しどけると、ハーピーの翼に大き目の石を飛ばし、当てる。

 少し狙ったところより下にずれてしまったが、翼を傷め、結界に落ちてきて、ワンバウンドして魔物の島の地面に落ちる。  

 

「な? 魔物は魔物だ。明日乃あすのも気にせずどんどん倒せ」

俺はそう言って次の石を拾う。


「もう、りゅう君、信じてるからね」

明日乃あすのがそう言って頬を膨らませつつ、クロスボウに矢の装填を始める。


 ハーピーと言ってもオスとメスがいるみたいで、割合的には3割くらいがメスってところか。こいつら、卵を産んで増えるのかね?


 俺はそんなことが気になりつつも、立派な双丘を無視して投石機で石を放ち続ける。


 2~30体いたハーピーが6割くらいに減ったところで、逃げ出すので背中を向けたハーピーにもう一射、石を放ち、魔物狩りは終了。地面でもがいている敵にとどめを刺していく。


「ああ、くそっ」

一角いずみが顔を庇うような防御態勢でよろける。

 俺に向かって突風のようなものが吹いてくる。


「大丈夫か!?」

俺は慌てて一角いずみのそばに駆け寄り、近くにいたハーピーにとどめを刺す。

 一角いずみのHPが15ほど減っている。


「苦し紛れに魔物に魔法を撃たれた。防具があったからよかったが、防具のないところに直撃したり、服の状態だったりしたらヤバかったな」

一角いずみがそう言い防御態勢を解く。

 さっきの風は魔法の余波か。

 前の島のダンジョンで拾った青銅の防具が功を奏したみたいだな。

 一角いずみの青銅の篭手に引っかき傷のような傷がいくつもついている。

 一角いずみが使うかまいたちみたいな風魔法を使われたってことだろうな。

 

 麗美れいみさんもとどめを刺しながら、クロスボウの矢や一角いずみの和弓の矢を回収していく。


一角いずみちゃん、大丈夫?」

麗美れいみさんが、一角いずみに矢を渡し心配そうに聞く。


「ああ、大丈夫。防具もあったし、敵のレベルが低かったから初級魔法だったみたいだし」

一角いずみ麗美れいみさんにそう答え、安心させるように笑う。


「敵にとどめを刺す時には今みたいな魔法にも気をつけないとな。死にそうな魔物がマナを温存する理由がないし、まさに死に物狂いってやつだ」

俺はそう言い、みんなも頷く。


 落ち着いたところで、明日乃あすのが神様にお祈りをして、魔物の死骸をマナに還し経験値化する。

 最後に、地面に落ちている、拾い残したクロスボウや和弓の矢を回収する。


「途中で射た矢は回収できないよな」

一角いずみが残念そうにそう言う。


「また、すずさんにやじりを作ってもらおう。危険を冒してまで矢を回収に戻るのは避けた方がいい」

俺はそう言って一角いずみを止める。


 ハーピーの平均レベルは低いようで、ワーウルフほどの経験値は手に入らなかった。


「ハーピーのレベルの低さ。もしかしたら、ハーピーはダンジョンに潜れないのかもしれないな。潜ってもウッドゴーレムを倒す手段がなさそうだし」

俺はそう呟く。


「そう言われるとそうね。武器も持てないし、あんな狭い空間じゃ飛んでもメリットなさそうだしね」

麗美れいみさんがなんとなく納得する。


「そうすると、前の魔物の島とは違ってワーウルフが一強とかかな? それとももっと強い別の魔物がいるのかな?」

明日乃あすのが色々考えているようだ。


「まあ、他の魔物は、会ってみないとわからないが、とりあえず、空飛ぶハーピーは面倒臭いことが分かった。とりあえず、今日は帰ろう。さっきの場所まで戻ってまたハーピーに攻撃されたら嫌だしな」


 そんな感じで、俺達の初めての南東の魔物の島への上陸は様子見だけで終わってしまった。

 何かハーピーの対策を考えないといけないな。


 次話に続く。

【改訂部分】改訂前87~89話あたりを掻い摘んで1話にした感じです。残りの部分はまた後日まとめる感じです。内容的には似ていますが、ほぼ新しく書き直した感じです。

 水道を作って、3つ目のダンジョンに入れるようになったら大規模改修終了。やっと話が進みます。

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