第88話 魔物の島のダンジョンのさらに奥へ
寝落ちしました。朝更新です。
それと、誤字脱字報告いつもありがとうございます。
【異世界生活 61日 10:00】
2つ目のダンジョン、4階のボスに挑む俺達。
敵はレベル25のリザードマンを模したウッドゴーレムのボス1体にレベル23のマーマンを模したウッドゴーレム4体、取り巻きってやつだ。
「作戦は、まずは私が、飛び込んで金剛義装で魔法を受ける。魔法を出し惜しみする敵がいたら、一角ちゃんが次飛び込んで、金剛義装、それでもダメなら流司クン、明日乃ちゃんって順番かな。琉生ちゃんは魔法が全部使われたのを確認出来たら部屋に入ってきて。琉生ちゃんは蓄積ダメージが結構多いから慎重にね」
麗美さんがそう言う。
蓄積ダメージか。HPとは違う、獣化義装を使うことで起きる精神的な損傷。今回、琉生のダメージでそれが明らかになった。これから気をつけないといけないな。
「それじゃあ、行くわよ」
そう言って麗美さんが獣化義装をまとい、部屋に飛び込む。
一角も一応の為、獣化義装のスキルを使い、着ぐるみをまとう。
麗美さんが絶妙な位置に走り込み、ボスと右2体のウッドゴーレムが魔法を放つ。麗美さんは急いで金剛義装を使い、魔法を無効化する。そして金剛義装の副作用で動けなくなる。
一角は急いで右手の2体に走り寄り、魔法を使わせ、金剛義装。理想的な流れだ。
俺と明日乃と琉生は急いで敵に走り寄る。とりあえず、麗美さんの金剛義装を解いてもらうために、麗美さんに群がる3体に飛び掛かる。
俺はボスに、明日乃と琉生は取り巻きのウッドゴーレムに。
解放された麗美さんが金剛義装を解き、普通の獣化義装に。そして自由に動けるようになる。
「なんかいい感じに一角ちゃんが2体敵をひきつけてくれているから、先にこっちの取り巻き倒しちゃいましょ」
麗美さんがそう言って明日乃の対峙しているウッドゴーレムから倒していく。
俺の相手も結構ヤバイ。レベル25で格下のリザードマンなのだが、青銅の防具をフル装備に巨大な斧を持っている。
俺は部屋に入る前に青銅の盾と青銅の剣に持ち替えて戦いに挑んだが、この斧はヤバいな。当たり所が悪ければ大ダメージが予想されるし、盾で受けようにも盾が壊れそうなほどのフルスイングで、受ける気が起きない。
おれは、フットワークを活かして斧を避けつつ、剣で攻撃するが、決定打は与えられない。
「流司、遊んでないで早く助けに来い」
一角が怒った声で叫ぶ。
なんか金剛義装に包まれているせいか、声がこもっていてなんか面白い。
だが、一角に構っていられるほど余裕がない。
巨大な戦斧を避けつつ、他のメンバーに襲い掛からないようにプレッシャーをかけ続ける。レベル差があっても結構つらい。
そんなことを繰り返していると、麗美さんが明日乃の対峙していた敵を倒し、琉生の対峙していた敵も倒す。
明日乃がとどめを刺しているようだ。
「先にボスも倒しちゃうわよ。流司クンがとどめを刺しちゃって」
麗美さんがそう言って、俺がボスに攻撃して、隙ができたところを長柄斧槍で首に一撃加える。
一瞬、リザードマン型ウッドゴーレムの動きが止まるので、俺は、上段から剣を振り下ろし、額の核を破壊する。
「明日乃ちゃん、レベル上がりそう?」
麗美さんがそう聞く。
「あと1体倒せばって感じかな?」
明日乃がそう言って急いで駆け寄ってくる。
「残りは明日乃ちゃんと流司クンかな?」
麗美さんはそう言い、急いで一角に群がるマーマン型ウッドゴーレム2体のうち手前の方に飛び掛かる。俺も奥にいる方のウッドゴーレムに斬りかかる。
「流司も麗美姉も遅いよ」
一角が怒りながら金剛義装を解く。
やっと動けるようになる一角。
「いやあ、今日はいい仕事をしてくれたな。一角」
俺はからかい半分、彼女を褒める。
「なんかむかつく言い方だな。麗美姉、交代するから、早く倒してくれ」
一角が不満げにそう言い、麗美さんが対峙していたウッドゴーレムに斬りかかる。
その隙を突いて、麗美さんがウッドゴーレムの首を一閃。首は刎ねられなかったが、動きが止まるのでその隙を突いて明日乃が、額の核を破壊しとどめを刺す。
俺の対峙していたウッドゴーレムも同じように麗美さんが横から攻撃して、動けなくなったところを俺が倒し戦闘終了。
ちょうどいい感じに明日乃のレベルが上がり、レベル27に。俺のレベルも上がり、レベル28になった。
「一角ちゃんと私の獣化義装が勿体ないから、ドロップアイテム拾ったら、すぐ、5階行くわよ。次は琉生ちゃんのレベル上げね」
麗美さんが慌ててそう言い、ドロップアイテムを回収し、宝箱を開けて、ボス部屋の奥の扉からエントランスに抜け、目の前の階段を降り、5階のエントランスに。
とりあえず、ドロップアイテムはそこに放置して、急いで5階に侵入する。
麗美さんが、1人で部屋に飛び込み金剛義装、魔法を使ったことが確認出来たら、俺と一角で飛び掛かり、麗美さんが金剛義装を解除して敵の首を攻撃し、敵が動けなくなったところを琉生がとどめを刺す。
1体目を倒したところで俺の獣化義装が時間切れになり、獣化義装を脱いで戦闘を継続する。
1体ずつ襲ってくるエリアで3体倒し、琉生のレベルが上がり、レベル27に。
「琉生ちゃんがちょっと不安だから、このまま琉生ちゃんのレベルを上げちゃいましょ」
麗美さんがそう言って、2体ずつ出てくるエリアで2組ウッドゴーレムを倒し、10分たちそうだったので、そこで一時退却する。
エントランスに戻り、ボス部屋のドロップアイテムの確認と今倒した敵のドロップアイテムの確認をする。
リザードマンは青銅の防具や武器もしくはトカゲの肉を落とすようだ。
カエルの肉同様、よほど食糧難にならない限り放置だな。トカゲの肉も。
とりあえず、4階で俺の青銅の防具は一通り揃った。明日乃もボス部屋のドロップでちょうど青銅の防具が揃う。
琉生は、ボス部屋の宝箱から青銅の篭手をゲット、5階のレベル上げで兜と鎖帷子も手に入れた。琉生は元々持ってきた盾があるので、琉生もある意味防具をコンプリートだ。
あとは麗美さんの装備だな。
「なんか、私って、貢献ポイントでレベルが上がっちゃうから、毎回防具が集まるの遅いわよね?」
麗美さんが不満そうにそう言う。
確かに、一番敵に斬りかかって、一番とどめを刺さないのが麗美さんだから、貢献ポイントの経験値はどんどん入るが、ドロップアイテムの権利がなく、サイズの合った防具が手に入らないのだ。
「それじゃあ、次から、麗美さんがとどめを刺して麗美さんのサイズに合った防具をそろえる?」
俺は同情するようにそう言う。
「うーん、今日は辞めとくわ。敵のレベルが25で、この階のボスはもっと強くなるはず。流司クンのレベルもギリギリだし、なにより、このままだと明日乃ちゃんのレベルが足りなくてボス部屋入るのも危険そうだしね。明日乃ちゃんのレベルを上げましょ?」
麗美さんがそう言う。
明日乃と琉生のレベルを上げて、敵が余ったら俺のレベルを上げる。こんな感じが正解だろう。
とりあえず、明日乃と琉生のレベルが28になるのをめざしてウッドゴーレム退治を再開する。
先ほど撤退した場所まで戻り、麗美さんと一角が獣化義装。今まで同様、麗美さんが金剛義装で魔法を受けて、俺と一角が敵2体を抑え、麗美さんが動けるようになったら、敵を攻撃、隙を見て琉生がとどめを刺す。
これを2体2組倒したところで、ダンジョンの先には3体のリザードマン型ウッドゴーレムが並んでいる。ここから先は3体ずつ襲ってくるエリアだ。
そして、ちょうど琉生のレベルが28になる。
「琉生も前衛できるか?」
俺は心配になって聞く。
「魔法受ける役じゃなければ大丈夫そうだよ。レベルも上がったし、普通に戦ったらダメージは受けないかな?」
琉生がそう言うので、敵を足止めする役だけはやってもらう。
ここからは明日乃のレベル上げだ。
3体同時に襲ってくるウッドゴーレムを2組倒したところで、明日乃がレベルアップ、レベル28に。麗美さんも貢献ポイントでレベル27になる。
次は俺がとどめを刺したが、次の一組で俺のレベルも上がりレベル28に。その次の組からはまた明日乃のレベル上げになる。
3体同時に出てくるエリアで5組15体を倒したところで、目の前には4体のウッドゴーレムが並ぶ。
「このまま、獣化義装を延長して4体倒すエリアも行っちゃっていいわよね?」
麗美さんがそう言うので俺は頷く。
「じゃあ、行きましょ。ここからは流司クンも一応獣化義装着ておいてね。金剛義装が3人必要になるかもしれないから」
麗美さんがそう付け足し、俺はもう一度頷き、獣化義装をまとう。
「明日乃は獣化スキルの強化魔法使っておけよ。ここからは4体だから、明日乃にも前衛をお願いすることになるからな」
俺はそう言ってから、走り出した麗美さんを追いかける。
俺と一角、麗美さんが獣化義装をつけた状態、明日乃は獣化スキルの補助魔法をかけた状態で戦う。琉生はレベルが十分上がったし、下がり気味で前衛をやってもらう感じなので獣化スキルは無しで戦う。
基本、同じ戦術。麗美さんと一角が魔法を受けて、残りのメンバーが敵を足止めする。いつもの流れだ。
最初の1組目で明日乃のレベルが29になってしまったので、次の組とその次の組は俺がとどめを刺し、俺もレベル29になる。
明日乃のステータスに不安があるので、残りの2組は明日乃に倒させて、明日乃のレベルが30に。一角も貢献ポイントでレベル29になったようだ。
そして、ボス部屋前に到達する。
とりあえず、獣化義装がボスと戦っている間、中途半端に切れそうなのでここで、休憩をする。
俺は水筒を取り出し、水で喉を潤す。
「なんか、4階と5階の経験値効率がいいから、結構みんなレベルが上がって、ボス戦も何とかなりそうな気がしてきたわね」
麗美さんがそう言う。
確かに経験値効率がよかったから、明日乃や琉生もどんどんレベルが上がったし、麗美さんや一角も貢献ポイントでじわじわとレベルが上がったしな。
ちなみに現在のみんなのレベルは
流司 レベル29 レンジャー 剣士(レベル25→29)
明日乃 レベル30 神官 聖魔法使い 剣士(レベル24→30)
一角 レベル29 狩人 剣士(レベル25→29)
麗美 レベル27 医師 剣士 治癒魔法使い見習い(レベル25→27)
真望 レベル25 裁縫師 剣士(留守番)
鈴 レベル22 鍛冶師 剣士(留守番)
琉生 レベル28 テイマー見習い 剣士(レベル24→28)
レベル上げの補助に回ってくれていた麗美さん以外はみな、島に渡る前のレベルより、レベルが4以上上がった。明日乃に関してはレベルが6も上がった。
ちょうどよいレベル帯だったという事もあるのだろう。今回は苦戦しつつも本当に上手くレベルが上げられた。
しかもお祈りポイントをほとんど使ってないしな。
「でも、私の次のレベルになる為に必要な経験値が凄い事になってるよ」
明日乃が残念そうにそう言う。
レベル30から31になる時はランクアップと言って急にレベルアップに必要な経験値が跳ね上がるのだ。
当分は全員レベル30になる作業に落ち着くかな?
「とりあえず、ボス部屋覗こう。これでレベル31のボスとかだったら、流司には、フル補助魔法で頑張ってもらうしかないからな」
一角がそう言って笑う。
「それは避けたいな」
俺はそう返し、笑いながら扉を少し開けてボス部屋を覗く。
そして鑑定スキル。
なまえ ウォーターリザードマンリーダー
レベル 28
二足歩行のトカゲ。そこそこ知能がある
全身に鱗が生えていて防御力が高い
動きは遅いが力は強い
噛みつきや尻尾で攻撃することもあるので注意が必要
水属性の魔物で水属性の中級魔法を使うことがある
それを模して神が作ったウッドゴーレム
「よかったわね。ジェネラルリザードマン、レベル31以上じゃなかったわよ」
麗美さんが笑いながらそう言う。
本当によかった。ぶっちゃけ、リザードマンのボスにやられた猛吹雪みたいな全体魔法を出し惜しみされたら、金剛義装じゃ対応できなかったかもしれない。明日乃の結界魔法で耐えるしかないもんな。そうなると、お祈りポイントが滅茶苦茶減りそうだ。
そんな感じでボスのレベルをのぞき見し、作戦会議。
作戦会議と言ってもいつもと同じ作戦でいこうって話だけなんだが。
とりあえず、いつも通り、俺がボスを抑える役。レベルが近いので一応の為、獣化スキルの補助魔法と獣化義装を使う。明日乃も補助魔法あり、一角と麗美さんは獣化義装を、琉生は獣化スキルの使用はなしだ。
「麗美さん、最後は敵、全部にとどめ刺しちゃっていいからね。防具欲しいでしょ?」
俺は麗美さんにそう言う。
「本当に? それはうれしいわね」
麗美さんが嬉しそうに笑う。
そして、みんな集中し直し、
「獣化スキルの準備ができたら行くわよ」
最初に飛び込む麗美さんがそう声をかけ、獣化義装をまとう。
それに合わせて俺も獣化義装をまとい、補助魔法も掛ける。
他のメンバーもそれぞれ獣化スキルを使い、琉生は最後尾から安全を確認して部屋に入る感じだ。
「なんか、足引っ張っちゃってごめんね」
琉生が申し訳なさそうに言うが、麗美さんが笑い、部屋に飛び込む。
一角も飛び込み、魔法を使い切らせる。
それを確認し、俺と明日乃が部屋に飛び込み、最後に琉生が飛び込み戦闘開始だ。
金剛義装で動けなくなった麗美さんをボスウッドゴーレムと取り巻きのウッドゴーレムが囲んでいる。
一角も2体のウッドゴーレムに囲まれている。
俺が真っ先にボスウッドゴーレムに斬りかかると、麗美さんが、早々に金剛義装を解除して、いきなり高速移動、取り巻き2体を倒す。
風車のようにくるくる回りながら長柄斧槍を高速でウッドゴーレムに的確にあて、コアを破壊する。
「ふふっ、防具が手に入るのがうれしくて、補助魔法も使っちゃった」
麗美さんが笑い声でそう言い、そのままボスウッドゴーレムの額の核も回転斬り。
そのまま、一角に斬りかかっているウッドゴーレムも後ろから一刀両断、最後の1体が脳天から叩き割られて、光になって霧散する。
「麗美さん、マナソードも使ったな」
俺は4体目の一刀両断の時に長柄斧槍の刃が光ったのを見逃さなかった。
「ふふっ、ちょっと本気になっちゃった」
麗美さんがぺろっと可愛らしく舌を出しておどける。
「麗美さんの本気ってヤバイね」
琉生がドン引きしている。
「ああ、ヤバかった。私もあのまま、一緒に斬られるかもしれないと思って、金剛義装を解けなかったよ」
一角が冗談半分にそう言い、ドン引きしている。
「麗美さん、もしかして、マナを無尽蔵に使える条件なら、これくらいのダンジョンなら1人でも戦えるんじゃないか?」
俺はそう言って、訝しむ。
「そんな、人を化け物みたいに言わないでよ。私だってか弱い女の子なんだからね」
麗美さんがそう言ってか弱そうな女の子のふりをする。
重そうな長柄斧槍を軽々と片手で持ちながら。
そんな感じで麗美さんの本気、麗美無双でボス部屋は終わり、麗美さん念願の青銅の防具が手に入る。麗美さんも青銅の防具コンプリートだ。
そして、麗美さんが宝箱を開けると、中には全て青銅でできた両刃斧、以前倒した魔物のボス、ジェネラルリザードマンが持っていた斧と同じものが入っていた。
「これはいいわね。武器として使えなくなっても、木を切ったり、竹を切り倒したりするのに使えそうだしね」
そう言って麗美さんは2本目の両刃斧を嬉しそうに回収する。
ボス部屋での無双の結果、麗美さんのレベルも1上がったようだ。
「そして、お待ちかねの、調味料だな」
一角が嬉しそうにそう言う。
「一角ちゃん、違うよ。麗美さんお待ちかねの麗美さん専用の『精霊の剣』、変幻自在の武器が手に入る。だよ」
明日乃が呆れ顔でそう訂正する。
「そうだったな」
一角はそう言って笑う。こいつ調味料に夢中で本当に忘れていたっぽいな。
みんな笑いながら、ボス部屋の奥、ダンジョンクリアの報酬が眠る部屋に移動するのだった。
次話に続く。
【改訂部分】ここら辺も新しく書き直しです。お祈りポイントを節約して、マナで使う獣化スキルで切り抜ける感じにしました。
今回琉生が陥ったように、獣化義装を無理に使うと、精神に痛みが残るという面倒臭い副作用も現れました。
これは獣化義装を手足のように使う為に、五感を共有しており、触覚の中に痛覚や熱い、冷たいを感じるような感覚も共有してしまっているので、実際のダメージの1割ほど、五感として共有してしまうという副作用です。
なので炎の魔法をあまり受け過ぎるとやけどの痛みだけ残るみたいな嫌な副作用が残ります。
ちなみに金剛義装は五感の共有をカットしているのでいくらダメージを受けてもフィードバックはありません。その代わり動けなくなりますがw




