第85話 はた織機の試運転と水道を作り始める
今日も1名様ブックマークありがとうございます。
【異世界生活 60日 7:00】
朝食後、とりあえず、全員でぞろぞろと真望のツリーハウス兼、裁縫工房にお邪魔する。
「いつ見てもなんかおしゃれな部屋だな」
俺は入った真望の部屋をきょろきょろと観察してしまう。
ダンジョンで拾った3色のウサギの毛皮を使った毛布やタペストリーで部屋を飾っていたり、いつの間にか作ったウサギの皮製のぬいぐるみがあったりして女の子らしい部屋になっている。
「結構やりたい放題ね」
麗美さんが呆れ顔でそう言う。
「もう! いいでしょ? 寝る前とか暇な時間で、趣味で作ったものなんだし。それと、流司、女の子の部屋じろじろ観察しない」
真望が恥ずかしそうにそう言う。
「悪い悪い。まあ、手芸が好きな女の子らしい可愛い部屋だった」
俺はそう感想を漏らす。
異世界で無人島の中でも、真望は色々工夫して自分のスペースを作ってたんだな。
「私もぬいぐるみ欲しいな」
琉生は兎の毛皮でできたぬいぐるみが気になるようだ。
真望のプライベートスペースの反対側にはた織機が設置されている。
そして、糸車も、さっきみんなでツリーハウスの上まで上げたばかりだ。
「じゃあ、さっそく試運転を始めるわよ」
真望がそう言ってはた織機を動かすための準備を始める。なんか楽しそうだ。
そして、実際作業をしてみると地味な作業だった。
ひたすら縦糸を300本、青銅製の小さなリングに通して、1ミリ間隔の竹ひごの間も通して、ローター、できた布を巻き上げる丸い木の棒に結び付けていく。
地味な作業な上に糸を通す場所を間違えたり入れ違ったりしてはダメという慎重さも必要な作業だった。
「これ、今まで通り、木枠に縦糸張って手作業で横糸をジグザク通していく作り方の方が楽なんじゃないか?」
俺は地道な準備にそう言っていちゃもんをつける。
「絶対、機織り機の方が早いんだって。上糸と下糸をワンタッチで入れ替えられて、横糸をまっすぐ通すだけで布が織れていくんだよ? 作業効率は格段に上がるし、大きな布も作れるようになるわ」
真望がそう言って俺の意見を否定する。
下準備は大変だが、それさえ終わればそこからは楽になるそうだ。
俺はそれを信じて、上糸と下糸を入れ替える装置、糸に丸い金具がついたパーツに1本1本、糸を通していく。それが300本、3人で割っても1人100本だ。
とりあえず、俺、真望、明日乃、鈴さんの4人で作業しているので一人当たり100本以下には収まりそうだが。
鈴さんは自分が作った作品が動くのが楽しみのようで笑顔でこの単純作業を進めていく。
「とりあえず、真望は他の子達に糸車の使い方を教えてあげれば? こっちはやっておくから」
鈴さんがそう言い、真望は見学に来た一角、麗美さん、琉生に糸車の使い方を教えに行く。
そして作業者は3人に減ったので、1人100本、丸い小さな金具に糸を通す作業をすることになった。
横目で糸車の方を見ると麗美さんや琉生が楽しそうに糸車のレクチャーを受けていた。
30分ほどして、糸車のレクチャーも終わり、真望たちがはた織機の方に合流する。
なんか麗美さんが新しい文明の力を見て楽しそうだ。
真望が作業に加わり、縦糸の準備も完了する。これだけでも重労働だな。
「さあ、それじゃあ、本格的に動かすわよ」
真望がそう言って、丸椅子に座り、上糸と下糸を入れ替える足踏みペダルを踏む。確かに、一瞬で二組の縦糸の上下が入れ替わる。
「いい感じだね」
鈴さんもその動きに満足そうにそう漏らす。
「じゃあ、行くわよ」
真望はそう言って、ペダルを踏んで上糸と下糸の間に空間を作り、そこに横糸を通す。
そしてピンと張ると、竹ひごがいっぱいついた格子上のパーツを動かして、「とんとん」と横糸を手前に寄せる。
その後、足踏みペダルを右足で踏んで、左足はそれに引っ張られるように持ち上げられる。そして入れ替わる縦糸の上下。
2組の縦糸同士が上下入れ替わったあと、さっきと同じように今度は反対側から横糸を通していき、同じようにとんとんと横糸を寄せる。
この繰り返しで、ほんの指の太さほどの布だが出来上がる。
鈴さんや真望が事前に言っていたとおり、布に使う糸は太めで布の目は少し荒いがちゃんとした布ができていく。
しかも、作っているときはよく分からなかった構造もそれぞれ上手いこと機能して布を作っているのがわかる。
「はた織り機ってやつはすごいな」
俺は改めて鈴さんが作った道具に感心する。
「でしょ? これで布作るペースはかなり上がるわ」
真望が嬉しそうにそう言う。
「もう少し改良して、もう少し布の目が細かいものが作れるようにしたいのよね」
鈴さんが難しい顔をしてそう言う。
「ここの部分よね。竹ひごじゃ限界あるもんね」
真望がそう言って、俺が作った、横糸をとんとん叩いて手前に押し込み布にしていく櫛のお化けみたいな部分を指し示す。
「火箸と金床、金槌が揃えば、金属を薄く平らに伸ばせるようになるから、青銅の薄い金属板や針金みたいなものも作れるようになるんだよね。そうなったら、はた織り機を改良かな」
鈴さんが真望にそう言う。
「そういえば、お祈りポイント貯まったんじゃない?」
真望がそう言う。
「60000ポイントもあるじゃない!! 金床は40000ポイントで貰えるから、交換できないことはないよね?」
鈴さんが少し興奮する。
「ダメだよ。明日、魔物狩り行くのにお祈りポイントの残りが20000ポイントじゃ安心して魔物狩りできないだろ?」
俺はそう言って諦めさせる。
「どうせもらうものだし、魔物狩りより先に貰っちゃってもいいんじゃないの?
鍛冶道具が揃えば、はた織機が改良されると聞いて真望も少し乗り気になる。
「他のメンバーの許可がもらえたらね。特に、一角あたりは魔物狩りが遅れてるから、お祈りポイントにはシビアだろうね」
俺は鈴さんと真望にそう答える。
「だめだ」
一角が一刀両断する。
「そうね、私も自分の変幻自在の武器が早く欲しいし」
麗美さんも否定的だった。
「これは、あきらめた方がいいっぽいね。まあ、魔物狩りが落ち着いたらお祈りポイントもあまり出すだろうし」
どっちでもよさそうだった琉生がそう言って鈴さんの敗色が濃厚になる。
とりあえず、真望もはた織り体験をして満足したようなのでみんなでツリーハウスを下りる。
鈴さんの鍛冶道具は予定通り、2つ目のダンジョンがクリアできてからお祈りポイントで交換するという事になった。
【異世界生活 60日 8:30】
「それじゃあ、今日も、ダンジョンに調味料を取りに行くか。今日は鈴さんのスパルタだからな」
一角には、はた織り機のレクチャーがよっぽど暇だったのかツリーハウスから降りたとたんそう言ってやる気を出す。
「私は留守番してはた織り機で布を作りたいかな? できれば明日乃ちゃんも糸作りを手伝って欲しいんだけど」
真望がそう言って居残りを希望する。
「まあ、最初のダンジョンはもう余裕になったし、明日乃がいなくても大丈夫だろ?」
一角がそう言って、ダンジョンに入るメンバーが決まる。
俺、一角、麗美さん、鈴さん、琉生の5人だ。
とりあえず、いつも通り、5階をクリアして調味料を貰う。なんかあったら便利そうという事で胡椒を一角がチョイスした。
鈴さんのレベルもぎりぎりレベル21からレベル22に上がる。
「お昼まで時間あるし、たまには4階もクリアするか?」
一角がそう提案し、4階もクリアして鈴さんのレベル上げをすることにする。
さすがに、1回レベルが上がったばかりなので、上りはしなかったが、まあ、あまりダンジョンに来ない鈴さんの経験値を増やしておくことはいい事だろう。
そんな感じでダンジョンでの調味料確保も終わり、お昼ご飯を食べに拠点に戻る。
【異世界生活 60日 12:00】
「午後は、水道作りを始めるんだよね?」
お昼ご飯を食べながら鈴さんがそんな話を始める。
「そうだね。今日は真望と明日乃以外で水道作りのレクチャーって感じかな? 時間ができた時に誰でも鈴さんの手伝いができるように」
俺はお昼ご飯の焼き魚を食べながらそう答える。
「水道はいいよね。泉にまで行かなくても水浴びできるし、水汲みも行かなくてよくなるし」
明日乃が水道と聞いて飛びつく。
「本当は金床貰って本格的な鍛冶を始めたかったんだけど、先に水道を作っちゃった方がいいかもね。あと、ついでにお風呂とかも?」
鈴さんはそう言って水道作りを優先してくれるようだ。
「お風呂はともかく、泉から水をひく水道は欲しいな。予定通り午後は水道を作るか」
俺はそう言う。
「まあ、1日や2日でできる物じゃないとは思うけどね」
鈴さんが少しあきれ顔でそう言う。
「マジか? 1日でぱっと作れない?」
俺は鈴さんに聞き返す。
「泉まで歩いて30分、行きは坂道だし、まあ、泉の方が高度的に高いところにあるみたいだから構造は簡単そうだけどね。竹をパイプにするとして、節を抜いて接続して高低差を維持する為にパイプに足を生やしてここまで引いてくる。まあ、かかる時間的には簡単な作業ではないよね」
鈴さんがそう言う。
特に足、三脚の様な台を作ってその上にパイプを通していくのが面倒臭いらしい。
「あると便利だよね?」
明日乃が物欲しげに俺と鈴さんにそう言う。
「まあ、必要なものだし、少し時間がかかっても作ろうか。時間を気にせずに水浴びできるのはうれしいし」
鈴さんはそう言って午後の作業は水道作りをする。
鈴さんは鍛冶に夢中になると水浴びに行く暇もなくなるし、水道は必要だよな。
真望は変わらずはた織り機で麻布作り。明日乃はそれを手伝う。琉生も畑作業をしてから途中参加、俺、鈴さん、一角、麗美さん、それと眷属4人で水道作りをすることになった。
とりあえず、水源となる泉とその隣にある竹林に移動する。
変幻自在の武器のノコギリ1本+鉄のノコギリ、それと、鈴さんが暇な時に作ったらしい青銅製のノコギリ2本、4本あるので効率的に竹が切れそうだ。それと、リザードマンのボスが持っていた青銅の斧。これも作業用に使う。
「とりあえず、太い部分をパイプにして、それより先は3つつなげて三脚みたいな足の材料にする感じかな? で、長いままだと節を抜くのが大変になるから、パイプは1メートルくらいのものを幾つもつなぐ感じかしらね」
鈴さんがそう説明し、とりあえず、根元から2メートルを2本のパイプに、そこから先の部分は三脚の足として使う感じだ。
俺達はとりあえず、竹を斬り倒し、太い部分を1メートルくらいの長さに切り、棒で突いて竹の内側の節を抜く作業をする。二人一組で、1人が竹を抱えて、もう一人が棒で付いて節を抜いていく。俺がひたすら竹を切り、鈴さんが鉄製のノコギリで長さを整え、一角と麗美さんが節を抜く。眷属4人は鈴さんに言われて竹以外に必要なものを集めに行っている。
黙々とパイプ作りをしている俺達。
眷属のレオとココが少し大き目な丸太を二人で運んでくる。
「鈴さん、これは?」
俺は気になって聞いてみると、
「取水用の桶ね。水の沸きだし口に設置して、そこからパイプをつなぎ始める感じ。縦に半分に切って、中をくり抜いて桶にして、穴を開けて、そこに竹を差し込んで取水口にするかんじね」
鈴さんはそう言うと丸太を受け取り、その桶を作る作業に入る。
イメージ的には西部劇とかに出てきそうな馬が水を飲む丸太の桶みたいな感じか?
鈴さんは丸太をのこぎりで縦に半分に切断すると、変幻自在の武器を手斧という江戸時代の大工さんが使っていたような鍬と斧の中間みたいな道具で、丸太をくり抜いていく。
鈴さんが竹を切る役を抜けてしまい、俺は竹を切る役と、長さを1メートルに切りそろえる役をひたすらやる。
とりあえず、パイプ部分の切断だけ優先的に行う。
そんな作業をしていると、眷属の片割れ、アオとトラが枯草を集めてきた。竹同士のつなぎ目に巻いて水漏れを防いだり、荒縄の材料にしたりするためだ。
アオとトラは荒縄づくりを始め、レオとココは枯草が足りないので代わりに採りに行く。
「流司、竹を切るのが遅いぞ」
一角が文句を言う。
「うるせえ、鈴さんが抜けて二人分の作業を一人でしてるんだ。そっちのペースに間に合うわけないだろ?」
俺は一角の嫌味にイラっとする。
「しょうがないな。アオ、私の代わりに麗美さんの補助を頼む」
一角はそう言って、自分の作業をアオに任せ、俺が最初にやっていた竹を切る作業に入る。
青銅製のノコギリを一角が使う。切れ味はいま一つなので効率は落ちるが、さっきよりは大分ましになった。一角が竹を切り、俺が長さを整える感じだ。麗美さんとアオが節を抜く作業を待たずに進められるくらい、作業が上手く流れ出す。
途中で、琉生が合流して、アオと交代する。
レオとココも帰ってきてさらに枯草が増え、眷属4人で荒縄を作る作業を始める。
鈴さんの丸太の桶が出来上がったみたいで、鈴さんは休憩がてら水浴びに、そこから一人ずつ交代で水浴びをしながら竹を水道のパイプにする作業を続ける。
俺も水浴びとをして、心機一転、水道のパイプ作りの作業に戻る。
俺が竹を切り、鈴さんが長さを整え、麗美さんと琉生が竹の節を抜く。一角は水浴び中だ。
眷属達はひたすら枯草集めと荒縄づくりだ。
「そろそろ、設置の作業も始めようか?」
全員が水浴び終わったところで鈴さんがそう言い。俺と二人で設置の作業に移る。
俺が抜けた分はレオが節を抜く係に入り調整する。
「とりあえず、ここに、丸太の桶を設置して、水をひきましょ」
鈴さんがそう言い、いくつかある泉に流れ込んでくる小川のうち、水量が多いものにさっき作っていた丸太の桶を設置する。
岩の位置とかちょうどよく、桶がしっかり収まる。丸太の桶が流されないようにその周りを岩で固定する。
最後に桶の横に開けた穴に竹のパイプを刺して出来上がりだ。
竹のパイプから水が出だし、泉に流れていく。
「ここから水道を作っていって、全部できたら、このパイプと水道をつないで水が流れ出す感じね」
鈴さんがそう教えてくれる。
最初からつないでしまうと水道を作る作業中、現場が水浸しになってしまうので最後にこの取水源と水道をつなぐらしい。
一度、泉から出て、いつも通る獣道に沿って水道を作る作業に移っていく。
とりあえず、地面に3本先を尖らせた竹を杭のように打ち込み、その杭に三脚のように組んだ3本の竹を荒縄で結び地面に固定する。杭のおかげで三脚がしっかり安定する。
その隣にもう一つ三脚の様な足を立て、その間に1メートルのパイプを通し、荒縄で固定。
パイプの先に新しいパイプを継ぎ足し、三脚をもう一つ作ってパイプを固定する。その繰り返しだ。
竹のパイプは上流を太い方にして下流の細くなった竹に新しい竹の太い方を差し込む。角度が必要な場合は継ぎ足す方の竹の断面を斜めにして角度を調整する感じだ。90度近く曲がる場合は、縦に短い竹を接ぎ足し、90度曲げるそうだ。結構、パズルゲームのような想像力が必要な工事かもしれないな。
パイプとパイプの接続が緩い場合はレオとココが集めて来た枯草を細い方の竹に巻いて太さを調整し、きつい場合は両方をナイフで削ってちょうどいい太さにしてから接続する。
鈴さんは怪しい三角形の道具を使って何かを図りながら竹のパイプを設置していく。
「鈴さん、それって?」
前に鍛冶工房で見たことあるような道具が気になって聞いてみる。
「ああ、私が考えた水平器ね。正三角形の特性を生かして、水平が測れるようにした装置ね。三角形の頂点から垂らした糸と重りが底辺の真ん中に付けた印と合えば水平、ズレたら、ズレた方に傾いているってわかるのよ」
鈴さんがそう言って、三角形に組んだ同じ長さの竹の板を見せてくれる。
説明の通り、三角形の頂点に糸が結んであって、そこから垂れる糸と重りで角度がだいたい分かるそうだ。なるほどな。
そんな道具を使いながら、少しずつ拠点に向けて下を向くようにパイプを設置していく。
パイプや三脚にする竹、荒縄や枯草は眷属達が運んできてくれる。
そんな感じで作業を続けていると、眷属2人、レオとココと琉生も水道を作っている現場にやってくる。
「琉生、どうした?」
俺は気になって聞く。
「ああ、来るときに、夕方になったら眷属連れて帰ってきてって、真望さんに言われてたの。真望さん、最近水浴びできなかったから、水浴びがしたいんだって。あと、洗濯も? たぶん明日乃お姉ちゃんも一緒に来るかな?」
琉生がそう答える。
なるほどな。真望は最近布づくりにかかりっきりでダンジョンでの調味料とりには参加してなかったもんな。拠点に籠るとこういうことが起きるのが今の問題で、水道ができるとこの水浴び問題が解消できるのも大きいよな。
そんなことで、琉生とレオとココが拠点に帰り、交代で真望と明日乃が竹かごに洗濯物を入れてやってくる。まあ、時間も遅いので水浴びと洗濯をして帰る感じだろう。
一角と麗美さんが竹を切ったり、節を抜く作業、アオとトラが資材を運んだり、荒縄を作る作業。
1時間半ほど作業をすると、明日乃と真望が水浴びを終えて帰ってくる。一角や麗美さん、眷属達も一緒だ。だいぶまわりも暗くなってきたので、俺達も作業を終え、拠点に帰る。
【異世界生活 60日 18:00】
「結構疲れたな」
一角が夕食を食べながらそう言う。
先に帰っていた琉生が夕食を作って待ってくれていたようで、拠点に帰ってすぐ夕食にありつける。
「竹を切る量も半端ないけど、竹のパイプをつないでいく作業も地道でなかなか先に進まないな」
俺もそう言って少し音を上げる。
実際、水道の伸びるペースは遅く、ほとんど取水地の泉から離れていないところで作業は終わってしまった。
三脚を作って空中に水道を通すのも地味に面倒臭いしな。
「まあ、手が空いた人に協力してもらって少しずつやっていきましょ? 飽きたら別の作業とかしてもいいし」
鈴さんがそう言う。
「え~、私は1日でも早く拠点に水道が通ってくれると嬉しいんだけどな。毎日水浴びできるようになるし、洗濯も楽になるし」
明日乃がそう言って少しがっかりする。
「じゃあ、明日からは明日乃お姉ちゃんも手伝わないとね」
琉生がそう言って笑い、明日乃が困った顔をする。
明日乃は力仕事苦手だからな。
「ちょっと、琉生ちゃん、貴重な麻布作りメンバーを引き抜かないでよね」
真望が困った顔でそう言う。
そして、みんなも困った顔で笑う。
まあ、明日乃は早く作りたいみたいだけど、魔物狩りもあるし、時間ができたら水道作りを進めるって感じだろうな。
そんな話をしながら夕食を食べ、今日は早めに寝る。明日は魔物狩りと早朝からダンジョン争奪戦に参加だからな。
ダンジョンが開く6時までに入り口を独占しなくてはいけないから、遅くとも4時前には白い橋の近くにいなくてはいけないし、移動と朝食を考えるとまた2時起きだな。
そんな感じで、日課のお祈りをして少し早い19時に留守番組の真望と鈴さん以外は就寝する。
お祈りポイントも68200ポイントある。万全の態勢で再度2つ目のダンジョン攻略をめざす。
次話に続く。
【改訂部分】水道作りも早めに始めました。改訂前は2つ目の魔物の島を攻略中に始まった感じでしたが、改訂後は1つ目の魔物の島を攻略中です。
というか、1つ目の魔物の島の攻略が遅れているだけかも知れません。ダンジョンの魔物のレベルを上げ過ぎたかもしれませんw
眷属が4人いるので作業効率も上がっていい感じです。




