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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第2章 改訂版(今から読む方はここからお読みください)
178/244

第84話 はた織り機を作ろう

【異世界生活 59日 4:30】


「で、次はどうするんだ?」

朝食の場で一角いずみが俺にそう聞いてくる。


「とりあえず、本格的な魔物狩りをするには若干、お祈りポイントが足りないし、今日は、真望まもの欲しがっているはた織機作りかな?」

俺はそう言う。


「今日お祈りすれば、お祈りポイントも目標の60000ポイントを越えるから、明日は魔物の島に渡ってダンジョン再挑戦とかできるかな?」

明日乃あすのがそう言う。


「え~、お祈りポイントもっと貯めて鍛冶道具貰わないの? 金床あれば鋼の剣とか作れるかもしれないよ?」

すずさんが駄々をこねる。


「そ、そうだな。とりあえず、今攻略している魔物の島とダンジョンを攻略したら少し作業中心の生活をまたしよう。その時にお祈りポイント貯めて金床? それを貰う感じでどうかな? 麗美れいみさんの変幻自在の武器もなるべく早く欲しいし」

俺はどもりながらもすずさんを説得する。

 このままダラダラ生活すると一角いずみあたりが飽きそうだしな。


「じゃあ、まあ、とりあえず、今日はいつもと同じ生活だな。で、早寝して明日は早朝から魔物狩りをする感じでいいよな?」

一角いずみがそう仕切る。


「まあ、流司りゅうじクンの言う通り、私専用の武器ってやつも欲しいしね」

麗美れいみさんは同意する。


「私ははた織機できたら、当分拠点に籠るからね。ダンジョン攻略は他のメンバーに任せるわ」

真望まもがそう言う。もう、はた織り機の事で頭がいっぱいだ。

 

「まあ、すずさんも可哀想だから、なるべくお祈りポイントを使わない戦い方でダンジョン攻略をめざそ?」

明日乃あすのがそう締めくくる。


「はあ」

すずさんが残念そうにため息を吐く。


 そんな感じで予定も決まり、今日も、昆布を海岸に並べてから、麗美れいみさんの剣道教室をやり、いつもと同じような作業を始める。


 一角いずみ麗美れいみさんはいつも通り魔物の島につながる白い橋へ、琉生るうとアオとトラは田んぼ作りに。レオとココは竹を切りにいくらしい。田んぼのまわりの柵作りのために。


 そして、俺とすずさん、そして真望まも明日乃あすのははた織り機作りに参加する。なんか、はた織機は細かい作業が多いので人手がいるそうだ。


 俺は、すずさんの指示の元、真望まも明日乃あすのも含めた4人で機織り機の組み立てをする。


 すずさんは木製の土台の部分を作る作業、俺と真望まも明日乃あすのは、縦糸の間を横糸が交互に入るようにする仕組み作り、言葉で説明するのは難しいが、縦糸を1本ずつ交互に上と下に分けて、それを一瞬で上と下入れ替える仕組みを作る作業をする。

 もっと簡単にいうと金属製の輪に糸を2本結んで、それを大量に作り、上下の木のパーツに結んでいく作業、上手く説明できないがそんな作業を何十本もの糸で行う。


はた織り機の仕組み(簡略図)

挿絵(By みてみん)


「はぁぁ、面倒臭え。同じような丸い金具に糸を通して結んで、木の棒に打ち付けた釘に結ぶ。この繰り返しを150回もするのか」

俺は細かい作業の繰り返しにため息と愚痴を吐く。

 で60センチ強の木の棒に1ミリの太さの糸を3ミリ間隔を開けて150本結ぶ。それを上下の木の棒でやる。これを2セット作れば60センチ幅の麻布ができるらしい。地味でキリがない作業だな。

 まあ、この丸い金具を150個作るのも大変だったけどな。鋳型に流し込む作業が大変過ぎてすずさん、終わった後、倒れたもんな。

 しかもその後グラインダーで砥ぎ直して形を整えてさらにきつかった。


「3人でやればすぐ終わるよ。それにすずさんの本体の組み立てなんてもっと大変そうだよ」

明日乃あすのが仕方なさそうな顔で俺にそう言う。

 すずさんを見ると、すずさんはすずさんで楽しそうな顔で夢中になって木材パーツを組み立てている。

 うん、人には得手不得手、好き嫌いがあるという事が分かったよ。


「このはた織り機ができれば布がもっと簡単に、早くできるようになるんだから頑張って」

真望まもがそう言って一生懸命機織り機の部品を作っている。


「そうは言ってもな」

俺は、地道で地味で、神経を使う作業に限界が来ていた。


すずさん、もう少し木工作業っぽい物ないかな?」

俺は、今の作業の地味さに音をあげて他の作業がないか聞いてみる。糸を結ぶ作業は真望まも明日乃あすのの方が上手くて足手まといっぽいしな。


「ああ、それじゃあ、こっちの作業をお願い。これで、横糸をトントンと寄せると布ができる部品で縦糸を絡まないように誘導する大事な部品でもあるのよ」

すずさんはそう言って、粘土板でできた設計図を見せてくれて、たくさんの竹と木材のパーツがまとめてある場所を指さす。


「木材にはキリで穴開けてあるから、竹ひごを作って、松脂の接着剤で、竹ひごを1本1本、木材の穴に差し込んで接着してね。片方が終わったら反対側もね。竹ひごがクロスしたりしないように、全部平行に並ぶように気を付けてね」

すずさんがさらに注意事項を俺に言う。


 うわー、さらに地味で根気のいる作業だよ。

 まあ、小さい金属の輪に麻糸通す作業よりはマシか。木材加工っぽいしな。

 俺は少し木工作業寄りのその作業をすることにする。なんか、すずさんが言った通り横糸をとんとんして布にする装置だそうだ。よく分からないけど、設計図通りに作っていく。

 とりあえず、青銅製のナイフを使って竹を割り、1ミリの太さの竹ひごを作っていく。このあたりはすずさんにたまに竹細工の作業を教えてもらっていたので何とか出来る。

 ただし、まっすぐな竹ひごじゃないと、すずさんのOKがでないので結構苦戦はした。

 そんな竹ひごを300本作る。うん。根気のいる作業だ。

 

 とりあえず、竹ひごが出来上がる前にお昼になってしまう。うん、早めにすずさんに手伝う事を聞いてよかったよ。これをすずさん一人でやっていたら今日中にはた織り機は作れなかっただろうな。

 お昼になったので休憩になる。真望まも明日乃あすのも細かい作業過ぎて、肩を回したり、腰を伸ばしたり、大変な作業だったみたいだ。


 明日乃あすのがお昼ご飯を作り始めるので俺も手伝う。

 昼ご飯を作っていると、一角いずみ麗美れいみさんも魔物狩りから帰ってきて、琉生るうも田んぼ作りから帰ってくる。

 眷属達も戻ってくる。あまり働かせ過ぎるのも可哀想なので、お昼ご飯の間休憩させる。


「魔物が減る気配がないな」

一角いずみがお昼ご飯を食べながら今日の結果を報告しながらそう言う。


「魔物の島には非戦闘員も含めて1000体近い魔物がいます。現在250体以上倒しましたが、まだ、全体の4分の1程度、半分の500体を戦闘員と考えても半分程度しか倒せていません」

アドバイサー女神様の秘書子さんがそう教えてくれる。


「戦闘員だけでもまだ半分しか倒せてないのか」

一角いずみががっかりする。


「非戦闘員っていう事は女子供の魔物もいるってこと?」

麗美れいみさんが少し眉をひそめてそう言う。


「そうですね。魔物は自然発生するものではなく、生殖により増えますので、魔物の集落には戦えない子供や女の魔物も多くいると思います。ただし、魔物は女の魔物も戦うので、実際の非戦闘員はもっとすくないかもしれません」

秘書子さんがあまり聞きたくなかったことを教えてくれる。


「魔物とはいえ、子供とか無抵抗な魔物も倒さなくてはいけないってことね」

麗美れいみさんが難しい顔をしてそう言う。


「一網打尽にする方が、この島の結界を維持するうえではお勧めですが、無抵抗な相手を倒すのが苦手でしたら、戦闘員だけを倒し続けるという選択もあります。戦闘員がいなくなれば結界を壊す人員も確保できませんので」

秘書子さんは麗美れいみさんの言葉にそう答える。


「そうだな。無抵抗な子供とかを殺すのは相手が魔物とはいえ気が引けるな。集落攻めは、一時様子見にするか。集落をつぶさないとこの島の結界が維持できそうになかったら改めて考えるという事でどうだ?」

俺は秘書子さんの提案をもとにみんなにそう提案する。


「そうだね。魔物とはいえ無駄な殺生は避けたいかな?」

明日乃あすのがそう言い賛成する。


「魔物退治は無駄ではないです」

秘書子さんが無感情な声で不満そうにそう言う。

 そう言う意味じゃないんだよな。可哀想か可哀想じゃないか、罪の意識を感じるか感じないか。そんな話は秘書子さんには通じないようだ。


「それで行きましょ。私も無抵抗な魔物を倒すのはさすがに気が引けるし」 

麗美れいみさんも賛成し、みんなも頷く。

 一角いずみはゲーム感覚なのか、魔物は悪という認識ができているのか、そこらへんシビアなのかどっちでもいい顔をしていた。まあ、一角いずみらしいというか平常運転だな。


 とりあえず、食後は俺とすずさん以外はダンジョンに調味料を取りに行ってしまう。

 明日乃あすの真望まもが帰ってくるまで、自分の作業をすることにする。


 午前中残っていた竹ひご作りを続ける。

 そして、竹ひごができると、60センチ強の木の棒に1ミリの太さの竹ひごを300本、1ミリの間隔をあけて接着する。松脂を熱で溶かして接着剤代わりにする感じだ。

 それを上下の部品で、竹ひごをはさむ感じで穴に刺し、接着をする。300本を2回繰り返すと、もう、目が回って、何をしているのか分からなくなってきた。

 

 そんな感じで、15時まで、俺とすずさん、それぞれのパーツを分担して組み立て、真望まも明日乃あすのもダンジョンから帰ってきて2人の作業も再開、全部のパーツができたところで最後にそれを一つに組み上げる。最後のくみ上げは、昨日から真望まもの家、兼、裁縫小屋になった4つ目のツリーハウスにパーツを持ち込み組み上げる。出来上がってからツリーハウスに上げるのは面倒臭いからな。

 

 そして、日が暮れるころ、はた織り機が完成する。

 真望まもが感動で少し目が潤んでいる。


「凄いよ、理想通り、いや、理想以上のできよ」

真望まもが出来上がったはた織り機をみて感動の言葉を漏らす。


「もう少し精密な構造にすれば、目の細かいきれいな布が作れるんだけどね。今後要改良だね」

すずさんがそういうが、これ以上細かい構造は俺達がついていけないし、金床が手に入らないと細かい金属部品も作れないらしい。

 とりあえず、現段階のはた織り機だと織り目が少し荒い布ができるらしい。まあ、それでも十分なものができると真望まもは言う。


「細い麻糸で目の細かい布を作るなら、今までの木枠を使って手作業って感じかな。下着とかはそっちの作り方の方がいいかもね」

明日乃あすのがそう言う。

 目が細かくて小さい布なら今までの木枠を使った麻布作りを手作業でする。目が粗くて大きい布を作るならはた織機って感じらしい。


 すずさんはそこを改良して目の細かい布もはた織機で作れるようにしたいらしい。

 要は俺がやった竹ひごの作業を竹ひごを半分の太さで半分の間隔で倍の数を接着すれば目の細かい布ができるそうだ。まあ、竹細工でそれは難しいので竹ひご代わりに薄い金属片で代用する。その金属片を作るのにも金床が必要なのだそうだ。

明日乃あすの真望まもがやった糸を結ぶ作業も倍になるし、丸い金具も、もっと小さく精密なものになる。この金具作りにも金床が必要と。

 金床の件はともかく、うん、当分はやりたくない作業だな。


「まあ、動かすのに細かい準備もいるから、試運転は明日かな? 縦糸を張るだけでも結構な作業だし、真っ暗になったら効率悪いしね」

すずさんがそう言って、今にも使い始めそうな真望まもの気持ちを押さえる。


「そ、そうよね。こんな暗くちゃ、下準備もできないもんね。明日明るくなったら試運転しましょ」

真望まもはそう言って、満足そうな顔で、ツリーハウスを下りる。俺達もそれに続き、たき火の方に歩いていく。

 たき火のそばには一角いずみ麗美れいみさんが帰ってきていて、琉生るうも田んぼ作りが一段落したのか休憩していた。


「お帰り、一角いずみ麗美れいみさん、琉生るう。帰ってきてたんだね。何してたんだ?」

俺はそう言って二人に挨拶をする。


「私と麗美れいみねえは魚を獲ってきた。最近熊肉ばかりで飽きてきたしな」

そう言って、地面に放置された魚を顎で指す一角いずみ


「魚捌くぐらいやれよな。せめてはらわたくらい取れよ」

俺はあきれてそう言う。はらわたを取らずに放置すると、味も鮮度も落ちるんだよな。


「私ができるわけないだろ?」

一角いずみが不貞腐れるようにそう言う。

 イノシシの解体はできるのに魚は捌けないってどういうことだよ?


 俺は仕方なく魚を捌き始める。

 まあ、魚獲りのあと、干していた昆布も回収してくれたらしいから今日は許してやろう。


「私は今日も田んぼ作りかな。まだだいぶかかりそうだけど、気長にやるよ」

琉生るうはそう言って立ち上がり、魚を捌く作業を手伝ってくれる。琉生るうはさっき帰ってきたばかりで魚を捌く余裕がなかったようだ。


「水道はどうするの? 田んぼができるまでには作りたいよね?」

明日乃あすのがそう言って魚を捌く作業に参加する。

 明日乃あすのは水道ができれば気軽に水浴びができるので水道にかなり期待しているようだ。


「青銅の盾を作る必要もなくなったみたいだし、金床が手に入るまで本格的な鍛冶もできないし、流司りゅうじ達が魔物狩りに行っている間にでも水道を眷属達と作ってもいいし。拠点は真望まもと眷属2人いれば大丈夫だろうし」

すずさんがそう提案する。


「とりあえず、明日の午前中は真望まものはた織り機の試運転を見たいんだよな」


「じゃあ、午後は少し水道作りをする? やっと仕事も一段落ついたから、水浴びにも行きたいし」

すずさんがそう言う。


「そう言えば、俺も水浴び最近してないな」

俺はそう言う。寝る前に軽く水瓶に貯めた水で軽くは流しているが。


「じゃあ、明日は午前中、はた織り機の試運転を見て、糸車の使い方のレクチャーを聞く感じかな? 私たちも暇な時は糸車あたりを使うかもしれないしね」

麗美れいみさんがそう言う。


「それが終わったら、ダンジョンも行くからな。すずさんも作業が落ち着いたなら、ダンジョンいくぞ。レベル上げないといけないしな」

一角いずみがそう言ってすずさんをダンジョンに誘う。


「ダンジョンから帰ってきたら、お昼ご飯を食べて、みんなで午後は水道作り。そんな感じでいいかもな。で明後日に魔物狩りに行く感じでいいか」

俺はそうまとめる。

 水道作りも体験しておけば、手が空いた時に手伝えそうだしな。


 一角いずみたちが獲ってきた魚を捌くついでに塩焼きにして夕食にする。結構数があったので、残った魚は塩水に浸けて干物にする。


 夕食後、日課のお祈りをする。お祈りポイントは62200ポイント。一応、本格的な魔物狩りに行けるだけの貯金はできたな。


 とりあえず、明日は作業が色々あるので魔物狩りは延期、明後日になった。


 次話に続く。

【改訂部分】少し早く、はた織り機も作りました。ツリーハウスもすでに4棟できているので書き直されています。はた織り機の部分は再利用、それ以外はほとんど書き直した感じです。

 眷属が増えて色々効率よくできているので改訂前は3軒しかでき上っていなかったツリーハウスあたりもすでに4軒出来上がっていたりします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 機織り機使ってみたいですね〜一度使ったことありますけど順番がややこしくてどういうふうにしたら良いのか覚えられなさそうでした。
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