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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第2章 改訂版(今から読む方はここからお読みください)
176/244

第82話 一角の暴走。タラとシャケを美味しく食べよう

【異世界生活 54日 11:30】


「ただいま、琉生るうすずさんは?」

俺はたき火で作業をしていた琉生るうに挨拶をする。


「おかえり、流司りゅうじお兄ちゃん。すずさんは鍛冶工房にこもりっきりだね。そろそろ出てくると思うよ」

琉生るうがそう答える。

 眷属達も総出で手伝わされているらしい。きっと、グラインダーの原動力として自転車を漕がされているのだろう。


「ちょっと早いけど、お弁当食べちゃおうか」

明日乃あすのがそう言う。


「魚は食べないのか? せっかく手に入れたのに」

一角いずみがそう聞く。


「た、食べるけど、お弁当が痛んじゃうから、ね?」

明日乃あすのが困ったようにそう言う。

 多分、明日乃あすのはまだマーマンの切り身と疑っているんだろうな。

 それと、今日は半日で帰ってくる予定ではなかったので、熊肉と野菜で野菜炒めを作って竹筒に詰めてお昼のお弁当として持っていき食べずに帰ってきたのは事実だし、残して捨てるのはもったいない。


「まあ、さすがに、新巻鮭はマーマンの切り身じゃないだろうし、夕食にでも食べよう」

俺はそう言って明日乃あすのをフォローする。


「タラの切り身も皮を見た感じマーマンとは明らかに違うしね」

麗美れいみさんがそうフォローしてくれる。


「そ、そうだよね。タラの切り身はどう見てもマーマンの皮に見えないし鱗の大きさとかも違うもんね」

明日乃あすのが少し考えなおしたようだ。


「弁当を温める間に明日以降の行動を考えないとな」

俺がそう提案する。


「いや、他に考えることがあるだろ?」

一角いずみが少しイラっとした声でそう言う。


「他に考えること? 何かあったか? 一角いずみ?」

俺は気になって聞き返す。


「お前、これだけ美味しそうなシャケとタラが手に入ったんだぞ? そしてこれからも手に入る。それならこれをいかに美味しく食べるか? 一番大事だろ?」

一角いずみが自信満々にそう言うが、一角いずみ以外、呆気にとられる。


「でも、調味料も醤油とみりんが少しあるだけだし」

明日乃あすのが残念そうにそう言う。


「だったら取りに行けばいい。明日乃あすの、たらとシャケの美味しい食べ方はあるか?」

一角いずみが真剣な顔でそう言う。


「おいおい、一角いずみ、そんな話はあとでいいんじゃないか?」

俺はあきれてそう言い返す。明日の魔物狩りをどうするかの方が大事だろ?


流司りゅうじは黙ってろ。今はタラとシャケの食べ方の方が大事だ」

一角いずみが暴走を始めた。


「そ、そうだね。タラは昆布だしでお鍋にしてポン酢で食べたり、醤油にネギと鰹節を入れたネギ醤油で食べたりするのも美味しいね。あとは味噌味の鍋も美味しいし、みりんで一夜干しとかもいいかもね」

明日乃あすの一角いずみの勢いに負けてそう答える。


「昆布と醤油と鰹節だな。味噌もいいな」

一角いずみがそう言う。


「シャケを味噌で煮る石狩鍋もいいわね」

麗美れいみさんが美味しそうな鍋を思いつく。


「石狩鍋、それもありだな」

一角いずみが妄想を広げる。


「とりあえず、全部は食べきらないからシャケは塩漬けして干して、たらも醤油とみりんに付けて一夜干しにするか」

俺はそう言って、保存食にする作業を進める。


「シャケの半分とタラは残しておけよ。今日の夕食は味噌で鍋にするからな」

一角いずみがそう言う。


「いやいや、味噌なんてないだろ?」

俺は一角いずみにそう突っ込む。


「なければ取りに行けばいい。今からダンジョンに行くぞ。5階だけなら1時間あれば帰ってこれるだろ?」

一角いずみが自慢げにそう言う。


「5階だけ? 言われてみるとそれもありよね。一角いずみちゃんはこういうところには頭が回るわね」

麗美れいみさんがそう褒めると一角いずみがどや顔をする。


「ずる賢いだけだぞ」

俺は一応麗美(れいみ)さんに突っ込んでおく。

 確かにこのダンジョンは上の階のボスを倒せば次の日以降エントランス、階段のある部屋を通って次の階からでも再挑戦できる。つまり、一度ダンジョンを攻略してしまえば、2回目以降、どこの階からでも、そして、5階だけクリアしてダンジョンのクリア報酬をもらうということも可能なのだ。


「みんな、おかえり。帰ってきてたんだ」

すずさんが鍛冶の作業が一段落ついたようでお昼ご飯を食べに戻ってくる。


すずさんも来たしちょうどいい。午後の作業を決めるぞ」

何故か一角いずみが仕切り出す。


「何があったの?」

話の流れが分からないすずさんが首をかしげる。


一角いずみが暴走中だ。魔物の島のダンジョンのドロップアイテム。シャケとタラの切り身を美味しく食べる為にこの島のダンジョンにも潜るそうだ」

俺はあきれ顔でそう伝える。


「ああ、シャケと聞いたら、石狩鍋よね。タラと言ったら湯豆腐? 味噌とみりんで西京焼きなんていうのもいいわね」

すずさんがそう答える。


 ちなみに、西京焼きには味噌とみりんと酒と砂糖が必要らしい。砂糖は前にサトウキビで作った砂糖がある。


すずさんはよく分かってるな。つまり今必要なのは味噌。そして次のダンジョン攻略までに必要なのが昆布と醤油と鰹節だ」

一角いずみが仲間を見つけるようにそう言う。


「まあ、私は食べられればなんでもいいけど」

呆れるようにすずさんがそう漏らす。


「とりあえず、すずさんは鍛冶作業があると思うから、眷属達と拠点を守ってくれ。流司りゅうじ明日乃あすの麗美れいみさん、真望まも琉生るうはこの島のダンジョンを攻略して副賞の味噌を取ってくる」

一角いずみがそう命令してくる。


一角いずみはどうするんだ?」

俺は一角いずみがダンジョン攻略に入っていないことが気になる。


「私は昆布を取りに行く。秘書子さん、昆布あるよな? 魚を獲りに行ったとき、海底に少し海藻はあったし」

一角いずみが秘書子さんにそう声をかける。


「そうですね。もとの拠点の前の砂浜と東側の岩場の間の沖の辺りに昆布が群生しております」

秘書子さんが一角いずみの問いに答える。

 最初の拠点の前に広がる砂浜の先か。


「でも、一角いずみちゃん一人じゃ、サメとかいたら危険じゃない? 海から上がってきたときに獣に襲われる可能性もあるし、1人じゃ危ないよ?」

明日乃あすのが心配そうに言う。


「そういっても、サメレーダーが使える流司りゅうじがダンジョンに潜れないと5階のボスはクリアできないだろ?」

一角いずみが不満そうにそう言う。


「だったら、私と一角いずみちゃんで海に潜ってさっさと昆布を大量に収穫して、みんなで海岸に干して、終わり次第、ダンジョンに潜るのはどう? 5階だけなら1時間で帰ってこられるし、15時ごろ出発しても間に合うでしょ?」

麗美れいみさんがそうアドバイスする。


「ここのすぐそばに砂利の海岸があるから、そこに干したらいいと思うよ。砂浜じゃ砂まみれになっちゃいそうだし」

琉生るうがそう言う。


「じゃあ、私と麗美れいみねえが海に潜って昆布を取り、流司りゅうじには砂浜で秘書子さんとサメの警戒をしてもらう。他のメンバーは私達が採ってきた昆布を琉生るうが言っている砂利の海岸まで運んで干す。それでいいな?」

一角いずみがそうまとめる。


「あほくさい。私は拠点で麻布作りをするわね」

真望まもが作業から脱落する。


「タラ鍋食べさせないぞ」

一角いずみが少しキレる。


「もう、一角いずみちゃん、そういう意地悪なこと言わないの。一角いずみちゃんだって、真望まもちゃんの作った布製の下着履いてるんでしょ? 下着返せって言われたら困るでしょ?」

明日乃あすのがそう言って一角いずみをたしなめる。


「下着の件はともかく、みんなで協力して生活してるんだ。今回は一角いずみのわがままで動いている部分もあるんだから、そんなこと言うなよ」

俺も一角いずみを叱る。


「そ、そうだな。すまない、真望まも。昆布に夢中になりすぎた」

一角いずみが反省する。


「まあ、美味しいお鍋は食べたいし、手の空いている人で作業するのは賛成だよ。それにお祈りポイント、いっぱい使っちゃったんでしょ? お祈りポイントを回復するまで、時間はあるし、こういう楽しみも大事だよ」

琉生るうがそう言って笑う。


一角いずみちゃんより琉生るうちゃんの方が大人ね。まあ、美味しいものが食べたいって、言ってる内容は変わらないけど」

麗美れいみさんがそう言って笑い、みんなも笑う。

 そんな感じで、作業のあるすずさんと真望まもは自分の作業に専念し、残りのメンバーで15時まで昆布を採って干す作業。15時からはダンジョンに潜り調味料を取りに行くことにする。


「でも、毎日1時間だけダンジョンに潜って調味料を充実させるという作戦もいいかもしれないな。経験値も5階の分、余裕があれば4階だけでも攻略すればいい足しになるかもしれないしな」

俺はそう言う。


「そうね。魔物の島のダンジョン強すぎるもんね。お祈りポイントが貯まるまではいいかもしれないわね」

麗美れいみさんがそういう。


「お祈りポイントが貯まるまで、白い橋の辺りで、お祈りポイントを使わないように魔物狩りをするのもありかもしれないな」 

俺はそう付け足す。


「というか、このままだと、鍛冶道具で大事な金床が一生手に入らなそうだから、先にお祈りポイント交換したいんだけどな」

すずさんがそう言って不満そうな顔をする。


「まあ金床の件は作業の進捗やお祈りポイントの増え具合を見て考えるよ」

俺は少し呆れるようにそう言う。すずさんの鍛冶道具はキリがないしお祈りポイントの消費が多すぎるしな。


「現在のお祈りポイントは31700ポイント。安全性を考えると、60000ポイントくらいまで貯めてから魔物の島のダンジョン攻略は再開したいかな」

明日乃あすのがそう言い、みんなも頷く。

 すずさんはちょっと不満そうだ。


 そんな感じで、温め直したお弁当をみんなで食べ、食べきらなそうな魚の切り身は塩漬けにしたり、みりんに浸けて一夜干したりする作業をし、午後は一角いずみのわがままに付き合う。



【異世界生活 54日 13:00】


 一角いずみ麗美れいみさんは魔法を水中眼鏡代わりにして海に潜り昆布の収穫。

 俺は、海岸からサメの警戒をしながら貝を拾う。

 明日乃あすの琉生るうは、俺と砂浜で貝を拾いながら待ち、昆布が取れたら、それを砂利の多い拠点の近くの海岸に持っていき、干す作業だ。


 ちなみに秘書子さんの話だと、昆布は海岸に20日干して海風に当てることで美味しい昆布になるらしい。そして、雨は天敵だ。


「20日経ったら、さすがに魔物の島のダンジョン攻略しちゃってるんじゃないか?」

おれはそう一角いずみに突っ込みを入れる。


「だったら、金床を先に貰えばちょうどいい時期にダンジョン攻略できるよね?」

すずさんが余計な事を言う。


「20日待つなら、私が欲しい糸車や、はた織り機をすずさんに作ってもらうのもアリだわね」

真望まもまで余計なことを言い出す。 


「みんな、昆布の事よりレオの事を考えてくれ」

俺はあきれてそう言う。

 1年以内にすべてのダンジョンをクリアしないとイレギュラーで召喚した眷属のレオが消える。明日乃あすのも悲しむことになる。


「まあ、そうだけど、1年あればなんとかなるでしょ? お祈りポイントが貯まらなければどうにもならないこともあるんだし」

真望まもが適当にそう言うが、確かに一理ある。たぶん、お祈りポイントの節約と回復がダンジョン攻略の要になりそうだもんな。


 そんな雑談をしつつ、午後の作業に移る。とりあえず、以前の拠点の前に広がる海岸まで行き、貝拾いと昆布を収穫する作業だ。


 一角いずみは風を操る魔法で、目の前に空気の膜を、麗美れいみさんは水を操る魔法で目の前に空洞を作り水中眼鏡代わりにする。

 俺と明日乃あすの琉生るうは砂浜や岩場で貝を拾いつつ、秘書子さんにサメの監視をしてもらう。

 貝殻はあると色々便利だしな。


「じゃあ、りゅう君、昆布を干してくるね」

明日乃あすの一角いずみ達が採ってきた昆布を干しに拠点の方に戻っていく。琉生るうも一緒に昆布を運んでいく。

 一角いずみ達はもう1回潜って昆布を取ってくるらしい。

 そして、昆布と一緒に、ウニが獲れたらしく、麗美れいみさんはウニに夢中だ。


 確かに、北海道の日高地方とか昆布がとれる街ではウニがたくさん採れると聞いたことがある。ウニが大好物の昆布を食べてしまう害獣扱いみたいな話だ。


 そんな感じで、もう一度、昆布とウニを採ってきて、俺と一角いずみ麗美れいみさんは、明日乃あすの琉生るうと合流、砂利の多い海岸で昆布をみんなで干して風で飛ばないように石の重しをしっかり乗せて拠点に帰る。


【異世界生活 54日 15:00】


「う、ウニじゃない!? わ、私、スーパーのお寿司でしか食べたことないわよ?」

拠点に帰ると真望まもがウニに飛びつく。

 自慢じゃないが、俺も、スーパーの寿司でしか食べたことはない。


「とりあえず、海水の入った土器に入れておいて、夕ご飯で食べましょ?」

明日乃あすのが少し引き気味にそう言う。

 真望まもがこれほどウニに飛びつくとは思わなかったからな。


「一人でこっそり食べるなよ」

一角いずみ真望まもを冷やかすようにそう言う。


「もう! そんなことしないわよ」

真望まもが真っ赤な顔でキレる。


 一角いずみはそう言っているが、実は、真望まもすずさん以外はその場でウニを割って試食している。海水だけの味付けだったがそれだけでも十分旨かった。


「じゃあ、次はダンジョンに味噌を取りに行くぞ」

一角いずみがそう言って気合を入れる。

 ダンジョンをクリアすると神様から調味料が貰えると分かっている俺達には伝わるが、知らない人が聞いたら意味不明な会話だよな。


 とりあえず、急いで防具を身に着けて、最初のダンジョンに向かう。片道30分くらいなので2時間くらいは潜れるかな? 昆布を回収しないといけないし、1時間で帰らないと駄目か。

 そんなことを考えながらダンジョンに行き、今日は5階だけをクリアする。俺のレベルが上がりそうだったので俺のレベル上げと午前中の魔物狩りがお休みだった琉生るうのレベル上げをしつつ、調味料を入手する。

 俺のレベルは1上がりレベル24に。琉生るうのレベルは残念ながらもう少しってところで上がらなかった。

 

「なんだかんだいって、レベル21越えの魔物を相手にした後だとレベル10台の敵の経験値の不味さを感じてしまうな」

一角いずみがそう言う。

 

「まあ、レベル15でも50体近く倒せば結構な経験値にはなるけどな」

俺はフォローするようにそう言う。

 少なくとも無駄にはならないし、敵が弱いと、魔法も使わなくて済むのでお祈りポイントもマナも減らさずも済むのもありがたい。


「それに、一角いずみちゃんが一番欲しがっている調味料も手に入るし」

明日乃あすのが笑いながらそう言う。


「とりあえず、今日は味噌でいいか?」

一角いずみがそう言う。


「うん、味噌でいいよ。かつおだしとか調理酒とかあるともっと美味しくなるんだけどね」

明日乃あすのがそう言う。


「石狩鍋ってバターとか牛乳とか乳製品入れても美味しくなるのよね」

麗美れいみさんが妄想しだす。


「あんまり余計な事を言うと、毎日このダンジョンを潜ることになるぞ」

俺は笑いながら明日乃あすの麗美れいみさんに忠告する。


「それもいいな。1日2時間で調味料がどんどん増えるぞ」

一角いずみがやる気になる。


「みんなが暇な時だけだからな。本来なら俺はすずさんの手伝いをして鍛冶の技術や建築の技術を習いたいしな」

俺は一応突っ込んでおく。

 将来的にも、すずさんの技術は1人だけだと回らなくなりそうだからな。


 なんだかんだで、今日は二つのダンジョンを午前と午後1日で潜ってしまった。


 そんな感じで、ドロップアイテムなども回収し、泉で水浴びをしてから拠点に帰り、海岸の昆布を一時回収、明日天気になったらもう一度干し直す感じだ。


「で、なんで、鍛冶工房に昆布がくるの?」

ちょうど鍛冶作業が終わったすずさんが呆れる。


「雨が防げて、昆布が長いまま、重ならないように置けるところってここしかないんだよ」

俺はすずさんに詫びるようにそう言う。


「朝になったらどかしてもらうからね」

すずさんが仕方なさそうにそう言う。


「そうだ、麗美れいみさん、少しだけ昆布を魔法で乾燥してもらっていいかな? 今日のお鍋にも少し使いたいから」

明日乃あすのがそう言い、みんなもお祈りポイント100ポイントくらいならとOKが出て、1回分の乾燥昆布が出来上がる。


 ぶっちゃけ、麗美れいみさんの水魔法で昆布を全て乾燥させてしまうというのも手だが、お祈りポイントが大量に必要で勿体ないのと、秘書子さん曰く、天日干しで海風に当てるから美味しいと無感情な声で力説するので天日干しに拘ることになったのだ。

 

 一段落ついたので、俺も手伝い、夕ご飯の準備。昆布を水で戻し、軽く煮たてて、だしを取る。

 そこにドロップアイテムのタラの切り身とシャケの切り身を一口大に切って放り込む。琉生るうの畑で採れたネギやジャガイモ、白菜がないので、キャベツを代わりに入れ、ダンジョンの帰りに採ってきたシイタケっぽいきのこも入れる。それと、岩場で採ったカキも入れてみる。

 最後に味噌とみりんを入れ軽く塩で味の調整をし石狩鍋の完成。確かにバターか牛乳があると濃厚で旨そうな味だなと少し残念な気持ちになったが十分美味しい鍋になった。


「おお!! 本当に美味しそうだな」

一角いずみが嬉しそうに鍋を覗く。

 

「あと、ウニもあるから、醤油を少し垂らして食べよ?」

明日乃あすのがそう言う。

 もちろん鑑定済みで食中毒の危険性のない事は確認済みだ。

 カキやウニ、そしてきのこ。鑑定スキルで毒や食中毒を回避できるのはありがたいな。最悪、明日乃あすのの解毒魔法で食中毒も直せるらしいし。


 そんな感じで、久しぶりに調味料という文明のある夕食を食べる。


「ヤバいわね。これ、本当に美味しいわ」

麗美れいみさんが感動しながら食べている。


「味噌の味がいい味出してるわね」

真望まもも美味しそうに石狩鍋を食べる。


「タラもシャケも美味しいし、ネギが汁を吸って本当に旨い」

俺も予想以上に美味しくできた石狩鍋に舌鼓を打つ。


「ウニも美味しいわね。醤油をつけて生で食べるなんて。なんか元の世界の味を思い出すわ」

すずさんがそう言ってウニを味わう。

 すずさんはこそっとお嬢様、建築会社の社長令嬢で、父親は政治家だったらしいから、ウニは結構食べていたんだろうな。たぶん、回らないお寿司屋さんとか?

 

 俺もウニを食べて少し感動する。身は小さいけど、スーパーの寿司とは違うとれたてのうまさ? なんか生臭さとか苦みとか変な味がしないのは多分とれたてだからだろう。


「カキも味噌で煮ると美味しいね」

琉生るうが美味しそうに具材を一通り食べつくす。いつもより食べ過ぎな気もするが、許してやろう。それだけ美味しいしな。


 眷属達も魚中心に美味しそうに石狩鍋を食べている。眷属達は100%動物というわけではないので、味噌も美味しいそうだ。

 半分精霊で半分人間、そして動物を模した存在。よく分からないが味覚は人間と動物の中間くらいっぽいな。


「これだけうまいと白米をかき込みたくなるな」

一角いずみのいつもの余計な言葉が出る。

 まあ、確かに美味しいお米が食べたくなるうまさだ。


「だったら、私もよく冷えたビールが飲みたいわ」

麗美れいみさんがそう言う。

 ちなみにお祈りポイントでビールを頼もうとしたことがあるらしいが、醤油やみりんと同じ50000ポイントという事で泣く泣くあきらめたらしい。


「お米は、現在攻略中の南の魔物の島、ワーフロッグの集落のある沼地に自生しております」

秘書子さんも余計なことを言う。


「採りに行くか?」

「行こうよ」

一角いずみがやる気になり、

琉生るうもやる気になる。


「ちなみに収穫できるのは秋なので、成長途中の稲を回収して、こちらで育てる必要があると思います」

秘書子さんが残念な報告をする。


「野菜みたいに、こっちの島に植え替えて育てるっていうのもアリかもね。来年は籾殻から育てたいけど、その為にもお米は欲しいね」

琉生るうが稲作にもやる気を出す。


「お祈りポイントが貯まるまで時間があるし、琉生るう、今のうちに水田を作るか? 協力するぞ?」

一角いずみが米に夢中になる。


「まあ、お祈りポイントが貯まるまで少し時間が必要だからそれもいいかもしれないな」

俺はそう言って笑う。


「時間があるんだったら、すずさん、糸車とはた織機作ってよ」

真望まもすずさんに泣きつく。


「稲を手に入れる為にはワーフロッグも倒さないといけないけどね」

明日乃あすのが呆れるように突っ込む。


「水田つくるとしたら、水が自由に使えるようにならないと辛いかな?」

琉生るうが真剣に悩みだす。


「水道も作らないと駄目そうね」

すずさんが疲れた顔でそう言う。


「水道はいいね。毎日気兼ねなく水浴びもできそうだし」

明日乃あすのが水道と聞いて飛びつく。


「将来的にはあったかいお風呂とかも入りたいわ」

麗美れいみさんが妄想を始める。


 稲作に水道作りに糸車やはた織機作り。今も鍛冶で忙しいすずさんの仕事が増えそうだな。


 そんな感じで美味しい石狩鍋をつつきながら身近な夢を語りつつ、幸せで楽しい夕食の時間を過ごすのだった。


 次話に続く。

【改訂部分】全く新しい話です。2つ目のダンジョンでシャケとタラの切り身が手に入るようになったのでグルメ?の一角いずみが暴走しました。

 タラは美味しいんですけど、調理に工夫が必要なんですよね。淡泊な魚なので焼くだけだと勿体ない感じです。

 お祈りポイントが回復するまで最低でも5日間色々作業をする予定です。あと一角いずみは調味料の在庫も貯めたいらしいです。昆布は天日干しで20日かかりますw

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[一言] あ〜暴走ってこの事だったのですね
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