【再改訂】第66話 畑作りとダンジョンでレベル上げ(スキップ回)
【異世界生活 33日目 19:00】
「ただいま。みんな。レオとココはもしかして1日中塩作っていたのか?」
俺は留守番をしていた4人に挨拶をして鍋を囲んで麻の繊維を叩いている4人を見て呆れる。
資材置き場には大量の竹もあった。
一角がレオを褒めまくって、そのまま塩作りに加わる。
麗美さんもココを褒めまくろうと抱き寄せたところで猫キックをされて逃げられる。下心を見透かされたようだ。
代わりに俺がココの頭を撫でて褒めてやる。
麗美さんがうらやましそうに見ている。猫は追うと逃げる。そういうもんだ。
明日乃や琉生もアオやトラを褒めている。なんか主従関係は適当だな。自分に似ている存在だとそういうものなのかもしれないが。
「麗美さん、鈴さん、暗いところ悪いんだけど、海水を汲んできてくれるかな?」
俺がそう言うと2人は了承してくれる。
「私も行くわね。明かり代わりになるだろうし。お祈りポイント100使っていいわよね?
そう言って火魔法で明かりをつけ、2人について行く。
俺と明日乃と琉生はイノシシ肉の赤身をスライスしていく。
海水を汲んできた麗美さんと鈴さんも肉の加工に加わり、急いで作業をする。夜も遅くなりそうだし。
真望は川で塩漬けしておいた川魚を干しかごに入れていく。
そんな流れで、イノシシ肉を汲んできた海水に塩を入れたものに浸けて、塩漬けしておいた川魚を干し、作業終了。
遅い夕食を食べる。今日の献立はとってきた野菜、玉ねぎとキャベツ、ニンジン、イノシシ肉で野菜炒めを明日乃が作る。
いつものことだが、脂身の多い部分は干し肉にならないのでそこを先に焼いて食べる感じだ。
燻製の機会があれば燻製やベーコンにできるらしいんだが。
「やっぱり、燻製器を作ろうか?」
鈴さんがそう言う。
「燻製器作れるの?」
俺は気になって聞く。
「青銅を溶かせる窯ができないと無理ね。やっぱり耐熱煉瓦が欲しいわね」
鈴さんはそう言ってがっかりする。
「真望、今日は川遊び楽しめたか?」
俺はそう聞いてみる。
「全然、ダメよ。今度は流司もいっぱい遊んで、いっぱい泳ぐんだからね」
真望には不満だったようだ。あんなに楽しそうだったのにな。
「今度行くときは泊りで、別荘みたいなのを作って1日丸々遊びたいわね」
鈴さんがそう言って色々思いを馳せる。
「もう少し暖かくなって、生活も落ち着いたらまた行こう」
俺はそう言って、締めくくる。
日課のお祈りをして、歯を磨いて、就寝。今日は少し遅くなってしまったので、明日は7時起きくらいかな?
【異世界生活 34日目 6:00】
今日はいつもより遅めの起床。
イノシシ肉の油の多い部分を朝食で食べて、麗美さんの剣道教室、8時から軽く作業をする。イノシシ肉も干さないとダメだな。
俺と一角と琉生は拠点から西に少し歩いた、拠点からも見える範囲の草原にできた家庭菜園を少し広げて昨日採ってきた野菜の苗を植える作業。。
当初は前の拠点の草原に畑を作る予定だったが、無人の時にイノシシに野菜を荒らされたら悔しいので拠点から見える範囲に小さい畑を作ることにしたらしい。
田んぼや小麦畑を作る場合は元の拠点に作りたいと琉生は言っている。
まずは3人で畑を広げる新しい土地の雑草を抜く作業をする。雑草は乾かして焼いて灰を肥料にするらしい。焼き畑農業的なやつかな? 雑草を抜き終わると、琉生が変幻自在の武器を鍬や鋤に変化させて、地面を掘っていく。
肥料もまだできていないので、とりあえず、昨日採ってきた未成熟の野菜や苗を植えて、肥料ができたら別の場所を耕して植え直すみたいな作業を繰り返すらしい。小規模な農業だ。
俺と一角は眷属達が採ってきてくれた竹で柵を作る作業をする。眷属達は今日も追加で竹を取りに行ってくれているらしい。
真望と明日乃は麻布作り、鈴さんと麗美さんは鍛冶工房を作っていたそうだ。
【異世界生活 34日目 12:00】
2時間ほど作業をして、お昼休み。昼食を食べて、午後からはダンジョンでレベル上げをする。
魔物の島に渡るにしても全員レベル21になって新しい魔法を使えるようになっておきたい。
今日は琉生が農作業をしたいらしいので、メンバーは俺と、一角と麗美さんと明日乃と鈴さんだ。
変幻自在の武器は琉生に貸して、俺は普通の青銅の穂先のついた槍で戦う。鈴さんが拠点での作業に集中し過ぎてレベルが上がっていないので無理やり連れてきた感じだ。
「私は琉生ちゃんにレベルを上げて欲しいんだけどな」
鈴さんが不満を言う。
「どっちにしろ鈴さんもレベルを上げなきゃいけないんだし、鈴さんのレベルが低いままじゃ、耐熱煉瓦作り? 始めないからね」
俺はそう言って念を押しておく。鈴さんは放っておくと鍛冶に無夢中になってレベル上げしなそうだしな。
「鈴ちゃんもレベルが上がって新しい魔法を覚えたら鍛冶に役立つ魔法とかも覚えられるかもしれないしね」
麗美さんがそう言って鈴さんにやる気を出させる。
「そうよね、金の属性っていうからには金属加工の魔法とかも覚えられるかもしれないもんね」
鈴さんはそう言って渋々レベル上げに参加する。
とりあえず、鈴さん以外、かなりレベルも上がっているので余裕もあり、1階から順番に攻略していって、鈴さんのレベルを上げる。
2階のボス部屋をクリアして、鈴さんがレベル12に、3階のボス部屋をクリアした時点で、鈴さんがレベル13になる。
4階からもひたすら鈴さんのレベルアップ。
4階クリアで鈴さんのレベルが13から17に、5階をクリアでレベル17が20になりダンジョンクリア
「レベル21になるのは相当大変そうね。私以外誰もレベル上がらなかったじゃない」
鈴さんがそう言ってがっかりする。体感で琉生のレベルを21にする難しさを痛感してしまったようだ。
「まあ、貢献ポイントだけだったしな。それになんだかんだ言って明日乃はもう少しでレベルが上がりそうだし、琉生もダンジョンに来ていればそのうちレベル上がると思うよ」
俺はそう言って鈴さんのフォローをする。
「それに鈴さんのサイズに合った防具が手に入ったしよかったよね」
明日乃もフォローする。
「いやいや、あんなに要らないよ」
鈴さんが迷惑そうな顔をする。
1階から5階まで鈴さん一人でとどめを刺したので鈴サイズの防具が山ほど手に入った。5階ボスの皮の服上下も鈴さんのサイズだ。
そして、いつもの調味料が貰えるボス部屋の奥の部屋へ。
「一角、今日も焼肉のたれか?」
俺は冷やかすように一角に聞く。
「いや、料理をするのは明日乃だろ? 明日乃は何が欲しい?」
一角は明日乃に聞く。
「うーん、一通り欲しいし、気持ち的には醤油が欲しいんだけどね。どれか一つ、って考えると味噌かな? 醤油を使う料理にはみりんとか出汁とか欲しいし、すぐ使えるし、イノシシ肉とかクマ肉に味噌入れたらおいしそうだしね」
明日乃は一角の問いにそう答える。
「そう言えば鰹節とか、顆粒のコンソメとか貰えないのかな?」
俺がそう言うと、今まで名前の書いてなかったボタンに鰹節とコンソメの名前が入る。
「欲しいものがラインナップに並ぶのね。顆粒のコンソメはちょっと美味しそうだね」
明日乃がちょっと楽しそうにそう言う。
「まあ、コンソメスープは塩胡椒もないと物足りなくなるからな」
俺も料理ができるのでそうアドバイスする。
「そうなんだよね、どれか1つ貰っても何か他のものも欲しくなるんだよね」
明日乃が困ったように笑う。
結局そういう理由から、比較的単品でも使える味噌を貰うことにした。味噌でお鍋を作るのに鰹節も欲しくなったそうだが。
いつものように、ダンジョンのエントランスと竹林を往復し、ドロップアイテムを竹林にある臨時倉庫に移し、皮の防具や青銅の武器を持てるだけ持って拠点に帰る。
「そういえば、麻の茎回収に行かないと腐り過ぎちゃうんじゃない?」
帰り際、明日乃が思い出したように言う。
言われてみると、琉生に魔法をかけてもらい腐らせていた麻の茎が昨日の時点でいい感じなはずだ。明日、琉生と回収に行かないとな。
【異世界生活 34日目 18:00】
「ただいま」
拠点に帰ると琉生の作っていた畑がなんかいい感じの家庭菜園ぽくなってきていた。
トラとアオも手伝ってくれたらしく柵がさらに立派になっていた。
畑も全部ではないがさらに耕されていて、昨日採ってきた未熟な野菜や苗が植えられていた。
「ここを畑にしたのは結構正解かもね。少し歩けば川もあるし、飲み水には使えない水だけど、畑作業には十分な綺麗さだし。土も思ったより悪くなかったよ」
琉生が嬉しそうにそう言う。
「ただ、あくまでも、未熟な野菜や苗の移植だから、自給自足はまだ先かな? 種を取って種を蒔いてもっとたくさん野菜が獲れるようになったら? 今は、野菜を食べつくしたら、また、北の平原に取りに行かないとダメな感じだからね」
琉生がそう言う。
あくまでも野菜の保存手段としての家庭農園らしい。
その後、夕食を食べて、ウサギ肉を干し肉にする作業、お祈りをして就寝。ちなみに貰った味噌は温存した。新鮮なイノシシ肉に使うのはもったいないという事で、明日以降干し肉をお湯で戻して食べるときに味噌を試すそうだ。
【異世界生活 35日目 6:00】
次の日も同じように、軽作業とダンジョン攻略。
とりあえず、午前中、作業に入る前に麻の群生地に俺と一角と琉生で、新しい麻の採集に行く。
明日乃と真望と麗美さん、鈴さんもついてきて、途中の泉で別れる。4人は水浴びと洗濯をするそうだ。俺や一角、琉生の服も洗濯してくれるらしい。
琉生の話では琉生の土で物を腐らせる魔法は2日で効果が切れるらしく、多少放っておいても麻の茎が腐り過ぎることはないようだ。まあ、いつもよりちょっとよく腐っている感はあったが。
新しい麻を地面に切り倒し、腐らせる魔法を掛けてから、腐らせた麻の茎を担いで拠点に戻る。俺と一角は鈴さんの鍛冶工房の小屋作りを手伝い、琉生は畑作業に行く。
午前中の作業で、鍛冶小屋の屋根が完成する。眷属達がどんどん竹を切ってきてくれるので、俺、一角、麗美さん、鈴さんが小屋作りに専念できてどんどん作業が進むのだ。
真望と明日乃はマイペースに麻糸と麻布作りだ。
「みんな。みてみて、畑、完成したんだよ」
お昼ご飯になる前ぐらいに琉生がそう言ってはしゃいでいる。
みんなで畑を見に行くと、小さな畑だが、竹で作った柵も綺麗に仕上がっており、クマでも出ない限り守りも万全そうだ。眷属達がかなり頑張ってくれたようだ。
この間採ってきた、野菜の苗なども綺麗に植えられており、野菜の安定供給が期待できそうだ。
ただ、昨日、琉生が言っていた通り、自給自足はまだ先らしい。あくまでも北の平原にあった苗を植え替えて拠点の近くで野菜が採れるようになっただけ。なくなったら、また取りに行かなくてはならない。種を取って蒔いたり、増やしたりするのはまだ先らしい。
まあ、琉生が楽しそうなので趣味でもいいので続けて欲しいところだ。
昼食を食べ、午後からはダンジョンに潜る。琉生の家庭菜園も眷属達の活躍もあり一段落つき、琉生も参加、鈴さんが期待している琉生のレベル上げに専念する。
俺、明日乃、一角、麗美さん、琉生の5人でレベル上げをする。
今日のダンジョンは琉生をレベル21まで育成、もし終わったら一角あたりをレベル21まで育成する感じだ。
今日は変幻自在の武器を拠点で小屋を作っている鈴さんに貸している。
今日も昨日同様1階からダンジョン攻略。琉生にひたすら敵のとどめを刺させる。
そして、4階の途中で明日乃が貢献ポイントでレベル21になる。
ちなみに、期待していた明日乃の中級魔法は、補助魔法『大いなる祝福』全員のステータスを上げる魔法、『中回復』は『回復』の強化版、あと、『対魔法結界』という、結界魔法の魔法限定版みたいなのが追加されたらしい。初級魔法には光魔法『眩しい光』が追加された。明かりの魔法の強化版、周りを明るくする魔法で、一瞬に魔力を集中させると目つぶしにも使えるらしい。
中級魔法はどれもお祈りポイント1000ポイント使うので使う場所は選びそうだ。
「『大いなる祝福』はよさそうね。今までだったら、5人に『祝福』を掛けるとしたらお祈りポイント300ポイント×5人分で1500ポイント。それが1000ポイントで済むんだから500ポイントもお得ね」
麗美さんが嬉しそうにそう言う。
「『対魔法結界』ってことは、これから敵も魔法を使ってくるって事か。便利そうな魔法だが、魔法での戦いは嫌だな」
俺はそう感想を言う。
「でも、敵が魔法を使うとしたらマナを使った原初魔法だよね? つまり無詠唱だから、こちらも無詠唱じゃないと対応に間に合わないから使いどころに困るね」
明日乃が残念そうな顔をする。
詠唱が必要なお祈りポイントだとすぐには対処できないって事だ。
「まあ、事前に結界を設置するとか使い方は色々あると思うぞ」
俺は明日乃を慰める。
「でも、きっと、この結界も使ったら私が動けなくなると思うよ」
明日乃が残念そうに笑う。
防衛には使えるが進攻には使えなそうだな。
「まあ、『大いなる祝福』、『中回復』、『対魔法結界』あたりはすぐに必要になりそうだから覚えておいた方がいいと思うな」
俺がそう言う。
「魔法習得に関してはお祈りポイントよりマナを使って覚えた方が効率はよさそうだよね。マナ50ポイントで1つ覚えられるから、マナを使っちゃうね」
明日乃がそう言ってマナ=経験値だが、150ポイントを消費して3つの魔法を覚える。
「お祈りポイントだと1000ポイント、マナだと50ポイント、そして魔法を実際使おうとすると、マナの場合3000ポイント必要になる。よく分からない設定よね」
麗美さんが少しあきれ顔でそう言う。
「多分、覚えるのと使うのだと体や環境への負担が違うみたいな感じかな?」
明日乃がそう言う。
「わ、私も魔法覚えていいか?」
一角が物欲しそうにそう言う。
「レベルが21になってマナに余裕が出たらな」
俺はそう言って一角におあずけをする。
一角が残念そうにぐったりと肩を落とす。
そんな感じで、明日乃が新しい魔法を使えるようになり、先に進む。
そして、5階もいつも通りクリア、ボス部屋をクリアしたところでちょうど琉生がレベル21になる。
「どうだ、琉生? 鈴さんが欲しがりそうな魔法だったか?」
俺は少し心配になって琉生に声をかける。
「うーん、多分使えそうかな?」
琉生がそう言う。
「まあ、魔法の解説は鈴さんが聞きたくてしょうがないでしょうから、拠点に帰ってから聞きましょ?」
麗美さんがそう言うのでみんな頷き、とりあえずドロップアイテムを回収して、奥の部屋に進む。
5階ボス限定ドロップ、少し立派な皮の服上下も琉生のサイズに合うものを手に入れた。
今回のダンジョンクリアの副賞の調味料は鰹節にしたらしい。明日乃曰く、イノシシの肉でお鍋にするのに味噌だけだと味が足りなそうだからとのこと。
とりあえず、入り口に戻り、いつものようにエントランスに放置しっぱなしのドロップ品を外の倉庫に運び出す作業をし、俺と一角と琉生は交代で泉で水浴びをしてから帰る。午前中水浴びできなかったからな。
なぜか明日乃も今日2度目の水浴びをしているが。
日も落ちてきたので急いで拠点に帰る。ドロップアイテムを持てるだけ持って。
【異世界生活 35日目 18:00】
「おかえり、琉生ちゃん、レベル上がったっぽいわね。新しい魔法はどんな感じかな?」
鈴さんがさっそく琉生に寄ってくる。
しかも勝手に鑑定でステータスを覗いてるっぽい。
「うん、多分、鈴さんの欲しがっていた魔法も使えるようになったみたい、かな?」
琉生も明日乃同様、中級魔法という1ランク上の魔法を覚えたらしい。
攻撃魔法は『石弾の連撃』。初級で覚えた『石弾』を同時に5発撃てるようになったらしい。単独攻撃魔法が複数攻撃魔法になった感じか。
それと、『土の壁』、『石の壁』。土の壁や石の壁を作って攻撃を防いだりできるらしい。近くに土や石が多くあると効率よく壁ができるそうだ。
それと、獣化スキルの初級に『金剛獣化』という魔法も加わったらしい。この間、一角が使った『獣化義装』というスキルの発展形? 鋼鉄の着ぐるみを纏うスキルらしい。10分間ダメージを全く受けなくなるが、全く動けなくなる魔法だそうだ。魔法も無効化できる。
ダメージを受けなくなるのはいいが、動けなくなるし、魔法が解けたとたん魔物に袋叩きにされる可能性もある使いどころに困る魔法だな。お祈りポイントで使えない、マナ300ポイント消費するところも微妙だ。
「琉生の石の壁を作る魔法も使えそうだよな。出した壁って消えるのか?」
俺は気になって聞いてみる。
「うーん、出すときに意識しなければ、10分で消えるし、消えないように意識すれば普通の土や石として残るみたいだね。防御力とかは下がるっぽいけど。あと、土の壁を作るより硬い石の壁を作る方が大きさは小さいみたい」
琉生がそう言う。
「この『石の壁』ってやつは魔法を加減すれば小さいレンガみたいな石をいっぱい作ることもできるみたい? あと、手元に原料の石があると効率よく作れるみたいだから、鈴さんが言っていた耐熱煉瓦の原料になる石みたいなのがあれば耐熱煉瓦? みたいなものもつくれるのかな?」
琉生がそう言う。
「将来家づくりとかにも使えそうだな」
俺はそう言って笑う。
「お前なあ、鈴さんの前でそれを言うなよ。ツリーハウスできたばっかりなのに」
一角がジト目で俺をにらむ。言われればそうだった。
今までの鈴さんの苦労を水の泡にするような発言だ。
俺は慌てて鈴さんの顔を窺うが、琉生の新しい魔法に夢中でどうでもいいようだ。
「まあ、石の家を魔法で作ったら、お祈りポイントかかり過ぎて破産しちゃうよ? あと、逆に鈴さんにしてみたら逆に嬉しいんじゃないかな? 麗美さんが大好きな窯とかレンガっぽい物も作れちゃいそうだし」
琉生がそう言ってあきれ顔になる。
「琉生ちゃん、最高よ。その魔法。それじゃあ、石英を探しに行きましょ? 秘書子さんに聞いて耐熱煉瓦の材料になりそうな石英のとれる場所にみんなで行きましょ?」
鈴さんがそう言って暴走を始める。琉生の予想どおりだった。
家が作れるという話もどうでもよかったらしい。
「とりあえず、ご飯食べよ? 琉生ちゃんの畑のおかげで野菜も継続して手に入りそうだし」
明日乃が嬉しそうに笑ってそう言い、助け舟を出してくれる。
すぐに夕食の準備を始める明日乃。俺も手伝い、夕食を作る。
琉生が家庭菜園を始めたことで、食材に野菜が増える。
確かに毎日、ニンジンや玉ねぎ、キャベツ。そして時々新鮮なレタスやキュウリやトマトが食べられるのはありがたいな。まあ、自給自足はまだ先みたいだが。
今日はネギや玉ねぎ、キャベツなど野菜たっぷりの猪肉鍋。野菜が入るとさらに美味しくなるな。
しかも今日は昨日ダンジョンで貰った味噌で味付け、今日貰ってきた鰹節で出汁も取ってある。
ちなみに鰹節はいつもの陶器の入れ物に削った鰹節が1食分くらい入っていた。よく分からないシステムだ。
「これは美味しいわね」
麗美さんが味噌とかつおだしで味付けされた猪鍋に舌鼓を打つ。
確かにこれは旨い。猪肉の臭みをタマネギやネギと味噌が消して、野菜に出汁と味噌の味が染み込んで、白いご飯がかき込みたくなる。残念ながら米はないけどな。
「キャベツが白菜だったらもっと旨いな」
一角がいつもの余計な一言を言う。白菜は冬の野菜だろ?
ちなみに眷属達も味噌味の猪鍋を食べる。まあ、半分人間の(体を似せた)要素もあるらしいし、味が濃いものも野菜も食えないことはないので普通に食べている。気持ち美味しそうに食べている?
そんな感じでわいわいと夕食を食べ、日課のお祈りをして、就寝する。
なんか、夕食中、鈴さんは1人、耐熱煉瓦について熱く語っていたし、明日は鈴さんに付き合わされそうな話の流れになっていたが。
次話に続く。
【再改訂部分】ここも特にないですね。レベルが上がると必要経験値が増えるので些細な計算間違いによる経験値誤差は消えてしまうようです。
全身鎧の皮鎧から皮の服上下への変更や言葉足らずな部分を少し書き足しました。




