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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第2章 改訂版(今から読む方はここからお読みください)
158/244

【再改訂】第65話 レベルアップ失敗とちょっとした休暇(水着回)

 本日3名様ブックマークありがとうございます。

【異世界生活 32日目 12:30】


「おかえり、琉生るうちゃん、レベル上がった?」

すずさんが俺達の帰るなりそう言って寄ってくる。


すずちゃん、ごめんね。お姉さんが計算間違いして、失敗しちゃったの。レベル21に上がる時ってランクアップとかって急に必要経験値が上がるってこと忘れていてね。とりあえず、明日乃あすのちゃんをレベル21にしてから琉生るうちゃんもレベル21にしようって作戦立てたら、結局、明日乃あすのちゃんすらレベル21にできなかったってオチなのよね」

麗美れいみさんが申し訳なさそうにすずさんに言う。


琉生るうちゃんのレベルを上げ直すとしてもさらに2日かかるかな? 今日、私一人でレベル上げしたのにレベル21に全く届かなかかったし。とりあえず、明日ゆっくりしてからかな?」

明日乃あすのがそう言って麗美れいみさんをフォローする。


 そして、ぐったりと肩を落とすすずさん。


「そういえば、ランクアップとか言うシステム。私も忘れていたわ。そうよね、そんな簡単に新しい魔法が覚えられるわけなかったわよね」

すずさんがさらにぐったりする。

 

「まあ、とりあえず、明日ゆっくりして、明後日から頑張ろう? ね?」

俺も必死にすずさんを慰める。

 

 とりあえず、新鮮なダンジョン製のウサギ肉と野菜でスープを作りお昼ご飯。明日、肉がなかったとき用にウサギ肉の残りも明日のバーベキューに持っていくことにする。


 俺と麗美れいみさんと一角いずみすずさんを慰めるように作業を手伝う。眷属達も空気を読んだのか、必死に竹集め、そして、すずさんが要望した河原での石集めを手伝う。


 そんな感じで、作業も急ピッチで進み、4軒目のツリーハウスも出来上がり、一応、眷属達の家という事になった。

 

 残りの時間は、眷属達と一緒にもう一度石集めに行って帰ってくる。

 すると、すずさんが変幻自在の武器をシャベルに変化させて空地の地面を掘って何かを作り始めている。


すずさん、今度は何を作るの?」

俺は聞いてみる。


琉生るうちゃんが耐熱煉瓦を作る魔法を覚えた時の為に鍛冶工房を作っておこうかなって。岩を敷き詰めて小屋の床と基礎作りと柱を立てている感じかな? 鍛冶は水に弱いから、土の床じゃなくて石の床にしたいのよ」

そう言って、地面を軽く掘り、眷属達が拾ってきた石を敷き詰め、敷き詰めた周りには竹の柱が立ちだしている。

 麗美れいみさんや一角いずみも手伝っている。


「水に弱い?」

俺は気になって聞いてみる。


「ああ、例えば精錬窯、鉱石や金属を溶かす窯が地面に接していると、土に含まれる水分の気化熱で窯の温度がどんどん下がっちゃって金属を溶かす温度にまで到達しにくくなるのよ。それに土台が土だと不安定そうだし、熱に弱そうだしと不安要素も多いしね」

すずさんがそう教えてくれる。

 

「理想は地面深くまで耐熱煉瓦を敷き詰めたいぐらいなんだけどね」

そう追加して笑うすずさん。たぶん、お祈りポイント的に冗談じゃ済まされない。

 

 琉生るうのレベルが上がらなかったショックを忘れようと必死なんだろうけど、気が早いな。

 俺はそう思いつつ、俺も、夕方まで、鍛冶工房の基礎作りと柱を立てる作業を手伝った。

 その間、眷属達には竹林の倉庫に置きっぱなしのダンジョンのドロップ品を回収してきてもらう作業をお願いした。


 ちなみに、真望まも明日乃あすのはあの後、麻糸や麻布作り、琉生るうは畑仕事をしてから麻布作りに参加したようだ。


 そんな感じで、すずさんの傷心を忘れさせるためにも作業に没頭し、日が暮れて、夕食の時間になる。

 

「みんな、見て。じゃーん。ウサギの皮製の敷布団と掛け布団。いままで、枯草の布団だったから寝心地悪かったでしょ? ツリーハウスが出来上がった記念に、明日乃あすのちゃんと琉生るうちゃんと3人で縫ったの。パッチワークで見かけは悪いけど、柔らかさと温かさは保障するわ」

真望まもがそういって、チェス盤のような柄にパッチワークした毛皮を見せてくれる。確かに温かそうだ。


「気候が良いから、掛け布団なんてしないで寝ていたけど、寝冷えしないかちょっと心配だったんだよな。真望まも、助かるよ。明日乃あすの琉生るうもありがとうな」

俺は代表してお礼を言う。

 3人がそれぞれに布団大の毛皮を2枚ずつ渡していく。


「ダンジョン産のウサギの毛皮、いっぱい余っているから、枯草代わりに布団の下にひいてクッションにしてもいいかもね」

麗美れいみさんがそう言うと、みんな慌てて、ウサギの毛皮争奪戦になる。

 まあ、みんなで分けても余るくらい、ウサギの毛皮が余っているので喧嘩にはならなかったが。

 そんな感じで、各自、自分のツリーハウスにハンカチ大のウサギの毛皮を山のように積んで、その上にさっき貰った毛皮の敷布団を敷き、簡易ベッドを作る。

 俺も明日乃あすのと一緒に自分の部屋を準備する。


「で、明日乃あすの。何で俺達だけ、ダブルサイズの敷布団と掛け布団なんだ?」

薄々気づいていたが、ベッドが出来上がった時に聞いてみる。

 明日乃あすのが可愛く首をかしげてしらばっくれる。

 作っている時からダブルベッドにする気満々だったようだ。


 とりあえず、ベッド作りが落ち着いたところで夕食を再開、最後の熊の干し肉をお湯で戻し、スープにして食べ、日課のお祈り、就寝する。


 ダブルベッドとかって、さすがに意識しちゃうよな。

 明日乃あすのも、変に意識して、お互い、恥ずかしがりながら、布団に入る。


「ダブルベッドって結構恥ずかしいね」

明日乃あすのがそう言って笑う。

 そして、何かを期待するように俺を見つめるので、抱き寄せる。

 みんなが寝静まるのを確認してから、いつもより、多めにイチャイチャしてしまうのだった。



【異世界生活 33日目 5:00】


 今日は、早めに拠点を出発し、北の平原をめざす。今日は河原で水遊び&バーベキューだ。

 休日の意味もあるが、琉生るうが野菜の苗をさらに欲しがったのと、真望まもが河原で遊びたいと言い出したのと、すずさんも河原遊びにちょっと興味があったからだ。


 今日は鎧を着ずに、ウサギの毛皮の普段着に皮のブーツ。護身用の槍や作業用のナイフだけを持った軽装、いつもの探索スタイルだ。それと日よけのマントも着る。

 マントは5枚しかなかったのでお祈りポイントでウサギの毛皮を加工して人数分つくってもらう。6000ポイントの消費だ。

 現地で肉が取れなかったときの為に、昨日ダンジョンで拾ったウサギ肉と野菜も持っていく。あと、紅茶の葉と砂糖も持っていく。もちろん、一角いずみは焼肉のたれを大事に持っている。


 当初、一角いずみは時期が早く小麦の収穫ができないと知りやる気がなくなり留守番の立候補をしてくれていたのだか、焼肉のたれをダンジョンで入手したとたん、やる気になり、今は先頭に立って歩きだしている。

 代わりに、1人でダラダラ過ごしたい麗美れいみさんが拠点で留守番をしてくれることになったが、

 麗美れいみさんの眷属のココが、

「せっかくならみんなでいけばいいにゃん。拠点は眷属4人で守るにゃん」

と言って、留守番を引き受けてくれたのだ。ちょっと心配だが、ツリーハウスも強固な柵もあるから多分大丈夫だろう。

 というか、ココが麗美れいみさんに一日中猫かわいがりをされる恐怖を感じてそう提案したのかもしれない。

 とりあえず、眷属達は拠点を守りつつ、レオとココは塩作り、アオとトラは竹や消耗品を集めてくれるらしい。


 メインの目的は河原でバーベキューだが、行く途中回り道をしてトウモロコシ畑も見に行く。前回見に行く時間がなかったしな。

 ちなみにトウモロコシも6月下旬から7月上旬が収穫時期らしく、今が5月になったところなのであと2カ月近く待つ必要がありそうとのことだ。とりあえず様子を見に行く感じだ。


 今日は帰りが遅くなりそうなので、剣道教室はお休みで、7人で早めに拠点を出発する。メンバー全員での移動は初めてかもしれないな。


 とりあえず、この間、サトウキビ畑をめざしたルートで河原をめざす。1時間ほどで、山道の入り口に着き、そこから2時間かけて小高い丘を越える。

 これだけ人数もいるし、明日乃あすのの結界魔法もあるのでクマの登場を期待したのだが、さすがにそこまで都合よくはいかず、何事もなく、無事丘を越え、北の平地に着く。


 そこから前回は西に向かって河原に着いたが、今回はここから東に向かい、トウモロコシ畑を見てから、河原に向かう感じだ。

 トウモロコシ畑は、意外と近く、15分ほどで到着する。


「凄いわね。本当にトウモロコシだわ」

麗美れいみさんがそう言って感心する。たぶん、神様が一生懸命植えたんだろうけどな。


「うーん、やっぱりまだ早いね。粒が小粒で成長途中って感じ」

琉生るうがトウモロコシを1本もぎ、皮を剥き、中を確認する。

 琉生るう曰く成長も順調で、所々虫に食われているトウモロコシもあるが、選んで収穫すれば問題なさそうとのこと。

  

「も、もしかして、トウモロコシが収穫できたらお酒とか作れちゃう?」

麗美れいみさんの目の色が変わる。


「そうだね。ウイスキー、バーボンとかトウモロコシが原料のお酒があるね」

明日乃あすのがそう答える。未成年でお酒が飲めないのにお酒の知識がある明日乃あすの。意味不明だ。俺が少しドン引きすると、


「違うのよ、お母さんの読んでた本の知識。お母さんワインとか洋酒が好きだから、ワインとかウイスキーの本が家にあったの」

明日乃あすのが慌てて弁明する。別に明日乃あすのが酒好きとか言ったわけではないのに。


「ああ、明日乃あすのは記憶力が凄いから、そんなことだろうと思ったよ」

俺も一応フォローする。


「とりあえず、お酒ができたら麗美れいみさん、大喜びね」

すずさんがそう言う。というかすでに興奮している麗美れいみさん。

 すずさんももう少ししたら20歳になるそうで、お酒は飲めるようになるらしい。

 というか、法律のない異世界で、20歳にこだわる理由はないのだが。なんだかんだ言って、元の世界の法律に行動が縛られる傾向があるな。

 とりあえず、すずさんはお酒を飲むことより、アルコールが色々、ものづくりに役立つらしいのでそっちが気になるようだ。


 そんな感じでトウモロコシ畑の場所も確認でき、今日の目的地の河原に向かう。西に戻って、ここからは1時間ちょっとくらいだ。



【異世界生活 33日目 9:30】


「確かにいいところね」

すずさんがそう言って周りを見渡す。


「滝の音がなんか気持ちいいわね」

真望まもも気に入ったようだ。


 前回、留守番だった真望まもすずさんも喜んでくれてよかった。


 とりあえず、今日の目的地である河原に到着する。


麗美れいみさん達はどうする? 俺と明日乃あすの一角いずみ琉生るうはここから小麦畑のそばの野菜が自生しているところまで行くんだけど結構遠いんだよね」

俺は今後の予定を聞く。


「そうしたら、私は、ここでバーベキューの準備でもしているわ。竹林もあるし、色々作りたいし」

すずさんがそう言い、竹を取りに行くらしい。真望まもはどっちでもいいという事なので、戦力的に河原に残ってもらうことにした。


「私も、ここでバーベキューの準備でもしているわ。魚も取らないとダメなんでしょ?」

麗美れいみさんも河原に残るらしい。


「じゃあ、ちょっと野菜を取りに行ってくるね」

俺はそう言って、河原からさらに北に川を沿いに下り、前回野菜を収穫したところまで足を進める。ここから1時間ちょっとの道のりだ。


 畑に着くと琉生るうが野菜に飛びつく。明日乃あすのも少し遅れて畑の中に入る。


「今日は苗とか、種、収穫にはまだ早い野菜とかも少しとって帰るよ」

琉生るうがそう言って、まだ収穫時期でないナスやトマト、ジャガイモなども根っこごと土と一緒に持ち帰ったりする。まあ、ニンジンとキャベツはダンジョンで欲しい時にもらえるしな。

 明日乃あすのは、河原のバーベキューを考えて玉ねぎをとり、サラダ用にキュウリやレタス、そして小さいトマトを収穫している。トマトは種類によって収穫時期が違うらしく、大きなトマトはまだ青いが、プチトマトのようなトマトで赤い物が幾つかあったので、それを明日乃あすのが収穫していく。


「これで、肉もあったら最高なんだけどな」

俺はそう呟く。


「何言ってるんだ、私とお前で今から獲りに行くんだろ?」

一角いずみがさも当たり前のように言う。


「見える範囲でよければ探しましょうか? イノシシ」

秘書子さんがそう聞いてくる。

 サメの警戒みたいにイノシシやクマを探すこともできるの? 俺は秘書子さんの特技に驚く。まあ、神様の秘書なんだし、できると言われればできるのか。


「遠くなると、大体の位置しか示せませんが、近くなら、かなり高い精度でマップに表示できます。そして遠くまで探す場合はお祈りポイントが必要になります」

そう言って、秘書子さんがマップにイノシシの位置を表示してくれる。すぐそばにいるようだ。

 なんか、サメレーダーと同じような仕組みなのかな?


明日乃あすの、秘書子さんが近くにイノシシいるって教えてくれたから、ちょっと狩にいってくる」

俺は明日乃あすのにそう断り、マップの表示に向かって歩き出す。一角いずみも俺の横で歩き出す。

 まあ、明日乃あすのには結界魔法もあるし、明日乃あすの琉生るうが襲われたとしても時間稼ぎはできるだろう。

 

「というか、秘書子さんが普段から警戒してくれれば、クマやオオカミに襲われて怖い思いしなくて済むんだけどな」

歩きながら俺がそう言うと、


「できないことはないですが、リュウジ様の五感を共有して警戒するので常時やるとリュウジ様の体力が限界を迎えます。それか、お祈りポイントを大量に使わせていただくことでも広範囲を常時警戒は可能です。」

秘書子さんがしれっと言う。

 確かに、ちょっと目を中心に疲れている気がする。そしてお祈りポイント常時大量使用もいやだな。


 俺と一角いずみは畑とは道をはさんで逆の草原を進むと確かにイノシシがいた。結構大きい。

 草原で鼻を使って、地面を掘り、エサを探しているのだろうか?

 

俺は一角いずみにアイコンタクトをすると、気配を抑えて、イノシシに近づく。一角いずみも気配を抑えながらついてくる。


「カサッ」

足元が草原なのでどうしても音が立ってしまう。

 そしてイノシシがこちらに気づき慌てて反転、攻撃態勢になる。


 俺も槍をイノシシに向けて、イノシシの動きを探る。ここで逃げられたら勿体ないし、全身全霊でイノシシの挙動に集中しつつ、少しずつ距離を詰める。

 イノシシも逃げることを諦めたのか、俺の相対し鼻面をこちらに向ける。来る!


 イノシシが俺に向かって突っ込んでくるので俺は冷静にイノシシの鼻面に槍を突き刺す。

 痛みでイノシシがのたうち回る。

 鼻先は骨がないし、神経が集中しているので、大抵の動物は弱点らしい。ただし、致命傷にはならないが。

 一角いずみが冷静に暴れるイノシシの横に回り、首に一突き。そのまま、地面に押し倒し、首に2撃、3撃と槍での攻撃を繰り返す。

 そして、イノシシが動かなくなる。

 

「やったな、バーベキュー用の肉確保だ」

一角いずみが嬉しそうにそう言う。

 なんか俺もうれしくなる。


「いいお土産ができたな。解体して河原に持っていこう」

俺はそう言って、腰に付けた青銅のナイフを使い、イノシシの血抜きを始める。

 そして、血抜きができたところで、一角いずみと協力して、毛皮と、肉に解体し、いらない部分は神様に祈って経験値に替える。

 肉は俺が持ってきた竹の背負い籠に入れ、琉生るう明日乃あすのに合流する。


「イノシシ獲れた?」

琉生るうがそう聞くので俺は頷き、毛皮と肉の入った背負い籠を見せる。


「河原で焼肉パーティができるね」

明日乃あすのも嬉しそうだ。


 琉生るうも存分に野菜が採れたみたいで、最後に少し明日乃あすのが野菜を収穫して、河原に戻ることにする。

 以前作った竹製の背負い籠グッドジョブだな。野菜もたくさん入るし、肉も毛皮も入れてもまだ余裕がある。


【異世界生活 30日目 12:00】

 

「秘書子さんはなんでもありね」

麗美れいみさんが俺のイノシシ狩の話を聞いて呆れる。


「俺が目の届く範囲しかダメらしいけどな。後、俺が疲れるから常時は無理っぽい」

俺は麗美さんに笑い返しそう言う。


「まあ、その秘書子さんのおかげでイノシシ肉も手に入ったことだし、焼いて食べましょ?」

すずさんがそう言って河原でバーベキューが始まる。

 なんか、みんなすでに盛り上がっているようで、みんな毛皮で作ったビキニ姿だ。

 すずさんの健康的に焼けた褐色の肌に真っ白い毛皮のビキニ、麗美れいみさんの真っ白い肌に黒い毛皮のビキニ、対照的なお姉さん二人に目のやり場が困る。

 そして、なぜか、真望まもだけは麻布で作った真っ白なビキニを着けている。


「なんか、真望まもだけズルいな」

「ええ、ズルいわね」

俺がそう言い、麗美れいみさんも同意する。


「いいじゃない、役得よ役得。私が布を作ってるんだし、裁縫得意だし、みんなの下着を作る前に試しに作ってみたいじゃない? 下着じゃなくて水着だけど」

真望まもが一所懸命弁明するが説得力はない。そして、水着と下着の差が分からない。

 というか、俺も毛皮の服の下に履いているのは、この間、真望まもに特別に作ってもらった、下着兼海パンも麻布製だった。


「そうやって、一人だけ、流司りゅうじクンの目を惹きつけようとするんだから、真望まもちゃんは姑息よね」

麗美れいみさんが真望まもを冷やかすようにそう言って笑う。


「もう! そういうんじゃないから!!」

真望まもが顔を真っ赤にして怒る。


「まあ、似合ってるし、いいんじゃないか?」

俺はとりあえず褒めておく。慎ましやかな胸に白いビキニがよく映えているしな。


「よかったわね、真望まもちゃん。愛しの流司りゅうじクンに褒めてもらえたわよ」

麗美れいみさんがそう言って真望まもを冷やかす。


「もう!!」

真望まもがまた怒る。



「じゃあ、時間もないし、バーベキューの用意をするか」

俺はそう言って肉を切っていく。


 すずさんと麗美れいみさんと真望まもは待っている間に竹でビーチチェアをいくつか作ったり、キャンプ用の机を作ったり、着てきたマントを広げて日よけのテントを作ったり、なんかそれっぽい会場ができていた。


「お皿用にと思って竹を切っておいたけど、竹串も作っちゃうわね」

すずさんがそう言って肉を刺す串を作ってくれる。

 それに琉生るうが、俺が切った肉と明日乃あすのが切った玉ねぎや長ネギを刺していく。なぜか二人もビキニ姿になっている。泳ぐ時間ないよな?


「もう少ししたらナスとかピーマンも大きくなるんだけどね」

明日乃あすのが残念そうにそう言う。


「また、夏になったら、ここに来よう。暑くなったら川遊びももっと楽しくなるだろうしな」

俺はそう言う。


流司りゅうじは川遊びしなくていいの?」

真望まもが俺に聞く。


「ああ、今日はもう時間がないし、今度来た時かな? 小麦の収穫とかもあるし、今度は泊りで来ような」

俺は真望まもにそう答える。


「そうなるとこっちにも拠点が欲しいわね。この川の近くがいいかしらね。川魚も捕れるし」

そう言って、明日乃あすのが捌いた魚を串に刺して、焼いていくすずさん。


「まあ、向こうの拠点のツリーハウス作りが終わってからだね。こっちの拠点はまだ先、小麦が穫れる6月か7月頃でいいし」

俺はすずさんにそう答えて、あまり焦らせないようにする。


「もう、そういう事言ってるんじゃないのにね、ねえ、真望まもちゃん」

麗美れいみさんが残念そうな顔でそう言う。


「りゅう君、かたづけは私がやっておくから、ご飯食べ終わったら、真望まもちゃんと、琉生るうちゃんも一緒に川で遊んできなよ」

明日乃あすのがそう言う。

 琉生るうも野菜取りで川遊びしてないもんな。


明日乃あすのはいいのか?」

俺は明日乃あすのも遊びたいんじゃないかと思い、聞き返す。


「うーん日差しも強いし、結構歩いて疲れちゃったから、テントの下で日よけしながら片づけしてるよ。片付けが終わったらちょっと遊ぼうかな?」

明日乃あすのがそう答える。

 明日乃あすのは体力がないからな。少し休ませた方がいいかもしれない。

 

 ちなみに、麗美れいみさんとすずさんはビーチチェアでなんかまったりしている。


流司りゅうじ、これも捌け」

いつの間にかいなくなっていた一角いずみが準備の終わる直前にひょこっと帰ってくる。こいつ、1人で川遊びしていたな。ビキニ姿の一角いずみがなんか大量の川魚を持って立っている。

 麗美れいみさんが待っている間に獲ってくれた川魚だけで充分だったのだが、追加が届いた。


「空気読めないやつだな、とりあえず脱げ」

一角いずみがそう言い俺の毛皮の服を強制的に脱がす。

 俺はこの間、真望まもが作ってくれた海パン兼下着姿になる。というかパンツだよな?これ? いいのか?



 とりあえず、イノシシ肉と玉ねぎのバーベキュー、レタスとミニトマトとキュウリのサラダ、ニンジンやキャベツの岩盤焼き、それと川魚の塩焼きと贅沢な料理が並ぶ。

 

「じゃじゃん、今日の主役、焼肉のたれだ」

一角いずみが自慢げに昨日追加で手に入れた、ダンジョンで貰ってきた焼肉のたれを見せびらかす。

 まあ、俺も明日乃あすの琉生るうも一昨日の残りの焼肉のたれで下味をつける作業をさっきまでしていたので目新しさは感じないのだが。

 

ちなみに飲み物は紅茶を川の水で冷やした冷たい紅茶だ。


「冷やした紅茶もいいな」

俺は冷たい紅茶に何か懐かしさを感じる。


「ああ、やっぱり焼肉のたれで食べる肉は最高だ」

一角いずみが感動しながら焼肉を食べている。

 琉生るうも美味しそうにいつもより多めにバーベキューを頬張る。


タマネギとか焼肉のたれ付けると上手いんだよな。

俺も負けずにバーベキューを楽しむ。みんなも美味しそうに食べている。

 一角いずみが焼肉のたれの為にダンジョンに潜るとか言い出した時は何言っているんだ? って思ったが、行って正解だったな。


「いい仕事しただろ?」

一角いずみがどや顔でそう言うので、ちょっと俺はイラっとした。

余計なことしたり言ったりしなければ、一角いずみもいい女なのにな。


「はぁ~、これで冷たく冷えたビールか酎ハイでもあると最高なんだけどな」

麗美れいみさんがちょっとおっさん臭い。


「あと、こんなものも採れたよ」

琉生るうがそう言って真っ赤な果物、イチゴを竹のお皿に並べて出す。


「すごい! イチゴよ、イチゴ」

真望まもが興奮し、明日乃あすのも目が釘付けになる。

 琉生るうがこっそり摘んで持ってきたらしい。


「イチゴって冬のイメージがあったけどな」

俺がクリスマスケーキのイメージでそう言うと、


「イチゴは農家さんの努力で収穫時期をずらしたり、ハウス栽培をしたりして冬の果物のイメージになったけど、本来は春に採れる果物らしいよ」

明日乃あすのがそう教えてくれる。


「お砂糖つけていい?」

真望まもがそう言い、明日乃あすのがお砂糖を竹のお皿に出すと、みんな飛びつくようにイチゴを食べる。


「美味しいわぁ。この酸っぱさと甘さ。懐かしい味だわ」

麗美れいみさんがイチゴの味にうっとりする。


「ほんと、最高よね」

真望まももイチゴに夢中になる。


「イチゴ美味しいよ。流司りゅうじお兄ちゃん」

琉生るうがそう言って俺にも勧めてくれる。

 俺も少し砂糖をつけてイチゴを味わう。うん、懐かしい味だ。

 ちょっと野生のイチゴだから、青臭かったり酸っぱかったりもしたが、十分懐かしさを満喫できた。そして、ちょっと練乳か牛乳が欲しくなった。


「うーん、美味いが、牛乳、せめて練乳が欲しくなるな」

一角いずみが俺が思っても言わなかったことを言いやがる。

 みんなが呆れ顔で笑う。


「イチゴジャムとか作りたいね。小麦粉が取れるころに」

明日乃あすのがそう言う。


「秘書子さんにイチゴがもっといっぱい採れるところを教えてもらわないとね」

琉生るうがそう言う。今日の場所にはジャムを作れるまではイチゴはなかったようだ。


「他の果物とかも教えてもらうといいかもしれないな。みかんとかりんごとか?」

俺がそう言い、みんなも頷く。

 とりあえず、秘書子さんにリンゴやミカンの採れる場所をマップにマークしてもらった。残念ながら収穫時期は秋以降らしいが。


 そんな感じで水着姿の女の子達で目の保養をさせてもらいながら河原のバーベキューを満喫させてもらう。すずさんや真望まもの水着姿も初めて見たが、日焼けしたナイスバディのすずさんの水着姿も少し小さめな双丘の真望まもの水着姿もみんな個性的で可愛かった。


 食後、洗い物をして、琉生るう真望まもと3人で川遊びをし、一角いずみは飽きずに魚をとり始める。


 麗美れいみさんとすずさんはテントのしたでビーチチェアの上に寝ころびまったりしている。それはそれで楽しそうだ。


 途中で、明日乃あすのも片付けが終わったようで、川遊びに混じる。

 たわいのない水かけごっこや川で泳いだり、流されたりするだけの時間だが、なんかこういうのもいいなと思った。みんな久しぶりに心から楽しそうにしてくれたし。



【異世界生活 33日目 14:30】


「少し早いけど帰る準備をするか。陽が落ちる前に丘を越えたいし」

俺はそう言ってバーベキュー大会の終わりを告げる。


「夏にまた来たいわね。というか、このそばに拠点作る? 別荘みたいな感じで」

すずさんが嬉しそうにそう言う。かなり楽しんでもらえたようだ。


「そうね。今度は泊まれる施設作ってゆっくり楽しみましょ? なんか誰かさん達はイノシシ獲りに行っちゃうし」

真望まもがそう言って、俺を責めるようなまなざしでにらむ。

 しかたないだろ? 野菜を収穫したり、イノシシを獲ったり忙しかったんだから。


 そんな感じで、みんなでバーベキューを楽しみ、たくさんのお土産を持って拠点に帰ることができた。

 途中、丘を越えて平地に出るころには夜になってしまい暗くなってきたので、明日乃あすのに光の魔法をお願いして拠点に帰る。


 拠点に帰るとレオとココが1日中作り続けた塩が大量にできていて、アオとトラも大量の竹を集めてきていた。

 なんか眷属達にも楽しめることが見つかるといいんだけどな。


 次話に続く。

【変更部分】一角いずみが焼肉のたれを手に入れたことでバーベキューに参加することに。代わりに麗美れいみさんに留守番してもらう予定でしたが、なんか可哀想なので7人で行くことになりました。眷属が4人もいるので拠点防御は問題ないかなって。

 あと、1時間早く出発したので、流司りゅうじ琉生るうも川遊びができるように。改訂前は服すら脱がずに帰ったので。

 眷属が増えたおかげでツリーハウスが早めにできあがりました。毛皮の敷布団と掛け布団もこのタイミングに移動しました。


【再改訂部分】特に大きな変更はありません。少しだけセリフを追加しました。その程度です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 焼肉のタレ美味しいですよね〜自分は塩か塩胡椒派ですが…バーベキューしたくなってきた
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