【再改訂】第61話 今後の相談とダンジョンでレベル上げ
【異世界生活 30日目 18:00】
「ただいま、みんな」
俺達はダンジョンの攻略を終え、拠点に戻る。
「おかえり、みんな。だいぶレベル上がったみたいね」
留守番していた鈴さんがそう言って迎えてくれる。
「なんか、服装代わったよね? ダンジョンで拾ったの?」
鈴さんが真望や明日乃の姿を見て興味を持つ。
「ダンジョンで拾ったの。ただ、鎧は重いし、着心地は今一つだから、ダンジョンとか戦闘をする予定の時ぐらいしか着ないかな? 靴は日常でも履けそうだけど」
真望が鈴さんに説明する。
「皮のブーツはいいわね。私も欲しいかも」
鈴さんも靴が気になるようだ。
「結局、お祈りポイント、使わなかったの?」
鈴さんはステータスウインドウでお祈りポイントを確認しながらそう聞いてくる。
「思ったほどお祈りポイント使えなかったよ。お祈りポイントを使ったというよりマナを使ったって感じかな? 獣化スキルってやつがお祈りポイントで使えない、明日乃の結界とかダンジョンに向かない魔法とかも分かったし、今後無茶するとしてもお祈りポイントで無茶するというより、マナを使って無茶する感じになるかな?」
俺は笑ってそう答える。
「結局、私の補助魔法とか回復魔法、あと、真望ちゃんの火の魔法くらい? 5500ポイントしか使わなかったね」
明日乃が今日のお祈りポイント消費量を教えてくれる。
30000ポイント使うつもりが5500ポイント。1日で回復できる程度の量だ。
「結構地道に戦って、厳しいところはマナを使って無理やり強行、経験値効率はその場では落ちるけど、その先で取り返すみたいなやり方かな?」
麗美さんが今後のやり方を考える。
「マナって、経験値よね? レベルアップ遅くならない?」
鈴さんが聞き返す。
「そうだね。だからあまり獣化スキルも多用できないね。お祈りポイントは使えても攻撃魔法や回復や簡単な補助魔法程度? お祈りポイントはこれから欲しいもの交換がメインになる感じかな?」
俺も今後の戦略を考えながらそう答える。
「私はお祈りポイントで交換したいものたくさんあるからうれしいけどね。鍛冶に使う道具とか?」
鈴さんはそう言って喜ぶ
「おかえり、みんな」
琉生がどこからか帰ってくる。眷属のトラとココを連れて。
「おかえり、琉生。どこか行っていたのか?」
俺は気になって琉生に聞く。
「うん、昨日、野菜と一緒に、野菜の苗とかも採ってきたでしょ? だから畑を作って植えてきたの。まあ、家庭菜園みたいな小さな畑だけどね」
琉生がそう言って拠点の北西の方を指さす。
暗くてよく見えないが結構立派な柵ができていて、その中に畑があるのだろう。家庭菜園というにはちょっと大きいんじゃないか?
そして、琉生の肩には手製の鋤? 本体は木製で、先だけ青銅の槍の穂先が3本ついた農具が背負われていた。
鈴さんに作ってもらったのかな?
「将来的には堆肥とか作りたいね。トイレとか作って肥料にする感じかな?」
琉生がそう言う。
「私もツリーハウスの4軒目を作り始めたよ。まあ、ナイフを砥ぐので半日かかっちゃったから少しだけどね」
鈴さんが今日の作業を教えてくれる。
鈴さんにはレオとアオが手伝ってくれたらしい。
それと、大量の竹が積み上げられている。眷属達がツリーハウスと畑の柵用に集めてきてくれたらしい。
「そういえば、明日もダンジョン行くの? お祈りポイントも減らなかったみたいだし」
鈴さんがそう聞く。
「できれば行きたいけど、よくよく考えると、みんなお休みとかなかったよね? 1日くらい何もしない日があってもいいのかなって、ちょっと考えている」
俺は鈴さんにそう答える。
「私は、休みもらっても、裁縫関連するだろうから休みも普段も変わらないし、特に休みは要らないわ」
真望がそう言う。
「そうだね。私もツリーハウスを早く作りたいから休みと言われてもツリーハウス作りそうだね」
鈴さんがそう言う。
「言われてみると、サバイバル生活って考えが強すぎて、休みとか考える暇なかったよね。今は、まだお休みとか考える時期じゃないかもしれないけど、生活が落ち着いたら、週1回のお休み、日曜日とか作った方がいいかもね」
明日乃がそう答える。
「週休2日じゃないんだな」
一角がからかうようにそう言う。
「まあ、休み休み作業してるし、暗くなると何もできないから睡眠はしっかりとれているし、当分はいいんじゃないかな?」
琉生がそう意見する。
「まあ、確かに、元の世界みたいに学校があるわけでもないし、バイトで小遣い稼がないといけないわけじゃないし、そう言うストレスはないな。命の危険性はあるけどな」
一角が笑いながら意味の分からない意見を言う。
「そうだ、また、この間みたいな川遊びとかすればいいんじゃない? 魚獲って野菜採って、バーベキューするみたいな?」
明日乃がそう言い、鈴さんが興味を持つ。
「川遊びか。たまにはいいかもね」
鈴さんも少し興味ありそうだ。
「みんなで水着になって川遊び? ちょっとずるいかも。流司も遊んだんだよね?」
真望がそう言って俺を責める。
「お、俺は、その時、海パンがなかったから川には入らなかったぞ」
俺はしどろもどろにそう答える。みんなの水着姿で目の保養をしていたとは言えないしな。
「それなら、明日ダンジョン行って、明後日あたりはまた北の平原に行けばいいんじゃない? 私も野菜の苗とか採り行きたいし、ちょっと野菜取りに行って、帰りに川でお昼にバーベキューするみたいな?」
琉生がそう言う。
琉生はさらに野菜の苗を入手して拠点の近くに今日作った畑をもっと大きくしたいらしい。
「そうしたら、私と、眷属達で留守番しているから、みんなで行ってくるといい。その代わり、野菜と川魚のお土産は頼むよ」
一角がそう言って留守番を買って出てくれる。
「眷属達がいるとはいえ1人で大丈夫か?」
俺は心配になる。
「まあ、ツリーハウスもできたし、魔法もあるし、クマが出たらツリーハウスに登って弓矢と魔法で蹴散らしてやるよ。眷属達も結構戦えるみたいだしな」
一角がそう言い笑う。
そんな感じで、とりあえず、明日はダンジョンでもう少しレベルを上げて、明後日は北の平地に野菜を取りに行きつつ、お昼はお休みして河原でバーベキューをすることになった。
まあ、肉も焼肉のたれもないけどな。
その日は一角や真望、明日乃のHPが減っているので、マナが少し多くとれる熊肉を夕食で食べて、日課のお祈りをして眠りにつく。
眷属達のおかげで見張りを任せて寝られるのはありがたいな。
【異世界生活 31日目 4:00】
無人島の朝は早い。
ぶっちゃけ暗くなるのが早いのでやる事もなく20時に寝ると8時間寝ても4時には起きてしまうのだ。
「レオ、ココ、おはよう。今日もありがとうな」
俺は夜の見張りをしてくれていた眷属達に挨拶とお礼を言う。
夜の見張りはアオとトラが前半、レオとココが後半というのが最近、固定らしい。
明日乃も遅れて起きてきて、レオとココとあいさつを交わす。
そして、他のメンバーも次々起きてくる。
今日の予定はいつも通り、朝食後、麗美先生の剣道教室で鍛錬し、作業をし、午後はダンジョンに再挑戦する。
「なんだ、トイレ作りって?」
俺は気になって聞く。
鈴さんの今日の作業がトイレ作りになっていた。今までは、海岸の岩場の陰に女性用と男性用を作って海にしていた感じだ。
「ああ、それは私がお願いしたの。昨日、拠点のそばに作った家庭菜園を大きくしたいなって。で、肥料が必要でしょ? だから堆肥づくりの為にちょっとみんなに協力してもらおうかなって」
琉生がそう言う。
そう言えばそんなこと、昨日も言っていたな。
「もちろん、衛生面とか匂いとかも気をつけて作るし、大きい土器に枯葉や雑草を入れてそこにしてもらって、たい肥を作りながらみたいな感じかな? それなら匂いもそれほど気にならないだろうし」
琉生がそう言って説明するが、みんなは少し気まずそうだ。
ちなみに土器は大量にあるので、もちろん、トイレ専用の土器だ。
「流司は今まで通り、海でしろよ。私はいいけど、他の女の子は恥ずかしいだろうしな」
一角がそう言って、俺は仲間外れにされる。
まあ、そこは、女の子の事情もあるだろうしな。俺は了承する。
「男性トイレも作ろうか?」
琉生がそう言うが、それはそれで恥ずかしいので俺は断る。俺しか使っていないトイレを琉生が管理するのもちょっとな。
そんな感じで、まずは、琉生と鈴さん麗美さんで、トイレを作り、残り時間でツリーハウスを作る感じだ。
それ以外のメンバー、俺と、真望と明日乃と一角は茶葉を揉んで繊維を壊す作業。
その前に、明日乃が茶葉作りに必要なざるが作りたいという事で、竹でざるを作る。
以前、竹かごを作った時に真望が鈴さんから作り方を教わっていたので、真望が中心になってざるを大量に作る。
この間、北に遠征したときに摘んできた茶葉を日陰干しし、いい感じで萎れてきたので、揉んで茶葉の細胞を破壊し、発酵しやすくする作業をする。
作業は比較的簡単だ。竹製のざるに茶葉を広げて、手洗いで洗濯するように茶葉をくしゃくしゃになるまで揉む。それが終わったら、濡れた布をかぶせて半日放置して発酵させる。
布は油作りと砂糖作りに使った布6枚に何枚か新しく作った布があるそうなのでそれを使う。
残り時間は麻糸作りや麻布作りをする、俺と一角はツリーハウス組に合流し、代わりに琉生が麻布作り組に加わる。
レオ達眷属は薪や荒縄づくりに使う枯草など消耗品を集めてくれているらしい。
それと、お昼前に、鈴さんが水浴びと洗濯をしたいとのことで、ツリーハウス組は竹林に行き、昨日持ち帰れなかったドロップアイテムの回収と、竹を切る作業、そして鈴さんは水浴びをする。
「なんか、青銅の素材が増えたからそろそろ本格的な鍛冶もしたいわね」
帰り道そんな話をする鈴さん。
「本格的な鍛冶って?」
俺は気になって聞き返す。
「うーん、青銅を溶かして、鋳型に入れて形成し直すみたいな? 簡単なものでいいなら剣とかも作れるし、お鍋とかも作れるかな? でも、お鍋は普通の銅の方がいいか」
そんな感じで鈴さんは半分、独り言のように色々話してくれた。鈴さんも色々考えてくれているようだ。
「まあ、その為には色々鍛冶の道具も欲しいから、今の魔法を使ったレベル上げが落ち着いてからかな? 今、潜っているダンジョンを攻略したら始めるって感じ?」
鈴さんが少し楽しそうにそう言う。
「そうだね。武器とか作れるようになったら魔物狩りも楽になりそうだしね。剣があれば、変幻自在の武器は盾として使えるし、戦術のレパートリー増えそうだし、助かるよ」
俺は鈴さんの鍛冶に期待する。まあ、今でも刃物を砥ぎ直してくれたり、槍も結構本格的なものにしてくれたりして、十分ありがたいのだが。
ツリーハウス組はドロップ品を拠点に移動させ、竹も少し持ち帰り、お昼ご飯を食べて、午後はダンジョンに再挑戦。
真望が裁縫関連をやりたいらしいので琉生にダンジョン攻略参加してもらう。
みんな魔法や獣化スキルにも慣れたし、真望の代わりに琉生が入っても何とかなりそうだしな。
【異世界生活 31日目 12:00】
今日は俺、明日乃、一角、麗美さん、琉生の5人でダンジョンに入る。
今日もお祈りポイントとマナを使っての魔法多めのダンジョン強行攻略。少しでも深く潜って経験値を多く集める感じだ。
昨日拾った皮の防具はサイズが合うものをそれぞれつける感じで、ちょっとぶかぶからしいが琉生は重複してドロップした真望の皮の靴や鎧を着る感じだ。緩い分には服や防具についている紐で調整できるらしいので問題ないらしい。
俺は誰とも共有できないのがちょっと悲しいな。
とりあえず、経験値効率がいい4階の序盤を攻略し、琉生のレベルを上げる。
真望が裁縫をやりたいとダンジョンでのレベルアップを避けたので今日は代わりに琉生がダンジョン攻略メンバーに入っている。琉生のレベルがみんなより少し低いので先に養殖する必要がある。
真望が不参加で、真望の昨日の経験値が無駄になった感が気になるが、まあ、どっちにしろ、真望も鈴さんもそして琉生もレベルを上げなきゃいけないんだし、仕方ないか。
とりあえず、経験値効率がいい4階の前半で琉生のレベルを俺達の水準まで上げる。
俺に明日乃の補助魔法を掛けてもらい、壁役をやり麗美さんが首を落とし、落ちた首の核を琉生がとどめを刺すやり方で、最初の1体ずつ出るエリアでレベル13のワーラビット型のウッドゴーレム3体を倒す。
それだけでは経験値が足りなかったので一角にも補助魔法を掛けて壁役を2人にし、敵が2体出るエリアも進む。
すぐに、琉生のレベルが13になり、そのまま、2体出るエリアで、4組、8体を倒したところでさらに琉生のレベルが14になる。
そして俺の補助魔法が切れ、少し戻って休憩する。
「このまま、3体出てくるエリアも行くか? 琉生に補助魔法を掛けて。で、琉生をレベル15にして次は明日乃をレベル15にする感じでどう?」
俺は休憩しながらみんなに聞く。
「琉生にできるかな?」
琉生が心配そうにそう言う。
「まあ、麗美さんの隣のポジションにして、麗美さんがすぐ倒してくれるようにするから、一瞬、ウッドゴーレムの攻撃を受けるだけだからそんなに難しいことじゃない。いけると思うぞ」
俺はそう言う。
どちらかというと、明日乃の補助魔法だけで、時間を稼ぐ、俺と一角の方がギリギリって感じだ。
まあ、一角のレベルも15だし、最後までウッドゴーレムを抑える役は一角に任せよう。
「それならやってみようかな?」
琉生が承諾したので、レベル13のウッドゴーレムが3体出るエリアも挑戦する。
俺、一角、琉生に明日乃の補助魔法を掛け直してもらってから。
3体出るエリアで4組、12体敵を倒したところで琉生のレベルが15になり、次の組を明日乃にとどめを刺させ、明日乃もレベル15に、その次の組を俺がとどめを刺し、俺もレベル15になり全員レベル15になることができた。
そこで補助魔法が切れて、一度エントランスに戻る。
「これで、だいぶ楽になったな」
俺は安全地帯で落ち着いて休憩しながらそう言う。
「防具も結構ドロップしたよ」
琉生が嬉しそうにそう言う。
真望のぶかぶかの装備ではなく、自分のサイズの服や鎧が手に入り嬉しそうだ。
とりあえず、琉生は皮の防具が2セット全部、手に入り、明日乃は防具を全部コンプリート、俺も全部コンプリートすることができた。
「私も装備が欲しいわね」
「私も皮の兜が欲しい」
麗美さんと一角が不満を漏らす。
麗美さんと一角は壁役や補助の貢献ポイントでレベルが上がってしまったので、とどめ役をあまりやっていない。ゆえに装備も穴がある。麗美さんに関しては靴と胸当てしか持っていないのだ。
「とりあえず、残りの4階の敵は麗美さん、5階も行けるようになったら一角がとどめを刺して装備品を集めるようにしよう」
俺は慌ててそうフォローする。
「絶対だからな」
一角が恨めしそうにそう言う。
「とりあえず、琉生ちゃんの着替えをしましょ? りゅう君も上の階で着替えてきて」
明日乃がそう言うので、俺は上の階に上がり、皮の篭手と兜を身に着ける。
琉生の着替えが終わったらしく、みんなが上の階に上がってくる。
「ん?どうした?」
俺は不思議に思って聞いてみる。
「とりあえず、琉生ちゃんの目標レベルまでは到達したから、1階に戻って、残っている敵を倒してから、4階を攻略する感じかな?」
明日乃にそう説明されて納得する。
「とりあえず、流司のレベルを16にするからな。4階のボス、レベル15のウッドゴーレムを抑えるのに同じレベルじゃ足りないだろ?」
一角が意地悪そうに言う。1階から格下の敵を使った俺の泥臭いレベル上げが始まるようだ。
俺の場合、ワ―ラビット型のウッドゴーレムと補助魔法なしで無傷で戦うには敵よりレベルが2つ上、できれば3つ上くらいまで上げたい感じだな。
とりあえず、1階と2階でひたすら俺が敵のとどめを刺してレベルアップをめざすが経験値が全く足りず、3階でも養殖が続く。
そして、3階のボス部屋手前でなんとか俺のレベルが16になった。
敵の気配もないので一度休憩する。
「なんだかんだ言ってみんなも強くなったね。3階のレベル10の一角ウサギ型のウッドゴーレムくらいなら補助魔法なしで勝てるようになったし、4階のレベル13のウッドゴーレムも結構補助魔法無しでも行けるんじゃないかな?」
俺は3階が楽にクリアできるようになってそう言う。
「うーん、私は敵がレベル13になっちゃうと補助魔法必要かな? しかも補助魔法かけてもギリギリって感じだと思うよ。攻撃も少し受けちゃうかな?」
明日乃がそう言う。
「琉生も、もう1レベルくらいあがらないとレベル13の敵に無傷で勝つのは無理かな?」
琉生も少し残念そうにそう言う。
「そうなると、次レベル上げるのは明日乃か琉生あたりがいい?」
俺は麗美さんと一角に聞く。
「そうねえ、4階を補助魔法なしで楽にクリアできるようになるには琉生ちゃんか明日乃ちゃんでしょうね。でも、クリアした後、5階の前半でのレベル上げを考えるなら一角ちゃんじゃない? 敵がレベル15になるわけだし、壁役として一角ちゃんもレベル16、できればレベル17になって欲しいわね」
麗美さんがそう答えてくれる。
なるほどな。確かに、4階をクリアした後の事、今のレベルじゃ明日乃の補助魔法だけで壁役を出来るのは俺だけになってしまう訳か。それは一角にも頑張ってもらわないとダメだな。
「それじゃあ、ここのボスと4階の残りは一角の育成に使って、補助魔法ありで、4階のボスを攻略、5階の前半でレベル上げをしてみる感じでいいかな?」
俺はそう言い、みんなも了承する。
3階のボスは補助魔法無しで挑む。
俺がレベル13のボスを抑えつつ、全員でレベル10の取り巻きを抑え、麗美さんが1体ずつ端から倒していき、ボスは麗美さんが首を落として一角がとどめを刺す。そんな流れで比較的余裕で倒すことができた。
そして、一角のレベルが16になり、麗美さんのレベルも16になった。
ボスのドロップは一角のサイズにあった皮の兜だ。
「よっしゃあ、私も防具をコンプリートだ!」
一角が革の防具をすべて集めて嬉しそうに叫ぶ。
麗美さんが少し寂しそうだ。
「一角ちゃんも私もレベル上がっちゃったわね。次どうしましょうね?」
麗美さんが首を少しかしげてそう言う。
明日乃か琉生のレベルを上げて4階のボス部屋対策をするか、俺と一角のレベルを上げて5階の前半の対策をするか難しいところだが、
「まあ、明日乃と琉生のレベルを上げて4階のボス部屋対策を万全にしよう」
俺はそう提案する。
明日乃や真望が危険な状態になるのは嫌だしな。それにレベルが低い分、次のレベルに上がるまでの経験値が少し少なくて済むのも大きいし。
「まあ、それが無難かな? 5階は流司クンと一角ちゃんに補助魔法かければ済むことだし」
麗美さんがそう言い、みんなも納得する。
とりあえず、4階に降り、残りのウッドゴーレム、4体同時に襲ってくるエリアの敵を倒して琉生と明日乃のレベルを上げる。
残り16体を明日乃が4体、琉生が4体、俺が8体とどめを刺すことで、明日乃と琉生がレベル16になった。
残念ながら俺はもう少しというところでレベルアップに届かなかった。
そして4階のボス部屋の前に着く。
「これなら結構余裕なんじゃない?」
麗美さんが余裕の表情でそう言う。
「まあ、私は補助魔法欲しいかな? INT以外のステータスが低いし」
明日乃がそう言って照れ笑いをする。
「俺も補助魔法を頼む。ボスよりレベルが上がったとはいえ僅差だしな」
俺は明日乃に補助魔法をお願いする。
「ボス部屋は一角が敵のとどめを刺す感じで一角のレベルを上げよう」
俺が提案し、麗美さんが頷く。
「じゃあ、いつもの戦略で、明日乃の補助魔法が掛かったら一気に行くよ。そして、ドロップアイテム拾ったらそのまま5階も攻める。補助魔法が勿体ないからね」
俺はそう言って、ボス部屋の扉を開け、武器を構える。
明日乃が補助魔法の詠唱を2回行い、明日乃と俺に補助魔法が掛かる。
それと同時にみんな一斉に飛び込む。
まずは最速同士の俺と敵のボスが部屋の中央でぶつかり合う。3階のボス以上に速いし強い。俺は槍の柄と穂先を上手く使い、敵が両手で持っている粗悪な青銅の斧を交互に受ける。
補助魔法ありでもギリギリって感じか。時折、相手の攻撃を防ぎきれず、足や二の腕あたりにダメージを受けてしまう。
次いで、他のメンバーも対峙する敵とぶつかり合う。明日乃もギリギリだがウッドゴーレムの攻撃を受け流したり回避したりしている。
俺がこらえている間、麗美さんがまず1体目のウッドゴーレムの首を刎ね、明日乃が苦戦しているウッドゴーレムにもとどめを刺す。
一角もレベルが上がって余裕が出たのか、自分に対峙するウッドゴーレムにとどめを刺し、琉生の対峙するウッドゴーレムの首を刎ねる。
最後に俺が対峙しているボスを横から麗美さんが首を刎ね戦闘終了。
床に落ちたウッドゴーレムの首に一角がとどめを刺していく。
「おし、私の防具も充実してきたぞ」
一角がドロップした皮の防具を見て喜ぶ。コンプリートしたので予備の防具となる。
レベルアップには残念ながら経験値が足りなかったようだ。
「一角、さっさと、ドロップアイテム拾って5階に行くぞ。補助魔法が勿体ない」
俺はそう言ってボス部屋の奥のドアをくぐりエントランスにでる。
琉生や明日乃が慌ててドロップアイテムや宝箱代わりの木箱から粗悪な青銅の斧を拾ってから俺を追いかけるように走ってくる。
とりあえず、ドロップアイテムをエントランスに置き、身軽になってから5階の入り口をくぐる。
そのまま、俺が壁役になり麗美さんがワーラビット型のウッドゴーレムの首を刎ね、一角がとどめを刺す。
「よし、レベルが上がった。次は琉生だな」
一角のレベルが17になり嬉しそうに叫ぶ。
そしてそのままワーラビット2体を琉生が倒し、貢献ポイントで俺のレベルが上がりレベル17になった。
俺の補助魔法がもう少しで切れそうになったので、一度エントランスに戻る。
「やったぞ、防具も全部揃った。流司、ちょっと上に行ってろ、着替えるから」
一角がそう言って早速防具をつけ始める。
「なに言ってるんだ、一角。服を脱ぐわけじゃないんだからさっさと防具を付けろ」
俺は一角を怒鳴る。実際、皮の兜を着けるだけだしな。
そうして、一角も装備をコンプリートさせた。
「防具がそろってないのは私だけね」
麗美さんが寂しそうにそう言う。
レベル不足で結構ボロボロだった俺に明日乃が優しく回復魔法を掛けてくれた。
【異世界生活 31日目 16:30】
「もう少しレベル上げするんだろ?」
少し休憩した後一角がそう言う。
「そうだな、俺と一角に明日乃の補助魔法を掛けて壁役をやって、2体出るエリアの敵を倒して琉生のレベルを上げよう。琉生のレベルが上がったら、次は麗美さんかな? 装備集めたいだろうし」
俺は麗美さんの寂しそうな顔を見てそう皆に伝える。
「琉生ちゃん、3体出るところからは琉生ちゃんも壁役お願いね。お姉さん、さっさと倒すから協力してね」
麗美さんが琉生にそう言い、やる気を出す。
麗美さんは残りのウッドゴーレムで防具をコンプリートする気満々だ。琉生はちょっと怖くなって引いている。
とりあえず、さっき退却したところまで戻り、ウッドゴーレム2体の存在を確認できたので、俺と一角に明日乃の補助魔法を掛けてもらう。
「じゃあ、行くぞ。3体出るエリアに入ったらそのまま進む。明日乃は琉生に補助魔法をお願い、琉生は一角と麗美さんの間に入って」
俺はそう指示し、2体のウッドゴーレムに飛び掛かる。
一角もウッドゴーレムに対峙し、まず、麗美さんは一角の対峙するウッドゴーレムの首を刎ね、その後俺の対峙するウッドゴーレムの首を刎ねる。
その後を追う様に琉生が続き、床に落ちたウッドゴーレムの首にとどめを刺す。
2体とどめを刺したところで琉生のレベルが上がる。レベル17だ。
「よーし、次からは私ね」
麗美さんがそう言って全力の狩りを始める。
今までの首を狩る手加減の攻撃ではなく本気の攻撃だ。
首を狩るのも面倒臭いとでも言う様に、高速で、ウッドゴーレムの弱点、額の核を的確に破壊していく。
「どんどん行くわよ。明日乃ちゃん、ドロップアイテムの回収宜しく」
麗美さんに急かされて俺と一角も慌てて次の敵に飛び掛かる。明日乃も慌ててドロップアイテムを拾い、リュックにつめていく。
俺と一角がウッドゴーレムの攻撃を受け、横から麗美さんが的確にコアを破壊する。
そして、6体のウッドゴーレムを倒したところで麗美さんのレベルが上がる。
「防具が全部そろってないからこのまま3体出てくるエリアも行っちゃっていいよね?」
麗美さんがそう言って3体のウッドゴーレムに向かう。
「麗美さん、ちょっとまって、琉生ちゃんに補助魔法掛けるから」
明日乃がそう叫んで慌てて琉生に補助魔法を掛ける。
琉生も慌てて麗美さんを追いかける。
結局、4体出てくるエリアの手前まで麗美さんがウッドゴーレムを狩りつくし、補助魔法が切れたので、拾い残したドロップアイテムを回収しながら撤退する。
麗美さんの暴走で、麗美さんのレベルが2上がりレベル18に。貢献ポイントで明日乃までレベル17に上がる。
麗美さんの防具も2セット揃ってしまった。
よっぽど装備が欲しかったんだろうな。
「まあ、私の装備は鈴ちゃんと共有できると思うから無駄ではないと思うわよ」
麗美さんが誤魔化すようにそう言う。
みんなが呆れ顔になる。
「なあ、麗美姉もレベル18になったし、このまま、残った敵で明日乃と流司のレベルを上げたら、そのまま5階のボス部屋も攻略できるんじゃないか?」
一角がぼそっとそんなことをつぶやく。
麗美さんもひらめいたようだ。
マジか? このままいけるのか? 俺は不安になりつつも無理したら行けるんじゃないかという気もしてしまう。
次話に続く。
【改訂部分】内容自体は、ほぼ一緒なんですが7割方書き直しです。経験値の計算とか一からやり直しなのでほぼ新作ですw
なんか、4階の敵のレベルを15→13、5階の敵のレベルを20→15にしたら結構サクサククリアできてレベルアップもサクサク行くようになってしまい、魔法要らないよね? って感じになってしまいましたw
結界魔法をお祈りポイントを使いまくって結界無双をするのと、結界すら使わずにサクサククリアしてしまうのとどっちが正解なのかわからなくなりましたw
とりあえず、ダンジョンはサクサククリアしてサバイバルの方に力を入れたいなとw
ダンジョンのドロップアイテムも親切設計でどんどん防具がそろっていきます。その代わりウサギの毛皮や青銅の武器のドロップが改訂前よりかなり下がってしまったのが困った所。真望の裁縫や麗美さんの鍛冶に影響出ちゃうよな?と心配になりました。
改訂って一筋縄でいかないのが難しいところです。改訂で得るものもあれば失うものもある。そのバランスのとり方が難しいですね。
【再改訂部分】ここも倒した敵の数を間違っていました・・・。4階のボス前の4体を1組余計に倒していた感じです。
補正したところ流司のレベルが下がって、4階ボス部屋と5階の頭の部分でレベル不足、流司のモタモタ感が出てしまいましたが、何とかなりましたw 明日乃が回復魔法を1回使ってフォローした感じです。




