【再改訂】第59話 ダンジョン攻略、3階のボスを攻略する
【異世界生活 30日目 15:00】
俺達は、現在ダンジョンを攻略中。
ダンジョンといっても神様が魔物狩りの練習用に作った演習場だけどな。
現在3階層のボス部屋前、ボスを倒しこの部屋を通過すると4階層への挑戦権が得られる。
「いるな」
「ああ、変なのが1体いる」
俺と一角はボス部屋を覗きながら会話する。
俺は『鑑定』のスキルを使う。
ワーラビット
レベル15
凶暴な人型をしたウサギ。武器を扱う
レベルが上がるとどんどん素早くなる。
それを模して神が作ったウッドゴーレム。
額にある赤い核を壊すと停止する。
100センチくらいのウサギ型の獣人を模したウッドゴーレムって感じか?
そしてウッドゴーレムなので木製で、関節は球体関節だ。
「なんか、鎧着てるね」
明日乃も覗きながらそう呟く。
皮製の胸当て、篭手、脛あてを着けている。そして武器は粗悪な青銅の斧っぽいものを持っている。両手に1本ずつ、二刀流だ。
木製のウッドゴーレムが革製の鎧を着て何か意味があるのだろうかと疑問に思ったがまあ、あの神様がすることだからとスルーすることにした。
「レベル13はヤバそうね」
麗美さんがそう言う。
「2階のときと同じでいいか? 俺がボスを抑えるからみんな1対1で対峙し、倒せなかったら、麗美さんが助けに入ってどんどん倒していく感じで」
俺はそう提案する。
「流司、補助魔法ありでも1対1は無理じゃないか?」
一角がそう言う。
確かにレベル13の俺とレベル13のウッドゴーレムしかも素早さ特化と予想できる。ちょっと分が悪いか?
「というか、いきなりレベル13はやり過ぎじゃない? レベル11くらいかなって甘く見てたのに」
麗美さんがそう言ってがっかりする。
「この前の戦いで、俺がとどめを刺す役を代わっておいてよかったな。今ならギリギリマナも300あるから最悪、獣化スキルの補助魔法も掛けて補助魔法の2重掛けができる」
俺は一角にそう反論する。
「補助魔法の二重掛けか面白そうだな」
一角がちょっとうらやましがる。
「お前の補助魔法は癖ありそうだからな。狭いダンジョンでは使いづらそうだし使う機会ないかもな」
俺はそう言って冷やかす。
実際、一角の獣化スキルの補助魔法は素早さが上がるが、回避力や旋回性が下がる。狭い戦場で戦うより広い戦場で戦うのに特化したような補助魔法なんだよな。
「じゃあ、私は獣化義装ってやつを使う」
一角が俺に対抗してそう言う。
「ああ、また今度な。とりあえず、今、必要なのはボスを抑える1人だけだから、俺だけで足りる」
俺は一角の提案を却下した。
一角は悔しそうだ。
「私はどうすればいい?」
明日乃が俺に聞いてくる。
「明日乃も補助魔法が効いているから1体相手してくれ。倒せなくてもいいから麗美さんが倒し終わるまでの時間稼ぎでいい。多分、結界魔法使っても、部屋が広いから距離置かれて時間稼ぎされそうだしな。結界使うと明日乃が動けなくなるのもきついしな。まあ、全体的に不利そうになったら結界魔法を張ってくれ。みんなで結界に逃げ込んで立て直す」
俺は明日乃にそう答え、明日乃が頷く。
「予備の槍、持ったままじゃ戦いづらいんだが」
一角がそう不満を漏らす。
今まで、一角が予備の槍を2本背中に荒縄で縛って背負って、計3本持って戦闘に参加していた。
「一応持っていてくれ。また、誰かの槍が折れたらまずいしな」
俺はそう答える。
一角は嫌そうな顔をするが納得する。
「みんな、槍の調子が悪そうだったら今のうちに交換しておいてくれ」
俺はそう言うと、一角と麗美さんが一角の背負っていた予備の槍と持ち替える。
まあ、麗美さんが太くて固い木の柄に作り替えてくれたので昔みたいな黒曜石の穂先の槍の時みたいに折れる可能性は低いけどな
「ああ、それと、明日乃。明日乃の聖魔法、ステータスを上昇させる『祝福』? あれを俺にもかけてくれ。ボスとレベルが同じだから念のためにな」
俺は明日乃にそうお願いし、明日乃が俺にも補助魔法を唱える。
「それじゃあ、行く?」
麗美さんがそう聞き、俺が頷き、みんな、ボス部屋に飛び込む。
敵のボスが凄いスピードで部屋の中央に飛び出してきて、部屋の真ん中で俺とボスのウッドゴーレム(ワーラビット)がぶつかり合う。
「くそっ、速い。しかも手数が多すぎるだろ」
俺はボスの速さと二刀流の連撃に押される。
槍の柄で、右左右左と交互にボスの青銅の斧を受ける。
これは長槍だと苦戦しそうだ。
俺が防戦一方で苦戦している中、俺の右を一角が通り過ぎ、その先を真望が通り過ぎ、左からは麗美さんと明日乃が少し遅れて通り過ぎていく。
そして、炎が上がる。真望が攻撃魔法『炎の矢』を放ったようだ
俺だけボスに押されっぱなしじゃないか。
俺はボスウッドゴーレムの隙を突いて、槍の柄で跳ね飛ばし、逆に、槍の柄と穂先で、左右交互にボスを責めたてる。
そして、俺に隙ができると、ボスが逆に攻めに回る。
「痛ぅ、捌き切れない」
俺の両腕に痛みが走る。浅い攻撃だが、徐々にHPが削られていく。
そんな攻防を繰り返し、補助魔法の二重掛けも検討し始めると、
「流司クン、終わったわよ。手伝う?」
麗美さんが横から声をかけてくる。
「お願い、こいつ、手数も素早さも半端ない。麗美さん、とどめ刺しちゃって」
俺はそう答える。
俺の二の腕のあたりや太もものあたりにダメージが蓄積している。
「しょうがないわね」
麗美さんが俺をからかう様にそう言うと、槍を大きく振りかぶり、斜めに振り下ろす。
ボスウサギの首がきれいに空に舞う。
そして動かなくなる体の部分。
「明日乃ちゃん、とどめ刺しちゃっていいわよ」
麗美さんがそう言い、明日乃が床に転がったウッドゴーレムの首、額にある赤い宝石のような核を槍で一突きし、とどめを刺す。
「経験値200前後かな? 結構大きいわね」
麗美さんが明日乃のステータスを確認しながらそう言う。
さっきまで相手をしていたツノウサギ型のウッドゴーレムが経験値25だから5倍どころか8倍か。これは強いだけあって経験値も美味いな。
「いそいで、ドロップアイテム拾って次の階層いくよ。俺の補助魔法が切れないうちに下の階層の1体出るエリアは一掃したい」
俺はみんなにそう声をかけ、ウサギの皮やら角やらを回収する。宝箱はお約束の粗悪な青銅の斧だった。
「りゅう君、ボロボロだよ。今、回復魔法かけるね」
明日乃がそう言って俺に回復魔法をかけてくれる。
俺のHPが11から25まで回復する。危なかった。HPを半分以上削られていたのか。
鈍い痛みも引き、少し落ち着く。
そして、ボスのドロップは皮のブーツだった。なぜかボスにとどめを刺した明日乃のサイズにピッタリだ。
俺達は急いで、北のエントランスに出て、階段を一つ下り、第4階層に。
そして飛び込むように4階層の入り口をくぐり、そこにいたレベル13のウッドゴーレム(ワーラビット)をさっきのように、俺が抑えて、麗美さんが首を落とすやり方で倒し、そのまま、1体ずつ、2体目、3体目を倒し、魔法が切れる。
とどめを刺した明日乃、補助役の麗美さんや俺の経験値が格段に上がる。
さっきレベルの上がったばかりの明日乃がもう少しで次のレベルに上がるくらいまで経験値が貯まった。
そしてドロップアイテムは基本、粗悪な青銅の斧か皮の防具と皮の靴? そしていつものウサギの毛皮の四択らしい。青銅の斧2本と明日乃のサイズに合った皮の胸当てが手に入る。
とりあえず、魔法が切れたので、エントランスまで戻り作戦会議だ。
「これからどうするの?」
麗美さんが俺に聞く。
「補助魔法のかかった俺が抑えて麗美さんが素早く倒すからこの戦術が成り立つんだよな。これを同時に一角と真望のペアでやれるかと言われると怪しいところだな。一角と真望に補助魔法をかけたとしても多分、真望と一角が俺同様もたないと思う」
麗美さんが2人いれば成り立つと思うが。残念ながら麗美さんは1人だ。
「麗美さんは行けると思う? 特にワーラビット型のウッドゴーレムが2体出だすあたりから」
俺は麗美さんに意見を聞いてみる。
「私も同意見ね。一角ちゃんと真望ちゃんのペアがどうしても力不足? 色々入れ替えてみても、私以外と組むチームが苦戦しそうよね」
麗美さんがそう答える。
「流司が補助魔法2重掛けして1体抑えれば、抑えている間に補助魔法をかけた私と麗美さんで順番に仕留められるんじゃないか?」
一角がそう意見する。
言われてみるとそうだな。
「で、真望ちゃんを養殖して、真望ちゃんがレベル13になったら、獣化スキルで補助魔法2重掛けして流司クンと同じ仕事をさせれば3体相手でも戦えるようになると」
麗美さんがそう付け足す。
「ええ~、私? 私は無理よ」
真望が急に振られて慌てる。
「真望のレベルが上がって、マナも300残ればいけるかもな」
俺は麗美さんの意見にそう付け足す。
真望のレベルが上がってかつマナも300ポイント残るこれは結構ハードル高いかもしれない。
「流司クンに補助魔法2重掛けでとりあえず、ウッドゴーレムを倒していって、2体出るエリアになったら一角ちゃんにも2重掛け、3体出るところになったら真望ちゃんにも2重掛けみたいに段階的にしていったらいいかも? 私は横から首落とすだけだから補助魔法いらないしね」
麗美さんがそう言う。
「獣化スキルはマナでしか使えないから経験値習得の効率は落ちるけど、レベル13のウッドゴーレム1体倒すと、経験値200以上もらえるみたいだし、赤字にはならないか」
俺はそう言い、麗美さんの作戦にのる。
ちょっと心配なのが一角の獣化スキルだよな。ダンジョン向けじゃないあたり?
「皮の防具も魅力的だしな」
一角がそう言う。
「というか、真望、ボロボロだぞ?」
俺は真望全身を見渡し、苦戦し具合に同情の声をかける。
明日乃の回復魔法で怪我は治っているが、着ている皮の服が所々破れ、お腹が丸見えになっている。ちょっと、慎まやかな南半球の白い生地もチラ見えして、なんか裸よりエロいかもしれない。
一角も真望ほどではないが、皮の服に刃物で切られた傷が目立つ。
「何言ってんの? 流司だって、服がボロボロじゃない、って、キャー――!!!」
真望がいきなり叫ぶと俺に背中を向けてしゃがむ。
「いまさら遅いんじゃないか?」
俺はそう言って呆れる。
後ろから見ても、わき腹の辺りとか川の服が破れていて、ちょっとエロい。
「そう言う問題じゃない!! 流司、ちょっと上の階行ってて!」
真望がそう言って叫ぶ。
「えぇ~?」
俺はドン引きする。
「いいから、早く、行きなさい!!」
真望にそう言われて、渋々、上の階のエントランスに上がる。
「流司クン、いいみたいよ?」
少ししてから麗美さんが迎えに来てくれて、下の階に降りる。
「もう、こういうことは早く言いなさいよね」
真望が恥ずかしそうにそっぽを向きながらそう言う。
破れていた部分が簡単にだが縫い直されている。一角や明日乃の破れも肌が見えない程度に修繕されていた。
それと、明日乃は拾った革靴を履き、皮の胸鎧も着けていた。
「そんなこと言ったって、真望が急ごうっていってたんじゃないか。補助魔法が切れるからとかなんとかって」
俺は正論を返す。実際途中まで急がせてたのは真望だしな。
「そう言う言い訳はいいの。男らしくない」
真望がさらにキレる。
なんか理不尽だ。
明日乃が呆れ顔で笑う。
「真望はなんだかんだ言って女子力高いな。裁縫道具までもってきているなんて」
一角はそう言って縫ってもらった部分の調子を見る。
「裁縫道具っていっても、針と少しの麻糸だけよ。麻糸が絶対的に不足してるし」
真望がちょっと照れるようにそう言う。
「なんだかんだ言っても、真望もいいお嫁さんに慣れそうだな」
俺はそう言って褒める。
真望が真っ赤になって、他の女の子達が呆れ顔になる。
「りゅう君、そう言うことは安易に言わないの。この世界に男の子はりゅう君だけなんだからね」
明日乃がちょっと膨れ顔でそう言う。
「実質、プロポーズよねぇ~。私も言って欲しいわ」
麗美さんがそう言って俺を冷やかす。
そうか、ちょっと考えて喋らないとダメだな。
俺は反省した。
とりあえず、元居た場所まで戻ると敵が2体出るエリアに入ってしまったようだ。
俺の補助魔法の2重掛け。素早さが1.5倍近くなる。獣化スキルの補助魔法『獅子の咆哮』の効果はやっぱりすごいな。
一角にも明日乃が補助魔法をかけ、さっき俺がやっていた役割を一角が引き継ぐ。3人で戦う感じだ。
俺が1体を抑えて、一角が敵を抑えつつ、麗美さんが横から首を落とす。そして落ちた首の核を真望がとどめを刺していく。
『獅子の咆哮』の効果はやっぱりすごい。今まで苦戦していたレベル13のウッドゴーレムが対等以上、余裕で倒せるようになる。素早さはもちろん、反射速度も上がるようだ。
調子に乗って、抑えていたウッドゴーレムを倒してしまう。
「ごめん、真望。勢いあまって倒しちゃったよ」
俺は1体目のとどめを刺した真望にそう謝る。他のメンバーにも頭を下げる。
「まあ、これで、流司クン、もう1回、獣化スキル使えるようになったからいいんじゃない?」
麗美さんがフォローしてくれる。確かにマナが300越えて、もう1回補助魔法の二重掛けができるようになった。
そして、次からは気をつけながら、俺も首を落とす作業に徹する。2体の組を4組倒し、真望のレベルが13になる。そして、明日乃も貢献ポイントでレベル13になった。
ここで補助魔法が切れそうな時間になったので一度後退し休憩することにした。
次話に続く。
【改訂部分】かなり書き直しました。
敵のレベルを若干下方修正。3階ボスレベル15→レベル13、4階雑魚レベル15→レベル13、4階ボスレベル20→レベル15。1つ目のダンジョンの敵を強くし過ぎて、2つ目のダンジョンがヌルゲーになってしまった為補正しました。まあ、この程度では2つ目のダンジョンもヌルゲー確定なんですがw
敵のレベルが下がった上に主人公たちのレベルも上がっているので、結構、魔法無しで進める感じになりました。
獣化スキルがマナでしか使えなくなったので経験値効率が悪化、そのかわりお祈りポイントの減少がかなり減りました。
明日乃の結界魔法がダンジョンではほとんど使えなくなりました。発動すると動けなる結界魔法はかなり使いどころを選びそうです。
【再改訂部分】せっかくボロボロになっているのでお色気シーンと真望と流司のボケ突っ込み漫才を入れました。HPシステムは肌の表面にバリアを張っている感じなので洋服は破れますw 防具も破損します。
それと、皮の服は今後5階ボスドロップになります。




