第58話 ダンジョン攻略の準備と赤字覚悟の挑戦
【異世界生活 30日目 6:00】
たき火のそばに行くと、昨日の後半の見張り役のアオとトラ、鈴さんと琉生が起きていた。
「おはよう、みんな。それと、アオとトラ。見張りをしてくれたおかげでみんなよく寝られたと思う。助かったよ」
俺はそう言って夜の見張りをしてくれた2人をねぎらう。
鈴さんと琉生は1時間早く起きてしまったようで、昨日、塩水に漬けっぱなしだった猪肉を干す作業をしてくれたらしい。ツリーハウスの土台に一夜干しのかごがたくさんぶら下がっている。
「おはよう、みんな」
一角が起きて来て、麗美さんや真望も起きてくる。
みんな揃ったので朝食を食べる。猪肉の野菜炒めだ。
「そういえば、麗美さん、あれはどうする?」
鈴さんがそう言って日陰に干してある干しかごを指す。
「あれ?」
麗美さんが首をかしげる。
俺も何のことかわからない。
麗美さんがそのかごを確認しに行き何か確認している。
「そういえば、熊の肝がうまく取れたから干しておいたんだったわね。熊胆っていって漢方薬になるから腐らないように保管しておきましょ。胃腸薬として使われているのよ」
麗美さんは戻ってくるとそう言って竹の筒に詰めて蓋をして麗美さん預かりとなる。
そう言えばそんなものあったな。俺は半分忘れていた。
その後、久しぶりに全員での剣道教室。留守番していたメンバーも含めた剣道教室は久しぶりだ。
1時間ほど鍛錬し、焚き火の回りで休憩する。
「1週間、サボっていたから体がなまっていたわね」
鈴さんが恥ずかしそうにそう言う。
まあ、剣道の先生である麗美さんが遠征組だったからしかたない。
剣道教室のあと、みんなで少し休憩していると、真望がチョロチョロ動き出し、俺の横に座る。
「それじゃあ、流司、髭剃るわよ」
真望がそういって自分のももをぽんぽん叩く。
膝枕ってことだろう。
俺は黙って従う。真望は俺の髭に対して妥協する気はないしな。諦めるように真望のふとももに頭を乗せる。
俺の目の前に、慎ましやかだが、程よい大きさの双丘が目に入る。
以前の葉っぱの服と違い毛皮の服なのであくまでも服の上からだが。
真望が準備した土器の器にお湯が入っているようで、そのお湯で手を濡らし、石鹸を泡立て、俺の顔に塗る。
床屋だと、蒸しタオルで髭を立てて、肌を柔らかくしてから剃るのだが、布不足なので温かい泡で代用するようだ。
温かい泡だけでも気持ちいい。
「じゃあ、いくわよ」
真望がそう言ってカミソリを構える。
なんかカミソリらしい形をした物が目に入る。床屋で見る本格的なカミソリ、T字ではないナイフみたいな形をしたカミソリだ。
青銅製の刃に木の柄がついて、皮が巻いてある。
「なんかよくできたカミソリだな」
俺は気になって聞く。
「昨日も言ったけど、ダンジョンで拾った『青銅製のウサギの爪』を材料に鈴さんが作ってくれたのよ。それと、喋らない。鼻が落ちるわよ」
真望がそう言って、俺の顔を押さえつける。
鼻が落ちたら大変だ。
俺は慌て口を閉じる。
そこから、丁寧にジョリジョリ髭を剃る。真望、結構上手いな。
口の回りを剃り、首を剃り、顔全体を剃り、最後に眉毛の回りも剃る。眉毛はちょっと心配になる。形を整えてくれているんだろうけど鏡がないし気になる。
「はい、できたわよ」
真望がそういい、俺は座り直す。
「おかしくないか?」
俺は明日乃に確認する。
「イケメンさんになったよ」
明日乃がからかう様にそう言う。
「鏡見る? 黒曜石製だからほとんど見えないけど」
真望がそう言って黒曜石の塊を出す。
一生懸命磨いたんだろうな。表面がつるつるだ。
そして覗くとなんとなくだが自分の顔が映る。よく洗車した車のボンネットに顔を映した感じだ。
まあ、眉毛もおかしなことにはなってなさそうだし、大丈夫だな。そして顎の所々からちょっと血が出てるけどな。
「まあ、血は出てるけど、上手かったよ。髭剃りは男にしかできないと思ってたけど女の子でも上手いもんだな」
俺はそう言う。
「もう、女の子にあんまり、センシティブなところ聞かないの。女の子だって剃刀結構つかうんだよ」
真望が少し照れるように怒るようにそう答える。
あんまり男が聞いちゃいけない部分らしい。ムダ毛の処理ってことだろうな。
【異世界生活 30日目 9:00】
「じゃあ、残り時間、作業して午後はダンジョンに行くか」
俺はそう言って立ち上がり、思い出す。
「鈴さん、悪いんだけど、槍の研ぎ直しとナイフの研ぎ直しをお願いね。特にナイフはサトウキビの皮むきで結構刃こぼれができちゃってるんだ」
俺は鈴さんにそうお願いする。
ナイフは昨日のうちに鈴さんが新しく作ってくれていたナイフと交換済みだが槍の研ぎ直しをお願いするのを忘れていた。
「了解。結構な量だけど、槍から優先的に砥ぐわね」
そう言う鈴さん。
俺達は木の槍を鈴さんに渡し、作業に移る。
ツリーハウスは鈴さんが別作業で動けないので保留。代わりに俺と琉生と眷属たち、アオとココ、トラで竹をとりに行く。ついでに水も汲んでくる。麻の繊維が足りなくなるので、麻の群生地にも行って、茎を切り倒し、琉生の腐らせる魔法をかける作業もする。
一角とレオは塩を作るらしい。一角は本当に塩にうるさいな。
明日乃、麗美さん、真望は麻糸作りだ。
最初に琉生とココとトラとで麻の群生地に行き、麻を切り倒し、土に魔法をかけて早く腐らせる作業をし、俺とアオは竹林で竹を切る作業をする。まあ、竹を切っているのは俺だけで、アオはなにかあった時の予備戦力だ。まわりの警戒をお願いする。
琉生とココとトラが作業を終わらせ、竹林で合流。竹の水筒を作り、水を汲み、持ってきた土器の水瓶にも水を汲み、俺が切っておいた竹を持てるだけ持って帰る感じだ。
眷属達も見た目小さいが、主の7割くらいの力はあるということでみんな結構力仕事もできそうだな。
一度拠点に帰り、ツリーハウス作りに荒縄も足りないらしいので、このメンバーで、前の拠点のあたりに行き、枯草を集めてくる。ついでにバナナも取って帰る。
残り時間は荒縄を作り昼まで作業をする。
【異世界生活 30日目 12:00】
今日は早めにお昼ご飯を済ませ、ダンジョンに向かう。
鈴さんの槍の穂先研ぎもギリギリ間に合い、お礼を言う。
今日のパーティは俺、明日乃、一角、麗美さん、真望だ。
あえて、琉生ではなく麻布作りで忙しい真望を選んだのは、スキルが攻撃寄りだからだ。琉生の魔法は周りに土や石がないと攻撃力が落ちる可能性があるし。まあ、麗美さんの言っていた水があると氷魔法が効率的に使えるという話を聞いたうえでのあくまでも予想だが。
なんだかんだ言って、真望は火属性魔法を使えるので、ウッドゴーレムには相性がいいかもしれないと思ったからもある。
ちなみにみんなのレベルはこんな感じだ。
流司 レベル12 レンジャー 剣士
明日乃 レベル12 神官 聖魔法使い 剣士見習い
一角 レベル13 狩人 剣士
麗美 レベル12 医師 剣士 治癒魔法使い見習い
真望 レベル11 剣士見習い
鈴 レベル11 鍛冶師見習い 剣士見習い
琉生 レベル12 テイマー見習い 剣士見習い
こっそり一角のレベルが上がっていたり、獣化スキルの使用で俺のレベルが1下がっていたり、あと、見習いの称号が少し消えていたりする。
とりあえず、泉の裏の丘の中腹にあるダンジョンに入り、1階と2階を無難に攻略する。レベルダウンした俺と前線で戦う予定の真望に経験値を集中させる。
2階を攻略するころには、レベルダウンした分の経験値も補え、俺はレベル13に戻る。
真望は経験値が少し足りずレベル11止まりだ。まあ、3階で無茶させる予定なのでレベル12になるだろう。
麗美さんも今日は真望のレベル上げの補助だったが貢献ポイントで今までの経験値も合わせてレベルが上がる。レベル13だ。
そして、今日の課題である3階の攻略。
お祈りポイントを使いまくって今日は無理に3階を攻略するのだ。それにより、経験値が美味いと予測される4階に侵入する権利を得る。それが今日の課題であり目標だ。
とりあえず、レベル10のウッドゴーレム(イッカクウサギ)は1体もしくは2体ずつなら対応できるので真望にとどめをささせる感じで2体出だすエリアまで進む。
そして、真望のレベルが12になる
「なんか結構いけるんじゃないか?」
一角がそう言う。
「確かに、俺も麗美さんも一角もレベル13になったおかげか前回ほど苦戦している感じはないな」
俺は一角に答える。
「私は結構ギリギリなんですけど?」
真望が不満を漏らす。レベル12になったばかりで剣道教室もまだ日が浅い真望にはちょっときついレベルらしい。
「そろそろ、3体出てくるエリアになるぞ。最初の予定では3体出たら、明日乃が補助魔法を前衛みんなに掛けて強行する予定だったが、補助魔法なしで4体出るエリア手前までは行けそうだな。4体出だしたら俺達のレベルアップの状態を見て、敵の動きに応じて事前に決めたプランでいくからな」
俺はそう言い、みんな頷く。一角と真望あたりはプランを全部覚えているか怪しいけどな。
次の戦闘は運よく2体、そしてその次の戦闘がとうとう3体ウッドゴーレムが出るエリアに入る。
このダンジョンのウッドゴーレムは素早さ特化のようで、俺達より低レベルなのに相性が悪く苦戦していた。前回ダンジョンに来たときはレベル10が3体となると現段階の俺達の強さでは無傷では勝てなかったのだ。
「結構いけそうだな」
一角が少し余裕そうな顔でそういう。
「ああ。まあ、麗美さんの剣術があるから3体まではなんとかって感じだな」
俺は、対峙する一角ウサギ型のウッドゴーレムをいなしながらそう答える。
ただし、抑えるのが精いっぱい、とどめを刺すまでには至らない。
とりあえず、剣術の優れた麗美さんがウッドゴーレムを動けなくし、真望がとどめを刺す。次に俺の足止めしていたウッドゴーレムを麗美さんが動けなくしてから真望がとどめを刺し、最後は一角の対峙するウッドゴーレムも同じように倒す。
「時間はかかるけど、何とかなりそうね。これで、真望ちゃんがレベル13になってくれれば、明日乃ちゃんのレベル上げができるようになるんだけど、残りのウッドゴーレムじゃ間に合わないかな?」
麗美さんがそう言う。
確かに3階の残りの敵の数では真望のレベルアップは期待できないかもしれない。
「そうなったら、明日乃の補助魔法で真望のステータスを底上げして騙し騙し進むしかないかな?」
俺はそう答える。
「そうなると、私がボス部屋で大変なことになりそうな気がするんだけど」
明日乃が不安そうにそう言う。
「言われるとそうね。明日乃ちゃんだけレベル11でボス部屋突入ってことになりそうだし、ちょっと作戦変更する? 真望ちゃんじゃなくて明日乃ちゃんを今からレベルアップしてレベル12まで行かせる感じ? で、ボスは明日乃ちゃんと真望ちゃん、あと、ボスを抑える流司クンに補助魔法って感じでなんとかなるかな?」
麗美さんがそう提案する。
「そうだな、ちょっと計算ミスって感じだな。このままだと確かに明日乃がヤバそうだ」
俺はそう言い、麗美さんの作戦に賛同する。
一角と真望も良く分かっていないようで麗美さんに任せるようだ。
「とりあえず、3体出るエリアは明日乃をレベル上げしよう。4体出てきたら真望に明日乃が補助魔法。それでだめそうだったら、真望自身が獣化スキルの補助魔法をかけて補助魔法2重掛けをする。経験値がもったいないけどな」
俺はそう言い、麗美さんも頷き、真望は何となくわかったような顔をする。
そこからは同じようなやり方で、真望のポジションを明日乃に変えて、明日乃の養殖をする。
そして、明日乃のレベルは上がらずに敵が4体出るエリアに入る。
「おい、流司、次は4体で待ち構えているぞ」
一角が目の前に待ち構えているウッドゴーレム達を確認し、そう言う。
「じゃあ、ここからは、明日乃の補助魔法を真望に掛けて、真望も前線でウッドゴーレムを抑える役をやってもらう。麗美さんと俺の間に入れ。麗美さんと明日乃が1体目を倒すまで持ちこたえればいい。ダメそうだったら、さっき言った通り補助魔法の2重掛けで対応しろ」
俺は真望にそう言う。
「えっ? でも、私、マナが300も残ってないわよ?」
真望がそう答える。
「それは困ったわね。レベルが下がっちゃったら、その場はいいけど、後々に大変なことになりそうだし、どうするの?」
麗美さんがそう言う。
「マジか。そうだった。獣化スキルはお祈りポイントじゃ使えないんだった。真望のレベルが下がり続けたら意味ないしな」
俺は、北の平原に遠征したときに獣化スキルの補助魔法を使ったことを思い出す。確かに、使った瞬間はレベルが下がってステータスも下がるが、それ以上に補助魔法によるステータスアップがあったから、その場はよかったが、これが繰り返しになると意味がなくなる。
「そうだ、魔法を使え真望」
一角がそう言う。
「そうか、それがあったな。攻撃魔法ならお祈りポイントで使える。足止めに攻撃魔法を使えばいい」
俺はみんなにそう言う。
結局、真望がお祈りポイント300消費して攻撃魔法『炎の矢』を習得し、補助魔法で足りなかったときはウッドゴーレムが近づいてきたところで火だるまにする作戦に変更することにした。
明日乃も補助魔法『祝福』をお祈りポイント300使って習得する。
「それじゃあ、行くぞ。明日乃は真望に補助魔法を」
俺はみんなに向けて叫ぶ。
「神よお力をお貸しし給え『祝福』!」
明日乃が聖魔法を唱え、真望の体が光り出す。
「真望、どうだ?」
俺は真望に魔法の効き具合を聞く。
「悪くはないけど、全ステータスがまんべんなく上がるって感じね。レベルが1上がった時みたいに実感はないけど少し強くなった気分くらいかな?」
真望が正直に答える。
俺が使った獣化スキルよりは効き目がいまひとつのようだ。俺の補助魔法、『獅子の咆哮』は素早さと力に特化した補助魔法だったから効果の実感があったが。
「まあ、とりあえず、もったいないから行ってみましょ? ダメだったら火の魔法使うし」
真望が楽観的にそう言う。
まあ、それしかないか。補助魔法は10分で切れるしな。
「じゃあ、行くぞ」
俺はそう言い、前衛は左から、麗美さん、真望、俺、一角の順で1列に並び、一斉に次のウッドゴーレムに襲い掛かる。
前衛4対ウッドゴーレム4。1対1で対峙する。
俺と一角は対等で何とかなる。麗美さんは武術の功で優位に戦闘を進める。
真望はやっぱりステータスは上がったが槍の使い慣れが足りないか。
「ちょっ、これ、痛っ、れ、麗美さん急いで」
真望が一角ウサギ型のウッドゴーレムの攻撃を捌き切れず、何度か角で突かれている。
俺も、自分の対峙するウッドゴーレムを捌くのに精いっぱいで魔物補助ができない。
「真望、魔法を使え! 魔法!」
俺は慌てて真望にそう叫ぶ。
「えっ? ちょっ、ま、待って、魔法なんて、使う余裕、ないわよ」
真望が必死にウッドゴーレムの攻撃を槍で捌き、余裕のない返事をする。
真望のHPがじわじわと減っていく。
「真望ちゃん、結界魔法使う?」
明日乃も慌てて真望と俺に指示を仰ぐ。
「明日乃ちゃん、とりあえず、早く倒して」
真望がじわじわと後退しながらウッドゴーレムをいなしつつ必死にそう叫ぶ。
確かに、結界を張って明日乃が動けなくなったら意味がない。
「明日乃ちゃん、今よ、急いで、とどめを」
麗美さんがそう叫び、明日乃が右往左往しつつ、1体目のとどめを刺す。
「おまたせ、真望ちゃん」
麗美さんがそう言って、真望の対峙していた一角ウサギ型のウッドゴーレムを上から槍で叩きつけ動けなくし、さらに上から槍で突き刺す。
「明日乃ちゃん、次、次!」
麗美さんが槍を突き刺し地面に押さえつけているウッドゴーレムが暴れ出す。
明日乃が慌てて駆け寄り、一角ウサギのウッドゴーレムの弱点である両目の核を1個ずつ慎重に突き刺しとどめを刺す。
そんな感じで、時間はかかるし、真望がピンチになったが明日乃が4体とどめを刺すことに成功する。2~3分かかったか?
「明日乃ちゃん、回復魔法お願い。苦戦はするけど、倒せない敵じゃない。次行くから急いで」
真望がそう言い、明日乃が慌てて回復魔法をかける。
俺達はそのまま、2組目のウッドゴーレムも倒し、明日乃も流れをつかんだのか、そのまま真望に回復魔法をもう一度かけ、3組目も何とか倒し、真望の補助魔法が切れる。
「流司、次はどうする? 回復魔法があるなら、次とボス部屋くらい何とかなるわよ」
真望が息を切らせつつそう言う。
目の前には最後のウッドゴーレム4体とその横にボス部屋の扉が見える。
「というか、真望、落ち着いてから気づいたんだが、最初から魔法使えばいいんじゃないか?」
一角がぼそっとそう言う。
「そう言われるとそうね」
真望も今気づいたようにそう言う。
「とりあえず、真望ちゃん、回復魔法かけるね」
明日乃がそう言って回復魔法をかけると真望の攻撃を受けて赤く脹れていた場所の晴れがひいていく。
「真望、痛くないのか?」
俺は心配になって聞く。
「もちろん痛いわよ。でも、今日はボス部屋クリアしないと駄目なんでしょ? 回復魔法かければ痛みも引くし、あと2戦くらい何とかするわよ」
真望が強気にそう言うが、HPのシステムの恩恵を受けない服は結構ボロボロになっていて痛々しい。
疲れや、精神的な痛みの記憶は回復できないみたいだしな。
「とりあえず、明日乃ちゃん、補助魔法お願い。最後の一組も倒すわよ」
真望がそう言い、明日乃がみんなの顔を見渡す。
麗美さんが頷き、明日乃が真望に補助魔法をかける。
「補助魔法が勿体ないからさっさと倒して、ボスも倒すわよ」
真望がそう言って敵に向かって歩き出す。
俺達も仕方なくついていく。麗美さんや明日乃と作戦会議をしつつ。
「魔法使ったら、呆気なく倒せたわね」
真望が呆れるようにそう言う。
一角の指摘どおり、真望が敵の攻撃を受ける前に火の魔法、『炎の矢』を使ったところ、ウッドゴーレムが地面をのたうち回り真望にはノーダメージだった。
今回は俺と明日乃のポジションを入れ替え、補助魔法をかけた明日乃がウッドゴーレムの動きを抑えたところで俺が1体目のとどめを刺し、地面で火に巻かれているウッドゴーレムも俺がとどめを刺す。残りの2体も俺がとどめを刺す。
そして戦闘終了。
明日乃のレベルが上がったのでとどめの役を俺がやり、俺の経験値を上げることにしたのだ。ボス戦で獣化スキルが必要になるかもしれないしな。
「やっぱ、魔法だな」
「ええ、お祈りポイント勿体ないけど、魔法は使えるわね」
一角がそう呟き、真望が答える。
「よく燃えてたよね。ウッドゴーレム」
明日乃が少し引き気味にそう言う。
予想通り、ウッドゴーレムと火の魔法は相性がいいようだ。というか、もっと早く使えよ真望。
「とりあえず、真望の補助魔法が切れないうちにボス部屋行くぞ。作戦はどうする?」
俺はそう言いながらボス部屋の扉を少し開け、いつものボスのぞき見。ボスを観察する。
みんなも俺の後ろからボス部屋を覗く。
とうとう、難航していた3階の攻略。ボス戦に挑む。
次話に続く。
【改訂部分】結界を使いにくくしたのに、改訂前より余裕で勝ってる・・・。なぜ?
改訂前に比べてクマの石鹸作りのイベントで2日多くダンジョンに潜っているので、流司、一角、麗美さんのレベルが改訂前より1~2レベル高くなってる。そのせいで改訂前より余裕が出てしまったようです。ゲームバランスって本当に難しいです。
結界魔法も補助魔法2重掛けもしにくくなってるのになんか楽勝ムードです。
まあ、真望がボロボロになって回復魔法使いまくりですが。
獣化スキルもお祈りポイントで使えるようにした方が良かったかもしれませんね。
なんか、改訂前より地道にレベル上げしてレベルでぶん殴るダンジョン攻略になりそうです。予想していた流れと違う。獣化義装でダメージ受けながら進んでいく戦闘シーンを想像していたのですが、上手くいかないものです。
書き直す部分が増えだしたので改訂スピードも遅れだしてきました。ご迷惑おかけしますが、なるべく早く改訂が進むように頑張ります。




