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神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
11/244

第10話 とりあえず、安全なキャンプができた? そして焼肉パーティ!?

「まあ、規模は小さいけど、比較的安全にはなったかな?」

俺はそう言って俺たちの家の周りにできた柵を見渡す。

 棒を地面に打ち込み立てて、棒の間に横に枝を3~4本、荒縄で縛って固定した感じの牧場の牛や馬を囲う柵の簡易版みたいな柵だ。

 まあ、相手は野生の動物なので、一瞬怯ませたり、警戒させたりするくらいの効果はあるだろうが、完全な防備とはほど遠い。あくまでも時間稼ぎの柵だ。隙間をくぐられたり、飛び越えられたりする可能性も高い。

 まあ、無いよりは断然マシで、四方八方から迫られて包囲されて一斉に襲われるみたいな危険性は軽減できるとは思う。


「できれば木の板で防壁みたいなものが作れればいいんだけどな」

俺はそう言う。


「まあ、そこまで作れるような材料や労働力がそろったら、ツリーハウスみたいな木の上に家を作る感じの方が早いし安全かもね」

明日乃あすのがそう言う。


「そうだな。あくまでも、人手不足の苦肉の策。将来的にはもっと安全で家らしい家を作りたいもんな」

俺は明日乃あすのの意見に同意する。

 まあ、今の3人(と1匹?)と道具では作れる家のレベルもたかが知れているが。


 今のところは、簡易的な家でしのぎながら素材探しと、島の探索、後は道具の充実だろうな。

 鍋1個と刃物1個ではできることに限りがあるし。


「予想通り、柵づくりまでで1日終わってしまったな」

一角いずみがそう言う。確かにだいぶ日が暮れて夕日で地面が少し赤く染まりだす。


「静かに、何かいるよ」

突然、明日乃あすのが兎耳を立てて警戒する。

 耳は明日乃あすのが一番いいのかもしれない。

 明日乃あすのが耳を向けている方向に俺も耳を澄ます。

 ガサッ、ガサッ

 大きなものが藪をかき分けるような嫌な音がする。


「オオカミではなさそうだな」

一角いずみがそう言う。

 そして3人とも自衛用に作った槍を構える。俺以外は槍と言っても昨日同様、先をとがらせただけの長い木の棒だが。


「レオの気配もあるよ。追われてる?」

明日乃あすのが慌ててそう言う。


 俺と一角いずみも慌てて気配のする方に走りだす。


 徐々にレオの気配と何か獣の気配が近づいてくる。レオとの距離はありそうだがどうするか。

 俺は柵をのり越えて助けに行くか、柵を利用して撃退するか悩む。

 

「元の世界で使っていた弓と矢が欲しいな」

一角いずみがまるで落ち着けという様に雑談のようにそう言う。一角いずみは柵で待ち構える気のようだ。


 俺も落ち着いて、柵の手前で槍を構える。レオと獣の間には距離がある。ここまで逃げ帰れそうだと思うが。


 明日乃あすのも遅れて柵のところまで到着する。


一角いずみは弓道部だったもんな。そういえば」

俺も落ち着きを取り戻すように一角いずみの雑談に答える。

 そして俺は学校での一角いずみの凛々しい弓道着姿を思い出す。


 そして、一応、一角いずみも鑑定でステータスを確認しておく。


「鑑定」

俺は一角いずみの方を向きつぶやく。


名前:いずみ

職業:弓使い見習い


レベル 7(ステータス合計49)


ちから   12

すばやさ  7

ちりょく  5

たいりょく 10

きようさ  15


信仰心 低


HP 10


マナ/レベルアップに必要なマナ 9/49

スキル使用枠/スキル習得可能枠 0/49


スキル

①生活級 初歩弓術(0) 初歩格闘術(0) 

     初歩剣術(0) 初歩杖術(0) 

     初歩短剣術(0)


 こいつ俺よりレベル高いし、強いな。

 そして弓矢がないのに弓使いって。将来的には弓矢を作ってやらないとな。

 しかも、色々スキルもってやがる。現実世界の特技を引き継いだ感じか?

 槍の使い方がやたらうまかったのはこの杖術のスキルって事か。


 それに比べて俺はスキルゼロとは・・・。確かにバスケットボールなんて異世界じゃ役に立たないもんな。


「スキルは訓練などをすることで身につけることができます」

突然、解説役の秘書子さんが声をかけてくる。


「そうなのか?」

俺は頭の中で秘書子さんと会話する。


「剣術の訓練をして一定の技術や体さばきが身に付けばスキルとして習得されます。また、動物たちとの戦闘を繰り返すことで戦闘のスキルを習得する可能性があります。ただし、スキルを習得する能力があっても本人が認識していない場合スキル表示されません。たとえば、バスケットボールも投擲スキルになります」

秘書子さんがさもバスケットボールを知っているような口調でそう教えてくれる。この女神様も、向こうの世界の事をどこまで知ってるんだ?


「もちろんバスケットボールの知識は持っています。流司りゅうじ様たちの世界の知識も多く持っています」

秘書子さんが俺の考えを読んで返事をする。

 バスケットボール知っているのか? というか、どこの世界出身の神様なんだ? この神様達? 元の世界出身なのか?


 俺は神様達がやたら元の世界に詳しそうなので存在自体を少し疑ったが、まあ、俺達をみつけて転生させたくらいなんだから向こうの世界の知識があってもおかしくないか。勝手にそう解釈する俺。

 

 とりあえず、投擲スキルというものを手に入れたので、早速活用させてもらおう。

 そう思い、槍を地面に突き刺し、代わりに、足元にあった手ごろな大きさの石を抱える。


「どうした?」

急に槍を手放したので一角いずみが不思議に思い、俺に声をかける。


「なんか、秘書子さんの話だと、バスケットボールの技術が投擲スキルになっているらしい。槍で突くより石を投げた方が初手は強そうだからな」

俺はそう言って片手でもギリギリ投げられるくらいの大きさと重さの石で投げる構えをしてみる。


「当たるといいけどな」

一角いずみが少し馬鹿にするように鼻で笑いながら言う。

 そして、一角いずみは簡素な槍を俺の近くに突き刺すと、俺が手放した変幻自在の武器で作った槍に持ち替える。


「出てくるよ。二人とも」

明日乃あすのがそう言って藪をかき分ける音の方を凝視する。


 俺も音の方を睨みつけるように集中して見ると、藪の中からまずはレオ。

 そしてレオを追う様に茶色い大きな生き物。


「イノシシだ!」

俺は声を上げる。


 イノシシも藪からでて、視界が開け、こちらを始めて認識できたのか、急に驚き、一度足を止め、さらに興奮しだす。


「二人とも気を付けて。イノシシは体重もあるし、突進力もあるから、人間くらいの体重だと簡単に跳ね飛ばされるよ。しかも牙があるからそれだけで大けがする危険性があるからね。あと、結構知恵もあるから、柵とか潜り抜ける危険性あるからね」

明日乃あすのが自身の中にある本の知識、イノシシについての知識を知る限り伝えてくれる。


 俺もイノシシを観察するが、想像していたより牙が小さいというかほとんどない。そしてめちゃくちゃ気が立っているようだ。


「メスだね。レオと遭遇して、そして私たちの家を見て、みたことない物に興奮しちゃったかも?」

明日乃あすのが俺の気持ちを読んだようにそう言う。


 一応、動物相手に鑑定できるか試してみると簡単なステータスはでた。


なまえ レッサーボア(メス)

レベル 8

イノシシでも弱い方

力が強く足も速く毛皮が厚く防御力も高い

特に突進には注意が必要

知恵も少しある


 なんか無難な鑑定結果が出たな。

 そしてレッサーボア? 弱いイノシシ? もっと強いイノシシとかいるってことか?


「メスでも突進力はすごいから跳ね飛ばされて骨折とかしちゃうから気を付けて」

明日乃あすのがそう言うが、どう気を付ければいいのかが分からない。確か人より足も速いんだよな? 逃げられないよな?


 俺はそんなことを考えながら対策を考えるが思いつかない。思いついたことと言えばさっき手に入れたスキル『投擲』で石を投げて倒す事くらいか。


 そして、悠長に考えている時間もないようだ。興奮したイノシシが俺達に向かって突進してくる。しかも、かなり知恵があるのか柵の隙間、自分がギリギリくぐれそうな隙間を狙って突っ込んでくる。


 レオはイノシシの意識が完全にそれたようで、そこから斜めに走り柵に沿って迂回を始める。

 というか、レオ、何咥えてるんだ? 鳥? キジか?


 レオの心配もなくなり、一角いずみが槍を構える。

 俺も手に持った石を構え振りかぶり、イノシシが柵を潜ろうと一瞬足を止めたところで、イノシシの脳天めがけて大きな石を投げ付ける。


 ガツッ、っと大きな音がして大きな石がイノシシの脳天に見事にあたる。そして、倒れる。


「ナイスだ。流司りゅうじ!」

一角いずみがそう言うと、イノシシに飛び掛かり首のあたりに何度も槍を突きさし、止めを刺す。

 イノシシの毛皮もその下の皮や肉も厚く硬いようでかなり苦戦してそうだ。

 

 俺は別の、もっと大きい石を探し拾い上げると、イノシシに駆け寄り近い場所から石を投げるというより上からたたきつける。

 グシャッ、っとさっきよりさらに大きな音を立ててイノシシの頭が割れ絶命する。

 一角いずみも何度もイノシシの首や目などの急所を突き続け、突いた場所から血が流れ出ている。


「倒したな」

「ああ」

俺がそう言うと一角いずみが返事をしてうなずく。

 そして、変幻自在の武器を俺に投げ返す。


一角いずみが使った方がいいんじゃないか?」

俺がそう聞くと、


流司りゅうじがリーダーだろ?」

そう言って笑う。 


 柵のおかげもあり、敵が1体ということもあり、無事に戦闘が終了した。


「先に柵作りを優先して正解だったな」

俺はぼそりとつぶやいた。



「これって、もしかして、動物のお肉が食べられるんじゃない? 癖や匂いはあるかもしれないけど、豚肉だよ。多分豚肉だよ」

明日乃あすのがよっぽどバナナに飽きていたのかイノシシの残骸を見て、少し嬉しそうにそう言う。

 明日乃あすのは順応性高いな。すでに野生少女になりつつある。


「そういえば、秘書子さん、俺達、石包丁も作ったんだけど、イノシシ上手く解体すること出来るかな?」

俺は前回、オオカミの解体を遠慮したことを思い出し秘書子さんに聞いてみる。


「時間はかかると思いますが可能だと思います。光の剣をナイフにできますし、私の指示に従っていただければ毛皮や肉を解体するスキルも身につくと思います」

秘書子さんが無感情だが自信のありそうな口調でそう言う。

 光の剣か。なんか違うんだよな。変幻自在の武器の方がまだしっくりくる。俺はそんなことも考える。


「二人とも、秘書子さんがレクチャーしてくれるらしいからイノシシ解体できるぞ。毛皮は毛布替わりや服の代わりになりそうだし、慎重に解体しよう」

 俺はそう言って秘書子さんにイノシシの解体法を聞きながら解体していく。


「なんか、ゲームとか異世界物小説だと、魔物が消えて素材だけが残るみたいに簡単なのにね」

明日乃あすのがそう言う。


「そうなるとまさにゲームだな。残念ながら秘書子さんの話だと、解体しないと全部神様のところに行って経験値にされちゃうらしいからな」

俺はそう言って笑う。


「毛皮とか使えそうだし、お肉も食べたいし、3人で頑張って解体しよ?」

明日乃あすのがやる気だ。そんなにお肉が食べたいのか? バナナがそんなに飽きたのか?


 とりあえず、水を沢山使って洗わないとダメっぽいので変幻自在の槍に荒縄でイノシシをくくり付けて、俺と一角いずみで肩に担いで海岸まで持っていくことにした。川がどこにあるかもわからないので今回は海水で洗うことにしたのだ。

 明日乃あすのは昨日作った、石包丁や石斧、一応、中華鍋と、器として使うつもりか、ヤシの実の殻をいくつも持っていく。


 一角いずみ明日乃あすのも女の子なのだが、この扱いの違い。いや、一角いずみは肉体系だし、明日乃あすのは頭脳系だから仕方ないよね。

 一角いずみも顔は悪くない、いやかなりの美人だ。だが、がさつだし、俺に厳しいんだよな。

 俺はそんなことを考えつつ重いイノシシを担ぎ、海岸をめざす。


 海岸に着き、イノシシを下ろし、変幻自在の武器を槍からナイフに変化させる。

 まずは血抜き。秘書子さんに指示されながら、イノシシの胸のあたりにナイフで穴を開け、肋骨の間からナイフを差し込み心臓に穴を開ける。

 そして、一角いずみと二人で逆さにつるし上げたり、振ったり色々して血を抜く。


 俺たち二人がイノシシと格闘している間、明日乃あすのには海岸に、たき火を移してもらい照明を確保する。もう少ししたら陽も落ちそうだしな。


 その後、イノシシの外側を綺麗に洗う。毛皮も素材として残したいので綺麗に洗う。面倒臭いので、海に放り込んで、ヤシの実の外側の殻をたわし代わりに、わしわし、洗う。ノミとかいるらしいので何度か洗わないとダメだろうな。

  

 とりあえずきれいになったところで、さっき血抜きの為に開けた胸の穴から皮と脂肪だけ、内臓まで貫通しないように気を付けながら、腹を開く。肋骨はナイフを一度、なたに変化させ、無理やり開いて肋骨の中、腹の中の内臓を破らないように丁寧に取り除く。一角いずみも石包丁で手伝ってくれる。秘書子さんの指示は俺が口頭で一角いずみにも伝える。

 肉や骨とつながった筋を丁寧に切りながら腹の中から内臓を取り出す。取り出せたらお腹に残った血を海水で洗って、内臓の取り出し完了。

 汚染とか食中毒とか怖いので内臓は捨てる。というか、後で全能神様にマナとして返して経験値に換えてもらうので、海岸に放置しておく。プロの狩人とか料理人だったら色々使えるのかもしれないけどあいにく俺達は素人だ。


 とりあえず、俺と、一角いずみ、素人二人でよく頑張ったw まあ、ほとんどプロの狩人みたいな知識を持った秘書子さんの指示のおかげなんだけど。


 あと、俺が親父に魚のさばき方を仕込まれていたのも生かされた。

 仕込まれたというより、親父と二人で魚を釣りに行って、魚を持って帰ってきても、魚を触るのと台所を汚されるのが嫌なお袋に家から追い出されて、庭の水道で親父と二人で魚を捌く。それを何度もやったから覚えてしまったというのが正解なのだが。まあ、魚捌くと魚臭くなるし、鱗は飛び散るし、お袋の気持ちも分からなくもない。


 内臓を取ったところで、次は毛皮を剥ぐ。秘書子さんに言われるまま石包丁で皮を剥いでいく。魚の場合、大抵、骨から身を外してから皮を剥ぐのだが、イノシシの場合は逆のようで、なんか違和感があるが秘書子さんに言われるまま毛皮を剥ぐ。一角いずみも俺の見よう見まねで、俺と相談しながら、反対側から毛皮を剥いでいく。一角いずみは石包丁なのでやっぱりナイフの俺より時間がかかるな。


 日も暮れて、真っ暗になってしまった。

 明日乃あすのがたき火を移動してくれたので明かりは確保されているが半分手探りでイノシシの皮を剥ぐ。

 明日乃あすのは火の番をしながら時々海とたき火の間をうろちょろしている。何をしているんだろうな? 俺は気になりつつも黙々とイノシシの皮を剥ぐ。


 3時間以上か? 結構時間がかかってしまったが何とか毛皮も剥ぎ終わり、もう一度海水でイノシシの身の部分を洗い、明日乃あすのが用意してくれた大きな葉っぱを沢山並べて作ったブルーシートみたいな作業場にイノシシを運び、今日のメインディッシュ。肉の切り分けを行う。

 

 今回、俺たちは素人なので、肉を骨から綺麗に外すというより、食べられそうな部分を外していく感じだ。実際、全部綺麗に外したとしても、冷蔵庫の無いこの世界では腐らせてしまうだけなので頭の近くとかよく分からない部分や骨から外しにくい部分は触らずにそのまま捨てる。いや、経験値に換える。

 とりあえず分かりやすい後ろ足を外し、もも肉を確保、似たような前足の肩の部分も確保。前足、後ろ足を外した。

 そのあと、背骨や肋骨から肉外しをする。首の方から肩ロース、背中のロース、ヒレを外し、最後にバラと肋骨の周りの肉を外す。


「すごいね。いっぱいお肉とれたね」

明日乃あすのが我慢できなくなったのか肉を覗きにくる。


「でも、冷蔵庫とかないからな。海水で洗いながら全部焼いて、食べきらなかった肉は海水の塩で乾燥肉モドキを作る感じかな?」

俺はそう言う。海水の塩分で乾燥肉が作れるか怪しいけどな。 


「やっぱり塩、しかもできるだけたくさん欲しいよね。実はいま、中華鍋で海水をたき火の熱で煮詰めて塩作っていたんだけど、お肉にちょっと振って食べるくらいの量しかできなかったよ」

そう言って、ヤシの木の殻のお皿に少しだけ集まった塩らしき調味料を見せてくれる。

 なるほど、明日乃あすのが海とたき火の間をうろちょろしていたのは海水を中華鍋にくんで、塩づくりをしていたのか。


「まあ、今日は海水何度もつけて焼く感じかな。海水味みたいな? 竹と川の場所が分かって、時間に余裕ができたら塩づくりもしよう」

俺はそう言って、今日はとりあえずイノシシの肉を中華鍋に放り込み、海水で味付け、木に突き刺してたき火の周りに刺していく。大きい肉塊は3人で協力して、石でかまどを作ったり、木の枝を組んで丸焼き用の三脚のようなものを作ったりして上手く肉を焼いていく。

 時々味付け代わりと、じっくり中まで焼くために、海水を潜らせてたき火で焼く。肉の量が多すぎて気づいたらたき火が4つになっていた。

 そして、気づいたらレオも戻ってきていた。


「レオ、大丈夫だった?」

明日乃あすのが心配そうに声をかける。


「これも食え」

レオがそう言ってキジっぽい鳥を明日乃あすのの方に放り投げる。


「わあ、鳥さんだよ。レオも一緒に食べよ。イノシシ肉もあるし、鶏肉もあるし今日は焼肉パーティだね」

明日乃あすのがそう言ってうれしそうに笑う。


 俺は秘書子さんに聞きながら、キジも解体する。イノシシよりは楽だな。


流司りゅうじ、キジの羽はとっておいてくれよ。弓矢を作るときの矢羽にするから」

一角いずみがそう言う。


「弓矢も作るのか?」

俺は一角いずみに聞き返す。


「ああ、竹が手に入ったら簡単なものをな。あとは接着剤の代わりになるようなものが欲しいな」

一角いずみが肉を焼きながらそう言う。


「イノシシの骨の髄とか、皮の内側の部分を集めて煮詰めればにかわができるけど、今回は時間がないかな? 松脂まつやにと灰を混ぜるといい感じで接着剤ができるらしいよ。詳しくは秘書子さんに聞かないと作れなそうだけどね」

明日乃あすのが俺たちの会話を聞きそう答える。

 明日乃あすのの知識は凄いな。

 

「とりあえず、松脂だな。落ち着いたら探しに行こう」

一角いずみはそう言って肉焼きに専念する。

 膠か。将来的には欲しいアイテムだな。


 俺もキジの解体が終わり、イノシシ肉同様、海水をつけて焼く。ほぼ丸焼きだな。


「そういえば、レオは味付けした方がよかったのか? 生のほうがよかったか?」

俺が聞くとレオは聞こえないふりをする。


 明日乃あすのがレオの方を向くと仕方なさそうに、

「オレはどっちでもいい。生でも食えるし、焼いても、味がついていても食える。というか、味はどうでもいい。体が維持できる栄養が確保できればいいだけだから」

そう、ぽつり、ぽつりとつぶやく。

 このツンデレめ。


「なんかすごい量だね。やっぱり余った肉は干し肉かな? 脂身は干し肉にすると不味いらしいから、脂身多い肉は今日明日で食べちゃって、赤身を干し肉にしようね」

明日乃あすのが嬉しそうにそう言う。


明日乃あすの一角いずみ、豚バラの部分そろそろ焼けたんじゃないか?」

俺はそう言って串に刺して地面に突き刺して焼いていた豚バラ串を明日乃あすの一角いずみに薦める。


「そろそろ良さそうだね。豚バラとロース、肩やモモの脂の多いところは今日明日で食べちゃわないとね。ヒレ、モモ、肩ロースの赤身の部分は食べきらないから干し肉かな?」

明日乃あすのが豚肉の部位を見分けながらそう言う。

 明日乃あすのは本の知識と料理も少しできるので豚肉の部位をよく知っているらしい。俺は秘書子さんに教わって何とか理解できたレベルだ。一角いずみは料理できないらしいので雰囲気でどの肉を食べるか吟味している。

 

 今夜は焼き肉パーティだな。次いつ食べられるか分からないから食べられるだけ食べておかないと。

 イノシシの解体に時間がかかり、深夜近くなってしまったが、3人とも、特に俺と明日乃あすのは2日間、毎食バナナで飽きていたので眠気も吹っ飛び肉に夢中になっている。

 レオもなんだかんだ言って、美味しそうに鳥肉とイノシシ肉を食べていた。


 次話に続く。

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