表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様と作ろう新世界 〜ケモミミ世界で純愛ラブコメ異世界リアルサバイバル〜  作者: 河合 翔太
第1章 改訂前作品(改訂終わったら消します)
10/244

第9話 一角(いずみ)の家と荒縄を作ろう。あと柵も

 サバイバル生活2日目。

 とりあえず、3人(と1匹?)で昨日やったようなヤシの実の収穫とバナナの収穫をする。

 冬になったらこういう食料の確保も難しくなるのかな? 保存食とか動物の肉を乾燥させたものとかも作らないとダメなのかもしれないな。

 まあ、そもそも四季があるかはわからないけれど。


 俺はそんなことを考えながら、食料としてバナナ、水としてヤシの実ジュースを確保する。

 昨日貰った変幻自在の武器があるのでそれをナイフに変えて使う。ヤシの実はともかく、バナナの採取は昨日よりだいぶ楽になった。

 しかも、運動神経抜群の一角いずみも仲間に加わったので食料の確保も早く終わるし、荷物を一度にたくさん運べるのは効率がいい。

 言っちゃ悪いが、明日乃あすのの頭はいいが、運動神経というより筋肉が皆無だからな。

 

 そして、バナナとヤシの実の確保が終わり、遅い朝食を始める。昨日のたき火を消さないように維持していたので火おこしをもう一度しないでいいのは助かる。

 そして変幻自在の武器をナイフにすることで、ヤシの実ジュースを飲むのも楽になった。穴をあけて飲めるからな。


「レオは食べなくていいの?」

明日乃あすのが眷属のレオに聞く。


「オレは1日1回でいい。神様から聞いたろ? 眷属は体を維持するだけの栄養が取れればいいだけだから、夜にでも食べる。そして、オレはバナナが嫌いだ。肉食だからな」

レオがツンデレむき出しで答える。ツンツンしているが明日乃あすのには従順だ。


「ここに肉はないぞ」

俺は突っ込む。


「いい、あとで自分で捕ってくる。鳥でもウサギでも森で探せばいるだろうから」

レオが不機嫌そうに答える。


「レオひとりじゃ危ないから、りゅう君見てあげてね」

明日乃あすのが俺にそう言う。


「仕方ないな。あとで柵の材料を探しに行くときに勝手に狩をしろ。俺から離れすぎるなよ」

俺はレオに言う。


「弱いくせに偉そうに」

レオが反発するが、俺は大人なので聞き流す。かなりイラっとしたけどな。


 とりあえず、朝食も終わり、食後、3人と1匹で身近なところから枯草を集める。周りが草原なので、枯草はいくらでもあった。

 俺は、神様に貰った変幻自在な武器を鎌に変えて枯草を切っていく。明日乃あすのがそれを拾い、一角いずみとレオは手や落ちている石で枯草を引きちぎり集める。

 途中、一角いずみに鎌を貸してやり、交代、俺は落ちている石で枯草を切る。変幻自在の武器が1本だと効率が悪いな。

 みんなが抱えられないくらいの枯草が集まったところで拠点に戻る。


「とりあえず、この枯草で荒縄を編めばいいか?」

俺は明日乃あすのに聞く。


「そうだね。でもその前に、石包丁作らない? 黒曜石じゃなくていいから、普通の石で刃物作るの。枯草集めるときも手が痛そうだったし、神様からもらった刃物1本じゃ効率わるそうだったし」

明日乃あすのがそう言う。それもお父さんのサバイバル本の知識かな?


「石包丁? 作り方は分かるのか?」

一角いずみが興味深そうに聞く。こいつも俺と同じで、頭脳派というより肉体派だからな。


「多分ね。本で読んだ知識だから本当に使えるかは分からないけど」

明日乃あすのがあまり自信なさそうに言う。

 多分、これはお父さんのサバイバル本知識じゃないんだろうな。明日乃あすのが「お父さんはナイフ1本持って無人島に行った」って言っていたし、そうなると石包丁はいらないだろうから。


「まあ、だめもとでもやってみよう。少なくとも、手で草や木をちぎるよりはマシだろうし。作り方を教えてくれ」

俺は明日乃あすのに作り方を教えてもらう。


「えっと、まずはなるべく平で薄くて固そうな石を見つける。小判みたいな形か半月型がいいかな? で、手で持つ方の反対側を、別の平らな石でこすってぐの。大体、15度くらいの角度かな? で表裏両方からぐと刃の角度が30度になって包丁みたいに物が切れるようになる感じ? 持つところはいじゃダメだよ? 手が切れちゃうから。砥ぐときの石はざらざらして平らな石がいいかな? 包丁を研ぐ砥石みたいなイメージ?」

明日乃あすのはそう言って、身近にある手に収まるような小判型の石を拾い、説明した通り、大きな石の表面でこすりだす。


「なるほど」

俺もマネをして、薄くて平らな楕円形の少し大きめの石を拾い、明日乃あすのを真似てこすりだす。一角いずみも戸惑いながらも同じように真似る。


「本当は石に二つ穴を開けて指を通すような紐もつけたいんだけどね。穴開けるのが難しそうだから今回はいいかな?」

明日乃あすのがそう言う。確かに石に穴を開けるのは難易度が高そうだ。


 それから黙々と石をこすりだす3人。レオも見様見真似でやっているが、あまり器用ではないらしい。指短いし、肉球だしな。


「これは時間がかかりそうだな。明日乃あすのは荒縄を編んだ方がいいんじゃないか? 俺たちは荒縄編むのは苦手な気がするしな」

俺はそういう。

 こういう単純作業や肉体労働は俺や一角いずみには向いているが、荒縄づくりみたいな器用さが必要なことは苦手なような気がする。


「いや、私は器用だぞ」

一角いずみが不満そうにそう言う。


「まあ、そこらへんは任すよ。得意な方をやってくれ」

俺は一角いずみの自由にさせる。

 一角いずみはしぶしぶ、石をしこしこ擦りだす。まあ、文句は言ったが得意か不得意かと言われたら不得意なのだろう。


 そうして、俺と一角いずみは石包丁づくり、明日乃あすのは拾ってきた枯草で荒縄づくりをすることになった。


 とんとんとんとん


 俺が石をひたすら研いでいると、枯草を木の棒で叩く音。明日乃あすのが枯草を石の上にのせて棒で一生懸命叩いている。


「なんだ、明日乃あすの。荒縄作りも力仕事なのかよ」

俺は慌てて明日乃あすのの手助けに行く。


「うん、編む前に、枯草の茎を柔らかくほぐさないといけないからね。まあ、藁と違うから要らない作業かもしれないけど」

明日乃あすのがそう言って手を止めたので、俺は明日乃あすのの手から木の棒を奪い、代わりに枯草を叩く。


「こんな感じでいいのか?」

俺は明日乃あすのに聞きながら、叩く場所を変えながら満遍なく枯草を叩く。

 黙々と枯草を叩く。葉っぱの部分はいいが、茎の部分は固いので確かのこの作業は必要かもしれない。


 そんな感じで黙々と叩いていると

「柔らかくなってきたらもういいかな?」

明日乃あすのの返事に俺は手を止めて叩いた枯草を明日乃あすのに渡し、別の枯草を束ねて同じように叩き出す。


「俺が枯草を叩くから、それを明日乃あすのが編んでくれ」

明日乃あすのがなんか嬉しそうにうなずく。


 少し離れたところで一角いずみが不満そうな顔をしているが無視して枯草を叩く。一角いずみも諦めたようにまた石をこすりだす。


 レオは石包丁づくりが上手くいかなかったようで、黙ってこっちに来て枯草叩きに参加しだした。まだ、こっちの方が適性はあるようだな。


 明日乃あすのも最初は知識だけだったせいか上手く編めず、失敗し、試行錯誤しながら何とか形になる荒縄を作り始める。そこからは上手にどんどん荒縄を編んでいく。

 二つに束ねた枯草をねじり、こよりのようにして、2本の束を撒きつけるように1本にしていく。なるほど、同じ方向にねじることでお互い巻き付くのか。

 そして枯草が短くなってくると新しい枯草をつぎ足しねじり、また巻き付ける。なるほど。こうすることで永遠に長くできるわけか。昨日の木の皮で作った紐より便利そうだな。

 俺は枯草を叩きながら、明日乃あすのが上手に荒縄を編んでいく姿を観察する。


「おい、流司りゅうじ、手が止まっているぞ」

突然、一角いずみが俺を叱る。


明日乃あすの、こんな感じでいいか?」

一角いずみがそう言って石を見せる。石包丁が出来上がって明日乃あすのに見せにきたのか。


「うん、いい感じだね。あとは使いやすいように、手が痛くならないように、持つところを丸く削って出来上がりかな」

明日乃あすのが満足げな顔でそういう。


 そして、一角いずみが俺の叩いていた枯草を石包丁で切る。


「あ、こら、俺が叩いていた枯草だぞ」

俺は抗議する。石包丁で結構綺麗に枯草を切られてしまった。


「ね、結構、使えそうでしょ?」

明日乃あすのがその切れ味を見て満足そうに言う。確かにこれなら簡単な草や細い木や枝くらいなら切れそうだ。


「あと、似たような作り方で、石斧とかも作るといいかも? もっと大きくて平らな石をとがらせて、棒に縄でくくり付ける感じ? 竹とか切り倒すのにも使えるだろうし」

明日乃あすのがそう言う。


「まあ、最悪、これがあるけどな」

俺は神様から貰った変幻自在の武器をのこぎりに変えてみる。

 結構雑な作りののこぎりだったがそれっぽくできていて竹も難なく切れそうだ。


「まあ、人数分、石斧とかあれば、効率とかも上がるだろうから、時間ができたら作るといいと思うよ」

明日乃あすのがそう言う。


「この武器が人数分あればいいんだけどな」

俺が神様に貰った変幻自在の武器を見ながらそう言う。


「神様の策略だねぇ。そうやって、魔物の島に渡ってダンジョンを攻略させたいのかな?」

明日乃あすのが笑ってそう言う。


「なんで、魔物なんかいるのかね? 神様だったら魔物自体作らなければいいのに」

俺はそう呟く。


「魔物は神がこのような世界を作るときにどうしても生まれてしまうもの、不可抗力と解釈してください」

神様の秘書の秘書子さんがいきなり俺に突っ込みを入れる。


「秘書子さん曰く、不可抗力で生まれちゃう存在なんだってさ。魔物」

俺は明日乃あすの一角いずみに伝言する。なんか嘘くさいけどな。


「とりあえず、竹はのこぎりで切れるし、加工もその筒みたいなのをナイフに変化させればある程度できそうだね。その筒の2本目を手に入れるのはとりあえず、仲間が全員そろって、生活が落ち着いてからかな」

明日乃あすのが竹の事を思い出したようにそう言う。


「まあ、竹の筒ができれば、水も運べるし、鍋代わりに、少量ずつだがお湯を沸かせるようになるし、竹はあれば結構有用だろ? 中華鍋だけじゃ限界もあるだろうし」

俺はそういう。


「うん、まあ、ね。でも、中華鍋は本当に助かるよ。お湯も沸かせるし、料理もできるし、海水から塩も作れるんじゃない?」

明日乃あすのはお鍋を貰えたのが本当にうれしそうだ。

 

「まあ、神様にもらえる物も限られるみたいだし、お祈りの量で交換っぽいから量も限られそうだ。足りない分は自然のもので作るしかなさそうだな。粘土とか見つかったら土器をつくるとか?」

俺はそう言って、明日乃あすのの石包丁作りのような流れにのる。


「そうだね。やれるだけやってみようね」

明日乃あすのもやる気のようだ。


 一角いずみが石包丁を作り終えたので、俺と代わりたがりそうに立っていたので交代し、俺も石包丁作りをする。一角いずみ明日乃あすのに聞きながら枯草を叩きだす。


 レオは黙々と枯草を叩いている。明日乃あすのには従順なんだよな、こいつ。


 ひたすら石をこすっていで石包丁を作る。切れ味も確認できたので、明日乃あすのが途中まで作った石包丁も完成させ、その後、明日乃あすのが言っていたように、同じような作り方で石斧っぽい物を作る。

 ああ、でもこれなら、石の重さを利用して、綺麗には切れないが竹を切り倒すことぐらいはできるかもしれないな。俺は石斧の石の部分を作り終わりそう思った。

 変幻自在の武器の二本目以降が手に入るまではこういう代替品で仲間たちには頑張ってもらうしかないな。


 その後は3人で試行錯誤しながら石斧に柄を付けた。2本の丈夫そうな木の柄で挟んで荒縄で縛り付け、持つところも荒縄を巻いてそれっぽい物に仕上がった。石斧の石の部分もぐらぐらしないいい感じに縛り付けられた気がする。


 そんな作業をして、時間はお昼になった。

 お昼も焼きバナナだ。これで4食連続バナナだ。


「なんかこのペースだと今日は竹と川探しは無理かな?」

明日乃あすのが残念そうにそう言う。


「そうだな。昨日襲ってきたオオカミの事を考えると、今日中に柵を作る方を優先したいな」

俺はそう答える。

 それに、川が見つかったとしても、水を運ぶ手段がない。竹を見つけて水筒を作るにしても今からだと両方やるには時間が無いしな。


「お水で体流したかったな」

明日乃あすのが残念そうにそう言う。


「まあ、明日、早めに川と竹を探しに行こう。それと海とかも探索したいな。そろそろバナナも飽きてきたし、魚が食いたい」

俺はそう言って明日乃あすのに約束しつつ、海も探索したいことを提案する。


「そうだね。魚がダメでも貝とかとれるかもしれないし、時間があったら海に行きたいね」

明日乃あすのがそう言って同意する。ここからすぐ海に出られるので行こうと思えばすぐ行けるのだがまずは動物避けの柵。優先順位はそっちだ。


 そんな感じで次の予定を話し合いながら昼食の焼きバナナを食べ終える。


「じゃあ、明日乃あすの一角いずみは引き続き荒縄作りと石包丁作りをしていてくれ。俺は、一角いずみの家の材料集めと、柵の材料の木の枝を集めてくる。そんなに遠くまで行かなくて済むから一人でも大丈夫そうだしな」

俺はそう言って、変幻自在の武器をなたに変えて森の方に進む。

 レオも約束どおり、ついてきて自分の食料を調達する気らしい。


 変幻自在の武器。なんか呼びづらいな。いい呼び方ないかな。俺はそんなことを考える。


 俺は森と草原のベースキャンプを何往復かして、一角いずみの家の材料の木の枝と葉っぱを集め、たき火の薪も集め、最後に柵に使えそうな少し太めの枝や枯れ木を集め始める。


 レオは森の中をうろちょろしているようだ。近くに気配は感じるし、他の動物の気配はないので心配はないだろう。


 明日乃あすの一角いずみも荒縄作りが一段落したみたいで、二人で一角いずみの家づくり、Aフレームシェルターってやつをもう一つ、作り始めていた。


「なんとかなりそうだな」

順調に一角いずみの家もできてそう言う俺。次は動物よけの柵だな。


「じゃあ、次は、私が材料集めに言ってこよう。まだまだ、柵を完成させるには木の枝が足りないだろ?」

そう言って、俺と交代で一角いずみが木を集めに行く。


「これ持っていけ」

俺はそう言って、変幻自在の武器の鉈を一角いずみに渡す。


「あと、レオの様子も気にしてあげてね」

明日乃あすのがそう言って、一角いずみは頷き、森の方に歩き出す。


 そして俺は明日乃あすのと一緒に家の周りに柵を作る。


「私が木を押さえておくから、りゅう君、石で上からたたいて打ち込んで」

そう言って、明日乃あすのが太めの棒を地面に立てる。事前に刺さりやすいように斜めに鉈で切ってあるので結構いい感じで杭が地面に刺さる。それを俺が上から石で叩いて地面に食い込ませる。


「この後、柵の横の棒を組むときには、荒縄が大活躍すると思うよ」

明日乃あすのがそう言って嬉しそうに笑う。

 

明日乃あすのが一緒にいてくれて本当によかったよ」

俺はつくづくそう思い、感謝も込めてそう言う。


「それって、彼女として? それとも便利な知恵袋ってこと?」

明日乃あすのがちょっと頬を膨らませてそう言う。


「もちろん、両方だ」

俺はそう言って明日乃あすのの頬にキスをする。

 明日乃あすのも嬉しかったのかキスを返してくる。


一角いずみちゃんに怒られちゃいそうだから続きは夜に。一角いずみちゃんが寝ちゃってからね」

明日乃あすのが可愛くウインクしながら、そう言い、イチャイチャするのを止めて、柵づくりの続きを始める。


 一角いずみにこんなところを見られたら俺の命がなくなるかもしれないな。あいつの明日乃あすのへの愛は重すぎる。

 そして、明日乃あすのもだいぶ変わったな。これもやっぱりウサギの耳が生えたせいか?


 そんなことを考えながら柵を作り、一角いずみも何往復もして柵の材料を運び作業を進めるのだった。


 次の話に続く。

誤字報告ありがとうございます。


よかったらブックマークお願いします。☆もらえると作者喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 小説をゲーム化できるぐらいに奥深い設定があるのと同時に、本格サバイバルの描写が両立していて読み応えのある作品だと改めて感服しました。 竜司は七つの大罪における傲慢で、一角は憤怒。罪をつかさ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ