表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

帰路

作者: けて

「帰路」



早く帰りたい。帰れば、全部終わるのだから。

フラフラと階段を登り、自宅の扉の前まで着く。

ドアノブに触れると、目眩だ。視界がぼやける。


気が付くと自宅とは違う家の前に立っていた。

ここは、実家だ。

表札には「日高」と書かれている。


「お父さん!」

家の扉が開き、子供が飛び出してきた。


「お父さんはお仕事で疲れてるんだから

あんまり無理させないのよ」

家の奥から母さんの声


「史生、ただいま」

父の手が僕を撫でる。

震災で全てが壊れてしまう前の、何でもない日常


また目眩だ。意識が遠のく。


今度は知らない家だ。表札には「日高」とある

扉越しだが、賑やかな声が聞こえてくる

ドアノブに触れるが、何ともない。

そのまま扉を開けた。


靴を脱いで、玄関に上がる。

不思議と、他人の家という感じはしなかった。


廊下の奥には、リビング。

ダイニングテーブルを囲む、子供とその母親。

髪の綺麗な女がこちらを向いて微笑む。


「おかえりなさい、史生」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

白い天井と、カーテン。ここは病院だろうか。

どうやら、また失敗したらしい。

僕は帰りたかったんだ。家族のいる家へ。


夢で見たことは、ただの妄想なのかもしれない。

でも、確かに聞こえた気がした。


「生きてていいんだよ」と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ