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配属先で

登場する人物、団体、製品名、その他固有名称はすべて空想・架空のもので、現実の企業、団体、個人とまったく関わりはありません。

会計局とやらに連れてこられた。


「この男、召喚者なんだが戦う能力が無い。計算する能力は高いらしいので主席魔道師殿から会計の下働きでも使えるか試せとの事だ。ちなみ計測、粒子操作の技能も有ると聞いているが、召喚者のくせに空間収納がない」


兵士に紹介された。中には数人の男たちが大きなテーブルの上になにやら印の付いた木片を並べ、何かをしている。算木だろうか?そろばんって無いのか?


「では、よろしく頼む。ちなみにこの男、魔力がまったく無い。貴殿達なら、この男程度は魔法を使えば何とでもなると思う。暴れたり反抗したらすぐさま殺してかまわんとの事だ」

と兵士が言う。なに?怖いんですけど。マズいなー


会計局の男が聞いてきた


「貴様、算木は使えるのか?」


算木というのは、計算する数を一時的に記録するもの。算木の組み合わせで数を表記し、中間の値を記録する。CPUで言うところのアキュムレータみたいなもんだ。紙が高いからこういったものを使うのだろう


「計算はほぼ(そら)でできます」


「会計局が扱う数は、2桁3桁では無いのだぞ。空で計算などできるものか」


「8桁ぐらいの加減算・乗除算なら空ですが」

というか【計算】スキルは、頭の中に表計算ソフトが入っている感覚。その上、浮動小数点の加減算で誤差が出るって事もない。8桁どころか40桁でも暗算で行ける。


「そんなに言うなら、この乗算をといてみろ」

机の上の算木を指差す。


「さすがに知らない算木は読めません」


置かれた算木が表す数字は虫食い算のようなもの。どれが何の数字を表すかはわかるんだが…それは計算結果が正しい場合。間違った数式ではどうしようもない。


「なら、この表を検算して見せろ」


こういう時は「自分が答えを知っている何か」を計算しろと言う事だろう。算木の検算をさせたいのだろうが、机の上の結果に自信が無く、別のことを言い出したのだろうか…恥をかきたくないって事か。そっち方向には頭が回るらしい。


見せられた表には、各局予算実施報告とある。ざっと見る。おお、いろいろ数字が間違ってる。会計局の支払い金額が少ないのに、最終的な全局の合計値はあってる。何だろう?他にもいくつか数字がおかしい。


「なんか会計局の予実金額が合わないみたいです。正しく計算した結果を書き込みましょうか?。ここが少ない、ここが多い…」


報告書をひったくられた。あんたが検算しろって渡したんだろうが。


「その紙に書き込むことは許さん。おまえのような下賎の者が触れて良いものではない!」


なんか数人集まってこそこそ話し合いをはじめた。ここで計測(スキル)の出番だ。どんな音でも計測できるんですよ。つまり地獄耳ってこと。


「おい、あいつはまずいぞ。裏金のためにわけ分からんように込み入った会計表を作り、見たくも無い数字を羅列してごまかしてきた会計報告を、ぱっと見ただけど判別しやがった」

「あれが監査局に入ると非常にまずいぞ」

「とりあえず算木が使えないので能力無しってことにして放逐しよう。これなら監査局にも行かないだろう。まあ気位の高いあの局に平民ごときが出入りできるとは思えんが」

「よし、そうしよう」


「おい、お前。この会計局にお前のような下賎の者の居場所は無い。兵士を呼ぶので、軍の兵站部に行け。そこなら在庫管理で計測とやらの技能も発揮できるだろう」


兵士が呼ばれ、また城の中を連れ回わされることになった。

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