山の資源
今回から2話、グロテスクな表現が入ります。人によっては不快に思うと思います、ご注意ください。
登場する人物、団体、製品名、その他固有名称はすべて空想・架空のもので、現実の企業、団体、個人とまったく関わりはありません。
運搬車を改修した。旧式は小型化のためモーター1個をクラッチで左右に動力分割する形だったが、モーター2個にして完全に「プラモデルの戦車」だ。モーターのOn/Offで左右に舵を切る。その場でクルッとまわる超信地旋回はできない。
動力部の増強に合わせてバッテリーも追加した。稼働時間は30分ほどに伸び、速度が向上したので1充電での行動半径も広がった。
あわせて林道も幅を広げる。山の資源を使うならレールを引いてトロッコを走らせると良いのだが、鉄が足りない。
山に到着した。崖の下から見上げると、現在地より上に樹木はまったく生えていない。生き物がいるようには見えない。火成岩はなく堆積系の岩石だろうか。金属の鉱床が見つかると良いのだが。
岩を粒子操作で分解し成分ごとに採取して行く。珪素、カルシウムなど軽金属が多い。危ないので酸化物として別にしておく。鉄もかなり取れた、銅も出てくる。運搬車に積み、拠点に戻る。
数回、採取を繰り返し結構な量の金属資源が手に入った。石炭が出てきた。石炭は燃料にもなるが、フェノール生成からナイロンとかの合成繊維を作れる。鉱物油を合成できるかも?石油が無いから石炭で代用・・・戦時中なの?
資源採取がある程度進んだので、岩山に登って周辺を見渡す。北側の魔素濃度が高いようだ。魔素は北から草原方向へ流れて行くが、草原で吸収され薄くなって行く。南東に紫の霧は見えないため、この場所より南東は除染の必要は無いかもしれない。
王都の方向、北を見ると、森の上に雲のような紫色の塊が見える。北西にも森の上に布団をかぶせたような紫色の塊がいくつか見える。あれが人間の生活圏、魔道具を使った結果なんだろう。公害で発生したスモッグみたいなものか
南方向を確認すると、森の先かなたに光るものが見えた。海のようだ。川原の拠点からは数10km程あるのだろうか?
拠点北東の草原地帯は、それほど大きいものでも無いようだ。北東に進むと森が広がっているように見える。草原の次は北東の森を探索しよう。
拠点に戻り色々作る。森の出口、草原との境に新しい拠点を立てる。アルミは沢山あるので、パネルで組み上げる。
鉱物油が作れるので単気筒ディーゼルエンジンなら作れそうだ。蒸気の時代をすっ飛ばして内燃機関の時代に突入してしまえ。
拠点周囲は柵で囲う。耐圧ホースがうまく作れなかったが、ナイロンやアラミド繊維が作れるようになって何とかなった。油圧が利用可能となったので、油圧駆動の小型パワーショベル、ユンボを作る。油圧ポンプは電気駆動、ディーゼルエンジンの実現には時間がかかりそう。
ユンボがあると小規模な土木工事なら一人で可能だ。スコップで穴を掘るのは若者でもつらい。
拠点前の草原の土を15cmほど掘ってどけて行く。金網を敷いて地面からの魔素を防ぐためだ。上層の土を除いた後、魔素を見てみると何も見えない。表層を取り除いた地面から魔素が立ち上がってこないのだ。
取り除いた土の山を見ると、そちらからは紫の霧が周囲に広がって行く。
除いた土を調べる。ムカゴが混じっており紫の粒も見つかる。一方、表層を取り除いた地面には、ムカゴは無く紫の粒も発見できなかった。紫の粒は魔素固定化し切れておらず、時間が絶つと元に戻るの?
汚染土砂を放置するのはマズイので、近くからノビルを採取し土砂の山に植える。紫の霧が消えたことを確認して、ここは一旦放置して経過を見よう。
ノビルを使い魔素を固定化、ムカゴを回収して低汚染度地域を浄化しようと考えていたが、上手く行かないようだ、何か考えないと。魔石でないと固定化できないとすると魔物討伐が必須になる。戦闘は避けたい。
土砂を除いた部分から魔素が染み出てくるかは、時間を置かないと確認できない。とりあえず資材を得る以外、ここで行う作業は無い。川原の拠点の鶏や卵も心配だ。保管してある紫の粒も経過を確認したい。一旦戻ろう。
大量の資材を運搬車に積んで川原の拠点へ戻る。
拠点に戻ると、様子がおかしい。
鶏のケージが開いている。見ると鶏は居らず、羽が飛び散っている。野生生物でも入り込んだのか?
シェルを装填したショットガンを構え、注意しながらオモチャの家へと進む。家の中に気配がある。何かいるようだ。
そっとドアを開けると、何かが毛布に包まってベッドの上にいる。ショットガンの銃口でつついてみる。
ぼろを纏った男が飛び上がって叫ぶ。人間だった。
「何者だ」
大きなナイフを構え、男が威嚇してきた。面倒だ。
「ここは私の拠点ですよ。勝手に入って来て何やってるんですか」
「ふざけんな、ここは俺が見つけた、俺の物だ」
ナイフを振り上げて襲ってきた。とっさに引き金を引く。
この距離では外れない。
ドン、という音と共に男の腹に大穴が開き、男の後ろに血や肉片が飛び散る。
男は一瞬呻き、そして倒れると静かになった。
ガタッという音が厨房から聞こえた。そちらにも誰かいるのかもしれない。
再装填したショットガンを構え厨房へ向かう。
厨房の隅でカタカタと音が聞こえる。誰かいるみたいだ。
作業机の陰に隠れるように5,6歳だろうか、小さな子供が二人、肩を寄せて抱き合っている。銃声で目を覚ましたのだろうか。
頭には三角の耳、ケモミミだ。
「ぶたないで、静かにしてるから」
いきなり子供を殴るのは無いだろう。状況がわからない
声を潜めて二人で抱き合ってグスグスと声を抑えて泣いている。
「君たちは何?どうしてここに居るの?」
「グスグス」
答えない。
「君たち二人だけかい?」
人数を聞く、重要案件だ。
「怖い人が一人、あとは私たちだけ」
3人で森を抜けて来たのか。
「ぶったり苛めたりしないよ。神様から獣人にやさしくしてって言われてるから。少し、そこにいてね」
判らないことはしょうがない。落ち着いてから聞こう。拠点に食料はない。とりあえず砂糖水でも出すか。栄養状況は悪そうだ。
棚から砂糖を出そうとすると、荒らされていて何も無い。冷蔵庫を見に行くと、こちらは手付かずだった。鬼胡桃と野苺があった。
資材を取りに行き、スキルで陶磁器風のコップを2つとお皿を作る。野苺を潰してジュースを作り味を見ると酸味が強いのでショ糖を合成して添加する。水を足して苺色の砂糖水ができた。
二人の前、床の上に置く
「こんなものしかないけど、召し上がれ」
床に置いたコップとお皿をじっと見ている。
「食べていいよ。ちょっと待っててね」
そう言い残し二人は当分放置だ。夜だし寝るだろう。
それより、残務処理だ。
後6話で第二章が終わります。
現在第3章執筆中。プロットの約2割を消化したところです。




