私は呪われている
長めの短編小説です。
思いつき投稿なので拙いです。
ご了承ください。
私には前世の記憶がある。
事故で死んでしまう二十歳までの記憶が。
しかし、私は赤ちゃんになっていた。
今世の私は由緒あるメリィ公爵家の長女ルチアとして産まれ、家族は父、母、5つ上の兄、双子の弟の5人家族のようだった。
生まれたての私はまだしっかり目が見えていなくて、ぼんやりとした視界が広がっていた。
弟と違って大人しかった私は、家族や使用人によく心配された。
目は見えなくても声だけはしっかりと聞き取れていたから分かるのだ。
やっと見えるようになった目で初めて見たのは美女だった。
美女は私によく笑いかけてくれて、いつも抱っこしてくれた。
優しい匂いと温かな温もりでよく寝たものだ。
美女はまさかのお母様だった。
嬉しすぎてお母様の前だとよく笑った。
その方が喜んでくれるから。
お母様はそれに上機嫌になってお父様の所へと私を抱えて連れて行ってくれた。
行くまでの間、ずっと「貴方のお父様はとても格好いいのよ」と言っていたので期待していたのだ。
しかしそこで見たのは、イスが今にも壊れそうな悲鳴を上げるほどの大きな巨体がいた。
横綱級のお相撲さんみたいな巨体で、顔は広く大きいのにパーツの1つ1つが小さく中心に寄っていて、全体のバランスが可笑しい。
それが近くに寄ってくるものだから、怖くて泣き喚いた。
それには、お母様もお父様も驚き慌てふためいた。
私はすぐにお母様を見て泣き止んだが、お父様が出てくると条件反射のように泣いてしまうようになった。
それには、お父様がこの世の終わりのような表情だったが許して欲しい。
気分転換に会っていなかった兄に会わせてくれた。
しかし、そこにいたのは関脇級のお相撲さんJrだった。
もちろん、私は泣いた。
その日から夜になると2人の男のすすり泣く声が聞こえるようになったのは、かなり経った後で使用人達の話している噂によって知ったのだった。
ちなみに、双子の弟をしっかりと見たことは無いが、その内にお相撲さんJr2になるのだろうと予想している。
会いたいようで会いたくないので、お母様が弟の元へ行こうとする度、イヤイヤと駄々をこねた。
このことがきっかけで、私は男性が苦手なのだと誤解されお母様と2人で寝るようになった。
お母様はこんなに美人なのに、どうしてあんな残念な巨体と結婚したのだろうかと不思議に思う。
まぁ、嫌がってはしまったが優しい父親なので文句はないのだが。
だが、これは3歳になった頃解決した。
話せるようになった私はお父様のことをどう思うか、使用人達に聞いてまわったのだ。
すると、メイドさん達からは「美しい」「格好いい」「男らしい」と絶賛されたのだ。
私は自分の価値観が可笑しいのだろうかと、私の事についても聞いてみた。
以前、鏡を見たときお母様譲りのゆるふわカールの金髪にお父様と同じ翡翠色の瞳で、自分で言うのもなんだが可愛く将来が楽しみな容姿をしていたように思っていたからだ。
だが、メイドさん達は口を揃えて「天使です!」と答える。
たぶん、私の価値観で合っていると言っているのだと思う。
となれば、男だけが違うのかと仮説を立てたわたしは前世のイケメンの特徴を伝えた。
すると、メイドさん達は顔を青くして「それは忌み子です。お嬢様の目には入れない方が良い」と言った。
忌み子は数千年に1人の確率で産まれてくるらしい。
何故、忌み子と呼ばれるのか。
それは、創造神がこの世界を作ったときに3人の眷属をこの地に残した事から始まった。
1人は美を司る女神。
女性はこの女神に近ければ近いほど、美しいとされる。
そして、他の2人の神は男神であった。
1人は権力を司る権神。
この神は己の力を使い自らの権力を行使して食を満たし幸せを感じていた。
もう1人は力を司る力神。
この神は力の均衡を保つ役割を持っており、人々のためにと役割を全うしていた。
だが、次第に怠惰な権神とケンカしてしまい、怒った力神は権神を倒してしまったのだ。
それに怒った創造神は力神を罰として人へと変え人間界に移したのだ。
その後、権神は人々のためにと役割をこなし、愛されるようになった。
だが、その権神を倒した力神を人々が許すはずもなく、権神のような大きな体で顔のパーツが小さい人ほど格好良く、力神のような筋肉質で顔のパーツが大きいほど醜く穢らわしいとされるようになった。
それ以降、数千年に1人力神のような顔を持って生まれてくる子を忌み子として扱うようなったらしい。
メイドさん達は、私が分からないだろうと詳しく色々なことを勝手に教えてくれた。
有難い事だ。
だが、この話は可笑しいと誰も思わないのだろうか?
先に人のために行動していた力神よりも、後から行動した権神を崇めるなんてどうかしているとしか思えなかった。
だが、それだけ。
数千年に1人なら会える確率は限りなく0に近い。
そんな人と結婚したいなど夢のまた夢だろう。
その時は、考えもしなかった。
その数千年に1人に出逢えることに。
5歳。
私は夜、部屋で1人眠っていた。
その時、夢を見た。
本で見た3人の内の1人である女神と話す夢を。
『貴女…の…生ま…変…を…すか?…ため…を…ても…か?』
途切れ途切れの声だったが、夢の中の私は聞こえたらしくその言葉に頷く。
それを見て、女神は私に微笑む。
『では…に…いを…ます。…ありがとう』
こうして私は眩しく思い目を開く…ことが出来なかった。
どう頑張っても目を開けることが出来ない。
怖くなって使用人達や家族達を呼んだ。
お父様は慌てて医者を呼んだ。
しかし、何も異常は無いという。
次に国に数人いるとされる魔法使いの中でも有名な魔法使いを呼んだ。
しかし、それでも何も異常は無いという。
お父様は考えに考え抜いて、青い顔をして世界に数人いるとされる呪術師を呼んだ。
そして、呪術師はゆっくりと私達家族だけに話してくれた。
私には強力な呪いが掛かっていると。
その呪いはどんな呪術師でも解呪する事は出来ないと。
私達は絶望した。
誰がこんな事をしたのか。
もうこれから先、目は見えないのかと。
しかし、呪術師はさらに言葉を続けた。
この呪いはより強い呪いをかけることで、上書きされ効力を無くすのだと。
だから、最も強い呪いにかかれという。
もちろん、この言葉を聞いた家族も使用人達も大激怒した。
誰が好んで目が見えなくなるより酷く強い呪いにかかるように行動するというのか。
しかも、どんな呪術師でもこの呪い以上に強い呪いをかけられないならどうすれば良いというのだろうか。
私はとにかく泣いた。
昨日まで見えていた皆の顔がもう二度と見られることは無いのだと。
私はその日を境に、部屋から出ることをしなくなった。
皆が気を使って外に連れ出そうとしてくれたけど、見えないのだから外に行っても悲しいだけだ。
公爵令嬢である私は本来ならば、第一王子の婚約者になる予定だったらしい。
だが、目が見えず勉強をするどころでは無い私は候補からも除外された。
令嬢としての義務すら果たせない私は、この家のお荷物でしかないように感じた。
それから10年、私は15歳となっていた。
その間、私は引きこもり続けた。
まともに歩けるのは、部屋の中でのみ。
他の場所への移動は、誰かに連れ出して貰わない限り出来なかった。
社交界へは私の代わりに弟が頑張ってくれている。
私は社交界で醜い姿で人前に出ることも出来ないのだとされている。
そんな私には当たり前だが、婚約者などいなかった。
誰がこんな人前にも出れない私を妻に迎えたいという奇特な方がいらっしゃるのだろうか。
私はこのまま1人で静かに死んでいくのだろうと思っていた。
それから数日後、お父様とお母様が私の部屋へやって来た。
何でも、お兄様のお友達が私の話を聞いて、会いたいと言ってくださったのだそう。
無理に会わせるわけにもいかないから、私の意見を尊重すると。
正直に言って、会いたくは無い。
どうせ興味本位で来ただけなのだろう。
でも、呪われた私に会いたいという奇特な方がいらした事は驚いた。
だから私は、扉越しで話をするなら良いと伝えた。
どうせなら、私に会いに来た本心を知りたいと思ったのだ。
暫くすると、扉越しから声が聞こえた。
「メリィ嬢。本日は急なお願いにも関わらず、お話しする機会をくれたことに感謝する。私はこの国の第二王子のレオナルド・ガードナーだ」
「…え?王子様?」
「あぁ、名ばかりの王子だから気にしないでおくれ。礼儀も気にしないでくれ。私も自信が無いからな」
自嘲的な声で扉にもたれ掛かる音が聞こえる。
第二王子。
私は弟からよく社交界で聞いた良い話も悪い話も噂話も聞いていた。
その中で第二王子は有名だった。
それは彼が"忌み子"だったから。
以前にメイドに聞いた力神の先祖返り。
もし彼がせめて側妃から産まれていたらもう少し楽な人生を歩めていたかもしれないが、彼の母親は正妃だった。
この国にこの国の生まれである正妃の子どもを次期国王とすべきと推す血筋優先の正妃派と、順当に第一王子を次期国王にすべきと推す側妃派に分かれている。
だが、忌み子を次期国王とすることに反対する正妃派は多い。
父である王はまだ王太子をどちらにするか明言してないが、第一王子が王太子になるのではと噂されている。
だが、そんなこと私には関係ない。
「いいえ。それでも王子様であることには変わりが無いでしょう?それに、聞き及んでいるかとは思いますが、私は貴方様の忌み子と呼ばれる姿を見ることが出来ません。ですから、どうかお気になさらないでくださいませ」
そう。
結局、見えなければ、どうとでもないことなのだ。
誰が何を言おうとも、私には見たくても見ることが出来ないのだから。
「…すまない。だが、ありがとう。そのように言ってくれたのはメリィ嬢だけだ。…また、話しに来ても良いだろうか?」
「…えぇ、私はいつでもここに居りますので。いつでもいらしてくださって構いませんわ」
「そうか。では、また」
足音が遠ざかり、音が完全に聞こえなくなった。
その事に何故か寂しさを覚えた。
だが、久しぶりに誰かと話せて嬉しかった。
早くまた来ないかなとワクワクしていた。
次の日。
レオナルド殿下がいらっしゃった。
「こんにちは、メリィ嬢。また来てしまったよ」
「ふふっ。随分、お早いご到着ですこと」
せめて2日後か3日後だと思っていたが、まさか次の日に来るとは思わなかった。
「嫌だったかな?」
「いいえ、逆ですよ。とても嬉しゅう御座いますわ」
それから私達はこうして扉越しに背を合わせて座り込み、話し合った。
殿下とは顔を合わせたことは無いが、お互いをレオ様、ルチアと呼ぶくらいに仲が良くなっていた。
家族から聞いたことが無い外の世界の話はとても楽しかった。
私のせいではあるが、皆、あまり外のことについて教えてくれないからだ。
話している内に分かったことが2つあった。
1つ目はレオ様はお父様であらせられる陛下をとても慕っており、陛下のような人々を導く国王になりたいということだ。
第一王子は家族から聞いた話によると、婚約者がいるにも関わらず学園で白昼堂々と別の女子生徒と仲睦まじくしているのだそう。
さらに、その女子生徒は他にも将来有望な男子生徒とも仲が良さそうな場面を目撃されているとか。
…それって、前世定番のヒロインの逆ハー狙いで他の人が迷惑を被るやつではないでしょうか?
関係ないから良いですけどね。
2つ目は私がレオ様を好きになってしまったということだ。
何度も話しているうちに、努力家な所や、聡明であること、優しいところに惹かれてしまったのだ。
しかし、レオ様は忌み子ではあるがそれ以前に第二王子であるため、婚約者がいる。
本当にその婚約者が羨ましい。
私が婚約者になれたらと思わない日はなかった。
だというのに、その婚約者はあろうことかレオ様を蔑ろにして、別の男性と愛し合っているという。
だったら、代わってよ。
そんな憎悪の気持ちが渦巻いてしまうのも仕方が無いと思う。
でも、私にはこの呪いが解けない限り、候補にすら挙がることが出来ないのだ。
ある日、いつものようにレオ様が来てくれた。
しかし、いつものような明るい声ではなかった。
「ルチア…」
「レオ様?どうされたのですか?」
「私は王にはなれそうにないのだ…」
「え?」
話を聞くと、婚約者が前に話していた男性と関係を持ってしまい結婚するため、婚約者がいなくなるのだそう。
王太子となるには婚約者が必要不可欠。
いなくなったとなれば、第一王子が王太子となる事は確実になるのだそう。
「だったら、婚約者を新しく立てるのは…」
「私は忌み子だ。誰も婚約者になろうと思わないんだよ」
そうだった。
話しているうちに忘れていた。
彼が忌み子であることを。
じゃあ、こんなにも王に向いている人はいないのに、レオ様を差し置いて他の女性にうつつを抜かすような第一王子が王になるというのか。
冗談ではない。
この国が衰退していくのは目に見えている。
どうすれば良いのだろう。
考えていると小さく声が聞こえた。
弱々しく、耳を澄ませてないと聞き逃してしまいそうなか細い声が。
「ルチアが婚約者になってくれれば良いのに」
自分の都合の良い幻聴だろうか?
期待してはいけないと分かっていながらも、聞き返してしまう。
「…レオ様は…私のことをどう思っておられますか?」
ずっと聞きたかったこと。
怖くて聞けなかった。
でも、知りたい。
レオ様の気持ちを。
「…ルチア。私の気持ちを知ったらルチアはもう私から逃げることは出来ないから聞かない方が良い」
「っ!私は!レオ様から逃れようとは考えておりません!」
「私を見てないからその様なことが言えるのだ。それに、忌み子には忌み子しか知られてない事があるんだ。…忌み子は見た目の代償としてたった1つだけ欲しいものを得ることが出来る。それは人も例外では無い。それを誰かに言ってしまえば、離れることなど出来なくなる。創造神がかけるこの世界の何よりも強力な呪いなんだ!」
レオ様の言葉を聞いて私は、呪いを受けたときの夢で見た女神について思い出した。
『貴女は力神の生まれ変わりを愛する事が出来ますか?彼のため呪いをかけられても大丈夫ですか?』
『では貴女に呪いをかけます。ごめんね、ありがとう』
そうだ。
夢で女神はそう言ったのだ。
力神の生まれ変わりと。
だから、私は頷いたのだ。
優しい力神の生まれ変わりなら、愛することが出来るだろうと頷いた。
そして、私は女神から呪いをかけられたのだ。
女神より強い呪いをかけられるのは、創造神しかいない。
ならば、もう答えは1つしか無いように思えた。
「…レオ様。良いですよ。私をずっとレオ様の側に置いてください」
「っ!!…本当に良いのだな?後戻りは出来ないぞ!?」
「えぇ。レオ様も私で宜しいのですか?私、ずっと一緒にいますよ?」
「ルチアが良いのだ。…私はルチアがほしい」
その言葉を聞いた瞬間、開かなかった目が開き視界が開かれ、左の薬指に茨のような指輪がはめられたのが見えた。
まるで神様達が祝福してくれているような。
薔薇が着いているのはきっと女神からのプレゼントだろう。
とても可愛らしい。
「ルチア…?」
「レオ様…っ!」
私は目が見えること、レオ様のものであるという証の指輪で胸がいっぱいになった。
涙が止めどなく溢れ出た。
声を押し殺しても声が聞こえたようで、レオ様が焦ったような悲しそうな声が聞こえた。
「泣くほどだったのか…。すまない。だが私は…」
「レオ様。どうぞお入りになってくださいませんか」
「!?良いのか!?だがっ!」
「レオ様に直接お会いしたいのです」
涙を拭いながら涙を見せないように、扉の反対側のベッドの縁に座ってレオ様が入ってくるのを待った。
「し、失礼する!」と緊張したように入ってくる気配を背中で感じた。
そして、私の横まで来たレオ様に顔を向けレオ様を見つめた。
私達は驚いた。
レオ様は私の目が開いていることに。
私は想像以上に格好いいレオ様の顔に。
レオ様は銀髪に青目のイケメンな本物の王子様だった。
色から冷たい印象を抱きやすいが、優しく聡明。
私の理想、そのものだった。
「ルチアっ!目が見えて!?」
「はい。目の呪いは他のとても強力な呪いを受けることにより、効果が無くなるのです。そして、その呪いをレオ様が解いてくださった。本当に心から感謝致します。これからも私の王子様で居て下さいますか?」
「勿論だ!だが、私こそこんな醜い姿なのに私で良いのか?いや、もう離すことはできないのだが…」
「えぇ!私はこれから先、レオ様以外に呪われる予定はありませんわ!」
「ははっ!あぁ、私もだよ」
私が目が見えるようになったことはすぐに家族に伝えられた。
久しぶりに見た家族は男性陣はJrが消え、貫禄ある横綱へと進化を遂げていた。
唯一、お母様だけはあの頃と変わらないままの美しさだった。
何故?
そして、私はレオ様の婚約者として認められた。
社交界や学園に行ってから知ったことなのだけれど、私は絶世の美女だったらしく、美女を呪いから救った英雄としてレオ様は市民からも貴族からも圧倒的支持を得て、晴れて王太子となった。
第一王子はというと、私を見てすぐに婚約者を捨ててまで捕まえたヒロインも捨てて、求婚してきた。
私も含めて、女性陣はドン引きである。
私にとってレオ様以上の格好良く愛おしい人はいないのと、これまで散々レオ様を貶していたとお兄様や弟から聞いていたので全校生徒の前で浮気、言動、発言を指摘して差し上げた。
それはもうプライドなんて物は粉々になるくらいには。
この噂は社交界に留まらず民間にも広がり、第一王子の婚約者になろうという女性は消えた。
王家の汚点となった第一王子は陛下を怒らせ、平民に落とされた。
ヒロイン気取りの女性は、侍らせていた男性陣が彼女を捨て私に告白してきたので、こちらも第一王子同様にやって差し上げた。
学習能力が無いのかしら?
彼らは得るはずだった地位を無くし、辺境の地へ飛ばされたり、変人魔法使いの元で修行させられたり、平民に落とされ虐められたりされたらしい。
ヒロインは怒り狂って私を殺害しようとしたため、処刑台送りにされた。
怖かったけど、レオ様が抱きしめながら守ってくれたのでときめいてしまった。
こうして、私はレオ様の婚約者である王太子妃に確定されたのだった。
レオ様は次期国王。
私は次期王妃。
そうなれば、レオ様を捨てた元婚約者夫婦は貴族社会では肩身が狭いと思うので早々に王都から退場してもらった。
小耳に挟んだ話では、結局、離婚されたらしい。
結局、その程度ということなのだろう。
私はというと元々目が見えて無くても、精神年齢は高かったので平均よりはかなり頭が良くすぐに王妃教育は終わらせることが出来た。
お陰でレオ様とラブラブできたので、頑張って良かった。
それから3年後。
私が18歳と結婚できる年になった頃。
レオ様は23歳になりますますイケメンに磨きがかかっていた。
私は教会でウェディングドレス姿になっている。
横には白いタキシードを着たレオ様と手を組んでいてくれる。
「あぁ。やっとこの日が来たね。私は年々、醜さが増しているけれど、他の男の元に行かないでおくれよ?」
「えぇ。レオ様が私を呪い続けてくれる限り、私はレオ様の元から離れることは出来ませんから。レオ様も他の人を呪ったりしないで下さいよ?」
「それこそ無いね。これから人生をかけてルチアだけを呪うんだから」
「あら、光栄ですわ」
今日は結婚式だというのに、今だに私が他の人の元へ行ってしまうのではと心配している私の王子様は本当に可愛らしい。
「愛しているよ。ルチア」
「私も。愛していますわ。レオ様」
これから一生をかけて私を呪って下さいね。
私達は一生外すことの出来ない婚約指輪兼結婚指輪であるあの薔薇の指輪を見せつけた後、国民から歓声を受けながら、幸せなキスをした。
私は呪われている。
でも、解こうとは思わない。
これは愛という名の呪いだから。
Fin♡
実は女神も力神も両片思いだったが、思いを伝えられずに失恋してしまったので女神はルチアに、力神はレオに託したのです。
創造神も人間にそこまで嫌われるとは思っていなかったので、せめて数千年に1人しか産まれないようにして傷つく回数を減らしました。
権神は女神が自分に振り向かないことが分かっていたので、腹いせに人間界のイケメンの常識を自分に変えてしまったのだった。
その後、権神はこってり創造神に絞られ前世の世界に送られ、神々の反面教師としてしっかりと生かされましたとさ。
読んでいただきありがとう御座いました!