闇落ち勇者
次のボス部屋は、オークジェネラル。即感染。かかった。開放。この間一分。
ボス部屋が安定して弱いんだよなぁ……。
そして次の部屋おそらく三十階層。邪竜とかいう英雄記のラスボスがいた。もう帰ろうかな……。相手は大音量の咆哮を放つ。ビリビリと床や壁が振動し、天井からは石がパラパラと降ってくる。ラスボスって感じだわ。
相手は少し飛び上がり、体をねじり斜め上から尻尾で強打を狙ってくる。
凄まじい勢いだったが、なんとか躱した。その地面が割れ、振動が脚をすくませる。このダンジョン潰れないだろうな。
そこからコンボのように、爪で乱打してくるが、なんとかいなす。いなした爪が壁を抉る。
威力が超火力過ぎる、まともに喰らえばまずいことになるだろうな。
そこでコンボが一旦止まり、その隙に火炎魔法で相手の翼を最高火力で焼く。翼が燃え盛った邪竜はその場で狂ったように暴れまわり、ついに地面が崩落した。一瞬の浮遊感。ひゅんひゅんするね、何がとは言わないけど。
なんか一瞬サイクロプスっぽいのが見えたけど、一瞬で真っ赤に染まったのでわからない。ボス部屋らしきものを通り抜けたあとも燃え盛り、更に下へと落下する。更にひゅんひゅんする。
その感覚のあと、燃え盛る邪竜が大きな爪によって貫かれ絶命する。そこにいたのは、邪竜を超えた邪竜。邪龍だった。
英雄記の英雄は欲を出して討伐に行ってこいつに殺されて幕を閉じます。
大きさも迫力も段違いだな……。この広い部屋が、弱小ダンジョンの一室のごとく狭さに感じる。
そんなことを思っていると邪龍が、語りかけてきた。
(汝は何を求めてここに来た)
脳内に直接語りかけてくる。鎧がシャベルときと一緒だね。
(俺は、復讐を遂げるために、町を再興させるために強さを欲してここに来た)
邪龍は少し広角を上げ、爪についた邪龍を振り払ってこちらを向いた。
(そうか、復讐か。我も復讐したい相手がいる。この地下に潜む悪に身をやつした勇者だ)
勇者がダークサイドに落ちてるってヤバくないか。魔王軍がそろそろ攻めてきてもおかしくないのに最高戦力なにしてんの? まあ、今の俺どっちかというと魔王軍側だけど。
(やつは、今期の魔王のふつふつとした怒りの波動に侵されて、人間を皆殺しにしようと企んでいる。その為に、ダンジョンを乗っ取り、地下に強き者共を閉じ込め、生気を吸って力をためているようだ)
(頼んだ、やつを倒した際は、我が仲間になろう)
と言って、足元にある階段に通してくれた。なんか知らんが戦力ゲットだね。
その下の、牛頭と馬頭の怪力男二人組を燃やしてから、次の階層。恐らく五十階かな?
そこには、かなりの階層をぶち抜いたのだろう、壁際にところどころ壊れた螺旋階段があり、その真ん中にタイダリザと同じ、いやそれ以上の巨大な龍がこちらを睨みつけていた。
そいつは、狭すぎて動けないのか、ただ、呆然と立っているだけだった。絶えず念話で勇者への怨嗟の叫びが聞こえてくるが無視で行こう。
その足元は、不思議な輝きを持つ金属を使った床があり、そこをぶち抜くと、中から、驚いた様子の闇に染まった少年が見えた。
「どうやってここまで来たんだぁ……ここまでは絶対にたどり着けないはずだぞぉ……」
(まぁ、たどり着けたんだから詰めが甘かったんじゃねーか? じゃあな、名も知らぬ勇者)
パン、という音と共に砕け散る。それと同時に上の階層の龍が地面を抉り、咆哮を上げ空へと飛び立っていった。しばらくしてから邪龍が降りてきた。
(良くやってくれた。我々はあれに攻撃する事ができないようになっていたからな感謝する、数年後には、あのまま力が枯渇して死んでいただろう。貴様が死ぬまで我は忠誠を誓おう)
俺もう死んでるけどな。




