煉君の決意。
連続五話目投稿です。まだほんじつの分をよんでないかたは、煉君家を買う。から読んでください。
ゲームからログアウトした20分後、俺は1つの一軒家の前にいた。何を隠そう楓の自宅である。今から、楓の家のインターホンを押すところだ。
ーピーンポーンー
«はい。»
「幽鬼と申します。鮫嶋さんのお宅ですか?」
«もしかして煉君かしら?»
「そうですけど。」
«なら鍵は空いてるから入ってくれていいわ。»
「お邪魔します。自分幽鬼煉と言います。楓さんとはゲームで知り合って、昨日初めてお会いしました。あ、これお菓子です。ありきたりで申し訳ないですけど。」
「あらあらご丁寧にどうも。楓の母です。お菓子ありがとうね。楓の部屋は階段上がって右手すぐだから。後でお菓子とコーヒー持っていくわね。あ、コーヒー飲めるかしら?お砂糖とミルクは必要かしら?」
「いえ。ブラックで大丈夫です。ただ、楓はゲームで少し怖い思いをしたので、落ち着けるものがあれば、そちらを持ってきて頂きたいのですが宜しいですか?」
「分かったわ。多分10分ぐらいで持っていくわね。」
「ありがとうございます。」
そう言うと、俺は楓の部屋へ、お母さんは恐らく台所へと向かった。
楓の部屋の前で小さく深呼吸をする。
よし。
ーコンコンー
「楓。煉だ。」
「ちょっと待ってね。」
ガチャ。
「どうぞ。」
「失礼する。」
楓の部屋はあまり雑貨等がなく、洋服タンスの他に、学校の教科書が入っている本棚と、小説の入っている本棚、化粧台にベッドがあり、真ん中にはテーブル置いてあるだけのシンプルな部屋だった。
「楓。お母さんは後五分くらいは来ない。だが、それまではゲームの話はしない。楓のリアルの話を聞かせてくれないか?」
俺は家を出てから考えていた話を振った。
「私のリアルの話ですか?いいですけど、煉君の話も聞かせてくれる?」
「当然だ。後、俺の話が終わったら楓に聞いてもらいたい話がある。」
「話?…わかった。じゃあ私の話からね。私が通ってるのはここから一番近い公立高校で、私の家族は私とお母さん、お父さんと1つ下の妹の四人家族。あまり裕福とは言えないけど、平均並みの生活は出来てると思う。私がLTOを始めたきっかけは、学校ではあまり友達が居なくて、ゲームの中でも良いから友達が欲しかったの。それに、昔の端末のゲームで、オンラインゲームをお父さんがやってたらしくて、家族みんなのギアを買ってきてみんなでやろうって言ってたんだけど、お父さんが出張になっちゃって、妹は受験であまりいじれないし、お母さんは、お父さんとやるから、今はいいってことで、私は独りでやってるの。まあ、妹とは、フレンドにはなってるから、何時でも時間が合ったらやろうねとはいったんだけど、煉君と一緒に行動してるうちに妹とレベルが離れすぎちゃって。一緒に出来てないんだ。私の話はこんなところかな。」
「次は俺の話だな。俺もここから一番近い公立高校でに通ってる。まさか楓と同じ学校とは思ってなかったから内心かなり驚いてる。
家族構成は、父母と俺、弟が一人の四人家族だ。弟も1つ下だから、もしかしたら楓の妹と知り合いかもな。ちなみに弟もLTOをやってるんだが、弟は元の出来が俺とは違って良くてな。攻略組をやっている。いずれ会うことになるだろう。ゲームの名前は知ってるから、いずれ紹介する。俺が始めた理由は最初にいた木の杖を馬鹿にしてたやつに無理矢理誘われてな。ギアも俺は持ってなかったんだが、そいつが母親に頼だら買ってきてくれたそうだ。そいつは幼馴染みなんだが、正直、鬱陶しくてな。楓と最初に組んだのはお前と組んだら、あいつから逃げれるかもしれないっていう打算だった。だが、楓と組んでいくにつれて、お前でないと俺がいやな気分になることが判った。今日も、楓が野良パーティーに入るって聞いたときは、胸くそが悪かったし、楓を他の誰にも渡したく無いと思ってしまった。そして、楓があんな目に遭ったとき、俺は目の前にいたやつを全員リアルで殺したい衝動に駆られた。それで俺は楓のことが一人の女の子として好きだということを再認識した。だから……鮫嶋楓さん。俺と付き合って下さい。」
俺は楓に告白した。もし失敗したらゲームではパーティーを組めなくなるほど気まずくなるかも知れない。だが、楓を他の男にとられたくは無かった。
「煉君。私なんかでいいの?」
「楓じゃなければ駄目なんだ。他の誰にも楓は渡したくない。」
「ありがとう。嬉しいよ。………………………………………………………私でよければお願いします。」
「ありがとう。絶対大事にする。」
よかった。振られなかった。
「因みに私かなりの嫉妬しぃだから。」
「望む所だ。てかお母さん遅いな。もしかして外で聞いてたりしてな。
……………ガタッ。
ーコンコンー
「楓入るわよ。」
「お母さん聞いてたよね。」
「な、なんのことかしら。楓に彼氏が出来た瞬間なんて知らないわよ?」
このお母さんは隠し事苦手な人だ。
「ただいまぁ。あれ、誰かお客さん来てるの?」
こ、この声は!
「あれ?先輩どうしたの?お姉ちゃんと知り合いだったの?」
「よう、霞。久しぶりだな。俺はさっき楓の彼氏になった所だ。」
「あれ?煉君と霞知り合いだったの?」
「弟の彼女だ。弟の名前は蘭だ。」
「蘭君のお兄ちゃんだったんだ。何となく名前が似てるなとは思ってたんだよ。」
なんて偶然だ。まさか弟の彼女の姉だとは。
「で、先輩とお姉ちゃんの出会いは何処ですか?って言ってもLTOしかないでしょうけど。だって二人とも基本家から出ませんしね。学校の中で会うならお姉ちゃんの口から出るでしょうし、私に遠慮してあまりLTOの話しないですから、そこしか思い付きません。」
「流石だ。てかお前そんなに頭回ったっけ?別人?」
「失礼な。蘭君に鍛えられたんですよ。先輩たちと同じ所に行けるようにって。そしたらLTOもみんなでできるだろって。そのときにお姉ちゃんと先輩紹介する予定だったんですけど。」
いろいろ考えてくれてたんだな。
「俺たちは恐らくだが、今のところ最前線の攻略組以上のレベルと金を持ってると思うが。いずれ一緒にやろうな。入試まで後一週間だから頑張れ。受かったら俺達の全力をもってお前たちに装備とアイテムをくれてやる。」
「先輩たちって生産職なんですか?」
「あぁ一応は生産職だな。まあ装備と称号のお陰で今のレベルは俺は70だな。上限まで行っちまったからまたボス倒さないとダメなんだが、お前たちが受かったら一緒に倒しに行こう。店もあるからそんなに時間はないかもしれないがな。」
「先輩!装備の件絶対に忘れないで下さいよ!蘭君にも言っときますから。」
「おう、言っとけ。そこんじょそこらの生産職じゃ作れないの作ってやるってな。」
「煉君言い過ぎだよ。でも煉君なら作れちゃうよね。」
「何言ってる。楓も作るんだぞ?MPポーションは俺の管轄外だし、蘭の奴ならいい感じに最前線の薬草とってくれそうだから、錬金術のレベル上がるぞ。ってもうこんな時間か。今日は帰るわ。大体20時ぐらいにログインするから、そのときにな。霞もインできそうならしてこいよ。一緒に狩りに行こう。装備は受かってからだが、俺たちと入ればまず死なないし、レベルも普通の9倍くらい増えるから、一気にレベルも上がると思うぞ。パワレベはしない予定だから、安心しろ。じゃあまた後でな。」
「うん。また後でね。」
そういって俺たちは別れ、俺は帰路に着いた。
いやー良かったですね。煉君付き合えて。
後、世界は狭いですね。