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千葉悠真です。
今日から高校生です。
大事な初日にいきなり寝坊してしまい、ようやく学校の前に着いたのだが、すでに周りには誰もいない。
どうやらもう皆、教室に入ったようだ。
時計を確認すると8時25分。
集合時間まで後5分ある。
「走れば間に合うかも」
桜が舞い散る校門をくぐって、校舎まで一直線に走る。
「そこの君!」
校舎に入ろうというところで不意に声をかけられた。
声のした方を見ると、そこには女子生徒が立っていた。
彼女はこっちに近づいてきた。
「君はフレッシャーズか?」
いや、その言い方どうなんだ?
まぁいいけど。
「そうですけど…てかその言い回し、AOKIか青山でしか聞いたことないですよ」
「青木? 青山?」
マジか。
CMめっちゃやってるけどな。
てか、今はそれどころじゃなかった。
「わからなければいいです。そろそろ行っきますね。急いでるので」
「了解でござる」
「ちょ、今のセリフ…」
「うむ、パクった」
だよね。
てか、この会話もそうなんだけどな。
「あ、一つ頼みがあるんだがいいか?」
「いいですけど、短めでお願いします」
「じゃあ、放課後に旧館の談話室に来てくれないか?」
「分かりました」
「それでは新入生よ。また放課後にーはっはっは!」
そう言って、彼女は校舎の中へと走り去っていった。
アニメ好きすぎなんだな…
「………あ、時間」
キーンコーンカーンコーン。
8時30分を知らせるチャイムが鳴っている。
「最悪だーーーー」
叫びながら校舎の中を走った。
※なんとか間に合いました。