前編
【作者より】
※ この作品は『いじめられて自殺した私が闇医者によって悪役令嬢に転生され、過去の自分を客観的に見る(http://ncode.syosetu.com/n4606cz)』の外伝です。
※ 『私の思いよ、彼に届け!(http://ncode.syosetu.com/n7216du/)』の続編です。
僕、秋桜寺 聡は悩んでいた。
「はぁ……困ったなぁ……」
バレンタインでもらったたくさんのチョコレートやクッキーなどがうまく消費できないというわけではない。
僕は甘いものが大好きな「スイーツ男子」だから!
どうでもいい話をして申し訳ない。
僕が今、切実に悩んでいることは学年を越えてチョコレートとともに受けた「愛の告白」――。
なんというか僕は女子に告白されるごとにすべて断ってきた。
なぜなら、僕は女子と話すことは苦手ではないが、つき合いたいと思ったことは全くないし、彼女を作るのはまだまだ先だと思っていたというのはあったかもしれない。
恋をして部活や勉強の成績が下がったら話にならないと思ったから――。
よって、今までの僕は今という時間を大切にしたかったのだ。
しかし、今日を境に、今までの僕とさよならを告げようと思う。
◇◆◇
僕は家に着いたあと、もらった個数を数えてみた。
知らず知らずのうちに30人からもらったことが判明したけど、彼女らのうち数人はクラスメイトだから、部活の先輩や後輩だからという理由でただ渡しただけかもしれない。
男子って好きだよな。
次の日、学校で「お前は何個チョコもらった?」「俺は1個ももらってない!」とか言うの。
僕は恥ずかしくて言えないから答えられないけど。
そういえば、同じクラスの女子からも告白を受けたような記憶がうっすらとあった。
誰だっけ? いろいろともらいすぎて告白されすぎて誰からか忘れてしまっている。
確か、短い手紙が一緒に入っていた袋が1つだけあったはず……。
「これだ!」
僕はその袋を取り出し、差出人の名前があるか確認しながら、その手紙をじっくりと読んでみる。
『Dear. 秋桜寺 聡くん
さっきは突然、呼び出してごめんなさい。
なんて言ったか分からなかったと思うから、手紙でもう一度伝えるね。
私は秋桜寺くんのことが好きです。
なぜならば、あなたの優しい笑顔と部活でバドミントンをやっているところが素敵だからです!
今日はこの日のために、頑張ってチョコを作ってみたよ。
味は保証できないけど、食べてくれると嬉しいな♪
また来年度も同じクラスになれるといいね。
From. 木野 友梨奈
(注・『私の思いよ、彼に届け!(http://ncode.syosetu.com/n7216du/)』より引用。)』
これがその手紙の内容。
名前が書いてあったため、「同じクラスの女子からの告白」をした人は木野だったことを思い出した。
彼女は小柄で吹奏楽部に入っており、クラリネットを吹いているという話は自己紹介か何かで聞いたことがある。
あと、人見知りなのかは分からないけど、他の女子と比べて消極的な方だが、まさか僕に告白するとは思っていなかった。
木野が僕に告白したあと頬を真っ赤に染め、バタバタとどこかへ行った、その姿は可愛かったしな。
あれ……?
僕の心に胸騒ぎが起きる。
これが……恋というものなのだろうか……?
僕は「今という時間が大切」と言ったが、他にも「何かに頑張っている人」が好きだったりする。
「木野は消極的な性格だけど、頑張り屋だもんな……」
そうか。
これが「キュンとする」ということなのか。
そういえば、返事はいつしようかと悩む。
「来月14日のホワイトデーだと遅いかなぁ……いいや、それまでじっくりとお返しものと一緒に返せばいいか……」
僕はそう思いながら、夕食と風呂を済ませ、宿題や予習などをやり眠りについた。
もしかしたら、大幅に改稿するかもしれませんので、あらかじめご了承くださいませ。
2017/03/14 本投稿