3.講義 Ⅲ
講義が止まりそう。
▽ケイ▽
「あ、あぁ……少し熱くなりすぎたね。僕としたことが…申し訳ない。」
「俺に謝る必要なんてありません。それほど酷い場所だったって事ですよね。」
「あぁ、僕も直接見たわけじゃ無いんだけどね。いろいろな形でデータが残ってるよ。今はもうだいぶ落ち着いて昔ほど荒れてないね。さぁ、次は何の話をしようか?」
「超能力って俺にも使えますか?」
「あはは、そうだよね。それは気になるよね。でも、断言は出来ないかな。さっきも言ったけど、研究があまり進んでいないんだ。現在、超能力は体内にある【因子】によって行使される、というのが一般的だね。その【因子】は能力者しか保有していないとされる。つまり生まれた時点でだいたい決まっているんだよ。まぁ、これは一般の話。僕はね、君にも可能性があると思っているよ。」
「ほ、本当ですか!?」
「うん、【因子】は能力者だけでなく、僕や君のような一般人にもある、というのが、僕の見解だよ。【因子】が活性化していないだけなんだ。【因子】が活性化すると超能力が発現する。それだけでなくあらゆる体の機能が向上するんだ。」
「【因子】ってどうやったら活性化するんですか?」
「【因子】の状態は精神の状態に大きく影響されるんだよ。つまりは心だね。喜怒哀楽問わず、何か大きなショックを受けた時に発現したというデータもあるよ。」
「そ、そうですか……」
大きなショックか……異世界転移の時点で大きなショック受けてるはずなんだけど……
「異世界に来たことで大きなショックを受けてるだろうから少しは活性化しているんじゃないかな?」
どうやら同じ事を考えていたらしい。
「そういえばこっちに来てから体が軽いんですが…何か関係ありますか?」
「本当かい?【因子】活性化による影響かな。ははは、近々能力が使えるようになるかもね。良かったじゃないか!」
「え、あ、ありがとうございます。」
「どうも僕は縁が無くてね……羨ましいよ。」
それから彼はコーヒー(?)を飲み干すとこう切り出した。
「異世界から来たんなら、行く宛も無いだろう?しばらくここにいるといいよ。」
「いいんですか!?」
「ああ、その代わり、ちょっと仕事を手伝って貰えるかな。」
「はい!もちろんです。でも、どうして見ず知らずの俺をそこまで……」
「そうだね……ラーラットが招いたお客さんだからだよ。」
「それだけ…ですか……」
「ははは、「それだけ」か、確かにそれだけだけどね。ラーラットはあまり他人を信用しないし、それにね、独断で人を招いた事なんて一度も無かったんだよ。そのラーラットがこうして君を連れてきたんだ。それくらいしてもいいだろう?」
呆気にとられた。彼女への信頼もなかなかだが、根本的にかなりのお人好しのようだ。
「ラーラットは無口で無愛想に見えるかもしれないけどね。優しくて良い子だよ。同じ年代の子達とあんまり話したこと無いんだ、異性ならなおさらだね。」
その時、パリン、と部屋に響いた。ラーラットが運んでいる食器を落としたらしい。
「ほら、ちょっと緊張しているだけなんだ。ちょっと不器用な子だけど、仲良くしてやってくれないか?」
「ええ、もちろんです。」
こうして、夢にまで見た異世界での生活が始まった。
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ここまで読んでくださった読者の皆様。ありがとうございます。カワウソです。そろそろ戦闘入りたいんですけど、主人公を全裸で戦場に放り込む訳には行かないのでもう少し色々しようと思います。
明後日までには次が出せるように頑張ります。




