4.出会い
前回のあらすじ
悲鳴を聞き、駆けつけたケイ少年!でも、ビビって何もできなかった!
▽ケイ▽
助けられなかった。仮に飛び出していっても俺もまとめて殺されていただろう。いや、そんなことより……殺人の現場に心を奪われていた。死体の見すぎでやっぱり頭がおかしくなってしまったのか。
黒コートが歩き出した。いつの間にか剣を納めている。
よしよし、こちらには気が付いていないようだ。だが、この位置ではフードが邪魔で顔が見えない。
殺人を止められなかった罪悪感からか、特に何ができる訳でもないのに追いかけた。
しばらく進み、入り組んだ路地の途中、黒コートが急に立ち止まった。
まずい……バレたか……
陰から様子を伺っていると黒コートが急に走り出した。
速い、超速い、俺も遅れて走って追いかけているはずなんだが、どんどん距離が離される。
黒コートが右に曲がる。続いて右に曲がるが。
「……!?」
「きゃっ!」
ドン!と壁の様なものにぶつかってしまい思わず尻もちをついた。ちなみに「きゃっ」と言ったは俺だ。
「か、壁!?」
「初対面の女性に『壁』だなんて随分と失礼な方ですね。」
冷たい声に顔を上げると白いワンピースの少女が立っていた。身長は中学生くらいでやっぱり胸は控えめ、肩まであるウェーブがかかった銀髪と深緑の瞳が印象的な少女だ。彼女を見ていると心が安らぐ気がする。
「何ジロジロ見てるんですか。さては、変態さんですね。」
眉一つ動かさず冷たい声で言ってくる。そういう趣味は無いがこれ程の美少女なら罵倒されても……いや、何でもない。
「ごめん、そういうつもりじゃなかったんだ。それより怪我はなかった?」
「ええ、もちろん。それにしても、おかしな人ですね。どこからどう見てもあなたの方が怪我をしているでしょう」
言われて気が付いた。そういえば血塗れだった。
「その様子じゃ、あなたの血では無いようですね。」
逆に少女に心配されてしまった。情けない。
「あっ!そうだ、黒いコート、黒いコートが通らなかったか!?」
もともとそれが目的だった。まぁ今から追いかけても間にあわないだろうが……
「…いえ、そんなものは通りませんでしたが。」
そうか……完全に見失ってしまった今、土地勘無しの俺が探し回っても無駄だろう。
「その話といい、服といい、何か訳ありのようですね……これからどうされるんですか?」
うっ……何も無い……そもそもここがどこかもわからないし……
無言でうつむく俺を見て、あてが無いことを悟ったのか
「はぁ……わかりました。付いてきてください。力になれるかもしれません。」
「ほ、本当か!?助かるよ!ありがとう。」
「いえ、礼は不要です。あなたの為ではありませんので。」
「それでも、俺は助かるよ。ありがとう。」
「…………」
彼女はそっぽを向いて歩きだしてしまった。慌てて付いて行く。怒らせるような事を言ってしまっただろうか……
「ラーラットです。」
「え?」
「ラーラット・フロックハート、私の名前です。」
「あ、あぁ、俺はソノザキ ケイだ。ケイでいいよ。」
「ソノザキ……ケイ……」
ここに来て彼女は初めて表情を変えた。やっぱりこの世界では変な名前なんだろうか。
「ケイ」
無表情で感情の読み取れない声で呼ばれる。
「どうかしたか?」
「その……臭いのでもう少し離れて歩いてください。」
彼女とは長い付き合いになりそうだが仲良くなるのはまだまだ先になりそうだ。
それでも、彼女に会えたそれだけで、ここに来て良かった、そう思えた。
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ここまで読んでくださって読者様。ありがとうございます。カワウソでございます。
説明回を挟んでプロローグ終了でも良かったのですが、ヒロインとの出会いで終わった方が良いかなって思い、今回でプロローグ終了です。
登場人物の容姿、服装、名前など、あまり深くは考えずに決めている部分が多いですが、ラーラットの名前には元ネタ?があります。
次か次の次かわかりませんが、この世界についてや超能力の説明回をします。おそらく世界観が一気に広がるかと。お気に召すかわかりませんが、これからもよろしくおねがいします。




