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18.悪夢の行進 Ⅺ


 ▽ケイ▽


 なんだかんだで特区入り口付近に到着。


 「どうして付いて来てるの?さっきの話聞いてなかったかしら?」


 少女がくるりと振り返る。怒っているようにも、少し嬉しそうにも見えた。


 「たまたま同じ方向に歩いているだけだ……たまたま」


 そう答えて目を逸らす。特区の入口から離れたビルの陰、「たまたま同じ方向」は少し辛い言い訳だと思いながらもそれ以外は思いつかなかった。


 「…………ま、今回は特別よ。戦闘には手出し無用、あなたたちは調査だけ」


 彼女の姿が霞む。ふと気が付くと、衣装がピンクのフリフリ系から黒のジャージに変わっていた。


 「アイドルがそのへんウロウロしてたら、それだけで大騒ぎでしょ?」


 黒髪に黒のジャージ、黒のメガネ。パッと見た感じ、目立つところはない。しかし、その姿は演出の一環でファンに晒してしまっている上にアイドルオーラを隠しきれていない。それに気付いていないあたり、この格好の時は不躾なファン以外、今は【お忍び】だから、【守護者】だから、と皆我慢しているのだろう。よく出来たファンだ。


 「さぁ、行くわよ。付いて来るならしっかり働きなさい」


 ~  ~


 二人の後ろに続いて入口を目指す。何やら話しているようだが、会話の内容はうまく聞き取れない。……実は仲いいんじゃないのか?


 「…………」


 「か、勘違いしないで、立場上動きにくいから使ってあげるだけよ」


 ………………ツンデレ……


 ラーラットの言葉は聞き取れなかったが、大体想像がつくレベルにはテンプレだ。


 「おっと、お嬢さん方。特区にご用かな?まず、そこの書類に……」


 守衛の小柄なお爺さんに止められる。が、リンナを見て固まってしまった。


 「いつもご苦労様です。守衛さん」


 完璧な営業スマイル。これが本当にさっきと同じ人物なのだろうか。


 「これはこれは……政府から事情は伺っております。ですが、そちらの……む、姫さんか?妹さんは何処へ?そもそもいつの間に外へ……」


 「私に妹はいませんが……それにここしばらくは中に入ってません」


 ラーラットが答える。姫さん呼ばわりはスルーらしい。


 「はて?わしも歳かのぉ。それでそこの坊主は?」


 坊主……あぁ、俺か!


 「初めまして。ソノザキケイです」


 「ソノザキケイ君。ふむ……」


 お爺さんにジロジロと見られる。そんなに怪しいだろうか……



 「……………ッ!!」


 研ぎ澄まされた殺意が首に振り抜かれた。


 △  △



皆様いつもありがとうございます。


カワウソです。なんか早くできたので早く出しました。当初の予定ではリンナとは別行動でしたが、一緒でも面白いかなって思って変更しました。

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