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12.悪夢の行進 Ⅴ

この時の温もりを、私はきっと忘れない


 ▽????▽


 「まさか、逃げられるなんて」


 あの場面で何を躊躇うことがあったのでしょう、アレは斬るべきでした。だというのに……


 「貴女がそうさせたのでしょうか……」


 △    △



 ▽ケイ▽


 真剣な面持ちでこちらを見据える彼女を前に、呼吸すら忘れ、ただじっと次の言葉を待つ。


 「ケイ……私は……」


 「………」


 「………」


 「……………」


 「……私は」

 

 「………………」


 「私は……まだ……」


 「ラーラット?」


 俯き、小さく肩を震わせ、次の言葉を絞り出そうとしている。俺は今にも崩れてしまいそうな彼女を放っておく事ができなかった。


 「ラーラット、無理に話さなくても良いんじゃないか?」


 肩に手を置いて出来るだけ優しく語りかける。


 「でも、でも、それじゃあ……」


 「いつか、話せるようになったら話せば良い。それまでずっと待ってるから」


 少しの逡巡の後


 「じゃあ、もう少し……」


 彼女が体重をこちらに預けてくる。


 絹のような髪、透き通るような肌、どれもがすぐ目の前に。少し驚いたが、なんとか平静を保ちながらしっかり抱きとめる。


 「ねぇ、ケイ……」


 「ど、どうした?」


 「えへへ、呼んでみただけです」


 「なんだよそれ」


 「そういえば……」


 「どうしたんだ?」


 「朝ごはんがまだでした」


 「そうか、じゃあ俺が準備するよ」


 彼女を引き剥がそうと力を込め込めるもビクともしない。


 「あと五分」


 「えっ?」


 「あと五分だけ、このままでいてください……顔……見られたくないから」


 「……わかった」


 ~  ~


 「ごちそうさまでした」


 「ああ」


 「では、行きましょうか」


 「どこに?」


 「はは、決まってるじゃないか。悪者退治だよ。」


 背後からコメットさんが現れる。


 「悪者退治?」


 首を傾げる俺を見て、ラーラットがコメットさんを睨む。


 「あ、ごめんね。うっかりしてたよ」


 「しっかりしてください。では、私から説明します」


 部屋の明かりが落ちて巨大なスクリーンが現れる。そこには街の映像がいくつか映しだされていた。


 その映像のどれにも狼男が写っている。これがどうしたというのだろう。


 「この先です」


 一人の狼男が背後から男女に近付き――


 「酷いな……」


 「そうですね……問題はこの時の時刻です」


 「時刻?」


 「私達が狼男に遭遇した時刻よりも後なんです」


 「そんなはずは……」


 あの時確かに消滅したはず。となると、考えられるのは……


 「複数体いるのか」

 

 「おそらくはそうなるね。憶測だけど、能力で作られた擬似生命体じゃないかな。操ってる人間を止めない限り、被害者は増え続けるよ」


 「警察に連絡した方が……」


 「ケイ、そんなもの役に立ちませんよ。私達で止めましょう」


 「うーん、そうだなぁ……」

 

 「ケイは立ってるだけで良いですから!」


 「うっ……俺だってやればできる」


 「ふふっ、そうですか?期待してますよ」



 △  △

 

皆様ありがとうございますm(_ _)m


 カワウソです。最近豆乳にハマってます。美味しいですよね!


 次回は今週中に!

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