6.覚醒 Ⅲ
駆け足でごめんなさい!
▽ケイ▽
突然、後ろから体を貫かれた。体と言っても左肩のあたりだが。
「あ゛あぁ…ぐっ……」
堪らず声を上げた。いったい誰が…なぜ…状況が理解できない。そのまま押し倒され、床に縫い付けられる。
「ぐっ…」
イタイ、とても痛い。蓋をされている筈なのに、隙間からどんどん血が漏れて血溜まりを作っていく。
「あなたもあいつらの仲間ですね。わざわざ家にまで上がり込んで何が目的ですか?答えてください。」
目線だけ動かすとやっぱり彼女だった。顔がしっかり見えた訳ではないが、この状況では彼女以外にありえない。
「ラーラット……どうして……」
「質問に答えてください。言っておきますが、もうあなたの能力はもう効きませんよ。精神操作の類の能力は珍しいですが、知っていればいくらでも対抗出来ます。」
「いったい何を……」
いったい何を言ってるんだ。その台詞は銃声によってかき消された。
「がぁっ…」
左の腿が焼けるように熱い、恐らく撃たれたのだろう。
「答えてください。」
普段よりも感情的な声で問い詰められる。目的?能力?いったい何の話をしているんだ。思考を巡らせるその間にも血は流れ続けている。致死量ではないにせよ、死を意識させるこの喪失感が何よりも恐ろしい。
「答えませんか。では。」
再び銃を構えた、その時、彼女の後方が閃いたのが見えた。
「後ろ!」
それを聞いた彼女は右肩から剣を抜き、振り向きざまに【光の矢】を切り払った。
「何故、声をかけたのですか?…………後で続きを聞きますから、そこで転がっていてください。」
そう言いながら光の飛んできた方に向けて銃を乱射する。弾切れを確認すると銃を投げ捨て、俺の腰の銃を奪い取り、悠々と歩いてきた黒コートに銃を向ける。
「仲間を助けに来たんですか?ついでですし、あなたにも吐けるだけ吐いてもらいます。」
ラーラットが声をかけるも、黒コートは反応せず、こちらをじっと見つめている。
ヒステリックヒロインに謎の黒コート。ますますややこしく、緊迫した状況になってしまった。異世界あるあるのイージーモードとはいかないらしい。あぁ……それと、もう少し優しく剣を抜いて欲しかった。
しばらくの睨みあいの末、ラーラットが引き金を引く。それと黒コートが走り出すのはほぼ同時だったように見えた。見えたのだが、弾が放たれる時には既に黒コートはラーラットに肉薄している。
黒コートは銃を蹴り飛ばし、続いて回し蹴りを入れる。ラーラットが慌てて受け止めるも勢いを殺しきれず、玩具みたいに床を転がった。
「くっ……でも、この程度なら……」
ラーラットは態勢をすぐに立て直し、剣を構える。それに対して黒コートは未だ丸腰のまま立っている。
「今度はこちらから行きます。」
ラーラットが床を蹴り、真っ直ぐに跳ぶ。一気に距離を詰め、目にも止まらぬ速さで連撃を繰り出すも黒コートに掠りもせず、逆に壁まで蹴り飛ばされてしまった。
「命令には無かったけれど…」
黒コートが呟くと右手に光が集まり始め、剣を成していく。蹴り飛ばされ、そのまま気を失ったラーラットの近くまで歩くとそれを振り上げる。
それを見て考えるよりも先に、体が動いた。剣を振り下ろす一瞬前、二人の間に大の字で割って入る。
振り下ろされる光。左肩から斜めに、バッサリと斬られた。
倒れて意識を失う直前、ラーラットの顔が見えた。いつの間に目を覚ましたのだろう…なんだか悲しそうな顔をしている。そんな顔をして欲しかったのではなかったのに……
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読者の皆様!飽きずに読んでくださってありがとうございます。カワウソです。
思ったよりも話が進みませんね。自分でも驚いています。
次回は明日!だと思います。




