1/1
morning
朝、朝、朝。カーテンから差し込んでいる憎たらしい朝日にまた「今日」がやって来たとため息が漏れる。毎晩「今日」がやって来ませんようにとお祈りしているのに、お節介な神様は私に猶予を与え続ける。こんな世界で生きているのなら、地獄で磔にされた方がましなくらいだ。
「月」
甘ったるい、綿あめのような声で私の名前を呼ぶ男。どこにそんな力が隠されているんだと驚くような白く細い腕で私をきつく抱き締め、ふわふわな栗色の髪の毛と女の私でも嫉妬してしまうような綺麗な顔を擦り付けてくる。いつもヘラヘラ笑って「君が死ぬまで一緒にいるよ」なんて寒い台詞を吐くつまらない男。死にたい、死にたいともがきながらいつまでこの男の隣にいるのだろう。
「俺が殺してあげるまで、死んだら駄目だよ。」
綺麗な栗色とは正反対の真っ黒な私の髪の毛を指先でいじりながら彼は言い、いつものようにヘラヘラ笑う。そうね、君のようなつまらない男に私のつまらない人生を終わらせてもらえるのならそれが一番退屈で最高なエンディングだ、と心の中でそっと呟いた。