第三話 「家族1」
暗い闇の中には今まで経験した出来事が流れていく。就職、卒業、入学。様々な記憶を戻っていった。
私はなんでこうなってしまったんだろう。私は今までの人生を無駄にしてきたと心底思った。だがそれは償いであり、尚且つ彼女に憎まれないためだけであった。彼女はきっと私の事を殺したいと思っているだろう。私があんなことをしていなければ、いや、あそこに生まれなければ。あの時を悔いていると記憶の流れは止まった。
私は目を開いた。私はセーラー服をきて、狭い道の上のいた。水の流れる音や蝉の鳴き声が聞こえる。そこは緑で囲まれた田、ブルルと独特な音のバイク、毎日通っていた駄菓子屋。見たことのある風景が商品の様に並んでいる。懐かしい。
私の通学路だ。ここを振りかえって真っ直ぐ戻ると私の中学校がある。
10年も前の事を覚えていたのは、ここが私の癒しの風景だったからだ。南と毎日ここから話ながら帰った。家は隣なので家につくまで二人とも一緒で近いからという理由で世間話がしやすい。
向かいの家のおばさんは、大根育てていて、それを東京のスーパーに出荷してること、しか思い出せないけど。
"本当に過去に戻ってこれたんだ···"
私は涙をこらえ、かつて自分が住んでいた家に向かって走った。
田を越えて。山を越えて。そんなこんなしてたら家へ着いた。
家には少し広い庭があり、そこで母が園芸をしていた。様々な花があり、ヒマワリ、薔薇、スイカ。スイカは花の部類に入ると思う。うん。入るよ。
門を開けてドアを開いた。ギーっと音を立てるドアは壊れやすく、ちょっとでも開きすぎると部品が外れてドアが手前に倒れる。
靴を脱いでリビングにいくと、父がラジオで野球の試合を聞いていた。父は禿げていて顔のシワも多くデブで怠け者だが、負けず嫌いな所があり、将棋で負けると勝つまでずーっとやりつづける。わざと負けると「本気でやれ!勝った気になれないだろ!」と叱られる。
「おせえじゃねえか。」
父は低い声でこっちを向く。父は門限に厳しい。
「ごめんなさい。学校で補習があって・・・。」
「おめえ成績オール4なのに補習する必要あんのか?」
そうだった・・・。私このときスーパーエリートだった・・・。
「自分から希望したの。ちょっと今から勉強しないとまずいなあって・・・。」
咄嗟に嘘をついたが父はふーんとしか言わない。全くこの無愛想チョベリバ爺は安いラーメンの具になってしまえばいいのに。いやコッテリしたラーメンにもなるね。良いダシがとれるよ。
そんなこんなでキッチンに移動した。そこには、料理をしている母がいた。髪はショートで、顔は4・・・21歳とは思えないほど顔つきが良い。目は丸く、鼻は高い。手は細くとても綺麗だ。母はこっちを向いて「ただいま位言いなさい」と言った。いつも言われたなあ。私は「ただいま」と言って部屋に戻った。
部屋には、無数の人形が置いてありどれもくまさん人形だ。ベッドはピンク色で可愛い。うん。それだけだよ?他は何もないよ?下着もちゃーんと床に置いてないからね?
私は疲れているのか眠くなってきた。このまま寝よう。ベッドに横になった。
あれ、夢なのに夢のなかで寝るの?可笑しくね?マジウケるんですけどw
ハァ・・・。寝よ。