最終話『太一君は恋を求める』
あれから半年経ち……そして今は桜咲き乱れる4月。
俺とアホウ(和也)は奇跡的に留年を免れ、三年生に進級できた。
あれからというものの俺達の関係(※主人と下僕)は変わっていない。
あぁ、海ちゃんやエミリ、葉月姉妹の関係も変わっていないわな。
……そして、未だに彼女もいない。切ねぇ……と、まぁそれは置いといて。
そして今日は大学の入学式。俺と和也は中庭のベンチに居座っている。
「おい…和也」
「ん?どうしたよ?太一?おっぱいが恋しくなったか?」
「ちげぇよ……なんで休日なのに大学に来なきゃあならねぇんだよ」
うちの大学の入学式は在学生は出席する必要ない。なので在学生にとっては今日は休日になっている。
「へへ♪そんなもん決まってんじゃん」
「はあ?」
「新入生のかわい子ちゃんをナンパするために決まってんじゃん」
「俺、帰っていいか?」
「ま、ま、いいじゃん♪もしかしたら新入生の中にしゃこ○ん似の子がいるかもしれないぜぇ?へへ♪」
「しゃこ○んじゃなくてしょこ○んな」
「へへ、お♪見ろよ!太一!きたぞ!プリチーなお・ん・な・の・こ♪あんさんも好きっしょ〜?」
「プリチーとか言うな」
「へーイ♪そこの彼女達!かぁいいねぇ♪僕たちと一緒にお茶しない!?おごってあげるからさ♪」
早くも仲良くなったのか2人で歩きながら喋っている女の子に声を掛ける和也。おごる金なんざねぇくせに…
「…はい?あの?ここの在学生の方ですか?」
メガネをかけて清楚な雰囲気の女の子が和也に問いかける。こんなアホに敬語を使うなんて……なんて健気な子なんだ。
「うぅん♪僕達、ここの在学生!ちなみに僕はこの大学のマスコットキャラ的な存在だから皆から崇め奉られているんだよね♪あ、あっちにいる人は無愛想な顔してんだけど僕の手下みたいな人だから!ヨロシクね♪」
嘘をつけ……
「あ、こちらこそよろしくお願いします、先輩」
「よろしくお願いします先輩」
2人の女の子は和也に丁寧な挨拶をする……そんな奴にんなことしなくてもいいのに……
「うんうん♪よろしくね♪ところで君達もう入学式終わったんだよね?これから僕たちとカラオケにしゃれ込まない?入学祝いという事でにゃんにゃん騒ごうよ!」
和也から下心丸出しな発言が飛び出した。
「え…えっと…?(汗)」
「……ど、どうする〜?那美ちゃん?」
困った顔を浮かべる女の子達。そろそろ止めるか……
「君達、嫌なら嫌って言っていいんだぞ?」
「ちょっと!?何言ってんですか!?あんた!?(汗)」
和也が焦った顔を浮かべる。しかし、構わず続ける俺。
「カラオケとか個室に連れ込まれたら汚されるかもしれねぇぞ?」
「あぎゃあああああ!!!!!何言ってんですかぁあああああ!!!!!あんたぁあああああ!!!!!」
「そ…そうなんですか?」
「那美ちゃん…止めといた方がいいんじゃ……」
「しないしない……(汗)そんなことしないよ……大丈夫、や、優しくするから……(汗)」
「君達、こいつ優しくナニかをするつもりらしいぞ」
「あんたもう黙ってくれませんかねぇ!?(汗)」
「ああ…ちなみにもういないぞ」
「…へ?……ってああああああああああ!!!!!!!!!!」
結局、あれから数人の新入生に声を掛けた和也だがことごとく失敗に終わる。
「………(泣)」
「残念だったな。まぁ、これはなんというか運の尽きというやつだな、そういう星の下で生まれたと思えよ、な?」
「全部あんたのせいでしょ!?(泣)くそぅ……悪魔みたいな奴だ」
「よせよ、照れるじゃねぇか」
「別に褒めてませんからね!?」
「俺にとっては最大の褒め言葉だ」
「……はぁ、もういいっす」
「ま、頑張れYO」
「すんげぇムカつくんですけど……」
おまけ
「……で、結局俺の家が溜まり場となるんだな」
「あぁ……やっぱ、この部屋の独特の匂い……いいねぇ……つい依存してしまいそうだよ」
「気持ち悪いからな」
「……で?何する?太一?」
「何もするな」
「……へいへい」
「………」
「………」
「…あ、息もするなって意味だからな」
「それ死ねってことかよ!!!!!(汗)」
変わらぬ日々を過ごす俺達……けど、そこに『恋』がある限り俺は求め続けるだろう。
何をって?そりゃあ……
人生のパートナーという名の彼女を。これからもずっと………な。
太一君は恋を求める fin
最後まで読んでくださった方々、本当にありがとうございました。感想等ありましたらよろしくお願いします。