第16話『メス>犬>……(越えられない壁)……>もやし>和也>消しゴム』
「よぅ!太一!今日は我が家の家族を連れてきたぜ!!!」
「バウ」
大学の中庭でカツサンドを頬張っているとなぜか和也が犬を連れてやって来た。
「大学に犬を連れてくるなよ……」
「へへへ♪どうだい?太一?僕に似てなんか貫禄つーか、ダンディでしょ?」
「バウ」
「………」
……いや、ブルドッグだしな………むしろ、ブサ……おっと、お犬様に失礼だな。
「へへへ♪まぁ、見ててよ♪こいつは僕に従順なんだよ♪じゃあ、まずは……サンダーバード弐号!お手!」
サンダーバード弐号………無駄にカッコいい名前だしな。
「………」
和也が命令してもピクリとも反応しない……
「おい、全然反応してないぞコイツ」
「あ、あれ?(汗)お、おかしいなぁ………あぁ!そうか!きっと今の僕の声が聞こえなかっただけだよ!うん!うん!そりゃあ、仕方ないよね!うん!じゃあ、もう一回いってみようか!!!トンペイ!!!」
「さっきと名前変わってるからな」
「じゃあ、行くよ〜♪はい!お手!」
「………」
さっきより大きな声で命令するも全然反応しないサンダーバード弐号もといトンペイ。
「おい、やっぱり全然反応しねぇぞコイツ」
「そ、そんなはずは……(汗)お〜い?ほ〜ら?お手だよ〜?」
和也はさらに犬に近づき手を差し伸べるが………
「ぺっ!」
「………(汗)」
「完全に舐められてるわな」
「こ、このバカ犬………ち、違うよ!太一!ポン太は前足が筋肉痛で動かせないんだよ!だ、だからお座りならできるよ!うん!じゃあ、お座りやってみようか!キバヤシ!」
「さっき普通にお前に引かれて歩いてたじゃねぇか。あと、犬の名前ひとつに統一しろな」
「ほら!お座りだよ!ポン助!」
「………」
ぷりぷり
「………(汗)」
「おい、ウンコし始めたぞコイツ」
「こ、この………人間様をバカにしやがって!!!いくら温厚な僕でも、もう玉金袋の緒が切れたね!!!もう許しませんからね!!!!!う、うらうらぁ〜〜〜〜〜!!!!!死ねやバカ犬〜〜〜〜〜!!!!!」
「堪忍袋の緒な」
犬相手に何本気で切れてんだコイツ。
「お犬さんをいじめちゃだめですぅ!!!!!」
メキッ!!!!!
「あげぷぅ!!!!!」
バタ………
いきなり後ろから誰かにフライパンで叩かれ、倒れた和也………って
「あれ?美由ちゃん?」
「はぁ……はぁ……よかったですぅ、お犬さん大丈夫ですかぁ?」
「バウ〜♪」
シカトですか美由ちゃん………ってこのバカ犬、なんかサカッてねぇか?
「お〜〜〜よしよしですぅ〜〜〜♪あはっ!そんなとこなめちゃダメですよ〜〜〜♪あひ!こ、コラ〜〜〜だめですよ〜〜〜〜〜」
「バフ♪バフ♪バフ♪バフ♪」
ペロペロペロペロペロペロぺロぺロぺロぺロ
………なんか無性に腹が立つんだが………ある意味、飼い主ににてるわな、こーいうところだけは。
そろそろ美由ちゃんにちゃんと声掛けるか………
「美由ちゃん」
「………?あ〜太一さん!こんにちわ!」
「あぁ………こんにちわ。でさぁ………俺、お昼カツサンドだけだったんだよな……あ〜腹減った」
「あ、それなら私のお弁当食べます?私、おなか空いてないので食べてもらえると嬉しいです」
「いや………俺のためにそんな………それより今、目の前にいい食材みつけたんだよな………」
美由ちゃんが抱えている生き物をじっと見つめる。
「あ、あの何を見ているんですか………?」
「いや……気にしないでくれ………」
さらにじっとその生き物を見つめてみる。
「………ま、まさか………お、お犬さんをた……食べ………」
「犬鍋ってうまいのかね?美由ちゃん?」
「………!だ、ダメ!ダメですぅ!!!お………お犬さんを食べちゃだめですううううう!!!!!」
「はははっ!冗談だよ!美……」
「食べちゃ…食べちゃ…食べちゃイヤですうううううううううう!!!!!!!!!!」
「あ、あの………?美由さ………」
「いやいやいやいやいやぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!!!食べちゃいやですうううううううううう!!!!!!!!!!」
「何、お姉ちゃん泣かしてんのよォォォォぉおおおおお!!!!!!!!!!」
バッコーーーーーン!!!!!!!!!!
「ぐはっ!!!!!」
い、いてぇ!!!!!今、背中にモロ、ドロップキック喰らったぞ!?
「お姉ちゃんを泣かしたらタダでは済まないわよ!?分かった!?」
「なんだ………美夜ちゃんか………イテテ、腰打った」
「あ……太一さん!!!だ、大丈夫ですか!?」
「あ〜、大丈夫大丈夫。折れてないから」
しかし、今の当たり所が悪かったら折れてたぞ………きっと。
「こら!美夜ちゃん〜〜〜!?太一さんにちゃんと謝りなさい!!!」
「え、えぇ!?今のはあきらかにコイツが悪いでしょ!?だって……お姉ちゃんを………その……(///)」
「俺は軽い冗談を言っただけなんだが」
「う、嘘!お姉ちゃんをく、………喰うとか………その………(///)」
「あれ?俺、そんな事言ったっけ?」
「い、言ったわよ!(///)あ、あわよくば………お、お姉ちゃんの脱ぎたての体操服を使ってい、色々したり………い、今だって!お姉ちゃんの食べ残しを嬉しそうに奇声を上げながら貪るように舐めまわすようにバクバク食べようとしてたでしょ!?」
いや………後半、すんげぇ脚色されてねぇか?前半なんてただの変態的な妄想だし………
「そんな事考えてないし………っていうか何気に美夜ちゃんってエロイよね?」
「〜〜〜〜〜(///)そ、そんなことない!!!!!」
………恥ずかしがっている美夜ちゃんかわいいな………初々しい………
「な、なにキモイ顔でにやけてんのよ!!!!!変態!!!!!」
「………で?お姉ちゃん?その抱えている生き物は何?」
「お犬さんですぅ〜〜〜〜〜」
「きゃうぅ〜〜〜ん♪ゴロニャ〜〜〜〜〜ン♪」
随分、さっきと泣き声が変わったよな……このバカ犬。
「わ、私はこれで……」
「!きゃう!きゃう〜〜〜〜〜ん♪」
ちょうど回れ右をして帰ろうとしていた美夜ちゃんを見つけたバカ犬は美夜ちゃんのほうへ寄ってきた。
「い……いやぁ!どうしてついて来るのよ〜〜〜〜〜!!!!!この犬!!!!!」
「バフ〜バフ〜♪」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!!!!!!!!」
「い、いやぁ〜〜〜〜〜!!!!!来ないでぇええええええええええ!!!!!!!!!!!」
「きゃうきゃう〜〜〜〜〜ん♪」
「………ねぇ?美羽ちゃん……もしかして……」
「美夜ちゃんは大のお犬さんが苦手ですぅ………こんなにお犬さんかわいいのに………」
ブルドッグを純粋に『かわいい』って思う人なんかほとんどいないと思うんだが………あぁ、チワワは可愛いけどな
なるほど………一応、覚えとこう。これからの生活のために色々と。
こうして今日もダラダラと時間が過ぎていくのであった………




