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◇鏡に映った私の望み。
鏡の前に座って、問う。
毎日、毎朝、毎晩。それが私の日課。
いつまでも美しくいたいわ。年を重ねても、それは年を重ねた美しさがあるものでしょう?
私はこの世で一番美しい王妃。
こんな王妃を娶った夫は幸せ者ね。
私の容姿を受け継いだ娘も、とても幸せ者だと思う。
でもね、娘が母を超えてはならないのよ。
「鏡よ鏡よ、鏡さん。世界で一番美しいのは、だぁれ?」
『世界で一番美しいのは、雪のような白い肌、熟れた林檎のような真っ赤な唇、黒曜石のような黒い髪を持った――』
いつもなら迷うことなく告げられる『あなた』という言葉。
それが、それが!
今日に限っては違った。
告げられたのは――娘の名。
心を渦巻く、嫉妬。
ふと鏡に映ったのは、
――卑しい魔女の顔の、私。




