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癖のあるサバゲー部員 癖のある隣人達

どうも、お久しぶりです。覚えていらっしゃる方はいるでしょうか。

まず始めに、長期間投稿を無断でストップしてしまい、申し訳ありませんでした。

当時、この作品は、かなり危険な匂いのする作品としたかったのですが、作者の実力では無謀ということをしみじみ実感しました。そのため、誠勝手ながら、この作品の方向を大幅に変更したいと思います。そのための修正を加えている内に、このような長期間休載となってしまいました。元々不定期更新としつつも、いくらなんでも間が開きすぎた気がします。作者の力不足をお許し下さい。

という訳で、あらすじを大幅に変更します。つまらなくなったと感じた読者様はいますぐ端末を気になるアノ子にぶんなげてくれてかまいません。

また、1話の後書きは、忘れてくれると助かります。



それでは、長くなりましたが、第2話をどうぞ。

相変わらずのグダグダした文章ですが、それでも良い方はお付き合い下さい。

 

4月9日 PM6:52 中野駅5番線ホーム


─北都高校女子サバイバルゲーム部ってんだ・・・──


「・・・・はぁ、どうしたらいいんだろ私。」


どこか遠い目で一人呟く彼女は、帰りの電車をまちながら数刻前の出来事を思い出していた。



─────────


「サバイバルゲーム部・・・ですか?」


茅根は、先輩である真由からの返答をそのまま復唱した。


「そ、通称サバゲー部、サバゲーってのはいわゆるモデルガンを使って敵チームと戦う戦闘ゲームのことなんだけれど、その位は知ってるか?」


茅根もその程度の知識なら持ち合わせていた。


「なら話は早いや。此処はサバゲーで他校との戦闘で競う部活なんだ」


「えっ!?他校って、他の学校にもあるんですか!?」


「ん~各都道府県に少なくとも一校は存在するから、間違いなく47以上はあるな」


(・・・今確信した。世界は広い)


自分たちの常識を覆されて呆然とする二人だが、サバゲー部の常識はとどまる所を知らない。


「私達がするサバゲーは通常のモノより危険だぜ。なにしろ使う機材は全て本物だからな」


「え?」


茅根自身間抜けな声だと思った。


「本物の銃だよ、ここにある物は。最も弾は硬質ゴム弾だから安心して大丈夫だ。そう簡単に怪我しねぇよ」


二人はギョッとした。普通の高校生が、実銃を持って他校の生徒と戦っている姿を想像してしまった。そしてそれを平然と語る目の前の真由に。


日本の特殊急襲部隊SATなどでも、暴徒鎮圧にゴム弾が使われる例がある。

しかし、本物のそれと変わらない速度で発射される弾は、生身の肉体に当たれば即気絶するほどの凶暴性を秘めている。

ヘタな部分に当たれば骨折や重度の障害を背負う事も有り得るのだ。

通常、一部の物好きを除けば、そういう物に興味を持つのは圧倒的に男の方が多い。年頃の女の子とは縁の無いものだと茅根は思っていた。


「やっぱり驚いたか?バイオレンス?」


「そりゃあ当然だと思いますが・・・。

大体銃だなんて・・・。

銃刀法違反で即しょっぴかれますよますよ」


「・・・随分遠慮なく言うな、本人達を目の前にして。これでも傷つくんだぜ。あくまで許可はとってあるんだけど」


真由が少々不服そうに呟く。もしかしら、彼女達にとってその言葉はタブーなのかもしれない。


「いえ!別にそういうつもりじゃ・・・」


嘘だ。多少はそういった感情もあるはず。


「あの、普段の部活ではどういった活動をしてるんですか?」


入江が質問をする。大人しそうな性格とは違い、興味深々といった感じだ。


「別に普通の部活と同じ事しかしないぜ。まあ楽しい事は間違いないな」


サバゲー部を普通の部活と同じように考えて良いのか疑問に感じる茅根だった。何せ危険度がケタ違いだ。唖然とするしか無い。


「どうだ、興味を持ってくれたか。」


真由がズン、と身を乗り出し机に肘をつきながら 二人に詰め寄る。その動作により揺れる真由の胸に若干のデシャビュを感じながら茅根は考える。


「いやまぁ興味がないといえば嘘になりますけど・・・・・・。

いくらなんでも危ないじゃないですか」


「実戦のときはこれ着るから、そんなに危なくはないんだけどな、それでも運が悪ければ怪我する事もあるけど」


そういって真由が取り出したのは、アクション映画で、『雑魚だけど格好だけ手ごわそう的な兵士が身につけている次世代ハイテクな宇宙服みたいな防弾服(ヘルメット付)』だった。


「・・・・・本格的ですね」


実銃を使っている時点で、異常なほど本格的だが。


「あの、私達サバゲーはおろか、銃だって触った事ないんです。初心者から始めて、まともに戦えるようになるんですか?」


続けて入江が質問する。


「大丈夫さ、私達だって初心者からの入部だった訳だし。

他の連中だって、殆ど初心者からだと思うけどな」


要は一部をのぞけばスタートラインは一緒ということだ。


「それで、話戻すけど、そっちの娘はどうすんの?」


真由が入江に話かける。

茅根は、入江の性格からして、入部する事はないと考えていた。なにしろ、小動物並みにおとなしい(胸以外)


だが


「えっと、私は・・・・少し興味あるんです。それに、他に入りたい部活もないし・・・・

入部・・・・しようかな?」


まさかの答えが飛び出した。入江が銃を握る姿など、茅根は想像できなかった。真由達も少し意外そうな顔をしている。(ちなみにアリスの顔は変化していない)


「ちょっと奈々!?

本気でいってんの?

言ったら悪いけどあんたが銃握ってたらシュール極まりないよ!?」


言ってしまってからなんとも失礼な事を言っていると茅根自身も感じていた。それでもその様に彼女に言ったのは、彼女を本気で心配していたからだった。


部室が重苦しい空間になってしまった。


「・・・・ごめん、言い過ぎた。私に奈々のやることを否定する事が出来るわけないのに・・・。

先輩達もすいません」


謝った所でどうにかなるかわからない。

もしかしたら、奈々とは数日間で溝が出来てしまったかもしれないとまで考えた。


しかし


「・・・・・・いいんだ、自分でもバカなこと言ってるって分かってる」


入江はどこまでも優しい女の子だった。


「でも、茅根ちゃんが抱いているような私のイメージを、変えたいんだ。だから、私は此処で頑張りたい」


強い意志だった。


「・・・・決まりだな。

で、お前はどうすんの?

茅根ちゃん?」


わざわざ『ちゃん』をつけなくてもいいだろうと突っ込みたい茅根だった。


「私は・・・・・・・・私は、やっぱり奈々が心配です。だから・・・・・・・・・私も是非、入部させて頂きます!」


その言葉で、部室に笑顔が戻った。真由の顔が一瞬怪しくにやけたのは気のせいだろう。


「ふん、いい返事だ。改めて、ようこそ、北都高校女子サバゲー部へ!!」




──────────


「そういえば、この『欠点保持者大歓迎』って、どういう意味なんです?」


茅根が部活紹介の紙を指差しながらそんな質問をした。


「あぁ、それはだな・・・」


と真由が説明し始めた。


「サバゲー部にも大会があるんだけれど、そこで好成績を残せば、警察とか自衛隊とか国家直属のSPなんかからスカウトが来るんだよな」


「我が校はただでさえ偏差値27なんていう超低レベルな学校じゃん?あんまり成績が低いと進学も就職も出来なくなっちまう。だからサバゲー部で働き口を見つけてみたらどうだ?って、そういう意味」


「はあ、なる程です。

因みに先輩達って・・・・」


「察しがいいじゃん。私は違うけど、後ろの二人、アリスとハルカはそんな理由だな」


「「真由、余計な事・・・・・・」」


アリスとハルカが怨み籠もった目で三人を見つめた。


「と、とにかくだ、二人の入部も決まっし、とりま自己紹介して貰おうぜ」


まさに蛇に睨まれた蛙。あせる真由であった。



──────────



以上 回想終了


入部とは言ったものの、


「・・・・何でかなぁ。」


半ば勢いで入部してしまった事を今更ながら後悔している茅根であった。入江と真由に上手く発破をかけられたら気がするのだ。


《まもなく5番線に、快速高尾行きが・・・・・》


「何でかなぁ・・・・」


と再び呟く茅根は、悪くないだろう。


本日は厄日ナリ




──────────


(なんで東京の電車ってああも混むんだろ。うぅ・・・気持ち悪っ。)


育った環境の違いというのは恐ろしいもので、人混みにいると酔ってしまう体質の茅根。通学の車内は彼女にとって1日の内で最も試練となる時間である。


(今夜のご飯は・・・、ダメだ。今何も考えられない。)


精神的大ダメージの茅根はまっすぐ家に帰る事にした。晩ご飯の事はそれからだ。


「てか、鞄重い・・・」


茅根の持つ鞄から、時々ガチャガチャと金属質のぶつかり合う音が聞こえる。

その鞄には武器が入っている。

 

 マイクロUZI


真由に、


「とりあえずもっとけや」


などと軽く持たされてしまったのだ。

そう言われても、茅根に銃に関する知識など皆無だ。

携帯性がありそうだったので適当に選んできてしまったのだった。

マイクロUZIは、その小さなデザインと群を抜く軽量さで、か弱いオンナノコが持つには最適だが、一分間に1400発という優れた射手速度をその小さなボディで生み出すため、命中力が犠牲となる。熟練者が扱わなければその性能を発揮する事は出来ない、一長一短なSMGなのだ。


そんなことは全く知らない茅根は、出来ればこの土日で使う機会がないようにと願っていた。


しかし、サバゲー部にそんな甘い考えは通用しないことを近々茅根は知ることとなる。 第一、何故家に帰るのに武器を持たされたのかを考えるべきだった。やはり茅根はバカなのである。




同日 同時刻 北都高校サバゲー部部室


真由は部室に備え付けの端末を操作していた。理由は、茅根と入江のデータをサバゲー部の運営委員会に送り、登録するためだった。


「いやー、まさか二人も新入部員かくるとは。今年は公式戦出れないかと思ったぜ」


嬉しさに独り言も次々と出てくる。快調にキーボードを叩いてゆく。


「えーっと、武器は各自に決めて貰うとして、とりまアーマー制服だな。サイズはっと・・・・・。

うわ、茅根の制服、データで見てもでも超ちっちぇ」


余談だが、茅根はとても高校生には見えない程異常なお子様体型である。そのレベルは、ランドセルが似合う、お子様ランチが通る、つるぺたetc・・・。

とにかく凄まじいのである。茅根にマイクロUZIを持たせたのもそれが理由だ。恐らく、アサルトライフルなんて持てないのではないか。因みに入江には只のUZIを持たせてある。いざという時に使いこなせるかは、彼女達次第だが。




と、此処で真由は違和感を覚えた。何か大切な事を彼女達に伝え忘れた気がするのだ。


今日の記憶を遡る。遡り遡りそして・・・・・


「あ゛ああぁ゛ぁぁぁ!!」


思い出した。茅根と入江に、サバゲー部に在籍する上でもっとも大切な事

を伝え忘れていたのだ。アーマー制服なんて物騒なものがなんの為に必要になるのかを。


「やっべぇよ!あいつら探さなきゃやべぇ!」


‘サバゲー部は24時間365日、如何なるときも活動を停止しない’


その意味は


「あいつら、他校の連中にやられちまぅ!」




同日 PM 7:50 自宅


すっかり暗くなってしまった。気分改善のため、夜の風に当たりながらぶらぶらしていたせいだ。

玄関の鍵を開け、中に入ろうとしたその時だった。


(ッツ!?)


生暖かい風と共に背中に視線を感じ、あわてて振り向く。

当然ながら誰もいない。と、言うよりかそんなことは不可能だ。ここは都営住宅の4階。後ろと言えば原因の何かは空中に浮いている事になってしまう。


(何・・・今の?。)


舐めあげるようなねっとりとした視線。普段の茅根ならば視線の出所を探す事も出来ただろうが、都心の騒音と正体不明という気味悪さがそれを邪魔する。


‘ストーカー’


一人暮らしをする女性にとって、それは恐怖以外の何ものでもない。


(・・・・・・やだッ・・・・。)


恐ろしくなった茅根は、飛び込むように部屋に入りドアの鍵を叩くようにしめる。

未だに視線の主が見ている事も知らずに・・・・。


──────────


「嘘でしょ・・・・」


冷蔵庫に食材が無い。

夜ご飯の支度をしようとすれば、こんなオチが待っていた。一晩中飢えに耐えなければならなくなる。それどころか明日の朝ご飯にも影響がでることは明確だ。恐る恐る玄関に目を向ける茅根。さっきの出来事がまだ頭に残っていた。今は外に行きたくない。またあんな視線に怯えながら行動しなければならないのは御免だ。

されど身体は正直な奴で 、人前で晒せないような音をたてている。


たっぷり20分、考えた末、


(・・・・・よしっ!!

行こう)


机に出しておいた、自分のマイクロUZIをむんずと掴んで手提げバックに放り込む。さながらヤケの入ったその行動は、恐怖に打ち勝つための茅根なりの行動だった。ドスドスと公共住宅らしからぬ音をたてて廊下を突き進み、ドアノブに手を掛けたところで茅根の動きが止まった。ヒタリと耳のうなじを汗がつたう。


(・・・もし目の前にストーカーが待ち構えてたりしたら・・・・。)


ううん、と頭をよぎるビジョンを打ち消し、空き巣防止用の重量あるドアを思いっきり開ける。


「痛っでぇ!?」


ゴチンという生々しい効果音と共に、若い男の声が聞こえた。

勢いよく開かれたドアは、外にいた何者かを正確に撃破したのだった。


「あんたね!!さっきから私のことみて・・・・た・・・え?」


無意識の内に片手に持った箒を振りかざしてトドメをさそうとした茅根は、そこでなにかに気づいた。ドアにふっとばされた何者かは、仰向けに倒れながら床でうめいていた。

整った顔立ちにすらりとした身長。身に纏う北都高校男子生徒の制服。そして、首元に輝く生徒会の校章・・・、

そこに倒れていたのは、茅根の家の2つ隣に住む


「せ、生徒会長!?」


──────────



「ッツ・・・。痛ってー!テメェ少しはきおつけろよな!」


「なっ・・・・あ、あんたこそ、なんで私の家の前にいるのよ!?

・・・まさかあんたが私をストーカーしてた犯人!?」


「ふざけんな!!人をドアに叩きつけたあげく、今度いきなりはストーカー呼ばわりかよ!」


とても異性の先輩後輩の会話には聞こえないが、それにはちょっとした乙女チックな理由がある。話は5日前、茅根がスーパーから帰宅した際、通路で頭をかきむしっているこの男───(表札からして田中と言うらしい)─────を発見した所から始まった。

正直関わりたくなかったが、ご近所さんを無視するわけにもいかず、声をかけたのだった。


「あの、どうかしましたか?」


「え?」


たっぷり10秒固まってから


「・・・あっ、こないだ引っ越してきた!確か秋乃さんだっけ?」


「はい、それでどうしたんです?何やら尋常じゃ無いくらい困っているように見えたんですが」


「あぁ、それが家の鍵を無くしちまって、捜してたとこ」


「はぁ・・・・、なら管理人室から合い鍵借りてくればいいじゃないですか」


「いやー、それがね・・・・」


話を聞くところ、この男、近所でも有名なお粗末人間で、鍵を無くした回数は数しれず。管理人からも、これ以上問題起こしたら出てってもらうぞこの野郎、と言われているらしい。


「・・・腹くくれば?」


「いや無理!でてけとか言われたらマジ洒落になんないし!」


余りの事に呆れ、いつの間にか敬語の消えてしまった茅根であった。


ところで、秋乃茅根と言う人間は、属に言うお人好しな人間である。

たとえれば、街中で迷ってる人がいればほっておけないタイプである。

そんな茅根は、理由を聞いてしまった以上ほっておけない訳で


「はぁ・・・、

ちょっとそこどいて」


田中を扉の前から引き剥がし、そこに陣取る。

そして、制服のポケットからあるものをとりだした。


「なんだそれ?」


見慣れない道具に思わず質問する田中。


「詳しくは話せないけど、ピッキングツールの一種。なんで持ち歩いているのかについては触れないで」


そういって鍵穴を弄りはじめる茅根。田中も自分の為にしてもらっていることなので黙ってみていた。



「あぁ!もしかしたら原チャリに付けたまんまかも」


唐突に田中がそう言い出した。


「だったら見てくれば。私はもう少し粘ってみるから」


「おぅ、済まねえ。この借りはいつかかえすわ」


「下らないこといってないで、さっさと行ってくる!」


そういって田中が消えた後も、茅根は暫く鍵穴と格闘していた。仮にも忍びの末裔。この位の技術は持ち合わせている。

そして数分後・・・・


手応えとともにガチャリという音が響き渡った。


「よし、成功かな。

ぶっ壊したらどうしようかとおもったわ」


何気に危ない事をさらっという茅根。


と、ここで茅根はある視線を感じとった。

その視線の発生先を見ると・・・・。


茅根と田中の部屋の隣、そこにすむおばさんが、ドアの隙間からこちらをみていた。言うならば、某家政婦ドラマを連想させるような格好で。


「!!?゛」


とても発音出来ないような叫び声を上げる茅根。その時、茅根はある一つの問題に気づく。


『このおばさんは、どっからこのやり取りをみていたか』


田中が原チャリの下へ行く前なら問題はないだろう。

だが、茅根が一人になってからだとしたらどうだろう。


‘同年代の男子の部屋の鍵に、女子がピッキングツールをねじこんでいた’


この光景を前にしたら、人は2つの可能性を考えるだろう。


・空き巣

・重度の愛


茅根にしてみれば、どちらもマズい、マズすぎる。


おばさんは、無言でドアを閉めた。まるで今見た光景を忘れようとするように。


数分後、田中が鍵を見つけて戻ってきた時、何故か顔を真っ赤にした茅根が突っ立っていた。



──────────



と、いう事があった。

流石に空き巣と勘違いされるのはマズいため、あの後田中に、大変不本意であるが口裏を合わせて彼氏役をしてもらっていたのだ。

そう、役。うん、役。つまり、役。


「で、あんたはここで何してんのよ?」


「どうしたもこうしたも、バイト先行こうとしてあるいてたら、いきなりお前が扉を叩きつけてきたんだよ」


「あぁ・・・・それは、ごめん」


流石にバツが悪いのか、素直に謝る茅根。


「別にいいけどよ、お前はお前でそんな汗ぐっしょりになって何してんの?」 


言われるまで気づかなかったが、緊張のせいか、気持ち悪い汗を大量にかいていた。


「べっ、別にコンビニに行こうとしただけよ!

じろじろ見るなこの変態!!」


制服のままの茅根は、汗で透けており、男子には決して見せられないような姿になっていた。


「はん、別にお前の貧相な身体見たってどうともおもわねぇよ」


「言ってはならん事を言いやがったなこの野郎!!」


ぎゃーぎゃー騒ぐ二人は、恋人に見えなくもない。だが、ここはマンション、大声での会話は誉められないが。


──────────


「で、なんであんたは私の後をついて来るわけ?」


「仕方ねぇだろ・・・。目的地は一緒なんだから・・・」


着替えを済ませた茅根は、田中と共に近場のコンビニを目指していた。


「お前、部活なんか入ったか?」


「何よ、あんたには関係ないでしょ」


「これでも生徒会長だからな、生徒諸君の事は気になる訳で」


「こんな時だけ生徒会長ぶって・・・。あんたみたいなちゃらんぽらんな奴がよく生徒会長務まるわね、流石、超低レベル高校」


「お前もその一員だけどな・・・・」


「ふん、いいわ、教えてあげる。サバゲー部に入部した」


「サバゲー部か・・・・。確かに、おてんばなお前にはぴったりかもな」


「うっさい!!」


なんて会話を繰り広げている内に目的地についた。茅根は入り口から、田中は従業員入り口からそれぞれ入店する。



──────────



「こんなもんかな」


買い物籠の中を確認し、レジへと向かう。

ちょうど、田中の担当するレジが空いていた。


「いらっしゃいませ。ありがとう御座います。ポイントカードはお持ちですか?」


「いえ」


互いに知らぬふりをして作業を進めていく。



「お会計、624円になります(俺が払ってやるよ)」


小声でコンタクトをとってきた。


(はあ!?なんでまた?)


(こないだ言ったろ。借りは返すって、他の客に気づかれないようにしろよ)


要は奢ってくれるらしい。借りというのは、例の忌々しい鍵事件だ。


(・・・・・ありがと。仕事頑張って)


(あぁ・・・・)


「ありがとうごさいましたー。またお越しくださいませ」


足早に店を立ち去る茅根。なんだかんだで、互いを意識する二人であった。


──────────



同日 PM8:50 


独り道を歩く茅根。片手には、奢ってもらった晩御飯が吊さっている。 


(なんなのよあいつは、変な所だけ男らしくて・・・・・)


頭にのこる田中の事を忘れようと早歩きで自宅をめざす。


その時だった。


「あれ・・・・」


思わず間抜けな声がでてしまったが、反応する人はいなかった。


いないのだ


自分の視界に


人が、車が


確かに、大通り程ではないが、この道もそれなりの通行量はある。しかし、いまは気配すら感じられない。


(何なの・・・・・?)


ただならぬ事態に、茅根も警戒を強める。





「秋乃茅根・・・・・。

うん、データと一致してる。あなたのことでいいのよね」


ふらりと一人の女の子が姿をあらわした。恐らく高校生だろうか。


「誰です・・・・!」


緊張の籠もった声で応答する茅根。





「あぁ、自己紹介が遅れたわね。下連雀大学付属高校サバゲー部、部長。

芹澤 アルマよ」


その少女は


「少し話がしたいのよ。

いいわよね。北都高校サバゲー部部長、秋乃茅根さん・・・・・」


妖しく微笑んだ。

『戦乙女な女子高生』(イクサオトメナジョシコウセイ)

と書いて

『戦乙女な女子高生』(JKヴァルキュリー)です。


作者のネーミングセンスが、限りなくゼロに近いので、そのへんは勘弁してください。

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