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あなたには、人を傷つける勇気はありますか? 楽

諦めずに新作?やっちまいました。いつものごとく、超不定期でいつお蔵入りになるか分からない&メチャクチャな設定元ですが、それでも良い方はどうぞ。嫌な人は、早めに戻るのをお勧めします。


4月8日 AM6:40


枕下の携帯のアラーム音で、この部屋の住人、秋乃茅根は静かに目を覚ます。今時の高校生、アラーム一つで朝を乗り切れるかと言えばそうでもない。此処だけの話、未だに親に頼っている人も多いだろう。


しかし、茅根はそうも言っていられない。何故なら、今の茅根には、朝を知らせてくれる人もいなければ、朝ご飯を作ってくれる人もいない。

簡単に言えば、茅根は一人暮らしだ。


茅根は今年で16をむかえる、まだ中学を卒業したばかりの女の子だ。

そんな茅根がなぜ一人暮らしをしているのか、その答えは、実家の事情だったりする。


秋乃家の次期当主は、一度15で家を出なくてはならない。


秋乃家に昔からある古い取り決め、茅根は忠実にこの取り決めを守っている。


秋乃家とは、日本の歴史の裏に存在し、常に権力者の直属にいた存在。


現代的に言うならば

“スパイ” 

より正確には・・・

“忍び”

の一族だ。

茅根は、秋乃家14代目の一人っ子であり、次期15代目となる存在だ。


「ん・・・、朝ご飯食べなきゃ。」


今時忍びの末裔など、頭の痛い冗談で片づけられてしまうが、事実と言うものは面白い。


「・・・頂きます。」


一見、時期一族の当主などという肩書きをもつと、そいつは優秀だ。などという概念が生まれ易いが、彼女の特徴を一言で言うと、『アホ』だ。

別にどこぞのアニメの主人公のように、《天然》とか《電波》という訳ではない。ただ単純に勉強が出来ないだけ。


「ご馳走さま・・・。

お粗末さまです。」


高校入試ではそのスキルがこれでもか! という位露出し、2教科が赤い点。唯一の合格は偏差値27の超低レベル高校、

公立北都高校だけだった。



「行ってきます。」





──今日は北都高校の入学式だ。






同日 AM9:10



「あーあー。

生徒諸君。本校への入学────」


【やっぱどこに行っても、校長の話ってのは長いんだ・・・。】


なんて考えてしまう茅根は悪くない。そもそも校長なんて、大きな行事が有るとき位しか見かけないものだ。他の時間の校長の行動を知っている生徒なんて、捜す方が難しい。


「若々しく才能溢れる諸君には・・・。」


【無理です。その期待、丁重にお断りしまーす。

・・・眠い。】


「本校の生徒として、誇りある・・・。」


【zZ・・・】







『一同、起立。』


「えーっと、秋乃さん。

起きて起きて。」


半眠状態の茅根に、声をかける者がいた。


「・・・ん?

!?

あ、ありがとう!」


「あ、い、いえ別に!」


「えっと、確か入江さんだよね。同じクラスの。」


「は、はい・・・

入江 奈々といいます。」


「私、秋乃 茅根。

宜しくね、入江さん。」


『そこ、私語は慎め。』


「ムッ──────」


茅根は築いた友好関係に水をさした教師を心の中で罵倒していた。







同日 PM1:40


「うーん・・・

部活かぁ、全然考えて無かったなぁ。」


HRで配られた紙の束の一枚、入部届を眺めながら茅根は呟く。案外部活が盛んな学校らしく、部活の種類は様々。別に無理に入る必要は無いのだが、勉強も出来ず、部活もしていないのでは何かが悲しい。

それに、実家の事を考えても、運動不足だけにはなりたくない。

「ん?何コレ。」

紙の端にある、一つの部活名に目が止まる。


 【HJS】


(? なんかの同好会かな?

・・・蒸かしジャガイモ生産サークルとか?

・・・まさかね。)



「うーん?・・・うん?」


そんな時、茅根の目がある文章に止まる。


【欠点保持者大歓迎!】


「・・・・話だけでも聞いて見ようかなぁ。」


バカは部活の決め方も一味違ったのであった。






4月9日 PM3:25


「ん~っっ!」


シャーペンを机に叩きつけ、大きく伸びをする。眠たくて仕方がない。今日は属に言う【新入生歓迎テスト】だったらしい。前に自宅へ郵送されてきた資料の中に、年間行事表があったらしいが、当然茅根が知るはずもない。何しろまだ手紙の封を切っていないのだから。

だが、そんな事を茅根は気にしない。何しろ留年しようが退学になろうが、茅根には既になるべき将来が用意されている。


だから、茅根は楽しみたい。少ない学生時代を思いっきり。


「案外簡単だったね」


後ろの席の入江が話かけてきた。席が近い事もあって、彼女とはすぐに仲良くなれたのだ。今では敬語を使ってない

この学校の通常教室は、大学の講義教室のように、席が階段のようになっている。何しろこのクラス、生徒数が100人もいるのだから驚き。ゆとり教育をうけた作者には、時代の流れを感じさせる。─閑話休題──

なので、茅根は入江を見上げる形になり、何分首筋が痛い。眠気を覚ますいい刺激だ。


「嘘でしょ~!?

難しかったと言ってぇ~。」


力無く崩れ落ちる茅根を、入江はただ苦笑いしながら見る事しか出来ない。


「はは・・・・

ところで茅根ちゃん。

茅根ちゃんは部活に入る?」


「うーん・・・・、

一応ね。まだ決めた訳じゃないけど。」


「やっぱねー。茅根ちゃんバリバリ運動出来ますっ!って感じだもんねー。何部希望してるの?

私も何かしようと思うんだけど・・・。

参考程度に聞かせて。」


何故か勝手に体育会系の熱血乙女に仕立てあげられてしまっているが、実際その通りである。

茅根の取り柄といえば、ケタ外れた運動神経のみである。中学生の時の成績表と言えば、体育以外は2や1ばかり。幼い頃から祖父にビシバシと半強制的(と言うか強制的)に鍛えられたのが一番の原因だろう。

お陰で運動はお手の物だ。


「とりあえず、【HJS】っていう部活が気になったから、話を聞きに行こうかなって・・・・。」


「【HJS】? 何の略?」


「いやー、それがね私にもわかんないんだ。情けない事に。」


「何の部活か分かってないの!? 自分が入部したいのに?」


「いやー、

ちょっと【欠点保持者大歓迎!】に引かれまして。」


「茅根ちゃん・・・・」


入江が残念そうな顔をしていたのは、言うまでもあるまい。





同日 PM 3:50 校舎北館 【HJS】部室(と思われる)前


「・・・でっけぇプレハブ小屋。」


「プール位の広さだよね・・・。」


立ち尽くすのはもちろん、茅根と入江。面白そうという理由から入江もついて来ていた。

目の前に現れた建物、横幅は5m程度と標準的だか、縦幅が30mはあるんじゃないか、というくらい、兎に角縦長のプレハブ小屋だった。


「・・・とりあえずお邪魔するんだから、ノック位したほうがいいよね?」


そう言いドアに向かって行く茅根。


(此処を開ければすべてが分かるんだ。

昨日散々考えた。乗馬とかジュエリーとかジェットスキーとか熟女とかッ!!

気にし過ぎて眠れなかった部活の正体が!!)


深く息をつき、そして


「失礼しましゅ」


バカをやってのけた。





そこは、まるで応接間のような部室だった。

フローリングの床に置かれた一つの机と、それを囲むように二人掛けのソファーが三つ。そのソファーに座る三人の少女達。

「「・・・・」」


「「「・・・」」」


「「・・・(汗)」」


「「「・・・(凍)」」」


(あ、挨拶ミスったァァァ?!

ヤバい超気まずいし恥ずかしいし!?

きっと先輩達なんだろうけど硬直しちゃってるゥゥゥ!!アセアセ

いや、まだここからが本番よッ!!まだ挽回のチャンスはあるッ・・・筈。)


「あっ、あの、入部希望者ですッ!!話を聞きにきました!」


「「「・・・」」」


(失敗したァァ?!

どうしよどうしよ私の印象絶対変な人になっちゃった!)アタフタ


因みに入江に関しては、先輩?達同様固まってしまっている。


「「「・・・ッよ」」」


その時、先輩?達の口が動く。それと同時に身体がワナワナ震え、目がキラキラと色を放つ。


「「ッよ?」」


「「「よっっっしゃゃゃゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァ!!!」」」


・・・爆発した。








「・・・はっ!?」


正気にもどると、いつの間にか部室内のソファーに腰掛けていた。横をむくと入江が半分魂の抜けた状態で座っていた。


「ぎゃァァ?!奈々しっかり!!」


「はうぅ・・・、

ご先祖様ァ・・・・。

私は死んでしまったのですか・・・・。」


親友のピンチである。このままだと、本当に一生目を覚まさない気がする。別の意味で。


「先に謝っとく!ゴメンね奈々!」


茅根は右手を振り上げ・・・・


「起きろぉォォォォォォォ!!


凄まじいスピードで往復ビンタを繰り出して行く。そのスピードといったら、手が霞んで見える位に。


「へぶぅぅゥゥゥ!?」


「現実に帰ってこいや!!」


「・・・・・・・・はっ!?

おばあ・・・ちゃん?」


「遠まわしに老けてるっていわれた!?」


「いや今まで目の前におばあちゃんが・・・・」


「・・・・・」


「おぅい!お待たせ~、二人とも大丈夫か?いきなりぶっ倒れるから心配したんだぜ。」


奥から先輩が五本のペットボトルを手に現れ、二本を茅根達に放り投げる。


「・・・元々は先輩達がいきなり大声出すからです。」


入江が不満の声を上げる。


「いや~、ゴメンゴメン。余りにも嬉しかったから。」


そう答える先輩。うっすら赤色のかかった黒髪のショートカット。とてもサバサバした印象だ。


「いやもう一度確認するけど、マジで入部希望者なワケ?」


「あー、と言うか、ちょっと話を聞かせてもらえればと。」


「なるほどね、まぁとりあえず自己紹介でもしようぜ。私は真由。学年は2ー5組、何て呼んでも良いぞ。因みに部活内では強襲班の一人だ。まっ、宜しくたのむわ。」


((強襲班?))


「後ろの二人は双子で、右がハルカ。左がアリスだ。ハルカは2ー8組、アリスは2ー2組、二人とも部活内では狙撃班を担当してくれている。無愛想・・・特にアリスはそうだけど、いい奴らだから仲良くしてくれよ。」


「「・・・宜しく(お願いします。)」」


((狙撃班?))


「あっ、あの。」


「ん?」


聞き慣れないワードに、遂に茅根が切り出す。


「ずっと気になっていたんですけど、ここって一体何部なんですか?」


“ピシッ”

なんて効果音が聞こえそうな勢いで、真由先輩の動きが止まった。


「え・・・・・・?

どういう事?」


「いや、部活の一覧表に【HJS】としか書いてなかったんで・・・、何をする部活なのか聞きに来たんですけど。」


「・・・・・・ちょっと待って(おい、ハルカ!アリス!それ作ったのっててめぇらだろうが!!)」


(だって姉御は適当でいいっていってたよ?)


(アホッ!!いくらなんでも適当過ぎだ。新入生が部活名の略が分かる筈ねぇだろが!!)


(・・・時既に遅しですね。)


(お前が一番適当なヤツだよっ!!

あ~あどうすんだよせっかくの新入部員。廃部免れたと思ったのによォォォォ!!)


(落ち着きなよ。

まだそうと決まった訳じゃないんだから。

諦めちゃダメだよ。)


(・・・お前らの危機感の無さに既に諦めてるよ。)



「その~、なんだ。

落ち着いて聞いてほしい」


真由先輩はハルカ、アリス両先輩との会話を終えると、真剣な表情で話を始める。


「この部活の正式名称なんだけどな・・・。」


「・・・・・はい。」






「“北都高校女子サバイバルゲーム部”って言うんだ・・・。」




ほのぼのした情景と、冷徹かつ残酷な情景を使い分けるのは、難しいと思いますが、努力します。

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