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第3章 異変

「9月10日」


「今日から毎日とはいかないけど、日記を書いてみようと思ってま〜す♪

だって、入院生活ヒマなんだもん・・・

朝起きて検査・・・それから、しばらく自由な時間なんだけど、病院の中じゃやれる事なんて限られてるし。


何か、日記のネタも無さそうだけど・・・とりあえず、毎日書くのを目標にして書いて行くぞ〜!!」



井上が読んだ物はこんな感じの文章だった。

それから、しばらくは同じような内容の文章だったのか、井上はページをどんどんめくって行き、ようやくお目当ての内容の文章を見つけたのか、また読み始めた。





「9月23日」

「今日も、いつもみたいに朝起きて検査が始まったんだけど・・・

何か、今日はちょっと変。

いつもは、看護婦さんとお医者さんの2人って組み合わせなのに、今日はお医者さんが2人。

看護婦さんはどうしたのかな?

それに、検査の合間に私に聞こえない様に、遠くで話してる内容が気になる・・・」


「9月25日」


「今日も、看護婦さん来なかったな〜。

ほんと、どうしたんだろ?」


「9月28日」

「う〜ん・・・

今日は、体調が最悪・・・

朝の検査の後にお医者さんから貰った薬飲んでから、具合が悪くなった気がするんだけどなぁ・・・

日記書くのもキツイよぉ・・・」


「10月5日」

「聞かなきゃ良かった・・・

いや、違うか。聞く気なんて無かったのに聞こえてきちゃったんだ・・・


なんで・・・?なんで、私なの・・・?

他にも、入院してる人一杯いるのに・・・?なんで・・・?」


「10月7日」


「この病院の医師達はおかしい・・・

絶対に・・・何かが狂ってる・・・

私は、このままあいつらの・・・狂ったあいつらの犠牲にならないといけないの・・・?」


「10月13日」

「・・・段々、私の体がおかしくなって行ってるのが、自分でも分かる。

だって・・・私の体、腐りかけてるもん・・・



多分、日記書けるのも今日が最後になると思う・・・」




『・・・何か、謎の部分が多いな〜』


『確かにな。分かるのは、この日記を書いてた人がここの病院の医者から「何かされてた」って事だけだしな』



俺は、この日記の内容に少し異常な感じを受けていたが、所詮は日記。と思う事で、平静を保っていた。


井上は・・・何か普通に大丈夫そうだ。まだ、日記を読み返したりしてる。







・・・・・・・・・・・・・・





あれから、一体どれだけ時間が経っただろう・・・

俺は、歩き過ぎたせいか段々、足の裏が痛くなって来ていた・・・


『なぁ?俺達、一体 何時間歩いてんだ?』


『多分、最低でも1,2時間は歩いてるな・・・』


俺達は、この廃病院に迷ってしまっていた。


『って、ここさっきも来なかったか?』


『あっ・・・』






『はぁ・・・仕方ないか』


そう言うと、井上は自分が来ていたシャツを脱いで、床に無造作に置いた。


井上が言うには・・・

このシャツは目印代わりで、俺達が同じ所をグルグル回っているのか確認する為の物らしい。

ちなみに井上は、Tシャツの上に半そでのシャツを重ね着していたので、今はTシャツだけだ。



俺達は、また入り口に向かって歩き始めた・・・


そこで、俺は今の時間を見る為に携帯を取り出し、画面を見てみたのだが・・・そこには。


「11時14分」


と表示されていた。


『な、なぁ・・・?井上?』


俺は、携帯を片手にその場に立ちすくんでいたと思う。

何故?


それは、俺がこの廃病院に入る前に時計を見て時間を確認していたからだ。


あの時も、確か・・・「11時14分」だったはず。


俺達が、この病院の中に入ってから「時間」が全く進んでいないのだ・・・


『ん?どうした?』


『お前の携帯見せてくれないか・・・?』


俺は、自分の携帯が壊れているかもしれない。と言う淡い期待を持ちながら、井上の携帯の画面を見てみた。


しかし、そこに表示されていた物は・・・


「11時14分」


(俺の、携帯が故障している訳じゃ無いのか・・・)


『なぁ?どうしたんだよ?何、固まってんだよ』


『・・・この、廃病院に入ってから、時間が進んで無いんだよ』


『はっ?』


俺は、井上に廃病院に入る時に時間を確認した。と言う事や、今の時間がその時と同じと言う事を説明したのだが・・・やっぱり、今日の井上はおかしい・・・


『・・・へ〜♪』


井上は、その話を聞いて笑っていた・・・


俺の話を信じてなくて、馬鹿にする。と言う様な笑い方じゃない。


少なくとも俺の話は信じているようだった。その上で、井上は笑っていたのだ・・・


まるで恐怖や、絶望等と言った感情が無いかのように・・・


俺は、そんな友人に恐怖を覚え、それっきり話し掛ける事が出来なくなってしまった。


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