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第1章~10年前~星奈part

馮河、栄二、響谷の3人が事件に巻き込まれる1週間前、ある女性が、机をはさんで男と向かい合っていた。女性が薄汚い服ともいえない布切れしかまとっていないのに対し、男はきちんとしたスーツを身にまとっていた。しかしここは都会のど真ん中の高級ビルの最上階である、ここにあわない服装をしているのは女性のほうだった。

「私は貴方が行おうとしているゲームに参加したいだけなのよ?別にいいじゃない。」

「しかし私としてもただでゲームの参加を認めるわけには行かないんですよ。」

「じゃあ交換条件を提示してくださいません?ただ私を近づけた訳ではなくあなたにも何か目論見があってしているのでしょう?」

「交換条件ですか、それもいいですね。私としては貴方が私たちの実験に付き合ってくださるとありがたいのですが・・・。」

困ったかのように、男・・・神代謙太は言った。

「私はモルモット、という訳ね。」

先ほどから全く言葉にオブラードで包む様子も無く、思った事をずけずけ言っているのは、天童聖奈だった。

聖奈はこの世に既に居る数少ない能力者の一人だ。彼女は自分が迫害されているにもかかわらず、迫害されている人たちを救おうとしていた。

「まあ、単刀直入に言うとそうなりますね。」

「ふ~ん。まあいいわよ、その条件、呑むわ。」

「それじゃあ交渉成立ということで、よろしくお願いしますね。」

「ん、ヨロシクね。・・・何時からはじめるの?」

「ん~、今日からといいたいのですがいろいろあるでしょうし、明日からにします。

「じゃあ明日もここに来ればいいのね?」

「いいえ、ここに来てください。」

謙太は地図を広げその中の1箇所を指差した。

「わかったわ。・・・折角だし世間話でもしない?」

「世間話ですか?」

「そう。私みたいな人間はなかなか人としゃべる機会が無くてね、私の力を狙った者とか私と同じような人たちとしか話したことが無いのよ。折角だから貴方みたいな大金持ちと話しをしておこうかと思ってね。」

「私が大金持ちとは、それはそれは買い被られたものですなぁ。」

「まあそう白を切らなくてもいいですよ。神代グループ現総帥、神代謙太さん。」

「あらら、ばれていましたか。常に身辺には注意しているつもりなんだけどなぁ。」

「私は私なりに調べさせていただきましたから。」

「何処までですか?」

「貴方の家族構成と貴方の過去ぐらいかしらねぇ。」

「あらら・・・。過去まで知られてしまっては如何しようもありませんね。」

「まったく、貴方の過去については呆れる事と同感することが多かったわ。」

神代謙太は元科学者。優秀で独創的だった為首になってしまった。そういう面では、彼女のように力を持ち、回りを守りたいと考えるのも彼と同じ、迫害の対象でしかない。

「そうですか・・・。それなのに私はこんなに出世して貴方は迫害を受けるわけは何なんでしょうね?」

「其れは、貴方は頭の中、私は周りに関係して来るからじゃない?」

「ほう、理由を聞かせていただけますかな?」

「貴方は、頭の良さと、頭の中の思想がかみ合ったが故に、危険視された。これは貴方が頭の中で考えただけでしょう?私は頭の中の思想は貴方と同じだとしても、かみ合ったものは頭の良さではない。回りすらも危険に巻き込むかもしれない。貴方はその頭を使えば出世など簡単。私は力を使っても気持ち悪い、と言われるだけ、ココの差が貴方と私の扱いの差を生んでいると思うわ。」

「ふむ、なるほどね、面白い考え方です。」

「それじゃ私は失礼するわね。」

「では、また明日。」

彼女が去ったことを確認すると、謙太は居るはずのない人に呼びかけた。

「琴咲、彼女をどう思う?」

すると、人が居るはずのない虚空から声が聞こえてきた

「とても強い女性ですね。」

謙太の前にいきなり現れた男、琴咲龍司。彼の右腕であり護衛役。

「その程度か?」

「いえ、全てを考慮した結果からこういう言葉になりました。」

「ふん、お前はセリフが簡潔だから言葉の底まで考えなければならない、まあそうでもなければ俺の方が鈍ってしまうからな。」

「ちなみに私は彼女は生き延びると思います。」

「俺も同感だな。」

彼らの思ったとおり、彼女は生き延びてゲームへの参加券を手に入れた。

「一人でも多く、彼の手から救い出す。いや、救い出して見せる!私がね。」

彼女もこのときゲームへの参加を決めたのであった。

行き成りですいませんが、1か月ぐらい休ませていただきます。

諸事情と、しばらく書き溜めて置きたいというのが理由です。そのあとは定期的に投稿していきたいと思います。

本当にご迷惑をおかけします。

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