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第1章~10年前~馮河、栄二part

馮河の構想から入ったのですがその当時の物語です。

2020年とある日とある港に百人以上の人間が集まった。この人間たちは最近流れていた噂、そう、

「ある会社が不思議な薬を開発した。」

という噂を聞き、詳しい情報を手に入れ、この港を突き止めた人間たちだ。

そして風井馮河、笠間栄二の二人もその人間だった。

「不思議な薬ってなんだろうな?」

「さあ?まあ、何でもいいんじゃねぇえか?面白そうだし。」

この二人は、教師と元その教え子だ。二週間前に久しぶりに会ったのだ。もともと敬語が苦手だった馮河は敬語を使わず、栄二もそれについては何も言わなかった。まあ、その時にここについての噂話をしたのがきっかけだった。栄二はもともとここについてのかなり詳しい情報を持っていたため、完全に突き止めるのに1週間とかからなかった。基本情報収集は栄二がすべてやった為馮河は何も知らない。しかし2人の間にあったのは絶対的な信頼関係だった。だからこそ今に至ったのだ。

「ん?あれはなんだ?」

多くいる人々の中の一人が指差したのは、海だった。

「何かあるの?」

「いや、何も見えないぞ。」

この日は霧が濃く、視界が狭かったため、ほとんどの人が何が来ているのかわかっていなかった。

しかし、馮河と栄二はすでに何が来るのかわかっていた。調べておいた、というのも大きいが、霧の中でもわかるぐらいの大きさだった。

超が付くぐらいの・・・豪華客船だ。

数人がやっと気付きはじめて、「あれ船じゃないか?」と囁きあう中、馮河と栄二の二人は違うことを話し合っていた。

「あの船で何をするっていうんだよ。」

「さあ?薬をはいどうぞってわけでもなさそうだな。」

その話をしているうちに一人、また一人と気づき始める人が増えてきたようだ。

「おいおい、あんなのでどうしろっていうんだよ。」

「知らない。でも良いじゃない。薬のためよ。」

人々がささやきあう中、船は港に泊まり、一人の男がその中から出てきた。

「皆さん。静粛に!!」

特に大きい声を出した感じはなかったがとても良く通るため、人々は声を出さなくなった。

「皆さんはなんなんでしょうか?」

その男が放った一言により、静かにしていた人々からまた声が上がり始めた。

「なんなんでしょうか?だと?」

「ふざけるなよ!!ここまで何の為に来たと思ってんだよ!!」

人々の間から上がる不満の声に対し、その男はやれやれといった表情で答えた。

「何の為に来たんだよ、などと言われても困るのですが・・・。この船はれっきとした客船なのですよ。乗船されているお客様のためにも、こんなところでたむろされても困るのですよ。なのでここから早急に立ち去っていただきたい。」

そのセリフを聞いた人々は

「クソッ」「ふざけんなよ。」

などと悪態をつきながら続々と帰って行った。馮河も帰ろうとしたが、栄二がそれを止めた。

「まあ待てよ、そう焦んなよ。これからがいいところなんだからよ。」

「はあ?いいところだって?迷惑だって言われてんだろ。さっさと帰ろうぜ。」

「まあどうせ暇なんだろ?少しぐらい付き合えよ。」

「少しぐらいって。どうなっても知らないかんな。」

馮河も口ではこう言っているものの、栄二を全く疑っていなかった。

人々の中でも帰る人は帰ったようだった。それでもこの周辺には60人近くの人が残っていた。

30分後、船から先はどの男が出てきた。

「ふむ、60人近くいるなぁ思っていたよりかなり多めだなぁ、どうしたものか…。」

「ぶつぶつ言ってねぇでさっさとはじめようぜ!」

痺れを切らした人々からまた不満の声が上がり始めた。

「まあよかろう。Heavenlyshipへようこそ!」

そう男が叫んだ瞬間人々の耳に聞こえてきたのは、銃声。

「おい!なんなんだ?あれは。」

「発砲してやがる。警察か?」

その声を聴いた男が答えた。

「ああ、あの方たちの説明を忘れていました。今回人選の手伝いをしてくださる、このあたりの自警団の方々ですよ。」

「自警団?」

「ええ、さすがに人数が多すぎますし、この程度で死ぬ人間に薬は渡せませんよ。なので減ってもらいます。」

「減ってもらいますだと?」

「ええ、そうですよ。あ、ちなみにこの船に乗れば安全ですので、ここまで頑張ってくださいね。」

そう言うと、男は背を向けて立ち去ってしまった。

「頑張ってください、だと?」

「人の命をなんだと思ってるんだ!!」

人々の中でそんな声が上がる中、状況判断の早い数人はすでに状況を判断し走り出していた。

馮河と栄二もすでに走り出していた。

「どう思う?この状況。」

「さあ?とりあえずあそこに逃げ込むのが一番じゃないか?」

そう言って栄二は船を指差した。

「了解。」

二人が船にわたる橋を渡り終え、後ろを振り向くと、銃弾に当たり倒れていく人々が見えた。

「クソッ!何にもできないのかよ。」

「ここまで来ちまったんだ。進むしかないと思うよ。さあ行こう栄二。」

「ああ、打たれた人の分、俺らは生き残るしかない。」

こうして二人は船の中に踏み込んだ。

Heavenlyship=天国の船

ご了承ください・・・

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