表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RG50E  作者: HARIMA
31/48

㉛一軍女子の宣戦布告。

◯✕高校の"一軍”と言われる一、二年生の女子生徒の間に、情報が広まっていた。


「ねぇねぇ、知ってる?

あの莉奈先輩をフッた男がいるんだって!」


「あんな無敵スペック持つ莉奈先輩をフるなんて!!

どんな男よ!?」


「ブラバンの二年生だって」


「それがさあ。

ソイツ、莉奈先輩捨てて、同じ部の一年のコを取ったらしいんよ」


「どんなコ?

カワイイの?」


「いやべつに。

大してカワイくもない、陰キャデブだっていうよ」


「マジで!?

そんなコに莉奈先輩が"負けた”の!?

ありえな〜い!!」


莉奈は。

そのスタイル・美貌・醸し出す"大人の女性”な雰囲気で、校内下級生女子の間でも憧れとなっており。

特に一軍やギャル系に慕われていた。

それが、どこから情報が流れたのか………

烈貴と美葉との三つ巴のエピソードが、彼女らの"お茶の間”を賑わすスクープとなっている。


また、同じ"一軍”の三年生女子………莉奈の同期の間にも、話は広まっていた。

ただし。

こちらはやや、冷ややかな反応であった。


「さすがの莉奈も、旬を過ぎたのかねぇ」


「やっぱ、"若さ”には勝てないか………」


「いや、あのコ意外とイチズなんだよ。

見た目に反して」


いずれにしても皆、莉奈・烈貴・美葉本人達とは話さない………

三人は校内で遠巻きに、話の種となっていた。



7月半ば。

夏休みを間近に控えた教室で。


美葉のクラスの一軍女子のリーダー格……とも言える存在、彩木愛香(あやき・あいか)は。

机に向かい自習中の美葉を、見つめていた。


(あの莉奈先輩が、こんな地味なコに負けるなんて………

一体、カレはどんな奴なんだろ?

確かめてみたい!!)


愛香は。

校則ギリギリのネイルの指先を、美葉へと向けた。




「美葉。

ちょっといい?」


その日も、全科目授業を終え。

美葉が荷物をまとめて席を立とうとすると、呼び止められた。


見ると。

取り巻きの一軍数名を引き連れた愛香が、笑みを浮かべて立っている。

以前、美葉に相談を持ち掛けて来た三人は、そこには居なかった。


(今度は何………?)


美葉は少々、ウンザリしながら顔を向ける。


「忙しそうなとこ、ゴメンね。

…………美葉、カレシ出来たっていうんで。

ウチ、お祝い兼ねてダブル・デートしたいと思うんだけど。

どうかな?」


胸まで伸びた髪には淡いウェーブがかかり、目には涙袋を強調した韓国風メイク。

首元には鈍い光を放つ華奢ネックレス。

"典型的な一軍女子”の出で立ちの愛香を、美葉自身も違う世界の人に感じていた。


「………ダブル……デート?」


「そ!

ウチのカレシも一緒だけど、テーマパークでもお店屋さんでも、楽しいとこならどこでも」


愛香は、親しげな表情を崩さない。

だが………

美葉は直感的に、何か?ウラを感じていた。

一先ず、ここは無難にかわしておくべきだろう。


「……せっかくだけど、ゴメン。

もうすぐコンクールがあるから。

それ、一段落したら考えるってことでいいかな?」


「コンクールって、いつ?」


「今月末」


「いいよ。

じゃ、来月………夏休みか?

連絡取れる?」


美葉は気が引けた。

こうゆう人物と連絡など取るようになったら、後々面倒だ。


「……今月のコンクール勝ち進んだら、県大会まで行くことになるの。

そうしたら、休み中もずっと部活になるし。

………相手も同じ部の人だから」


「じゃ、今月のコンクールで"負けたら”連絡ちょうだい」


愛香は、自分のバッグからピンクの皮カバーの鍵付きノートを取り出し。

一ページを切って、自インスタグラムのIDを素早く書き込んで美葉の机に置いた。


「待ってるから」


愛香は美葉に有無も言わせず、取り巻きとともに教室を出て行った。


美葉は、苛立ちを隠せなかった。


(負けたら………だって?

人をバカにして!)


こうなったら。

意地でも地区大会で"金”を取って、県大会まで進んでやる!

いつも冷静なはずの、美葉の中に。

「闘志」が生まれた瞬間であった。


美葉は。

愛香の置いたメモ用紙を握り締めながら、地区大会突破を胸に誓っていた。



続く


〈一軍女子の宣戦布告・完〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ