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ぼっちでダンジョン配信してたら賞金1500億円のデスゲームに巻き込まれたので、のらりくらりと生き残っていきます  作者: 古野ジョン
第1章 デスゲームへの招待

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第2話 招待状

 森を抜け、広場のようなエリアに出る。かつて人類最後の未踏の地……とされたこの島も、今やすっかり栄えてしまった。複雑な地形や摩訶不思議な動植物たちの存在から、いつしかこの島はダンジョンと呼ばれるようになった。


 かつて各国政府がこぞって調査隊を派遣したこの島も、今では数多くの命知らずが探検している。そしてこのおとぎ話のような世界に魅せられた者たちが、その魅力を広めるためにインターネットを通じて配信を行っているのだ。


 他の人気配信者たちは集団で大きい獣なんかを狩ったりしているが、俺はもっぱらぼっちで行動している。今日みたいに、小さな鳥や不思議な植物を採集したりしてな。


 島の様子を配信することで生計を立てている人間――俺もその一人だが――たち、そして彼らを相手に商売をする人々。この両者によって島は成り立っており、広場にはちょっとした街が形成されているのだ。


「さっき捕った鳥さんを、いつもの店で焼いてもらいまーす」

『おばちゃんキター!』

『おばちゃん!』


 俺はいつも通っている屋台に向かって歩き出す。そこは日系人のやっている店で、島では珍しく日本食を提供している。さっき罠に使った日本米も、この屋台のおばちゃんに分けてもらったものだ。


「おばちゃん、こんちは!」

「タローかい? どうせ配信してるんなら、私のことは好きに映して構わないからね」

『ファンサ神!』

『さすがおばちゃん!』


 暖簾をくぐると、おばちゃんは鍋の世話をしたまま返事をくれた。いつも世話になっていて、配信の視聴者たちにも大人気だ。


「なあおばちゃん、今日はこれ捕まえてきたんだけど」

「おお、金の雀かい? 珍しい」

「焼いてもらえないかな?」

「いいよ、お安い御用だ」


 さっき締めたばかりの金の雀を手渡すと、おばちゃんは屋台の後ろに下がって手際よく作業を始めた。この人との付き合いも長くなってきたな。


「ほら、もうさばけたよ」

「うおっ、さすがおばちゃん」

『おばちゃんつえーww』

『さすおば』


 おばちゃんは肉だけになった雀を串刺しにして、炭火の上で焼き始めた。皮が弾けてぱちぱちと音が鳴る。


『いい音!』

『うまそ~』

『こりゃビールだな』

「そうだな、おばちゃんビールね」

「はいよ」


 コメントに乗せられて、つい酒を頼んでしまった。今日の配信もうまくいったし、良い気分だな。配信者になった当初はどうなることかと思ったけど、なんとかなるもんだ。


「そうだ、タロー聞いたかい?」

「何が?」

「向こうの方が騒ぎになってるんだよ。ジョンコムがどうとか……」

「ジョンコム?」


 ジョンコム……というのは「ダンジョン・ドットコム」という配信サイトの略称だ。特にサーバーが落ちたなんて話もないけど、何かあったのだろうか?


「なんだっけ、あのジョンコムの社長……」

「『カイル』って人?」

「ああ、それそれ。なんだかまた変なことを始めるらしいよ」

「変なことって?」

「人気配信者だけを集めて、何か大会をするんだと」

「へえ……。配信を見ている皆、何か知ってる?」


 スマホの向こう側に問いかけると、何件かコメントが返ってきた。どれどれ……。


『コンテスト? みたいなやつをやるらしいよ』

『それ別の配信で見た! 賞金出るんだって!』

「へえ……そうなんだ」


 賞金つきのコンテストか。何を競うんだろう? まあそもそも、俺は人気配信者でもなんでもない。なんと言ってもジョンコムのランキングではまだ317位だからな。


「それでおばちゃん、その大会がどうかしたの?」

「なんでも賞金がねえ、10億ドルらしいよ」

「10億ドル!?」

『1500億円じゃん!』

『カイル太っ腹www』


 たかが配信者のコンテストに10億ドル!? 羨ましいというか、とてつもない金額で想像も出来ないというか……。


「いやーでもさ、どうせ俺は零細配信者だし。たぶんそのコンテストには出られないと思うよ」

「そうかい? わたしゃ広場の掲示板を見に行ったけど、あんたの名前もあったよ」

「へっ?」


 困惑する俺をよそに、おばちゃんはエプロンのポケットから紙を取り出した。そこには「invitation(招待状)」との文字が印刷されている。……まさか?


「どうせタローはうちの店に来ると思ったから、代わりに受け取っておいたよ」

「……えぇ?」

「320位までの配信者が対象なんだってさ。あんたはギリギリセーフってわけだ」


 ――こうして、俺に賞金1500億円への道が開かれた。

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