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詩全集2

Eve

作者: 那須茄子

今日が何の日か

私はわかっていた

それでも

一人で出かける


鐘が鳴る

まるで遠い異国に来たよう

街では

イルミネーションが煌めいて

誰かと誰かがそれを見つめながら

手を繋ぐ通りすぎる


私は目を細めて

二人以上が並んで歩く歩道を渡る 


どうやら雪は遅れに遅れ

まだ降らないらしい

前夜だからもうしばらく

塗りあげる準備で忙しいんだろう

真っ白に染めるのは案外難しい

やろうと思っても上手くはいかなかった

今も去年の手作り雪だるまが

部屋の隅で埃を被っているはず


今年も良い子でいた

でもプレゼントを貰うには

もう大きくなりすぎて 

寂しいから

私は携帯電話の電源を切って

身の回りの音を消す


人がいない山の中

はいた息は白く湯気のように

熱がこもっていて

頬がどこまでも温かくなる


余分に持ってきたカイロは

どうやら

ポケットに要らぬ負担をかけさせただけで

使わないみたいだ


思い出す

お気に入りだった地図帳が

降る雪の重みで破けたあの日を

そのまま部屋で眺めて過ごせばよかったのに

急に思いついた欲張りなことは

やっぱりよくないことで終わってしまった


もう片方のポケットの膨らみを触れる

底にはあの日の地図帳と丸印


今日が何の日か

私はわかっていた

それでも

一人で居たい



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